ゴルフの握り方には、野球のバットのように握るベースボールグリップがあります。
一般的に、このグリップ方式を採用するゴルファーは多くありませんが、ほかのグリップにはないメリットもあるようです。
この記事では、ベースボールグリップのメリット・デメリットについて解説します。
基本の握り方から、アイアン、ドライバーなどクラブごとの打ち方のポイントまで細かく解説するので、ぜひ参考にしてください。
ベースボールグリップとは
ベースボールグリップとは、両手の指10本すべてでクラブを握るグリップ方式です。
野球のバットの握り方に似ていることから、ベースボールグリップと呼ばれています。
一般的なクラブの握り方は、右手の小指を左手に重ねて握るオーバーラッピンググリップや、小指と人差し指を絡めて握るインターロッキンググリップが主流です。
しかし、ベースボールグリップにも多くのメリットがあるため、あえてこの握り方でプレーするゴルファーもいます。
特に、手の小さい方や女性、力のない方などは、両手に力を入れやすいベースボールグリップが合っているでしょう。
テンフィンガーグリップとの違い
ベースボールグリップはテンフィンガーグリップとも呼ばれていますが、厳密には少し異なります。
最大の違いは、左手親指の位置。
ベースボールグリップは、両手10本の指でギュッと握るグリップ方式です。
親指をグリップから横に外して握るので、トップで親指の関節にかかる負担を減らす効果もあります。
元プロの松隆光選手は、ゴルフを始めた当初からベースボールグリップを使用しており、これを武器にツアーで3度の勝利をおさめました。
一方、テンフィンガーグリップは、親指をクラブに添えるように立てておき、右手で親指を包むように握ります。
オーバーラッピンググリップ時の右手を、少しヘッド側にずらすのがテンフィンガーグリップです。
このグリップ方式で有名なゴルファーが、勝みなみ選手。アマチュア時代から好成績を残し、今でも女子プロゴルフ界の黄金世代として注目されています。
ベースボールグリップのメリット・デメリット
ベースボールグリップにすることで、スイングにどのような影響があるのでしょうか。
ベースボールグリップには、主に以下のメリット・デメリットがあります。
メリット
- 飛距離がアップする
- スライス矯正に効果がある
- 指を痛めにくい
デメリット
- 右手の使い過ぎでフックが出やすい
- 指導者が少ない
順に解説します。
メリット1)飛距離がアップする
ベースボールグリップは10本の指で握ることで手に力が入りやすくなるため、飛距離が伸びます。
オーバーラッピングやインターロッキングの場合は、左手主導のスイングになりやすく、右手で握る指も少ないため、力が入りにくいはずです。
一方、ベースボールグリップでは、両手に力を入れて握れるので、インパクトで右手のパワーを伝えた強いショットが打てるようになります。
このことから、ベースボールグリップは、女性や力のない方など、飛距離に悩む人に向いている握り方といえるでしょう。
メリット2)スライス矯正に効果がある
ベースボールグリップは、左右の手がそれぞれ独立しているため、腕と手首を返す動きを同調させるアームローテーションがしやすいメリットがあります。
インパクトでクラブヘッドが返りやすくなることから、スライス矯正に適しています。
また、右手でフェースの向きを把握しやすいこともメリット。
クラブを握ったときの右手の向きと、フェースの向きが同じ方向を向いているはずです。
ベースボールグリップは両手が独立していることで、右手の向きを感覚的に掴みやすいため、コントロール性を重視したい場合にも向いています。
メリット3)指を痛めにくい
ゴルフのグリップはときに、右手の指に左手を重ねたり、指を絡めたりすることで、スイングで指を痛めることがあります。
特に、トップの位置ではクラブの重みが左の親指に乗るので、フルスイングした際に親指を痛めてしまう人が多いようです。
また、指を絡めるインターロッキンググリップは、右手の小指を痛めることもあります。
その点、ベースボールグリップは両手が重ならず、左の親指も立てない握り方なので、指を痛めにくいのが利点です。
デメリット1)右手の使い過ぎでフックが出やすい
メリットで解説したとおり、ベースボールグリップはフェースを返しやすい握り方です。
そのため、右手を使い過ぎると、インパクトで強烈にフェースが返ってしまい、ドローやフックがかかりやすくなります。
そのため、スライスが出て悩んでいる方には向いていますが、もともと弾道が左に曲がり気味な方は、さらに悪化したフックボールになってしまうおそれがあります。
デメリット2)ベースボールグリップの指導者は少ない
ゴルファーのほとんどが、オーバーラッピンググリップや、インターロッキンググリップで握っているため、ベースボールグリップは少しマイナーな握り方です。
そのため、ベースボールグリップの指導をする人や、お手本となるゴルファーが少ないという欠点があります。
ゴルフのレッスンでも、たいていオーバーラッピングやインターロッキングのグリップを教えることが多いようです。
ベースボールグリップで悩んだときに、相談できる人が少ないことはデメリットといえるでしょう。
自分に合ったグリップを知るなら、インドアゴルフスクールでプロのコーチに相談するのがおすすめ!
ベースボールグリップを取り入れている日本&海外プロゴルファー
前述したとおり、ベースボールグリップを使っているプロでは、時松隆光選手が有名です。
ほかにも、丸山茂樹プロは親指を痛めた際に、指への負担が少ないベースボールグリップに変えていた時期があります。
そして、インターロッキンググリップから、突然ベースボールグリップに変えたことで話題になったのが渋野日向子プロ。
1打をかけて戦うトッププロが取り入れたくなるほど、ベースボールグリップにはメリットがあるということがわかりますね。
海外選手では、「ボールストライカー」と呼ばれたカナダのモー・ノーマン選手が、ベースボールグリップを採用していました。
モー・ノーマンは、「真っ直ぐ打つことにおいて、彼の右に出る者はいない」と言われるほど、正確なショットを打つことで伝説となったゴルファーです。
ベースボールグリップはマイナーな握り方と思われがちですが、トップを走るプロゴルファーにも取り入れられています。
自分に合っているのであれば、積極的に取り入れてみましょう。
ベースボールグリップの握り方・打ち方
この章では、ベースボールグリップの握り方・打ち方について解説します。
基本の握り方から、各クラブの打ち方のポイントまで、細かくチェックしてみましょう。
ベースボールグリップの基本
まずは基本となる握り方です。
ベースボールグリップの握り方はとてもシンプル。まず、両手で左右からグリップを掴むように握ります。
このとき、左右の手の甲が平行に外を向くはずです。
通常のグリップでは、左手の親指をクラブに添えるように立てて握りますが、ベースボールグリップでは、親指を横へ外します。
両手が重ならないよう、左手の上に右手をくっつけるようにセットしましょう。
アイアンの場合
アイアンは、ドライバーやフェアウェイウッドよりも短いので、ベースボールグリップで打つとフックやひっかけが出やすくなります。
右手が使いやすくなっているため、通常のグリップの感覚でスイングすると、フェースが大きく返ってしまうことが原因です。
9番などのショートアイアンを使い、右手1本で打つドリルを練習に取り入れてみると、フェースの向きを管理しやすいでしょう。
ドライバーの場合
ドライバーで注意したいのが、ダウンスイングで右肩が前に出てしまうこと。
ベースボールグリップは、通常のグリップよりも右手がヘッド寄りになるため、どうしてもアドレスで右肩が下がってしまいます。
その状態からいつもの感覚でスイングすると、右肩が前に出て、アウトサイドインのカット軌道になりやすいので注意しましょう。
スライスボールになるだけでなく飛距離も出ないので、クラブをインサイドから下ろす意識を持って、スイングしてみてください。
パターの場合
ベースボールグリップの特性を最大限に活かせるのは、パターショットのときです。
通常、パターでは手首を固め、肩の動きだけで振り子のようにスイングするのが常識です。
しかし、もし素手でボールを転がしてカップを狙う場合、そのような動きになるでしょうか。
おそらく、右利きの場合、右手を使って狙った場所へ腕で放り投げるはずです。
手首を固定して肩の動きで打つよりも、右手を使ったほうがカップを狙いやすいと感じるでしょう。
ベースボールグリップは、方向性や距離感を右手で調整できるので、自然な動きでスイングできるのです。積極的に右手を使うことを意識してみましょう。
アプローチショットの場合
アプローチショットもパター同様、右手を使ってボールを放り投げる感覚で打ちます。
ボールを上げるというより、狙った場所へ落として転がすイメージです。
手で持ったボールを、下手投げで打てば、距離感や方向性が定まりやすくなります。
クラブにはロフト角があるので、無理にボールを上げようとする必要はありません。
ロングパットの延長という意識を持って打ってみましょう。
ベースボールグリップでよくある悩みや疑問
ベースボールグリップを使用するゴルファーは少数派であるため、悩みや疑問を解決できない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ベースボールグリップに関するよくある疑問について解説します。
最適なグリップの太さは?
グリップの太さは、基本的に通常のグリップと同じで問題ありません。
しかし、ベースボールグリップは右手が体から遠くなるため、グリップが細いと感じる人もいます。
グリップはヘッド側になるほど細くなっているので、いつもより右手で握る部分が細くなるのです。
グリップが細くてしっくりこない場合は、少し太めのグリップに変えてみましょう。
太いグリップはフェースターンを抑える効果もあるので、ベースボールグリップでひっかけが出てしまう方にも効果的です。
どれだけ右手を意識して使うかによって、最適なグリップの太さは変わります。
握った感覚や球筋に合わせて、太さを選びましょう。
ベースボールグリップでシャンクが出る
シャンクが出る原因はさまざまありますが、ベースボールグリップのときは右肩が前に出やすいので、アウトサイドインの軌道によってシャンクが出ることがあります。
また、ダウンスイングで右腰が前に出てしまうのも、シャンクの原因です。
右腰が前に出るとヘッドも前にズレるため、クラブの根元に当たることになります。
いずれもクラブネックに当たるスイングが原因なので、ベースボールグリップに限らず、前傾姿勢をキープし、体とクラブを同調させる意識を持つことがポイントです。
ベースボールグリップとテンフィンガーグリップはどっちが良い?
ベースボールグリップは、飛距離アップやスライス改善に効果的な握り方なので、力のない方やスライスに悩む方に向いています。
しかし、通常のグリップより両手の一体感が少ないため、構えたときに違和感を感じることも多いようです。
その場合、テンフィンガーグリップならオーバーラッピンググリップに近い形になるので、慣れないうちはテンフィンガーから始めるのもよいでしょう。
一方で、左手親指に痛みがある場合は、ベースボールグリップが最適です。
親指を立てずに横へズラして握ることで、指にかかる負担がほとんどなくなるからです。
指の怪我で苦しむプロゴルファーのなかには、ベースボールグリップでゴルフを継続できた選手もいるので、長くゴルフを続けたい方にもメリットのある握り方といえるでしょう。
ベースボールグリップをマスターするならゴルフスクールがおすすめ!
ゴルフにおいてグリップは基本であり、上達するためにもとても重要な要素です。
そのため、ベースボールグリップのメリットを活かすためには、正しく握れていることが前提にあります。
グリップを変えるべきなのか、今のグリップを修正したほうがよいのか、自分で判断するのは難しいもの。
自分に合ったグリップを身に付けるには、プロに見てもらうのがおすすめです。
ゴルフスクールのコーチは、その人の体格や癖に合わせて指導します。そのため、コーチのレッスンを受けると上達が早くなるというメリットがあります。
ベースボールグリップのように、少し特異なグリップを効果的に習得したいなら、プロのアドバイスを受けるのが安全です。
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