起業や新規事業の立ち上げを考えている方であれば一度は検討するのが、フランチャイズ経営。フランチャイズ経営で儲けるためには、業種選びが重要です。
本記事ではフランチャイズで開業したい方に向けて、おすすめの業種を紹介します。あわせて、オーナーが実際にどのくらいの年収を稼いでいるのか、具体的な収支モデル付きで詳しく解説します。
興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
ズバリ、必ず儲かるフランチャイズは?
フランチャイズ経営は本部企業のブランド力、販路や仕入れ先などのコネクション、経営ノウハウなどを活用できるため、ゼロから自力でビジネスを生み出すよりも儲けやすい起業方法として知られています。
ただし、「何となくラクに儲けられそうだから」という理由で安易にフランチャイズ経営に手を出した後、経営が立ち行かなくなり、最終的には多額の負債を残して倒産に追い込まれるケースは珍しくありません。
開業後なかなか黒字化できずに開業資金が底をつけば、本部へロイヤリティが支払えなくなり、フランチャイズ経営は簡単に倒産へと追い込まれます。
つまり、必ず儲かるフランチャイズ事業など存在しないのが事実です。
しかしながら、自力での起業に比べてフランチャイズが「儲かりやすい」こと、またフランチャイズ事業のなかでもとくに儲かりやすい事業が存在することもまた事実です。
これから起業したい方や新規事業を始めたい方は、儲かりやすいフランチャイズ事業はどれか、またなぜそのフランチャイズ事業は儲かりやすいのかを十分に理解しておきましょう。
その真偽は?儲かると評判のフランチャイズランキング
フランチャイズ経営の仕組みは多くの業界・業種に取り入れられており、どの事業に着手するかが経営の成功を左右します。
ここではフランチャイズ事業のなかで、業界未経験者でも儲かりやすいとされている業種をピックアップして紹介します。
経営初心者や、将来的にフランチャイズとして検討している方は、ぜひこれらの業種を参考にしてください。
コンビニエンスストア
フランチャイズ経営のなかで最も代表的なのが、コンビニエンスストアでしょう。日本では、次のようなコンビニエンスストアブランドがフランチャイズ加盟店を募集しています。
- セブンイレブン
- ローソン
- ファミリーマート
- ミニストップ
- デイリーヤマザキ
- ポプラ
- セーブオン
ご覧のとおり、全国規模の大手ブランドは軒並みフランチャイズ展開しており、地域密着型ブランドのなかにもフランチャイズ経営を取り入れているケースがあります。
コンビニエンスストアは各社フランチャイズ経営のマニュアルが確立されているため、未経験からでも経営を始めやすいのが最大のポイントです。例えば、取り扱う商品は仕入れ先も品目も決まっているため、自ら商品を企画したり、仕入れ先を開拓する手間は必要ありません。人材の採用方法や採用基準、教育方法についても、厳正なマニュアルが定められています。
とくに、店舗経営の成功を左右する集客に関して、コンビニエンスストアのフランチャイズ経営では本部のネームバリューを活用できます。したがって、立地戦略に失敗しなければ一定程度の集客が期待できます。
ただし、コンビニエンスストアはほかのフランチャイズ事業と比べて儲かりやすい分、本部に対して支払うロイヤリティも他業種と比べて高額に設定されています。コンビニエンスストアのフランチャイズ経営を始める際は、あらかじめ開業資金を潤沢に用意しておくのが賢明です。
ハウスクリーニング
ハウスクリーニング事業も好評です。現在、日本国内では次のようなハウスクリーニングサービスがフランチャイズ加盟店を募集しています。
- おそうじ本舗
- 日本おそうじ代行
- おそうじ革命
- Bears.
- 株式会社志事人
- 日本ハウスクリーニング協会
- 植木屋革命
- Family.
独身世帯や共働き世帯の数が増え続けている現代日本において、ハウスクリーニング事業の需要は急増しています。少子高齢化と労働人口減少が社会的な長期トレンドになっている以上、家の清掃を外注したい人は今後もおそらく増加します。
また、ハウスクリーニングはコンビニエンスストア経営と異なり、在庫リスクがないことも強みです。
比較的低コストで着手できて、不景気が来ても在庫処分の心配がないハウスクリーニング事業は、業界未経験者や経営初心者が始めやすいフランチャイズといえます。
高齢者向け配食サービス
配食サービス業界の主なフランチャイザーは次のとおりです。
- まごころ弁当
- はぐくみ弁当plus
- ライフデリ
- 見守り弁当メディミール
- 宅配クック123
- ニコニコキッチン
高齢者向け配食サービスはハウスクリーニングと同様に、日本社会の人口動態を背景として需要を拡大させています。
医療技術の発達にともなう社会の高齢化は避けられないため、今後も高齢者向け配食サービスに対するニーズは高まり続けると予想されます。
今後は一人住まいの高齢者や、過疎化が進む地域に暮らす高齢者のために子ども世代が配食サービスを依頼するケースも増えると予想されるため、高齢者向け配食サービスはフランチャイズのなかでも経営が安定しやすい事業といえます。
インドアゴルフ
これまでのゴルフといえば屋外のゴルフ場や打ちっぱなしが主流でしたが、最近は屋内で練習できるゴルフ場やゴルフスクールも人気です。屋内であれば24時間、天候に関わらず練習できるため、都会のゴルファーに好評です。
ゴルフは密になりにくいため、ゴルファーがコロナ禍で増加したと言われています。実際に会員数が伸びている業界なので、高い収益が見込めるでしょう。
また、最新のシミュレーション機器の導入などによって付加価値をつけることができるため、立地や客層に合わせた戦略の幅が広いというメリットもあります。
業種別に儲けを試算!フランチャイズオーナーの年収はどれくらい?
フランチャイズで儲けようと考える場合、どうしても気になるのが実際のフランチャイズオーナーの年収です。その業界のフランチャイズ経営者が実際にどのくらい稼いでいるのかは、これからフランチャイズ事業を決める新規オーナーにとって非常に有益な判断材料となります。
ここでは、前段で取り上げたフランチャイズ業種について、それぞれの年収を試算して紹介します。
コンビニエンスストアオーナーの場合
コンビニエンスストアのフランチャイズオーナーの年収相場は、700万円前後です。年間収支の内訳例は次のとおりです。
売上 | 19,270万円 |
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売上原価 | 12,400万円 |
売上総利益 | 6,870万円 |
営業経費(ロイヤリティ含む) | 6,480万円 |
営業収入 | 390万円 |
営業利益(本部からの諸支援含む) | 750万円 |
税引後利益 | 700万円 |
日本フランチャイズチェーン協会が発表した2021年度のコンビニエンスストア統計調査年間集計によると、フランチャイズ店舗の平均年間売上高は1億9270万円となっています。そこから上述の通り必要経費を差し引くと、1店舗経営あたりの純利益はおよそ700万円前後と想定されます。
700万円は、あくまで1人で1店舗を経営した場合の年収相場です。仮に夫婦二人で1店舗を運営する場合は、一人当たりの年収相場は350万円となります。複数店舗を経営すればその分利益は増えますが、従業員を雇用する必要があるため人件費が発生することに注意しましょう。
ハウスクリーニングオーナーの場合
ハウスクリーニングのフランチャイズオーナーの年収相場は、800〜900万円前後です。年間収支の内訳例は次のとおりです。
売上 | 1,200万円 |
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材料消耗品費 | 60万円 |
売上総利益 | 1,140万円 |
営業経費(ロイヤリティ含む) | 250万円 |
営業利益 | 890万円 |
ハウスクリーニングのフランチャイズオーナーは、はじめは個人事業主としてビジネスを開始するケースが一般的です。自分一人で多くの清掃依頼に対応するため激務が予想されますが、依頼をこなした分だけ儲けに直結します。
身体一つでは対応できる案件数に限界があるため、さらなる年収アップを望むのであれば従業員を雇用して事業を拡大する必要があります。その場合は、どのくらいの人件費が必要なのか、個人事業と比べてどのような業務が発生するのか、その結果としてどのくらいの利益拡大が見込めるのかを入念にシミュレーションしましょう。
高齢者向け配食サービスオーナーの場合
最後に、高齢者向け配食サービスのフランチャイズオーナーの場合、年収相場は300〜500万円です。年間収支の内訳例は次のとおりです。
売上 | 1,000万円 |
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売上原価 | 400万円 |
売上総利益 | 600万円 |
営業経費(ロイヤリティ含む) | 250万円 |
営業利益 | 350万円 |
上記の収支内訳は某大手フランチャイザーのもとで個人事業主として稼働し、1日あたり50食を宅配したケースを想定しています。ハウスクリーニングと同様に、高齢者向け配食サービスは個人事業主から始めるケースがほとんどで、宅配件数をこなした分だけ年収に直結します。自分一人ではカバーできるエリアや宅配件数に限度があるため、年収アップを目指すのであれば従業員を雇って事業を展開する必要があります。
フランチャイズで儲かる確率を高めよう!
ここまで、経営初心者が儲けやすいフランチャイズ事業を3つピックアップし、事業の特徴や実際の年収モデルを紹介しました。
ここで紹介した業種を含め、フランチャイズ経営で儲かる確立を高めるためにはいくつかコツがあります。そしてそのコツは、業界や業種を問わずあらゆるフランチャイズ経営に当てはまります。ここでは、経営未経験者がフランチャイズ開業で確実に儲けるために知っておきたいコツを3つ紹介します。
フランチャイズ本部をよく知る
はじめに、自分が加入しようとしているフランチャイズ本部をよく知る必要があります。
具体的には、次のようなポイントが挙げられます。
- 経済産業省が認可する日本フランチャイズチェーン協会に加入しているか
- 研修制度や業務マニュアルなどのサポート内容は充実しているか
「有名なブランドだから」という理由だけでフランチャイズに加盟した結果、サポート内容を十分に活用できなかったり、後から想定外の費用が発生したりと苦労する経営者は少なくありません。インターネット検索はもちろん、本部に資料請求する、実際のフランチャイズ経営者と会って話を聞くなど事前調査を徹底しましょう。
ロイヤリティの条件をチェックする
次に、ロイヤリティの条件を隅々までチェックして、フランチャイジーとして享受できるサポート内容に見合った対価かどうかを判断することも大切です。ロイヤリティの金額が決まる仕組みは一般的に、3種類に分かれます。
- 売上に対して一定の割合を支払う「売上歩合方式」
- 粗利に対して一定の割合を支払う「粗利分配方式」
- 売上の多寡にかかわらず決まった金額を支払う「定額方式」
自分のロイヤリティがどう決まるのか、そのロイヤリティはフランチャイズ加盟のメリットに釣り合っているかをよく考えてフランチャイザーを選びましょう。
税金も考慮する
最後に、節税について正しい知識を身に付けておきましょう。経営未経験者はつい「どのようにして儲けるか」ばかりを考えてしまいます。
しかし、経営においてどのように経費を削減するかは、どのように売上を出すかと同様に重要です。
例えば、個人事業主として開業する場合、以下のような基本的な節税対策を徹底するだけで、年間数十万円の節税が可能です。
- 企業共済に加入する
- 青色確定申告を行う
- 経営資産を減価償却する
仮に節税金額が年間30万円として、その節税対策は年間売上高を30万円増やすことに比べれば極めて簡単に実施できます。簡単に節税した30万円も、苦労して売り上げた30万円も、年収に与えるインパクトは同じです。節税対策を徹底することは、年収アップへの第一歩といえます。