インドアゴルフ練習場やインドアゴルフスクールを経営しているけど、経営が芳しくない、という読者に向けた記事です。
個別案件ごとに抱える問題は異なるはずですが、問題点の類型化はできます。この記事では、その類型化作業から「問題点と対応策」を浮き彫りにしていきます。
この記事を参考に、事業の黒字化を目指しましょう。
インドアゴルフ練習場の集客の基本的な考え方
まずは、ゴルフ事業の置かれている状況から説明します。
ここ数年、「ゴルフは斜陽産業」でした。たしかに、ゴルフ場、プレー人口とも「長期減少傾向」にありました。ところがコロナ禍以来、特にインドアのゴルフ練習場が、首都圏を中心に急増しています。これは主に、以下の理由によります。
- コロナ禍により(安全な外遊びとしての)ゴルフブームが起きた
- コロナ禍により、本業に打撃を受けた人がゴルフ業界に参入してきた(事業再構築補助金などを利用)
- コロナ禍により、店舗用テナントに空きが出て、相対的に安価で借りられた
- 屋外練習場(打ちっぱなし)の、都市化の波による閉鎖増
新規オープンの場合
さて、こういうある意味「過当競争」の市場に新規オープンする場合は、当然、ほかとの差別化が必要です。また、経営を安定させるためには、収入(売上)の増加、および経費の節減が必要になります。
収入の増加(あるいは維持)のためには、最初は会員数の増加、一定レベルに達したら会員数の維持が必要です。そのためには、必要会員数の確保、確保ができたらその会員数を維持、退会があった場合その補充、という3つの側面で考える必要があります。
一例として1打席当たりの適正会員数は、40〜50名という情報があります。会員募集のための手法については、後述します。
次に経費の節減ですが、一番負担の大きいのは人件費です。最近は、「24時間 完全無人化」をウリにしているフランチャイズもあるようです。
確かに、経費的にはメリットが大きいのですが、入会希望で訪れた人をキャッチしにくいとか、退会希望者を引き止められないなどのデメリットもあります。メリット、デメリットを秤にかけたうえで、結論を出しましょう。
既存施設の場合
既存施設の場合も、考え方は新規の場合と変わりません。
あえて言えば、既存施設が何かを変更しようと思えば、内装の変更など追加投資が発生することを覚悟する必要があります。
インドアゴルフ練習場の集客に必要なサービスや設備
会員数を維持するためには、適切な集客が必要です。魅力的なサービスや設備の導入が、集客につながります。
ゴルフシミュレーターの導入
最近話題になっているゴルフ練習場の設備は、ゴルフシミュレーターです。ご存じのとおり、自分の打球の弾道イメージや飛距離、ボールの回転数などが画像とともに確認できる装置です。ゴルフ練習場のみでなく、ゴルフバーやアミューズメント施設などでもよく見かけます。
導入費用として、シミュレーター本体が100万円程度(中古の場合)から700万円くらいまで。内装工事・防音工事などが数100万円、防音・防球設備用品が100万円程度でしょう。
たしかに集客装置として魅力的ですが、初期コストがかかることから、導入のためには十分な検討が必要です。
ゲーム要素の検討
ゴルフ練習場は、もちろん「ゴルフの練習」をするためにあるのですが、それに「ゲームの要素」を加味して、多様なお客様を集客しているケースがあります。
たとえば、ボールの当たる地点にダーツのような的があり、そこに当たると景品がもらえるというゲーム性を導入したケース。
あるいは、シミュレーターのオプション機能ですが、シミュレーターの画面でプレイするゲームクリアの目的として複数人が交互に打球を打っていくものなどもあります。加えて、打席ではなくボックス席(ボウリングのような)になっており、複数人で楽しめるという工夫もあります。
新しいターゲットに向けてのサービス
現在のゴルフブームで注目すべきは、女性と若者です。ですから、それらの新規顧客層を逃がさない工夫が必要です。
たとえば、練習後にコーヒーとケーキのセットを提供するプランで、女性の固定ファンを作っていくサービスがあります。
また、家族で来訪できるようなサービスを設定すれば、パパは練習場に来やすくなりますし、家族を新たな収益源とすることもできます。
インドアゴルフの集客効果を高めるコツ
集客に関して、古典的なものから、最新の方法まで紹介していきます。
SNSを活用した集客
今の時代、SNSを使った集客は常識です。
開業する際は、誰でもホームページを作りますが、最近はスマホでチェックする人の方が多いので、「スマホで見るのに最適なレイアウト」でページを作成する必要があります。したがってホームページ作成は、ある程度の知識がある人に依頼すべきでしょう。代金は、標準的な構成で30万円程度です。
また、グーグルマップへ自社の場所を登録し、かつPR文章も充実させて、グーグルマップ経由の集客を増やします。
さらに、若者、女性を集客するSNSツールは、インスタグラムです。ホームページ作成と併せて依頼するのが、効率的です。特に初心者からの、「ゴルフクラブは施設で貸してくれるのか?」「練習に行くのに必要なものは何か?」といった、初歩の疑問にも丁寧に回答することが必要です。
イベントやキャンペーンを通じた集客
ゴルフ練習の目的は、当然ですがコースで良い結果を出すことです。しかしゴルフ初心者の場合は、コースに連れて行ってくれる人がいないので、「コースデビュー」そのものが当面の目的のケースがあります。
そこでゴルフ練習場主催の「初心者コンペ」などがあれば、非常にありがたいサービスになります。そして一度、そういった強力なコネクションができれば、自社の固定客になってくれる可能性が高まります。
また最近は「ゴルコン」という用語があるようです。ゴルフ合コン、だそうです。客層によっては、ただのコンペではなくゴルコンにすることも考えてみてもいいのかもしれません。
先ほど「ゲーム要素」の項で述べましたが、お客様対抗ゲーム大会、なども有力な集客ツールになると思われます。
費用はかかるのですが、ポイントサービスの採用やポイント2倍デーの設定、あるいはレディースデーなども特定の層に効果的です。
お客様満足度向上
顧客満足に関しては、ゴルフ練習場にかかわらずすべての産業において、その向上を目指していますが、その難易度も高いことも認識されています。特に、「顧客の正直な声をタイムリーに収集する」のが難しいのです。
今どきは、紙のアンケートでは回答してもらえません。専用ツールなどを使うのもおすすめですよ。
インドアゴルフ集客におけるチラシ活用について
ゴルフ練習場の集客で、チラシをポスティングするのはよくあるケースです。ただし、闇雲に近所に配布しても、効果的とは思えません。ターゲットの選定が必要です。場合によっては、「チラシは効果的でない」ケースもあり得ます。
さて、そういった前提をふまえ、チラシを作るときのポイントもご紹介します。
チラシ作成のポイントと注意点
開業時チラシについては、その存在と施設の内容を告知するのが普通でしょう。
ただし、開業後のチラシは、施設内容よりもイベント告知の内容にして、「いつも新しいことをやってる感」を醸し出しましょう。
チラシで伝えたい情報とその効果
そしてチラシのイベントが、初心者や未経験者も参加可能なものであれば、「初心者歓迎」などの文言を目立つように配置します。せっかくチラシを作るのですから、最大限の効果を目指します。
実際に使えるチラシの作成方法
ネットには、無料のテンプレートもあるようなので、それらを利用するのもいいでしょう。もちろんお金に余裕があれば、プロのデザイナーに依頼してもいいでしょう。
デザイナーに依頼する方法の一つとして、ネットの「プロ仲介サービス」があります。たとえば、あなたがゴルフ練習場のチラシ作成をしたい場合、仲介サイトで依頼内容をプロデザイナーに告知し、デザイナーは作業内容や報酬を検討して応募します。あなたは各デザイナーと協議して、落札者を決定します。これらサービスを使うと、比較的安価にプロに依頼することができます。
インドアゴルフの集客効果を高めるなら、FC加盟もおすすめ
ここまで、インドアゴルフの集客について説明してきました。少し内容が、漠然としたものに感じられたかもしれません。それは各施設の置かれた環境(ロケーション、広さなど)により集客方法が異なりますから、ある意味やむを得ないことではあります。
もし、もっと詳しい情報が知りたいとか、集客方法の高いツールはないのかとか、そういった疑問がある場合、フランチャイズ本部に問い合わせしてみるのはいかがでしょうか。当然、専門家として、深い見識を有しているはずですし、実際に開業する際はフランチャイズ加盟も選択肢の一つにして構わないと思います。
判断ポイントは、「自分一人で頑張るか」「フランチャイズ加盟するか」の違いではなく、事業として成功するか、ということです。有効な方法を採用して、事業を成功させましょう。