ストロンググリップは、スライスの改善や飛距離アップに繋がるグリップの1つです。
この記事では、ストリンググリップの握り方やメリット・デメリット、フックグリップやウィークグリップとの違いについて解説します。
さらに、ストロンググリップのやり方を覚える上でお手本となるプロゴルファーや、練習に取り入れる際のポイントも解説するので、ストロンググリップを試してみたい方はぜひ参考にしてくださいね。
ゴルフのストロンググリップとは
ストロンググリップとは、ゴルフクラブの握り方の1つです。
左手を上から被せ、右手は下から包み込むように握ります。
ストロンググリップは、プロ・アマチュア問わず多くのゴルファーに使用されているグリップ法です。ボディローテーション(体の回転)を大きく使うゴルフスイングと相性がよく、それを用いる海外男子プロ選手も多くみられます。
フックグリップとストロンググリップは同じ?
ストロンググリップはフック回転(左回転)がかかりやすいことから、別名、フックグリップとも呼ばれています。
フックグリップとストロンググリップは同じ握り方ですが、ゴルファーによって呼び方が分かれます。基本的には同じ意味の言葉と考えてよいでしょう。
超ストロンググリップとは
超ストロンググリップとは、グリップ時に左手の握った拳の第三関節が、人差し指から小指まで見える握り方のことです。
通常のストロンググリップでは薬指まで見えますが、握りをキツくすることで、小指まで見える状態になります。
超ストロンググリップを用いると、通常のストロンググリップよりも球を捕まえやすくなり、強い球を打てるようになります。一方で、クラブフェースが被った状態でインパクトしやすくなるので、球が上がりづらく引っかけのミスが増える可能性が高くなります。
誰でも使いこなせる握り方ではありませんが、興味のある方は試してみてもよいでしょう。
ウィークグリップとの違い
ウィークグリップとは、左手のひらで下から包み込むように握る方法です。
ストロンググリップとは対極的な握り方であり、スライス(右に曲がる球)系のボールが出やすいという特徴があります。
ウィークグリップはアドレス(構え)の時点でクラブフェースが右を向いているので、スイングの際にフェースローテーション(クラブヘッドの回転)を入れる必要があります。
コントロール性が高くスライス回転になりやすいのがウィークグリップ、強い球が出やすくフック(左に曲がる)回転になりやすいのがストロンググリップと覚えておきましょう。
ストロンググリップを用いているプロゴルファー
2024年4月現在、LIVゴルフツアーに参戦している元世界ランキング1位のダスティン・ジョンソンは、ストロンググリップの使い手といわれます。
ダスティン・ジョンソンは、ストロンググリップとシャットフェース(スイング時にフェースが閉じている動き)、さらに強烈なボディーローテーションを用いたパワフルなスイングで、規格外のパワーを発揮しています。
また、海外メジャー5勝を誇るブルックス・ケプカも、ストロンググリップの使い手として有名です。
ブルックス・ケプカは、ストロンググリップのメリットである少ないフェースローテーションを活かしたスイングが特徴で、ショットの方向を安定させつつ、持ち前のパワーで飛距離も稼いでいます。
国内では、女子ツアー6勝の菊池絵里香選手もストロンググリップが特徴の選手です。
アドレスからバックスイング、インパクトまで全ての動作でフェースを開かず、右に飛ばないスイング作りを徹底しています。
ストロンググリップのメリット・デメリット
次に、ストロンググリップのメリットとデメリットを紹介します。
ストロンググリップは、使いこなせば武器になる反面、うまく活用できないとデメリットも多くかえってスコアが伸びなくなる可能性もあるグリップ方法です。
これからストロンググリップを取り入れようと考えている方は、メリット・デメリットを理解した上でチャレンジするか否かの判断をしてくださいね。
メリット
ストロンググリップの主なメリットは以下のとおりです。
- 飛距離が伸びる
- スライスが出にくい
- 方向性が安定する
ストロンググリップの1つ目のメリットは、飛距離が伸びる点です。
ストロンググリップはスイング全体を通してフェース面が閉じる傾向にあり、インパクト時にロフト(フェース面の角度)が立つので、前に飛ぶ力が強くはたらきます。
また、フェース面が閉じた状態でインパクトするので、スライスが出にくくなります。
スライス回転は吹き上がりやすく、飛距離をロスしやすい球質といえるので、思うように飛距離が伸びなくなる原因と言えるでしょう。ストロンググリップなら、飛距離が伸びるとともに強い球が打てるようになります。
ストロンググリップでスイングすると、フェースローテーションも起こりにくくなり、ショットの方向が安定しやすくなります。
デメリット
ストロンググリップのデメリットは以下の2つです。
- 引っかけが出やすい
- プッシュアウトが出やすい
ストロンググリップは、フェース面を閉じた状態でスイングするので、引っかけて左に飛ぶミスが出やすくなります。
特にフェースローテーションを入れる方は、フェースが被った状態で入りやすいので、打ち出しでボールが左側へ飛んでしまう「引っかけ」に注意しましょう。
ストロンググリップのスイングを習得するためには、フェースローテーションを抑えたスイングを身につけなければなりません。
また、ストロンググリップでスイングすると、インサイドアウト軌道のスイングになりやすく、打ち出しが右に出るプッシュアウトのミスも増えます。
フェースの向きを適切に管理できないと、打ち出しで左側へ飛んでしまう引っかけと右側へ飛んでしまうプッシュアウトのどちらも出るようになり、ショットが安定しなくなります。
ストロンググリップが向いていない人の特徴
ストロンググリップで成果を出すためには、スイングとの相性も見極める必要があります。
ストロンググリップが向いていない方の特徴を以下にまとめました。
- 引っかけのミスが多い方
- フェースローテーションを使いたい方
- フェードボールが打ちたい方
ストロンググリップはフェース面が左を向きやすいグリップ方法なので、すでに引っかけが多い方は、これまで以上にミスが増える可能性があります。
また、フェースローテーションを多用する方にも、ストロンググリップはおすすめできません。フェースローテーションを入れると、グリップ時に決めたインパクトの形を動かしてしまい、方向性の安定感を失いかねません。
さらに、ストロンググリップを用いると、左側に打ち出したあとやや右に曲がるフェードボールを打ちにくくなります。
フェードボールを打つためには、高度なフェース面の管理と適切なスイング軌道が必要になりますフェードボールを打ちたいのであれば、ストロンググリップはしないほうがよいでしょう。
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ストロンググリップが強すぎるとミスが起こりやすい?
ストロンググリップが強すぎると、引っかけが出やすくなり、ストレートボールを打つのが困難になります。また、全体のスイングバランスも崩しかねません。
前述の通り、一般的には左手の第三関節が薬指まで見える状態が望ましいです。
使っているうちに無意識に握りすぎてしまうことがあるため、定期的にグリップをチェックし、強く握りすぎないように気をつけましょう。
ドライバーだけストロンググリップにするのはあり?
ドライバーだけストロンググリップにしても問題ありません。むしろ方向性が重要なドライバーショットと、方向性が安定するストロンググリップの相性はよいといえます。
とくに近年主流となっている直進性の高いドライバーは、フェースローテーションを押さえたストロンググリップが向いています。
アイアンでは操作性を重視するためにウィークグリップ、ドライバーでは直進性と飛距離を重視するためにストロンググリップのように、グリップ方法を使い分けるのも有効な手段です。
ストロンググリップの握り方
ここでは、ストロンググリップの正しい握り方を解説します。
右手の握り方
ストロンググリップでは、右手の人差し指をグリップ背面に引っかけるように握りましょう。
このとき、ストロンググリップだからといって下から握りすぎないように注意するのがポイント。
たとえば、右手のひらが真上を向いている状態ではやりすぎです。
右手は左手に合わせてフェース面が被さるように握りますが、「少しだけ下から包み込む」くらいの握り方が丁度よいでしょう。
左手の握り方
ストロンググリップの左手は、親指がグリップの右側へくるように握りましょう。
正しくグリップできていれば、左手の第三関節が薬指まで視界に入るはずです。
中指までしか見えなければ浅く、小指まで見えている状態では極端なストロンググリップになっているといえます。
ストロンググリップでの振り方・スイングのコツ
ここでは、ストロンググリップでのスイングのコツを紹介します。
インパクトまでは手首を返さない
ストロンググリップは、「インパクト時のクラブフェースの形をアドレスで完成させておく」ということを重視した握り方です。
そのため、ダウンスイングからインパクトにかけて、アームローテーション(手首を返して球を捕まえに行く動き)をする必要がありません。
ストロンググリップで引っかけのミスが多い方の多くは、インパクトで手首を返しているのが原因です。
ストロンググリップはグリップの時点で球を捕まえる形が完成しているため、手首を返す動きはミスの原因となり得ます。
ストロンググリップと左手掌屈の組み合わせは難易度が高い
一部のトッププロはストロンググリップと左手の掌屈を組み合わせたスイングをしているので、真似して取り入れようと考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、ストロンググリップと掌屈の組み合わせは、高い柔軟性とパワーがなければ成立しません。
アマチュアゴルファーが取り入れようとすると、ほとんどの場合、スイングバランスの崩れにつながります。
どうしてもストロンググリップと掌屈を組み合わせたスイングを実践したいのであれば、下半身から先に動かす下半身リードのスイングを意識しましょう。
下半身リードのスイングを意識することで、シャロー(鈍角)にインパクトしやすくなり、海外男子プロのように体の回転を最大限利用したスイングが身につきます。
逆を返せば、それほど体を動かさないと、ストロンググリップと左手掌屈は共存できません。
左手背屈でフェース面がスクエアになるようにする
フックグリップでアドレスすると、スイングトップ(バックスイングとダウンスイングの間)の位置でクラブフェースがシャット(閉じた状態)になる傾向にあります。
フェースを閉じすぎた状態でダウンスイングをすると、引っかけのミスが多発します。
引っかけのミスが続いているときは、スイングトップでのフェース面の向きに注目してみましょう。
トップ時にクラブフェースが左腕と同じ角度になっていれば、フェース面がスクエア(まっすぐ)と判断できます。
フックグリップでスクエアなトップを作るには、左手の背屈が有効です。
一度トップの位置でスイングを止めて、フェースがスクエアになる背屈の角度を探してみましょう。
フォロースルーではゆっくりフェースを返す
ストロンググリップでスイングする際は、ゆっくりフェースを返す意識を持ちましょう。
ストロンググリップでは手首を返さないのが基本ですが、フォロースルーでチキンウィッグと呼ばれる左ひじが曲がって抜けた状態になるのはよくありません。
そのため、フォロースルーでは手首を返す必要があります。
しかし、手首を早く返しすぎると引っかけの原因になるので、フォロースルーまで待って手首を返しましょう。
ゆっくり手首を返すフォロースルーができれば、インパクトゾーン(スイング軌道上の球を打てるエリア)の長い安定感のあるスイングにつながります。
アプローチでのストロンググリップはフック回転のイメージ
アプローチでストロンググリップをする際は、フック回転のイメージで打ちましょう。
インパクト時にハンドファーストが強くなるのはアプローチでも同じで、軽くフック回転(左に曲がる回転)のかかった低い球が打てます。
フック回転の球は転がりがよいので、転がしアプローチとの相性が抜群です。
また、ヘッドがシャロー(鈍角)に入るので、ダフリ系のミスが減ります。
ストロンググリップの主な使用シーンは?
右に打ちたくない場面では、ストロンググリップが有効です。
ストロンググリップはフェースが被って入りやすいため、右側へ流れるミスが減ります。スライス回転もかかりにくいので、安定したスイングができますよ。
また、ここ一番の飛ばしたい場面でもストロンググリップが有効です。
ストロンググリップで握ることで、フェースが立った状態でインパクトしやすく、前への推進力の高い球が打てます。
柔らかいアプローチをしたい場面や、左にOBがある場面では、ストロンググリップはおすすめできません。
自分のスタイルに合ったグリップを知るならゴルフスクールに足を運ぶのがおすすめ◎
ストロンググリップは、スライスで悩む方やショットの方向性が安定しない方におすすめのグリップ方法です。
距離が伸びやすいグリップでもあるので、飛距離不足に悩むゴルファーにもおすすめできます。
しかし、グリップを変えるだけでスイング全体が変わってしまうので、誤ったやり方で慣れてしまうと、逆にミスが増えたりスイングが崩れたりとかえってスコアが悪くなる可能性もあります。
ストロンググリップを正しく取り入れるなら、ゴルフスクールでプロのコーチからアドバイスを受け効率的に身につけましょう。
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