ゴルフをやっていると「アイアンはダウンブローで打つのが基本だ」と聞いたことがあるのではないでしょうか。
アイアンをダウンブローで打つことで、ボールにバックスピンをかけたり、飛距離を出したりすることが可能になるからです。
アイアンの飛距離を伸ばしたい人は、その基本でもあるダウンブローを身につけましょう。
この記事では、ダウンブローにフォーカスを当て、打ち方をはじめ、コツや誤ったダウンブローの直し方を解説していきます。

ダウンブローとは
ダウンブローとは、ダウンスイングをしたときに、クラブのヘッドがスイングの最下点に到達するよりも前でボールを打つスイングのことです。
アイアンはダウンブローで打つのが基本といわれており、ダウンブローで打つことでボールが芝の中に若干沈んでいてもクリーンに捉えやすくなります。
ダウンブローで打つメリットは以下の3つです。
- 飛距離が出しやすい
- バックスピンがかかってボールが止まるようになる
- ライの悪いところでもクリーンに打てる
ダウンブローで打つと、ロフトが立った状態でボールにインパクトできるため、飛距離が伸びます。
ダウンブローは上から叩くような打ち方になるため、スピンのかかり方も強くなり、狙った場所にボールを止めることも可能になります。
また、ロフト角が小さい分、ボールとクラブの間に芝が入りづらくなるため、芝の長いラフでもクリーンに打ちやすくなります。
ダウンブローで打つと飛距離が伸びる?
先述した通り、アイアンはダウンブローで打つことで飛距離が伸びます。
スイングの最下点より手前でボールを打つことで、ロフトが立った状態でボールに当たるためです。
また、上からボールを叩くことでバックスピンが強くかかり、ボールが高く上がりやすくなることから、飛距離が伸びるようになります。
アイアンの飛距離が出ずに悩んでいる人は、ダウンブローを身につけましょう。
アイアンとドライバーでダウンブローの打ち方は変わる?
アイアンの場合はダウンブローで打つことで、飛距離が伸び、ボールの軌道も安定します。
一方でドライバーは、ダウンブローではなくアッパーブローで打つのが基本です。
アッパーブローは、ダウンブローとは逆に、スイングの最下点の上がり際でボールを捉える打ち方です。ドライバーはグリーンの上でティーアップされたボールを打つため、アッパーブローで打つことが基本となります。
アイアンとドライバーでは、ボールがおかれた状況が違うため、打ち方を間違えないように意識しましょう。
ハンドファーストとダウンブローの違い
ダウンブローとよくセットで使われることが多いハンドファースト。
これらにはどんな違いがあり、スイングとどう関係するのでしょうか。
まず前述した通り、ダウンブローとはダウンスイングでクラブが最下点に下りてくる途中でボールを捉える打ち方のことです。
ボールに対して上からクラブを当てることでバックスピンがかかり、ボールを高く上げて止められるようになります。また、飛距離を伸ばすのにも有効です。
一方、ハンドファーストとは、インパクトでボールよりも手元が先行するように打つことです。
ハンドファーストで打つと、自然とロフトが立ってインパクトできるため弾道が強くなり、フェースが閉じるので打球を安定させやすくなります。
この2つがセットで使われることが多いのは、ダウンブローで打つためにはハンドファーストでインパクトするのが理想とされているからです。
ハンドファーストにするとインパクトで左足体重になり、クラブヘッドが上から入りやすくなるため、ダウンブローに打つための重要な要素となっています。
参考:ダウンブローは必要ないという意見も
アイアンを打つときはダウンブローが基本と言われる一方で、ダウンブローは必ず習得しなければならないというわけではありません。
なぜなら、最近のゴルフクラブは、ダウンブローで打たなくても十分スピンがかかり、飛距離が出るものが多いためです。
ゴルフには、ダウンブローとアッパーブローの他に「レベルブロー」という打ち方があります。
レベルブローは、スイングの最下点でボールに当てる打ち方です。
最近のゴルフクラブは、レベルブローでも十分な飛距離とスピンを得られるため、必ずしもダウンブローが必要とは限りません。
ダウンブローは、コツのいるスイングなので、持っているゴルフクラブによっては、無理に覚える必要がないことも頭に入れておきましょう。
ダウンブローの打ち方
ダウンブローは、ただ上から叩きつけるだけではうまく打てません。
打ち方を間違えると、ダフリやトップなどあらゆるミスの原因となります。
ここでは、正しいダウンブローの打ち方を解説します。
意識すべきポイントは、以下の3つです。
- インパクトの形を意識してアドレスする
- クラブヘッドは緩やかな角度でスイングする
- 目線はボールの中心に置く
順に解説します。
インパクトの形を意識してアドレスする
ダウンブローで打つには、まずアドレスの時点でインパクトの形をイメージしておくことが重要です。
クラブフェースが目標方向へ向くようにセットし、ボールより手元が先行するように構えます。グリップが左足の太ももあたりにくるよう調整してください。
まずは、この形でインパクトするイメージをもちましょう。その状態でインパクトできれば、ハンドファーストの形でダウンブローが打てます。
また、テークバックからインパクトまでこの形をキープする意識も大切です。
ダウンスイングでハンドファーストの形が崩れると、すくい打ちの原因となり、飛距離が伸びません。こうなるとクラブ軌道がアウトサイドインになりやすく、スライスの原因にもなります。
ダウンブローで打つには、アドレスの時点で正しく構え、インパクトまでその形をキープする意識が大切です。
クラブヘッドは緩やかな角度でスイングする
ダウンスイングで打つには、クラブヘッドが最下点に到達する直前でボールを捉えることが必須ですが、ヘッドの入射角度には注意が必要です。
入射角度が急すぎるとダフリなどのミスが出ます。
クラブを振り下ろす角度は、飛行機の着陸をイメージするとよいでしょう。飛行機が急降下で着陸しようとすれば、勢いよく地面に追突してしまいますよね。クラブもこれと同じで、ボール手前まで緩やかに下降し、最下点直前でボールを捉えるようなイメージが必要です。
クラブの番手にもよりますが、アイアンではおおよそマイナス2〜5度の入射角でクラブを下ろすのが理想とされています。
V字ではなく、緩やかなU字の軌道でヘッドが下りてくるよう意識しましょう。
目線はボールの中心に置く
ボールの真ん中を見てスイングすると、自然と左へ重心が移動し、ダウンブローでインパクトできるようになります。
ドライバーが得意でアイアンが苦手という方は、ボールを右側から見ていることが原因かもしれません。これだとアッパー軌道のドライバーは打てますが、アイアンはすくい打ちになり、飛距離が落ちるはずです。
また、ボールの中心を見て打つとダフるという方は、ボールのやや左側に目線を向けてみましょう。
こうすることでヘッドの最下点が左に移動しやすくなるので、芯を捉えたショットが打てるようになります。
ダウンブローで打つコツ
アイアンをダウンブローで打つと、飛距離が出てスピン量も増やせます。
しかし、ダウンブローで打つにはいくつかのコツが必要だといえます。ダウンブローを意識しすぎるあまり、インパクトでフェースが開いてしまい、結果的にスライスしてしまうなんてことも……。
ここでは、ダウンブローを身につけるために意識するべきポイントを紹介します。
ボールの位置は?
ダウンブローはクラブの最下点より手前でボールを捉える打ち方です。
そのため、ボールをいつもより右足寄りにセットすればよいのでは、と考える人もいるでしょう。右足寄りにボールをセットすれば、スイングの最下点の手前にボールがある状態を作りやすくなります。
しかし、過度にボールを右に置くことは危険です。
ボールを右足寄りにセットすると、インパクト時の軌道がインサイドアウトになります。
そのため、ボールの内側にクラブヘッドが当たり、目標よりも右に飛んでいく「プッシュアウト」や、クラブのネック部分にボールを当ててしまう「シャンク」を発生させてしまう可能性があるのです。
多少右足寄りにボールをおいたほうが、ダウンブローで打ちやすくはなりますが、ボールの位置はあまり意識しすぎないほうがよいといえるでしょう。
フェースを閉じながらダウンスイングを意識する
ダウンブローでインパクトするには、グリップがボールより手前に出た状態の、ハンドファーストでインパクトする必要があります。
ただ、ハンドファーストでのインパクトを意識しすぎると、左脇が開いてフェースが開いてしまうことがあります。フェースが開いた状態でインパクトすると、スライス軌道になるため、結果的に飛距離を伸ばすことにはつながりません。
そうならないためには、フェースを閉じながらダウンスイングすることに意識を向ける必要があります。
具体的には、腕と地面が平行になるタイミングで、右手のひらが後方を向いている状態を作ります。
ダウンブローでアイアンを打ち込むときには、ダウンスイングでフェースが開かないように意識するようにしましょう。
ハンドファーストに構える
アイアンをダウンブローで打つには、ハンドファーストで構えることも有効です。
具体的には、左ももの内側にグリップがくるように構えます。
クラブをハンドファーストで構えることで、インパクト時にロフトが立った状態で打ち込むことが可能になります。
また、スイングの最下点の手前でボールを捉えられるため、結果的にダウンブローになるのです。
アイアンをダウンブローで打ちたい場合は、構え方も意識してみましょう。
ダウンブローで打ちやすいアイアンがある?
最近のゴルフクラブはダウンブローで打たなくても飛ばせるように設計されています。そのため、ダウンブローで打ちやすいアイアンというものはありません。
しかし、上級者向けのマッスルバックや、中空マッスルバックなどのアイアンは、ダウンブローとの相性が良いと言われています。
マッスルバックのアイアンは重心位置が高いため、ダウンブローで打つことを前提としている物が多いためです。
重心位置が高いとヘッドをコントロールしやすく、ダウンブローの打ち込み具合でスピンのかかり方の調整もできます。
しかし、あくまでダウンブローと相性が良いだけで、打ちやすいかどうかとは別であることは知っておきましょう。
ダウンブローができない理由は?
ダウンブローを練習しても、なかなかできないアマチュアゴルファーは多いのが実情です。なぜダウンブローで打てないのでしょうか?
理由は、ボールに対してヘッドから当てに行ってしまい、ヘッドがアッパーに動いてしまうからです。
ダウンブローに打とうとすると、上からボールに向かってヘッドを動かしてしまいます。ヘッドがボールに対してアッパーに動き始めるとアウトサイドインの軌道となるため、自分側にクラブを引き付けます。すると、ヘッドが早く落ちるためアーリーリリースになってしまうのです。
その結果、スイングの最下点はボールの手前となり、アッパーブローになったりダフったりします。
そうならないためにも、スイングするときに下半身から動き始めることや、先述したハンドファーストを意識しながらインパクトするよう心がけましょう。
ダウンブローが強すぎるのもよくない?
ダウンブローが強すぎると入射角が鋭利になり、ボールががきれいに拾えなくなります。
また、最近のクラブは設計上、ダウンブローが強すぎるとうまく当たらないようにできている場合もあります。
さらに、ダウンブローをしようという意識が強すぎると、先述したような、ヘッドがボールに向かってアッパーに動き始めるスイングになってしまうこともあるでしょう。
こうした理由から、ダウンブローに対する意識は強すぎてもよくないといえます。
正しくダウンブローが打てるように練習を重ねましょう。
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ダウンブローの直し方
ここでは、間違ったダウンブローのスイングを直すための改善方法を紹介します。
以下の3つの方法を試してみてください。
- スイング軌道とボールの位置を確認する
- 左足体重を意識する
- ロングアイアンはやや払い打つイメージをもつ
スイング軌道とボールの位置を確認する
ダウンスイングという言葉に惑わされ、意図的に上から下にクラブを振ろうとするのは間違いです。
アイアンもドライバーも基本的なスイングは一緒で、異なるのはクラブが下降するタイミングで当たるか、上昇するタイミングで当たるかということ。
つまり、スイングの最下点より前でインパクトすればダウンブロー、最下点より後でインパクトすればアッパーブローになるのです。
正しいダウンブローをおこなうには、スイングの最下点を確認し、その直前でインパクトできる位置にボールをセットする必要があります。
適切な位置にボールをセットできれば、自然とダウンブローに打てるはずです。
くれぐれも、無理やり上から打ち込むようなスイングは避けましょう。
左足体重を意識する
うまくダウンブローに打てない原因として多いのが、右足に体重が残っているケース。
これだと、いくらハンドファーストに構えても、スイングの最下点を過ぎてからインパクトを迎えるため、すくい打ちになりがちです。
トップからの切り返しで、左足へしっかり体重移動するよう意識しましょう。
どうしても右足に重心が残ってしまう場合は、左足1本で立ってスイングしてみてください。
左足体重でインパクトする感覚が身につくはずです。
ロングアイアンはやや払い打つイメージをもつ
ショートアイアンはうまくダウンブローで打てるのに、5番・6番アイアンになると打てなくなる方は多いです。
ロングアイアンはクラブが長くなるため、ボール位置もやや左足寄りになります。
そのため、ダウンブローの意識が強すぎると、手前をダフる、カット軌道になるなどのミスが起きやすくなるのです。
ロングアイアンでは、ダウンブローよりもやや払い打つイメージでスイングするとよいでしょう。
理想はスイングの最下点でインパクトするレベルブローですが、まずはフェアウェイウッドのようにやや払い打つ感覚で練習するのがおすすめです。
ダウンブローの練習は室内ゴルフ練習場で行うのがおすすめ◎
ダウンブローは習得が難しいゴルフ技術のひとつです。そのため、1人で習得するのはかなり難易度が高いともいえるでしょう。
そこでおすすめなのが、室内ゴルフ練習場の利用です。
室内ゴルフ練習場であれば、レッスンを受けながらダウンブローを身につけることができます。専門の指導者による的確なレクチャーに加え、シミュレーションゴルフによってクラブ軌道の確認ができるため、自分のスイングを客観的に分析することが可能です。
ダウンブローを身につけたい人は、室内ゴルフ練習場の利用を検討してみるとよいでしょう。