ゴルフのフリップとは、インパクト時に手首が過剰に動く現象を指します。ショットの安定性を損なう原因となるため、上達を目指すには改善が必要です。
本記事では、フリップの原因や直し方、具体的な練習方法、さらには状況別の対策まで詳しく解説します。

ゴルフのフリップとは
ゴルフにおける「フリップ」とは、インパクトの瞬間に手首が過剰に折れ曲がる動きを指します。
特に、左手首が手の甲側に折れやすく、スイング時のクラブフェースの開閉が大きくなるのが特徴です。
フリップはスイング全体の安定性を損なう原因となり、方向性のブレや飛距離不足を引き起こすことがあります。
特に初心者や中級者にとってはフリップが上達を妨げる要因となりやすいため、早期にそのメカニズムを理解し、適切なスイングに矯正することが大切です。
フリップが与える影響
フリップはゴルフスイングにさまざまな悪影響を与えます。
特にショットの方向性に大きく影響し、意図しない方向へボールが飛び出すことが多いです。
これは、スイング中にクラブフェースが激しく開閉することで、フェース管理が難しくなるためです。適切なフェースの向きでインパクトできず、スライスやフックといったミスが出やすくなります。
また、右手が下からすくい上げるような形になるため、飛距離が出にくいことも特徴です。
さらに、手首への過剰な負担はケガのリスクも高めます。
ショットの方向性と飛距離を安定させるには、フリップを抑えたスイングを身に付けることが必要です。
フリップが悪くない(良い)場合もある?
フリップは必ずしも悪い動作というわけではありません。特定の状況では、フリップが有効に働くこともあります。
たとえば、グリーン周りでボールをふんわりと高く上げたい場合や、バンカーショットで柔らかいショットを狙いたい場合には、フリップによる手首の柔軟な動きが有効です。
このような場面では、クラブフェースの角度を調整してスピンをかけ、ボールを狙った位置に運びやすくなります。
ただし、これらは高度な技術を要するため、基本的なスイングが安定した段階で練習することが大切です。
フリップを活用すべき場面と、避けるべき場面をしっかり見極めることが、ゴルフの上達には欠かせません。
ゴルフのフリップが起こる原因
ゴルフスイングでフリップが発生する原因は多岐にわたりますが、手首や体の使い方を間違っていたり、重心のバランスが崩れたりすることが主な原因です。
フリップが起こるのは、これらの複数の要因が関係しており、1つの動作が崩れるだけでフリップが起きやすくなります。
具体的な原因は以下の5つです。
- 手首の使いすぎ
- 体重移動が不十分
- フェースの開閉が不安定
- インパクト位置のずれ
- 上半身と下半身が連動していない
順に解説します。
手首の使いすぎ
フリップの原因として最も多いのが、手首を過剰に使いすぎることです。
ゴルフでは「ボールを上げたい」「飛ばしたい」という気持ちが強くなると、インパクト直前に手首をこねるような動作をしがち。特に、初心者や中級者の人に多い動きです。
この動きがクラブフェースの角度を不安定にし、スイングの一貫性を大きく損ないます。
ボールの下からクラブを入れるようなスイングになるため、ダフリやトップのミスが起きやすく、飛距離も伸びません。
正しいインパクトを得るためには、手首の過剰な動きを抑え、腕と体全体のスムーズな連動を意識することが重要です。
体重移動が不十分
スイング中の体重移動が不十分なことも、フリップの大きな原因です。
ゴルフスイングでは、バックスイングからフォロースルーにかけて体重が適切に移動することで、体全体を使ったスイングによる安定したインパクトが得られます。
しかし、体重移動が不十分だと手打ちの状態になりやすく、手首を使ってクラブを振ろうとしがちです。
特に、スイングの途中で体が後ろに残ったままになると、インパクト時にクラブヘッドが遅れてしまい、結果として手首が余計に動いてフリップしてしまいます。
このような状態は、インパクト前に手首がほどけやすく、ダフリやトップなどの原因に。ボールに十分な力が伝わらないため、飛距離も出しづらくなります。
体重移動を改善するためには、左足に重心をしっかり移しながらインパクトを迎える意識が必要です。
フェースの開閉が不安定
クラブフェースの開閉が安定しない場合も、フリップが起こる要因の1つです。
スイング中にフェースが過剰に開いたり閉じたりすると、インパクトでフェースをスクエアにするのが難しくなります。特に、ダウンスイングでフェースが開いて下りてくる場合、インパクト直前で急激にフェースを返す動きが強くなってフリップする人が多い傾向です。
フェースの開閉が安定しないのは、グリップを握る強さや腕の力に頼ったスイングなどが主な原因。例えば、グリップが弱い場合はスイング中にフェースが開きやすく、逆に強すぎるとフェースが閉じてしまうことがあります。
さらに、腕だけでスイングしようとすると体との連動が崩れ、フェースコントロールが難しくなります。
安定したフェースの動きを得るためには、正しいグリップを身に付けるだけでなく、体全体を使ってスイングする感覚を意識するようにしましょう。
インパクト位置のずれ
スイング中に重心のバランスが崩れることによるインパクト位置のずれも、フリップの原因の1つです。
インパクトの位置が前後にずれると、クラブが地面に当たってダフるか、逆にボールの上部を叩くトップのミスが生じます。これは、スイングの軸がブレていることや、スイングスピードが一定でないことが主な原因です。
スイング中に体が前後に動いたり、過剰な力が入ったりすると、クラブのスイング軌道がブレて、ボールにうまく当たらなくなります。この状態から無意識にボールに当てようとすることで、手首を使ったフリップが起こりやすくなるのです。
この問題を解決するには、スイング中の体の軸を安定させ、クラブヘッドが常に一定の軌道を描くように練習する必要があります。体の重心を固定し、正確なスイング軌道を描くことで、フリップのリスクを抑えられるでしょう。
上半身と下半身が連動していない
スイング時に上半身と下半身の動きがバラバラだと、フリップが起こりやすくなります。
特に、上半身が早く開きすぎたり、下半身の動きが遅れたりすると、インパクト時に手首が過剰に動いてスイングが安定しません。
具体例としては、スイングの始動で腰の動きが遅れるケースです。クラブが後追いする形になり、インパクト時に手首が先行しやすくなります。
スイングリズムも崩れやすくなり、インパクトで無理やり手首を返そうとすることがフリップする原因です。上半身と下半身の連動を高めるには、スイング中に腰と肩の動きを同時に意識し、腕や手の力だけでスイングしないよう注意しましょう。
ゴルフのフリップの直し方・防止策
フリップを防ぎ、安定したスイングを身に付けるためには、基本的なスイング動作を見直すことが大切です。
間違った動きが癖になる前に正しいフォームやリズムを習得しましょう。
ここでは、特に重要な改善ポイントを解説します。
正しいグリップとセットアップを身に付ける
フリップを防ぐためには、正しいグリップとセットアップを確実に身に付けることが基本です。
グリップが適切でないと、スイング中にクラブフェースが不安定になり、インパクト時にフリップが発生しやすくなります。具体的には、グリップの握りが強すぎるとフェースが閉じやすく、逆に弱すぎるとフェースが開きやすくなります。
理想的なグリップは、クラブを握ったときに手首が自然に動ける程度の力加減が必要です。
また、セットアップの際には、正しい姿勢を意識することも重要です。アドレス時に腰が引けていたり、前傾角度をキープできなかったりすると、スイング中に体のバランスが崩れてしまいます。
リリースのタイミングを調整する
フリップを防ぐためには、インパクト時のクラブのリリースタイミングを正確に把握し、適切なポイントでボールに力を伝えることが大切です。
リリースのタイミングが早すぎると、インパクトの前に手首が解け、結果としてフリップが発生します。一方で、タイミングが遅すぎるとボールを押し込む形になり、飛距離が伸びず方向性も乱れます。
理想的なリリースのタイミングは、体がターンする動きとクラブヘッドの動きが連動する瞬間です。
これを実現するには、手首だけでクラブを振るのではなく、腕と体全体を使ってスイングする必要があります。手の力でクラブを振るのではなく、体の回転でクラブを振る感覚を身に付けましょう。
フェースの開閉を小さくする
フリップは、バックスイングでフェースが開き、ダウンスイングからインパクトにかけてフェースを閉じる動きが入ることで起こりやすくなります。
そのため、スイング時のフェースの開閉をできるだけ少なくすることが、フリップを防ぐコツです。
具体的には、ダウンスイング時にフェースを閉じることを意識してスイングします。フェースを閉じた状態でクラブが下りてくるため、インパクトで無理やりフェースを返す必要がなく、手首を使いすぎることもありません。
フェースを閉じる方法としては、左手首が手のひら側に折れる「掌屈」の形を意識するとわかりやすいでしょう。インパクトで左手の掌屈ができていると、手首の使いすぎによるフリップを防ぐことができます。
ただし、体の回転が不十分だと、フックや引っかけのミスが出やすくなるので、ボディターンを意識したスイングが必要です。
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ゴルフのフリップの矯正ドリル3選
フリップを改善するためには、意識的な練習と反復が欠かせません。
ここでは、自宅や練習場で手軽に取り組める3つのドリルを紹介し、それぞれの具体的な方法とコツを解説します。
インパクトバッグを使った練習
インパクトバッグを使うことで、手首が折れるのを防ぎ、正確なインパクト位置を体に覚え込ませることができます。
この練習では、手首の固定を意識しながらクラブを振る動作を繰り返し、自然に正しいフォームを身に付けることが目標です。
- インパクトバッグを地面に置き、通常のアドレスをとります。
- バッグに向かってクラブを振り、インパクトの瞬間にクラブヘッドを止めます。
- 手首が折れないように、腕とクラブが一直線になることを確認しながら繰り返します。
インパクト時に手首が余計な動きをしていないかを常に意識しましょう。
また、体重は左足にしっかりと乗せ、インパクト時の安定感を高めることが重要です。フェースの向きがターゲットを正確に向いているかどうかも確認すると、方向性の改善につながります。
動作がスムーズになったら、スピードを徐々に上げて実践感覚に近づけましょう。
スティックドリルを用いた練習
スティックドリルは、クラブと体が一体となって動く感覚を養うのに効果的です。
この練習を繰り返すことで手首の余計な動きを抑え、安定したスイング軌道が身に付きます。
- スティックを地面にセットし、クラブの延長線上に平行に配置します。
- 通常のアドレスをとり、スティックがクラブシャフトと平行であることを確認します。
- スイングを行い、インパクト時にスティックとクラブが同じ方向を向くように意識します。
スティックが、クラブと常に平行を保つように意識することが重要です。スイング中にずれが生じる場合は、手首や腕が先行して動いている可能性があります。最初はスローモーションで動きを確認し、徐々にスピードを上げることで、正しいリズムのスイングが身につくでしょう。
体重がしっかりと左足に移動することも、フリップを防ぐための重要なポイントです。
シャドースイングを取り入れた練習
シャドースイングは、実際のクラブを使わずに自分の動きを確認しながら行うため、フォームの矯正におすすめの方法です。
鏡や動画を使い、手首の動きや体全体の連動をチェックすることで、フリップの原因を把握できます。
- クラブを持たず、通常のアドレスをとります。
- ゆっくりとスイング動作を行い、インパクトポジションで止めます。
- 鏡や動画で手首が折れていないか、体が正しく動いているかを確認します。
スイング中の手首の動きに加え、体幹の安定性にも注意してください。特に、体の軸がブレていないか、インパクト時に重心が適切に移動しているかを確認することが大切です。
最初はスローモーションでフォームを固め、慣れてきたら実際にクラブを持って動作を行うと、より実戦に近い感覚を得られます。
また、左右の肩や腰の動きがバランスよく連動するよう意識することで、フリップだけでなくスイング全体の安定性も向上させることができるでしょう。
特定の条件下でフリップが起こる原因と対策
フリップが起こる原因は、クラブの種類やシチュエーションごとに異なります。
特定の状況下でフリップが発生すると、ミスショットの傾向も変わるため、適切な原因分析と対策が必要です。
ここでは、アプローチ、ドライバー、アイアンのそれぞれの場面でのフリップの影響とその防止策を解説します。
アプローチでのフリップ
アプローチショットは距離が短く繊細なコントロールが求められるため、手首の動きが過剰になるとフリップが発生しやすくなります。
ボールを高く上げようと無理に手首を使うと、ボール手前にクラブが落ちてダフる原因になります。またフェースが開くことで、シャンクやトップなどのミスも出やすくなるでしょう。
特に、体重が右足に残ったまま打ってしまう人は要注意です。すくい打ちでボールが前に進まず、グリーン手前にショートすることが多くみられます。
このような問題を防ぐには、体重を左足にしっかりと乗せた状態でスイングすることが重要です。肩から腕まで一体化したスイングを意識し、手首の動きに頼らないようにすることで、フェースの角度が安定しやすくなります。
また、クラブヘッドがインパクトの際に滑らかに低い位置を通るよう心がけると、安定したアプローチが可能です。
ドライバー使用時でのフリップ
ドライバーショットでは飛距離を伸ばすことが求められますが、フリップが発生すると方向性が乱れ、十分な飛距離も得られなくなります。
スライスやプッシュアウトのミスが出やすい人は、インパクト時に手首が折れ、クラブフェースが開いた状態でボールに当たっていることが原因です。
これは、体重が右足に残りすぎたり、上半身と下半身が連動していなかったりする場合によく起こります。
また、飛距離を出そうと無理に力を入れすぎることも、フリップの原因です。
正しい体重移動を意識することで、フリップを防ぎながら安定したショットが可能になります。インパクト時には、体重がしっかりと左足に移動しているかを確認しましょう。上半身の力みに頼らず、腰から自然に回転する動きができれば、手首を使いすぎなくてもスムーズにスイングできるはずです。
さらに、クラブフェースの動きを手でコントロールしようとせず、体の回転と一体となったスイングを心がけるとミスが減って飛距離も安定します。
アイアン使用時でのフリップ
アイアンショットでは正確なインパクトが重要ですが、フリップが発生するとトップやダフリといったミスが多くなります。
これは、ボールの位置が適切でないことや、スイング軸がブレていることが原因です。
また、下半身が安定していないとインパクト時にクラブヘッドがボールに届かず、ミスショットの原因になります。特に初心者の場合、飛距離を意識するあまり手打ちになり、フリップが発生しやすいので注意が必要です。
アイアンでフリップを防ぐためには、ボールの位置とスイング軸を正しく意識することが重要です。体重は常に左足にしっかりと乗せ、クラブヘッドがボールの下に自然に入る感覚をつかむようにしてください。
また、練習時には前述したインパクトバッグを使い、正確なインパクト位置を身体に覚え込ませましょう。
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アマチュアゴルファーの大半がフリップのスイングになっているといわれており、自己流の練習だけで改善するのは簡単ではありません。そもそも、今のスイングがフリップしているのかを判断できない方も多いでしょう。
そのような場合は、専門家の指導を受けることで、スイングを効率的に矯正できます。
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