グリーンを狙い、ボールをピンへ寄せる役割をもつピッチング。
アプローチショットで使うことが多いため、ゴルフのスコアに大きく影響するクラブです。
この記事では、ピッチングの特徴や必要性について解説していきます。また、スコアメイクにつながる使い方やアプローチウェッジとの使い分け、ピッチングの選び方や注意点、練習方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
なお、当記事ではクラブのピッチングウェッジのことを「ピッチング」と称します。
ゴルフのピッチングとは
ピッチングウェッジ(PW)は、主にアプローチショットに使う短いクラブのことです。
9番アイアンとアプローチウェッジ(AW)の間を埋めるロフト角になっているため、主にグリーン周りのショットで使います。
ピッチングの特徴について、いくつかみていきましょう。
ピッチングは残り100ヤード前後で使うクラブ
ピッチングは、9番アイアンよりロフトが寝ているクラブです。ボールが上がりやすく、スピンがかかりやすい特徴があることから、コントロール性が高いクラブといえます。
グリーン上でボールを止めたり、ボールを転がしてピンに寄せたいときに有効です。
グリーン周りでのザックリ(ボール手前の地面をクラブで叩いてしまうこと)を防ぐために、短い距離でもあえてピッチングでアプローチをする人も多いようです。
ピッチングの平均飛距離は50〜120ヤード
アマチュア男性のピッチングの平均飛距離は、80〜120ヤードです。
ヘッドスピードやロフト角により飛距離に多少差が出ますが、ピッチングの出番は概ね100ヤード前後の距離を打ちたいときに向いています。
アマチュア女性のピッチングの平均飛距離は、50〜80ヤードです。
100ヤード以内のコントロールショットに使うことが多いでしょう。
男子プロのなかには130ヤード以上飛ばす人もいますが、ピッチングはグリーンを捉えることが目的であるため、アマチュアにとっては、飛ばすことよりも正確性のほうを意識することが重要といえます。
ピッチングの標準ロフト角は44〜48度
ピッチングの標準ロフト角は、44〜48度です。
これより低いロフトは弾道も低くなるため飛距離が伸びやすく、高いロフトだと高い弾道で飛距離が落ちます。
アイアンとウェッジの距離のつながりをスムーズにするためは、標準的なロフト角のピッチングを使うのが望ましいでしょう。
近年はアイアンのストロングロフト化が進んでいるため、ピッチングのロフトも立っていることが多いようです。
また、ロフト選びでは飛距離の差が大きくなりすぎないよう、前後のクラブとのつながりを考慮することが重要です。
なお、ピッチングのロフトの選び方については後述しています。
ピッチングウェッジとアプローチウェッジの違い
ピッチングウェッジは、100ヤード以内のコントロールショットやアプローチショットに使うとお伝えしましたが、アプローチウェッジとはどう違うのでしょうか。
大きな違いは、ロフト角です。
ロフト角が44〜48度のピッチングに対し、アプローチウェッジのロフト角は50〜54度です。
ピッチングウェッジよりもボールが高く上がるため、ラフからのショットやバンカーを越えるショットではアプローチウェッジのほうが有利でしょう。
ゴルフでスコアアップするには、グリーン周りからのアプローチショットをするときに、安定してピンに寄せることが重要です。ボールをピンに寄せることができれば、パッティングでのミスを減らせます。そんなアプローチショットのときに使われるクラブ[…]
「ピッチングウェッジ(PW)はいらない」という説もある?
ゴルファーのなかには、ピッチングウェッジは不要と考える人もいます。
しかし、初心者から中級者のスコアアップにピッチングが有効なのは間違いありません。なぜなら、ピッチングにはアイアンとウェッジの距離の隙間を埋める役割があるためです。
9番アイアンで120ヤード飛ばす人が100ヤードを打ちたい場合、ピッチングがないと9番アイアンでコントロールショットをする必要があります。(アイアンはロフトの立ったモデルが近年の主流であるため、9番アイアンとアプローチウェッジの飛距離差が大きくなっています。)
しかし、縦の距離を正確にコントロールするにはかなりの練習が必要です。
初心者が距離をコントロールしようとすると、グリーンに乗せるのが難しくなるうえにミスも増え、スコアを崩してしまいます。
さらに、アイアンセットのピッチングは、フルショットすることを前提に作られているため、同じロフト角の単品ウェッジよりも飛距離が出しやすい特徴もあります。
距離のばらつきが減るので、フルショットしたときに均等な間隔で距離を刻みやすくなることもあります。
また、9番アイアンまでと同じ感覚でスイングできることで、飛距離を安定させやすくもなるでしょう。
ピッチングの打ち方とコツ
ピッチングはコントロール性が重要なクラブであるため、打つ際に意識すべきことがあります。
ポイントは以下の3つです。
- スタンスは肩幅より狭くする
- ボールは中央もしくはやや右寄りに置く
- クラブは短く持つ
順に解説します。
スタンスは肩幅より狭くする
ピッチングを構える際、両足のスタンス幅は肩幅より狭くします。これは、コンパクトなスイングで体の軸がブレるのを防ぐためです。
スタンス幅が広いほど飛距離が伸びやすいですが、体重移動が大きくなる分、トップやダフリなどのミスが出やすくなります。
ピッチングでのショットは飛距離よりも正確性が求められるため、コンパクトなスイングでミート率を上げるよう意識しましょう。
ただし、距離を出すためにフルショットする場合は、肩幅程度までスタンスを広げると打ちやすくなります。
ボールは中央もしくはやや右寄りに置く
ピッチングのボール位置は、打ちたい弾道に合わせてセットするのが基本です。
ボールを高く上げてアプローチする場合は体の中央にボールを置き、クラブの最下点でインパクトを迎えます。
このとき左寄りにボールを置くと、すくい打ちになりやすいので注意しましょう。
低い弾道でボールを転がしたい場合は、右寄りにセットし、少しロフトを立てて構えるのがコツ。
自然とハンドファーストの形で構えられるので、ランが出るアプローチショットに向いています。
クラブは短く持つ
ピッチングはグリップを短く持つのがポイントです。クラブをコントロールしやすくなり、ミート率を上げる効果があるからです。
短く握ると距離は落ちますが、ピッチングで飛ばす必要はありません。ミート率を上げ、方向性や距離感の精度を上げることが重要です。
一方で、ピッチングのような短いアイアンはダウンスイングでヘッドが返りやすいため、左へ引っかけやすい特徴があります。
グリップを短く持つと余計に引っかけが出やすくなるので、フェースの向きには注意が必要です。
特に、体の回転以上に腕を使ってスイングすると、過度なアームローテーションが起こり、引っかけの原因となります。体の回転と同調したスイングを意識しましょう。
ステップゴルフでは、1人ひとりの特性に合わせて最適なスイングをティーチングしております。
ピッチングウェッジ(PW)アプローチウェッジ(AW)サンドウェッジ(SW)の使い分け
グリーン周りのアプローチショットでは、以下の3つのウェッジを使い分けます。
- ピッチングウェッジ(PW)
- アプローチウェッジ(AW)
- サンドウェッジ(SW)
ロフト角は、ピッチングウェッジ<アプローチウェッジ<サンドウェッジの順に大きくなります。
ロフトが大きいほどクラブが寝るため、フルショットする際は打ちたい距離によって使い分けるのが一般的です。
しかし、アプローチショットの場合は、ライの状況や打ちたい弾道によって、ウェッジを使い分けることが重要。
前述したとおり、このなかでピッチングウェッジは最も弾道が低くなり、ランが出やすいため、転がしてピンに寄せたいときに活躍します。
ザックリのミスが出にくく、ピンまでの距離感を掴みやすいのがメリットです。
一方、ピンまでの間にバンカーや池などがある場合は、アプローチウェッジのほうが障害物を超えやすくなるでしょう。
ボールが止まりやすいので、短い距離のアプローチショットに使うことも多いようです。
そして、サンドウェッジは最もボールが高く上がるため、バンカーショットや深いラフからのショットに向いています。
飛距が出にくいため、短いアプローチショットで使うこともありますが、バウンス角が大きいことでトップのミスが出やすいのも特徴です。
バウンス角については、ピッチングの選び方の章で解説します。
ピッチングウェッジ(PW)の選び方
ピッチングを正しく選ぶことができれば、スコアメイクもしやすくなります。
ここでは、ピッチングウェッジの選び方と、選ぶ際に注意すべきことを解説します。
購入する際は、以下の3つのポイントに気をつけましょう。
- ロフト角は9番アイアンの角度プラス4度が基準
- ミスを減らすにはバウンス角が重要
- シャフトはアイアンと揃えるのが基本
それぞれ解説します。
ロフト角は9番アイアンの角度プラス4度が基準
ピッチングのロフト角は44〜48度が一般的とお伝えしましたが、このなかからどの角度を選ぶべきなのでしょうか。
結論からいうと、9番アイアンのプラス4度となるロフト角のピッチングが適しています。
9番が40度のロフトなら、44度のものを選びましょう。
アイアンの番手は4〜5度の間隔で差をつけているため、この流れに合わせることで、飛距離のつながりがスムーズになります。
距離の隙間をなくすためには、9番アイアンのロフト角を基準にしましょう。
使っているアイアンのロフト角が分からない方は、メーカーサイトのスペック表を見るか、ゴルフショップで計測してもらうことで確認できます。
ミスを減らすにはバウンス角が重要
ウェッジのソールにはバウンス角という出っ張りがあり、この角度の大きさによってミスを軽減できるため、ピッチング選びでは重要な要素です。
角度が12〜16度以上のものをハイバウンス、8度以下のものをローバウンスと呼び、それぞれ状況によって向き不向きがあります。
ハイバウンスは、ソールが地面に大きく出っ張るため、芝の上を滑ってダフリにくくなるのが特徴。
ヘッドが地面に刺さりづらいので、アプローチでザックリが多い初心者の方に向いています。
しかし、土の上や芝の薄い場所ではバウンスが跳ねてトップしやすくなるので、そのような状況ではローバウンスのウェッジが有利です。
バウンス角は、自分がやってしまいがちなミスを考慮して選びましょう。
シャフトはアイアンと揃えるのが基本
ピッチングを選ぶ際は、シャフトの素材と重さも重要なポイント。
スイングリズムやシャフトのしなり方を統一させるため、基本的にはアイアンと同じシャフトで揃えるのが無難です。
ただし、引っかけを防ぐためにピッチングは手元調子のシャフトにするなど、明確な意図がある場合はこの限りではありません。
弾道や球筋に合わせたシャフト選びをするのもありです。
やってはいけないのが、短いクラブの方が軽くなること。
これだとバランスの悪いクラブセッティングとなり、スコアを崩す原因となります。
例えば、アイアンは重いスチールシャフトで、ピッチングは軽いカーボンシャフトの場合は重量バランスが逆になるので、距離の調整がしづらく、スコアメイクが難しくなります。
ピッチングウェッジ(PW)の練習方法
ピッチングをうまく活用するために効果的な練習方法は、以下の3つです。
- 体の回転を使ったスイング練習
- 距離を変えてアプローチショット
- スポンジボールで自宅練習
体の回転を使ったスイング練習
アプローチショットでトップやダフリなどのミスが出る場合は、手打ちのスイングになっているかもしれません。
コントロールを重視するピッチングこそ、体の回転でスイングする必要があります。
クラブが体の回転についてくるよう意識して、スイング練習をおこないましょう。
ポイントは、グリップエンドが常におへその前にある状態を保つことです。
両脇を締め、テークバックからダウンスイングまで、体の中心からクラブが外れないよう意識してみましょう。
手首を返す動きはせず、下半身主導でスイングすることもポイントです。
距離を変えてアプローチショット
練習場で任意の距離にボールを落とす練習が効果的です。
20ヤード、30ヤードと徐々に距離を伸ばし、狙った距離に確実にボールを落とせるようになれば、実際のコースで役立つ武器となります。
また、ピッチングはランを出すアプローチショットも打ちやすいクラブです。
低く打ち出すアプローチは、逆目の芝など、ザックリしやすいライで有効なので、練習しておいて損はありません。
どれだけランが出るのか、スイングの力感と転がる距離を養う練習が効果的です。
スポンジボールで自宅練習
スポンジ素材の柔らかいボールを使えば、室内など狭い場所でもアプローチショットの練習が可能です。
5ヤード以内の場所にボールを落とすような状況は、実際のコースでも頻繁に起こります。
狭い環境だからこそ良い練習になるので、1〜2ヤード以内にボールを落とす練習はおすすめです。
スポンジボールはゴルフ専用に開発されているため、ある程度の打感を感じられます。
壁やカーテンなどに当たっても傷がつきにくいので、自宅練習におすすめです。
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ピッチングは、100ヤード前後のショットからピンに寄せるアプローチショットまでこなす、スコアメイクに欠かせないクラブです。
ピッチングを使いこなすことで、ゴルフの上達が早まるでしょう。
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