ゴルフのスイングに欠かせない手首の動き。手首を柔らかく使うことで、ショットにどのような効果があるのでしょうか。
この記事では、手首を柔らかく使う意味やメリットについて解説します。また、スイング時やアプローチ時に手首を柔らかく使うコツなど、実践的な内容にも触れていきます。
手首の使い方に悩んでいる方は参考にしてくださいね。

ゴルフにおける手首を柔らかく使うことの意味
スイング時は、手首を、手のひら側に折る「掌屈(しょうくつ)」や手の甲側に折る「橈屈(とうくつ)」の動きが生じます。それらを組み合わせて、手首を柔らかく使うことで「スイング軌道が安定する」「ヘッドスピードが上がる」などの効果を期待できます。
ここでは、なぜそのような効果を期待できるのか詳しく説明します。
なぜ手首を柔らかくする?
手首を柔らかくすると、手首を支点にしてスイングしやすくなります。手首を支点にスイングすると体の動きを小さく抑えたスイングができるため、クラブが理想的な円軌道を描きやすくなります。
手首を柔らかくするとヘッドスピードは上がる?
ヘッドスピードは飛距離を伸ばすには欠かせない要素ですが、腕を振る力や体の回転力だけでは十分にヘッドスピードを上げることはできません。
重要なのは、手首を柔らかく使ってシャフトをしならせることです。
手首を柔らかく使うと腕の動き以上にヘッドが大きく動くので、結果的にヘッドスピードが上がります。
女子プロが筋力や体格で勝るアマチュア男性より遠くへ飛ばせるのは、シャフトのしなりを使ってヘッドスピードを上げているのが大きな理由です。
逆に、手首を固める・手首が硬いとどうなる?
手首をガチガチに固定したスイングは、ダウンスイングの早い段階でコック(親指方向への手首の折り曲げ)が解ける「アーリーリリース」の原因になります。
アーリーリリースはインパクトでロフトが寝て入るため、すくい打ちのような弾道で飛距離が出ません。ヘッドを走らせることもできないので、飛距離が伸びずに悩んでいる人に多い傾向です。
また、フォローで左肘が引ける「チキンウイング」も手首の固定が原因の1つ。チキンウイングでは詰まったスイングになり、クラブをスムーズに振り抜くことができません。
さらに、手首に力をいれるとインパクトからフォロースルーまでフェースが返りづらく、腕全体でクラブを振る動きになります。そうすると、スイングの勢いで体がブレたりスライスなどの右へのミスがでたりします。また、手元が体から離れやすくなり、アドレス時の位置にクラブが戻らず、ダフリやトップなどミスの原因にもなります。
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初心者のアプローチでは、手首を固定するのが基本
手首を柔らかく使うことでさまざまなメリットがありますが、初心者に限っては、特定の状況ではあえて固定したほうがよい場合もあります。
その1つが、「小さい振り幅のアプローチ」です。
ゴルフ初心者は、手首を固定してボディターンを行うことで基礎の動きを身に付けていくことが大切です。ボディーターンが身に付いていない状態で、手首を柔らかく使うと最下点がズレやすくなるため、ダフリやトップのミスの原因になります。
一方、中・上級者は基本のスイングができているので、手首を柔らかく使うことで球を上げやすくなったり、スピンを入れたりなどがしやすくなります。
【スイング】ゴルフにおいて手首を柔らかく使うためのポイント
スイングでどのようなことを意識すれば手首を柔らかく使えるのでしょうか。ポイントは以下の3つです。
- グリップをゆるく握る
- 振り子運動でスイング軌道を安定させる
- シャフトのしなりでタメを作る
順に解説します。
グリップをゆるく握る
手首を柔らかく使うには、グリップを強く握りすぎないよう意識しましょう。
グリップ圧が強いと、手首だけでなく肘や上腕にまで力が入りやすくなります。こうなると腕全体を動かしたスイングになり、しなやかな手首の動きはできません。
アドレス時のグリップは、生卵が割れないくらいの力で握るのがポイント。ゆるゆるに感じる程度で握ります。
この状態でクラブがすっぽ抜ける場合は、グリップを手のひらで握っているのかもしれません。
正しくは、指の腹と付け根部分でグリップを挟むように握ります。うまく握ればしっかりとグリップを固定できるので、ゆるく握ってもスイング中にグリップが回ったり抜けたりすることはなくなるはずです。
振り子運動でスイング軌道を安定させる
ゴルフのスイングは、肩から腕までとクラブ全体の振り子運動によってスイングをおこなうのが基本です。
肩から腕までの振り子運動は首の付け根を支点として動かしますが、クラブの振り子運動は手首が支点となります。
振り子運動は、力を加えると規則的な動きをするのが特徴。この特性を活用するとクラブヘッドが毎回同じ場所に戻ってくるため、再現性のあるスイングが可能です。
手首を柔らかく使うことで正確な振り子運動が生まれるので、理想的な軌道でスイングできます。
ただし、ダウンスイングで手首を無理やり返そうとする動きは、アーリーリリースの原因となり、ヘッドが正しい形で下りてきません。
切り返しで腕を振り下ろし、インパクト付近で腕を減速させて自然と手首が返るよう意識しましょう。
シャフトのしなりでタメを作る
バックスイングからトップの動きで「タメを作る」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは、切り返しでヘッドより先に腕が動くことでシャフトをしならせ、その遠心力によってヘッドスピードを上げるためです。
しかし、トップでのタメは意識的に作ろうとするとスイングリズムが崩れることがあります。タメは自然と作られるのが理想であり、そのために有効なのが手首を柔らかくすることです。
クラブヘッドは重く作られているため、手首を柔らかく使えばトップの位置で自動的にタメが作られます。
【アプローチ】ゴルフにおいて手首を柔らかく使うためのポイント
繊細なタッチが求められるアプローチショットでは、手首はどのような意識で使うのがよいのでしょうか。
アプローチにおけるポイントは以下の3つです。
- 短い距離も振り子運動でスイングする
- 振り幅で距離を打ち分ける
- バンスを使う
それぞれ解説します。
短い距離も振り子運動でスイングする
30〜50ヤードといった短い距離でコントロールショットをする際も、手首を柔らかく使った振り子運動でスイングするのが基本です。
短い距離は手首を固定したほうが安定すると思いがちですが、手首を使わないスイングは腕の動きが大きくなるため、トップやダフリなどのミスが出やすくなります。
アプローチでは小さい振り子運動をおこない、ヘッドがアドレス時の位置に戻るようにスイングしましょう。
振り幅で距離を打ち分ける
アプローチでは数ヤードから10ヤード単位で距離を打ち分ける必要があります。
グリーンを目の前にしたアプローチショットの際、距離感を掴めずにショート・オーバーするのは、手首を柔らかく使えていないことが原因の1つです。
先述した通り、アプローチでも小さな振り子運動を意識し、振り幅で距離を調整するとミスを減らすことができます。
バウンスを使う
ウェッジにはソール部の出っぱり(バウンス)があり、バウンスが芝の上を滑ることでショット時のダフリやチャックリなどのミスを防いでくれます。
このバウンスをうまく使うことが、アプローチショットを成功させるコツです。
手首を柔らかく使うとバウンスから地面に当てられるため、ヘッドが地面に刺さらずに振り抜けます。
また、ガードバンカーからのショットでもヘッドが砂に潜るのを防いでくれるため、バウンスを使ったスイングが有効です。
テイクバックでは小さくコックを入れ、インパクトに向けてリリースする動きを意識してみましょう。
手首の使い方は、ゴルフスクールで練習しながらマスターしよう◎
【クラブ別】ゴルフにおいて手首を柔らかく使うためのポイント
この章では、手首を柔らかく使うポイントを以下の3種類のクラブごとに解説します。
- ドライバー
- パター
- アイアン
順に解説します。
ドライバー
ドライバーはヘッドスピードを上げるため、手首を柔らかく使ってヘッドを走らせる意識を持ちましょう。
ヘッドを走らせるには、インパクトの直前で腕を止める動きが必要です。ダウンスイングで加速した腕を止めることで、ヘッドが手元を追い越して、自然と手首が返るようになります。
腕を止める感覚を掴めない場合は、インパクトで右手を離してみましょう。ダウンスイングの惰性でヘッドが走る感覚が分かるはずです。
パター
パターショットでは「手首は固めて打つ」「手首を使うな」と教わる方も多いのではないでしょうか。
しかし、正確なストロークが必要なパターショットこそ、手首を使った振り子運動が効果的なこともあります。手首を柔らかく使うとボールを芯で捉えやすくなり、インパクトの緩みでショートすることが少なくなります。
コツは、グリップを強く握らないことです。ストローク時のクラブの動きを邪魔しないため、正確な振り子運動でストロークできます。
ただし、手首を柔らかく使ったパターショットはボールを横からパチンと打つイメージに近いので、人によっては距離感を掴みづらいかもしれません。
手首を使う・使わないは、打ちやすさで比較するとよいでしょう。
アイアン
アイアンはグリーンを狙うクラブなので、ロフト角通りの距離を打つ必要があります。そのためには、ボールに対してヘッドがダウンブローに入らなくてはなりません。
バックスイングからダウンスイングにかけて手首を柔らかく使うことで、ボールを上から叩くダウンブローのスイングができます。
ただし、手首を使うのは、バックスイングで手が腰の位置まで上がってから。それまではアドレス時に体とクラブの間にできる三角形を保つようにしましょう。
ダウンスイングでは手首の角度をキープし、インパクト直前でリリースするのがポイントです。こうすることでハンドファーストの形を作れるため、手前をダフるミスも防げます。
ゴルフにおける手首を柔らかくする方法
手首をしなやかに使いたいけど、手首が硬くて使えないという方もいるでしょう。
そういう方は、手首を柔らかくするドリルやストレッチがおすすめです。
以下の3つの方法を試してみましょう。
- 連続素振り
- 左手人差し指を支点としたグリップ
- 手首の関節を柔らかくするストレッチ
連続素振り
7番アイアンなどのクラブを使い、腰から腰までのハーフスイングを連続でおこなうドリルです。
手首を使わないと連続で素振りするのはかなりキツく感じるため、自然と手首を柔らかく使う感覚が身につきます。
また、素振りの大きさを徐々に大きくすることで、より手首の柔軟性を養えるはずです。
左手人差し指を支点としたグリップ
手首を使えない人は、グリップの握り方に問題がある場合もあります。
左手のグリップを手のひらでぎゅっと握っていると、手首が固定されやすく、柔らかな動きができません。
左手は人差し指を支点とし、小指の付け根で支えるように握りましょう。スイング中に手の中でグリップが動くのを感じるはずです。
手首と腕の力を脱力できるので、振り子運動のスイングがしやすくなります。
手首の関節を柔らかくするストレッチ
もともと手首が硬い方は、関節を柔らかくするストレッチが効果的です。
手の甲を前に出して腕を伸ばし、指先が地面を向くように反対の手で押してキープします。このときに、手首が90度になるよう意識しましょう。
次は反対に、手のひらを前に出して指先が地面を向くようにキープします。
このストレッチを左右の手でおこなうと、手首の硬さを解消できます。
手首を柔らかくする感覚は、ゴルフスクールで身に付けよう◎
スイング時の手首の動きは複雑です。
手首を使うタイミングや向きなどが適切でないと、かえってスイングを崩す原因となり、手首を痛めることもあるかもしれません。
手首の正しい動きを習得するには、ゴルフスクールでプロに教わるのがおすすめです。正しい知識を持ったプロの指導なら、独学よりも効率的に、そして無理なくステップアップできます。
練習環境は、インドアゴルフがおすすめです。天気や気温に左右されないので、暑い夏や寒い冬でも安定して練習することができます。
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