本来ゴルフにおいてプロと名乗れるのは、特定の団体が実施するプロテストをクリアした人だけです。
しかし、そういったプロテストに合格していない、もしくは受けていないのに、ゴルフのプロを名乗れるケースもあります。
この記事では、ゴルフにおけるプロの定義から、プロを名乗れる状況についてまで詳しく解説します。
ゴルフにおける「プロ」の定義
プロゴルファーとして活動するためには、プロテストに合格し、プロ資格を取得することが一般的です。この資格を取得できれば、文句なしにゴルフのプロを名乗ることができます。
日本プロゴルフ協会(JPGA)が認定するプロ資格は、以下の2種類です。
- ツアープロ
- ティーチングプロ
ツアープロはトーナメントプロとも呼ばれ、テレビで放送されるような大会に出場し、賞金を稼ぐことで生計を立てているプロゴルファーです。
ツアープロ資格のプロテストを受けるには、男性の場合年齢が16歳以上である必要があります。
一方、ティーチングプロはレッスンプロとも呼ばれ、ゴルフの指導に特化した資格です。ゴルフスクールなどでレッスンをおこない、生計を立てています。
ティーチングプロ資格のプロテストを受けるには、年齢が満20歳以上であることが条件です。
どちらの資格も、ゴルフの知識と技術を高いレベルで習得する必要があり、簡単に取得できるものではありません。
ツアープロはもちろんですが、ティーチングプロの資格を取るためにも、コンスタントにスコア70台で回れるほどの技術が求められます。また、ティーチングプロには指導技術以外にも、専門的な広い知識が必要です。
そのうえ、資格を持っているだけでは肩書きにしかならず、トーナメントの出場を目指して予選会に挑んだり、スクールを開業してレッスンをおこなうなどのマネタイズが必要になります。
大きく稼げるようになるかはその後の活躍にかかっていますが、資格の取得ができればプロとしてのスタートラインに立ったといえるでしょう。
参考:ゴルフはアマチュア大会に出るのにも資格が必要?
国内には、日本アマチュアゴルフ選手権、関東アマチュアゴルフ選手権など、アマチュアが出場できる大会があります。
多くのアマチュア大会では、JGAハンディキャップインデックスの取得や、制限内のハンディキャップ保持者であることを参加条件とする場合が多いです。
しかし、それ以前にアマチュアであるということが大会参加の必須条件となっています。
アマチュア大会には、アマチュア資格を持つ人しか出場できません。つまり、プロは参加できないということです。
上記で述べたプロテストの合格や、プロとして試合に出場した時点で、アマチュア資格を放棄したことになります。
プロとして活動するために資格は役立ちますが、アマチュア大会に参加できなくなることは事前に知っておくと良いでしょう。
プロテストに受かっていないのに「ツアープロ」になれる?
ツアープロとして試合に出るためには、プロテストに合格する以外に方法はないのでしょうか。
ツアートーナメントに出ている選手の中には、プロテストを免除されて試合に出場している人もいます。
ここでは、プロテストを受けずにツアープロとなる方法を紹介します。
ツアープロになる方法
前述した通り、ツアープロになる正規の方法は、JPGAのツアープロ資格を取得することです。
この資格保有者は、プロとしてトーナメントに出場する技術と知識を持っていることが証明されます。
しかし、ツアープロになるにはもうひとつのルートがあり、それがプロ宣言です。プロ宣言をすることで、プロテストを受けずにツアープロとして活動できるようになります。
次の2つのケースをみてみましょう。
ツアー予選会(QT)で好成績をおさめる
プロテストを受けずにツアープロになる手段として、日本ゴルフツアー機構が開催するツアー予選会、クォリファイングトーナメント(QT)で好成績を残す方法があります。
ツアープロの資格所有者もいきなりトーナメントに出られるわけではなく、このQTで勝ち上がることで、トーナメントの出場権を獲得できるのです。
そして、このQTはアマチュアも参加可能。QTでトーナメント出場権を獲得できるほどの成績を出し、その時点でプロ宣言をおこなえば、ツアーメンバーとして認められます。
しかし、QT出場者のほとんどは、プロテストに合格するほどの腕前です。
その中で勝ち上がるのは並大抵の努力では難しく、プロテストに合格するよりも難易度は高いといえるでしょう。
アマチュアとしてトーナメントで優勝する
アマチュアのまま国内ツアーに出場し、優勝することでプロに転向する方法もあります。
石川遼選手や松山英樹選手は、この方法でツアープロになりました。
トーナメントの優勝者には、次々年度までのツアー出場権が贈られ、プロ宣言をおこなうことでツアープロとして活動できるようになります。
プロのトーナメントで優勝するほどのアマチュアは、プロとして相応しい実力の持ち主と認められるため、プロテストやQTを介さずにツアープロとなれるのです。
しかし、過去にプロのトーナメントで優勝したアマチュアは、日本では数名ほどしかいません。テレビや雑誌などで大きく取り上げられるほど稀なことなので、あまり現実的ではない方法といえるでしょう。
プロテストに受かっていないのに「レッスンプロ」になれる?
ゴルフの指導者であるレッスンプロになるためには、やはりプロテストに合格する必要があるのでしょうか。
結論として、プロテストを受けていなくても、ゴルフのレッスンプロとして活動することは可能です。
しかし、ティーチングプロの資格を持っていることで有利になることもあります。ゴルフの指導に資格が必要かどうかは、レッスンをおこなう環境によっても変わるでしょう。
この章では、プロテストを受けずにレッスンプロとなる方法を解説していきます。
レッスンプロ(ティーチングプロ)になる方法
レッスンプロとして正式な資格を取得する場合、前述の通りJPGAのティーチングプロ資格を取得する方法があります。
ティーチングプロの資格は、トーナメントプロと同様に、ゴルフのプロとして正式に認められた証となるものです。
ゴルフの指導者として受講生からの信頼を得やすいため、独立してゴルフレッスンを開業する際に有利となります。
ちなみに、ティーチングプロという名称は、日本で唯一プロゴルファーを認定しているJPGAが商標登録した呼び方です。
レッスンプロと同じ意味で使われますが、ティーチングプロ資格を持ったレッスンプロは、ゴルフ指導者としてより広い知識を持っている証明となるでしょう。
JPGAティーチングプロ資格にはA級とB級があり、スキルレベルや取得難易度が異なります。A級はB級よりもより高いレベルの知識が求められますが、アマチュアゴルファーに対してレッスンする場合、B級の資格でも十分通用します。
無資格でもゴルフのレッスンは可能
ティーチングプロの資格を持っていなくても、ゴルフのレッスンは可能です。
実はゴルフのレッスンに資格は必要なく、レッスンできる環境と受講生のニーズがあれば、レッスンビジネスは成り立ちます。
実際に、ティーチングプロ資格を持たずにレッスンをおこなっている人も大勢おり、有名になれば年収1,000万円以上稼ぐことも夢ではありません。
ただし、特別な肩書きがない以上、最初はレッスン受講生の集客に苦労することが多いです。
実績がない指導者のレッスンを受けたいと思う人は少ないので、ゴルフレッスンだけで食べていけるようになるには、営業や広報などのマネタイズスキルや、コミュニケーション能力も必要となります。
ゴルフスクールのインストラクターもレッスンプロ
ゴルフスクールに所属し、コーチングの研修を経てレッスンをおこなうインストラクターも、ゴルフレッスンのプロを名乗ることができます。
PGAティーチングプロの資格を持つ人もいますが、スクールの研修があるため、資格を持っていない人にとって、最もレッスンプロを目指しやすい方法といえるでしょう。
さらに、最初から収入が安定するというメリットもあります。
ゴルフスクールにはすでに実績や知名度があるため、集客に困ることは少なく、開業資金も最小限に抑えることが可能です。
年収1,000万円以上のように大きく稼ぐことは難しいですが、収入を安定させたい方に向いている方法といえるでしょう。
結論、「プロテストに受かっていないのにプロ」という状況は起こり得る
ここまで述べたように、プロテストに受かっていなくても、ゴルフのプロになることは可能です。
JPGA認定のプロ資格を取得するのは簡単ではなく、資格を持っているだけでは収入につながりません。トーナメントで勝ち続ける技術や、レッスン受講生から信用を得る指導能力が求められます。
ただ、ツアープロやレッスンプロの資格は、ゴルフの指導やレッスン講座を発信する上での肩書きとして大きな武器となるでしょう。
それほど強力な肩書きとなるため、中には無資格にも関わらず、勝手にJPGA認定プロを名乗る人もいます。
このような悪質な行為は信用を失うだけでなく、社会的な制裁を受ける恐れがあり、ゴルフ業界で活動できなくなるかもしれません。
プロテストを受けていなくてもプロになることはありますが、肩書き欲しさにPGA団体などの認定プロを無断で名乗るのはやめましょう。
次に、ツアープロとレッスンプロのそれぞれのケースで、プロテストを受けずにプロになる状況についてまとめます。
ツアープロの場合
プロテストを受けずにツアープロになる方法は、以下の2つです。
- クォリファイングトーナメントで好成績を残す
- アマチュアでツアー優勝を果たす
どちらもプロに相応しい成績をおさめているため、プロ宣言をすればプロテストを受けることなくツアープロとして活動できるようになります。
注意点として、プロ宣言した時点でアマチュア資格を放棄したことになり、以降アマチュア競技へ出場することはできません。
そして、これらの方法でプロになれるのは非常に稀なケースです。一般的に、ツアープロを目指す人のほとんどがプロテストに挑んでいます。
レッスンプロの場合
レッスンプロを目指す場合、プロテストを受けずにプロになるには、主に以下の2つの方法があります。
- 無資格でゴルフレッスンを開業する
- ゴルフスクールのインストラクターになる
ゴルフのレッスンをおこなうために、プロ資格は必須ではありません。
そのため、指導スキルがある人なら誰でもゴルフレッスンを開業できます。レッスン事業が軌道に乗り、人気が出れば高収入を得られるかもしれません。
ただし、肩書きや実績がない状態では、安定した収入を得るまでに時間と労力がかかり、苦労する人が多いです。
集客のノウハウや経営スキルも必要となるため、レッスンだけで食べていけるのは一部の人だけといえるでしょう。
その点、ゴルフスクールに所属するインストラクターなら、集客や開業資金に悩むことがなく、安定した収入を得られます。
一般的な会社員と同じような働き方になるため、極端に大きな収入は見込めませんが、食べていけないというリスクはほぼなくなるでしょう。
レッスンプロなら最短距離でその道のプロになれる!
合格率はわずか3〜5%ほどといわれるゴルフのプロテスト。
非常に狭き門となっており、開催されるのも年に1回なので、合格までに長い期間が必要になります。
最短でプロを目指すなら、ゴルフスクールのレッスンプロがおすすめです。
スクールのレッスンプロは、十分な研修を受けられるので、プロになれる人が最も多い方法といえます。
また、ゴルフのレッスンで生計を立てるには、指導スキル以外にも経営能力が必要となるため、すでに事業が安定しているスクールへの所属は安心感があるはずです。
最初から安定した収入が見込める点もメリットとなるでしょう。
コーチ未経験から始めても、年収は300〜400万円以上になることが多く、不安定な収入で生活に困ることはありません。
リスクを抑え、最短でゴルフのプロを目指したい方は、ゴルフスクールのレッスンプロを検討してみてはいかがでしょうか。