どんなスポーツにもスランプという時期があります。ゴルフも続けているうちに、「スイングを見失った」「飛ばなくなった」「トップやダフリばかり出る」などのスランプに陥ることがよくあります。
スランプは誰にでもあるもので、原因と脱出する方法を知っておくことが大切です。
この記事ではゴルフで陥りやすいスランプについて、種類別に原因や脱出方法を解説していきます。
約7割の人がゴルフのスランプ経験あり!
以下は、インドアゴルフスクール「ステップゴルフ」が会員向けに実施したアンケートの結果です。
回答者のうち、「ある」と答えた人は全体の66.7%となっており、半数以上の人がスランプを経験したことがあるようです。ゴルフをしていれば高い確率でスランプに陥るかもしれないと言えそうですね。
ゴルフのスランプにはどのようなものがある?
スランプとは、今までできていたことができなくなる状態のことをいいます。
このグラフでは、先ほど紹介したアンケートにて、「スランプの症状」についての質問への回答です。
最も多いのが「当たらなくなった」で、全体の約53%、次いで「スイングを見失った」が全体の約47%、「狙ったところへ打てなくなった」が全体の約27%となっています。
どれも、思い通りにゴルフができなくなったという症状ばかりです。
ここで、スランプの代表的な症状についてもう少し詳しく解説します。
飛ばなくなった
ドライバーで「今までは240ヤードくらい飛んでいたのに、急に20ヤードから30ヤード飛距離が落ちてしまった」などの悩みからスランプに陥ることがあります。気持ちの中では240ヤードのイメージが残っているため、そのギャップを強く意識してしまうのです。
加齢により飛距離が低下しているなど原因がはっきりしていれば、自分で納得ができるのであきらめもつきます。
しかし、そうではない場合には、体の回転を大きくしたり力を入れてみたり、体重移動を大きくしてみたり、いろいろと悩んだ末にさらに飛距離が落ちてスランプになる可能性があります。
当たらなくなった
ドライバーやフェアウェイウッドのフェースの芯にボールが当たらなくなって、飛距離がばらついたりボールの方向性が安定しなかったり、などの症状もスランプのひとつです。
例えば、今まではまっすぐに飛んでいたのに、右打ちの場合プッシュアウト(ボールが右方向へ飛んでしまう)したり、プッシュアウトが怖いという気持ちからチーピン(左方向へ極端に落ちてしまう)のボールがでてしまったり、ボールの方向性がバラバラになってしまう、という症状があります。
また、きちんと当たらないために飛距離が足りずに池に入れてしまう、などのミスが多発する症状もあります。このような状況が重なることでスランプになってしまいます。
ゴルフ経験が豊富な人はシャンクという症状でスランプになる場合も多くあります。
シャンクはアプローチで出やすい症状で、ボールがクラブフェースのネックに当たり、右45度の方向に飛び出してしまうことです。このシャンクが出ると、怖くてボールが打てなくなってしまいます。シャンクは突然、しかも連続して出るようになります。これがたびたび出るようになるとグリーン周りで3打、4打という結果になってしまいます。
また、トップしたり、ダフってしまったりしてスランプになることもあります。特にアプローチでこれらが出始めると、大たたきの原因になってしまい精神的に落ち込みます。こうなるとアプローチそのものが怖くなってしまいます。
スイングがわからなくなった
ゴルフで上達したいと思うと、いろいろと映像を見たり、本や雑誌の解説を読んだりして試してみる方も多いのではないでしょうか。
しかし、試しているうちに何が正しいのかわからなくなってしまうケースも多いのです。
例えば、2つの解説で、それぞれがまったく正反対の理論を説明していることがあります。この場合、どちらが正しいか迷ったまま練習するのは危険です。自分には何が適したスイングなのかを決めないと、スイングがわからないというスランプになることもあるのです。
また、パターでもスイングがわからなくなる場合があります。イップスといわれるものです。
これは心理的な理由から起きる症状で、パターでどのようにテークバックしたらよいかわからなくなり、テークバックそのものができなくなってしまいます。
ティーショットなどでもイップスになる場合はありますが、パターが一番多いようです。残念ながら、いまのところイップスの適切な改善方法は見つかっていません。
ゴルフで突然のスランプに陥る原因は?
ゴルフでは、さまざまな理由からスランプに陥ります。
スランプに陥る理由は人によってさまざまですが、スランプには心理的なものからくるスランプと、物理的・身体的なものからくるスランプがあります。
そもそもスランプに陥るのは突然であるケースが多いですが、原因を把握しているという人もいるのでしょうか。以下のアンケートでは、スランプの原因を把握していたか、また把握していた場合、それはどのようなものかについての質問への回答をグラフにしたものです。
およそ半数である約47%の人が、スランプに陥った原因を把握していないようです。
原因を把握しているという人の中では、「スイングを改造したから」という人が最も多く、全体の33.7%、次いで「疲れていたから」「新しいクラブを使い始めたから」などの原因が挙がっています。
そのほか、心や体が万全でないときのプレーや、新しい環境やスタイルでのプレーによるものが多く、スランプに陥る原因はさまざまであるということがわかります。
ここでは、スランプに陥る原因についてさらに具体的に説明していきます。
疲れ
スランプになる大きな要因のひとつに体の疲れがあります。
体が疲れてくると、ゴルフで重要な捻転が不十分になります。
捻転が不十分になると飛距離が落ち、スイングがアウトサイドインの軌道になって、スライス系のボールが出やすくなります。本当に疲れたときは自分でも疲れを認識できますが、無意識の状態で疲れているときは、「なぜ飛距離が落ちたのか」「なぜスライスばかり出るようになったのか」がわかりません。
これを修正しようとして力を入れたり、フェースをかぶせてスライスを無くそうとしたりすると、スイングそのものが崩れて、安定したボールが打てなくなってしまいます。
また、疲れると体重移動がスムーズにできなくなり、フィニッシュで右足に体重が残るケースもあります。
この状態になると、アッパースイングになりダフったり、トップが起きたりします。すると、きちんとボールに当てようという気持ちになることから手打ちのスイングになってしまいます。
ラウンド途中で急にスランプになったときは、体が疲れてきているかもしれない、という認識をもつことも必要です。
スイング改造に失敗
初心者でもベテランでも、上達したいという気持ちでスイング改造を行うことは当然のことです。
初心者の場合、スイングが固まっていないので比較的容易にスイングの改造ができます。しかし、ある程度の経験者になると、スイングの癖の修正は難しくなってきます。
例えば、フェード系のボールを打っている人が、ドロー系のボールを打ちたいと考えてスイングの改造をしようとすると時間がかかります。フェード系のボールを打つ感覚を体が覚えてしまっているので、リセットして新しい感覚を作り上げなければなりません。
しかし、一度、体で覚えた感覚は簡単にリセットできないのです。
新しい感覚を体に覚えさせようとしている間はどうしても安定したボールを打つことはできませんし、スコアも悪くなってしまいます。
その結果、改造をやめるか続けるかの迷いが発生し、中途半端なスイングになってしまいます。これがスランプに陥る原因となります。
クラブが合わない
新しくクラブを変えたときもスランプに陥りやすいです。
クラブはどんどん進化していて、より簡単に、より飛距離が出るように開発されています。しかし、自分に合わなければ、必ずしも期待した効果がでるわけではありません。
例えば、新しいクラブではSRのシャフトが適切なのに、今までSを使っていたからSシャフトで購入してしまう、というケースなどです。合わないクラブで練習した結果、想定していた飛距離が出ず、理想と現実のギャップからスランプに陥ってしまうのです。
また、試打をして感覚もよかったので新しいクラブを購入したのに、プレーをするうちにだんだん合わなくなってしまう、ということがよくあります。「そんなはずはない!」と、そのまま合わないクラブで練習を積んでいると、どんどんスイングが崩れてしまってスランプになります。
巷で話題になっているドライバーやプロが使っているクラブを使ってみたいと思うこともあるでしょう。しかし、本当に自分に合っているかどうか見極めなければ、スランプの原因になりかねないのです。
考えすぎる
ゴルフにかかわらず、高い目標を設定するのはよいことですが、逆にそれがスランプを引き起こす場合があります。
特に小さな動きが要求されるパターなどは、心理的な要因からスランプに陥りやすくなります。
例えば、残り2メートルのバーディーチャンスが来たとします。
入れたいという気持ちから強く打ちすぎて大きくオーバー、がっかりして返しのパットも入らずに3パットのボギーという結果になったとしましょう。
ここで「最初のパットが強すぎたから次は弱めに打とう。でも弱いと曲がるからラインをきちんと読まないと……」などいろいろと考えてしまうと迷いが起きます。
これを繰り返しているうちにスランプになってしまうのです。
スランプに陥ったらプロのコーチに見てもらいましょう。ステップゴルフなら経験豊富なコーチがいるので、初心者の方でも安心です。
ゴルフの上級者でもスランプになる?
プロのゴルファーでもスランプになって成績が急に悪くなる場合があります。
昨シーズンは常にツアーで上位にいて優勝争いをしていたのに、今年は予選通過もなかなかできなくなってしまうプロも多く見かけます。
つまり、スランプは初心者、上級者に関わらず発生するのです。しかし、初心者と上級者では発生のプロセスが違ってきます。
初心者の場合はスイングが固まっていないのでスイングごとに違う打ち方をしてしまっていても、それに気がつかずに悩んでしまうことが多いのですが、上級者はより高度な技術を身につけようとしているうちに、本来の打ち方がわからなくなってしまうケースが多いのです。
例えば、日本のツアープロがアメリカツアーに参戦すると飛距離の違いを痛感するそうです。
なんとか対等の飛距離を出そうとして、筋力をつけたりスイングを改造したりしているうちに自分の本来のスイングを見失ってしまい、スランプに陥る選手も多いのです。
ゴルフのスランプから脱出する方法は?
ゴルフでスランプになると、ゴルフ自体嫌になってしまうこともあります。自分が思ったように打てないし、スコアもどんどん悪くなる、などの状況になってしまうと面白くありません。
世間のゴルファーはどのようにスランプから脱出しているのでしょうか。「スランプから脱出した方法」についてもアンケートをとってみたので結果を見てみましょう。
もっとも多かったのが「第三者からアドバイスをもらった」であり、全体の44%となっています。やはり、結果を見る限り第三者に頼るのが最も効果的な方法だと考えられます。
早くスランプから脱出して、少なくともスランプに陥る前の状態まで戻したいですよね。ここでは、どのようにしたらスランプを脱出できるのか、より効果的な方法を紹介します。
基本に戻る
技術的な理由から陥るスランプは、基本に戻るのが鉄則です。
技術的なスランプの多くはスイングの崩れから発生します。崩れたスイングの状態でいくら練習を積んでも、悪いスイングを体に覚えこませるだけです。その結果、どんどんスランプがひどくなってしまうことさえあります。少しでも調子が悪いな、と思ったら、基本に戻って練習することです。
ボールがまっすぐ飛ばない、ダフる、トップする、といったケースの場合は、ビジネスゾーンといわれる腰から腰までのスイングの軌道が崩れているケースがほとんどです。
このような方は、フルショットではなく腰から腰までのショットでフェースにきちんと当てる、打球の方向をまっすぐにする、といった練習を繰り返しましょう。
ドライバーがスランプならドライバーで、アイアンなら7番か8番でビジネスゾーンの練習してみてください。
道具を変えてみる
技術的なスランプが長く続く場合は、道具があっていない可能性があります。
たとえば、筋力トレーニングして筋力がアップしているのに、ドライバーで柔らかいシャフトを使っているとボールが右や左に曲がりやすくなります。このような場合、固めのシャフトに変えるとまっすぐに飛ぶようになる可能性があります。
逆に年齢が高くなると筋力が落ち、体の柔軟性もなくなってきます。
そうなるとそれまで使っていたクラブでは合わないケースもあります。なかなかスランプから脱出できないときは道具を変えてみるということも検討しましょう。
練習場でコースを想像して練習する
心理的な要因からスランプになった場合は少し厄介です。
スイングが悪いのではなく、無意識の緊張や怖さから体が思うように動かなくなってしまうのです。
このような場合は、練習場でコースを想像して練習してみましょう。
たとえば、打ちっぱなしの練習場で右のエリアはOB、手前は池、というように少しきびしめな設定します。そこに行かないように打つ練習をするのです。
また、1球ごとに設定を変えるのも効果的です。実際のコースでは、OBの打ち直し以外は同じ場所から打つことはないので、より実戦的な練習ができます。
思い切って休む
技術的スランプ、心理的スランプともにいえることですが、スランプのときはすべてがうまく行きません。
ゴルフから離れ、思い切って休んでみることも大切です。
うまくいかない状態のまま自分を追い込んでしまって、スランプがさらに悪化することもあるでしょう。
あえて距離を置くことで、スランプから抜け出せたというのはよくあることです。
どんどん下手になる……そんなときには他人にみてもらおう
スイングの崩れによるスランプからなかなか回復できず、どんどんスイングがわからなくなってスコアは悪くなるばかり、という場合があります。
自分では修正しているつもりのスイングが修正できていない、修正すべきポイントがわかっていない、間違った修正をしている、などが原因です。
このような場合、第三者にみてもらうことを考えましょう。
第三者なら自分では気づけないことに気づける
まず第三者に自分が修正したいことを伝えて、そのとおりに修正ができているのか確認してもらいましょう。
自分ではできているつもりでも、実際はできていないことがあるからです。
例えば、テークバックで頭が右に動かないようにしても、実際にはかなり動いていることがあります。これを見てもらうためには修正したいところを第三者に伝えなければなりません。
また、第三者に見てもらうことで、自分では気が付いていない修正点が見つかることがよくあります。スランプに陥ったときは、1人で抱え込まず周りの力を借りると効果的です。
的確なアドバイスがほしい場合はゴルフスクールがおすすめ
どこが修正点なのか、何が正しい修正点なのか、自分ではわからないときは、ゴルフの上級者やコーチに見てもらうと解決しやすいでしょう。
プロゴルファーの場合は必ずコーチがいてスイングのチェックをしてくれます。
アマチュアの場合は上級者に見てもらうことも可能ですが、より専門的な知識をもっているゴルフスクールのコーチに見てもらうことをおすすめします。
ゴルフスクールで見てもらうときには必ず、自分がスランプに陥っていて、何を直したいのかをスクールのコーチに伝えてください。
自分が考えていたポイントとはまったく違った視点で改善案を提案してくれる場合もあり、スランプからの脱出も早くなるでしょう。