ゴルフにおいてイップスは、ドライバーからパターまで全てのクラブで起こりえる症状です。
思い通りに体を動かすことが出来なくなり、ゴルフが楽しめなくなってしまうので、避けられるなら避けたい症状ではないでしょうか。
ゴルフにおけるイップスとは
初心者でイップスに悩まされているといった方はほとんどいないと思いますが、上達すればするほど、イップスの怖さを知ります。
そもそもイップスとはどういった症状なのか、また何が原因で起きるのか解説します。
イップスとは
イップスとは集中すべき場面で極度に緊張や不安を感じ、体を動かそうとしても動かせなくなってしまったり、意思とは違った動きをしてしまったりする症状です。
ゴルフではパッティングの時に動けなくなってしまうのをよく聞きますが、ドライバーやアプローチなどでも思うように動けずミスを連発してしまう症状もイップスといえます。
スポーツだけではなく緊張や不安を感じる場面であればどんな人でもありえる症状です。
例えば、将棋の棋士が駒を動かそうとして手を伸ばしたまま動けなくなってしまう、といった例もあるので、ゴルフ以外でも起こりえます。
イップスになる原因
イップスになる原因で一番に挙げられるのは不安ではないでしょうか。
パッティングやアプローチでいえば「カップに入れなければならない」「カップの近くまで寄せなければならない」など打つ前から結果を考え、グリップしている手に力が入りすぎてしまいその力みが肩や腕まで動かなくしているように思います。
「〜しなければならない」と考えることは「〜してしまうかも」と考えているのとほぼ同じなので不安が要素になっているといえます。
ドライバーであれば「飛ばさなければならない」や「曲げてはならない」などと考えてしまうことがイップスの原因になるのでしょう。
どのクラブにおいても結果に過度の不安を感じてしまい緊張が体に力みを与えてしまう、といった流れがイップスになる原因で一番多いように感じます。
イップスになりやすい人
イップスになりやすい人の特徴として、一般的には完璧主義・考えすぎ・まじめといったことが挙げられ、プロゴルファーなどであれば生活がかかっており一打で何十万と差が出るので、その重みを考えてしまうといったこともありそうです。
完璧主義
先ほども書きましたが「カップに入れなければならない」「カップの近くまで寄せなければならない」などと、自分で自分を追い込む考えをするのが完璧主義の人に多い特徴です。
ゴルフに必要な精神だとは思いますが、過度に追い込んでしまう人はイップスになりやすいでしょう。
考えすぎ
考えすぎる人はアドレス(構え)に入ってからでもスイングのチェック項目を多く考えたりしてなかなか動きだせず、考えているうちに体に力が入りすぎてしまう傾向があります。
まじめな人
まじめな人はゴルフスイングについても、レッスン本などで勉強して自分なりの理論を持っていたりします。
いろいろなレッスン本を参考にして実直に体を動かそうとするので、それが自分の体に合っていなかった場合は過度な力みがイップスに繋がってしまうケースがあります。
ゴルフのスイングにおけるイップスの具体的な症状は?
サッカーなど動くボールを扱うスポーツなら、自然と体が反応してくれます。しかしゴルフはほかのスポーツと違い、止まっているボールを打つので全てが自分で動き出さないと始まらないスポーツです。
それだけいろいろと考える時間が出来てしまい、イップスに悩まされる選手が多いようです。
ではイップスとはどのような症状なのか具体的に説明していきます。
動き出せない
動けない症状の場合、狙いを定めて構えるまでは自然な動きが出来るのですが構えてからまるで動けなくなってしまいます。
頭の中では動かそうとしているのにクラブが重く感じて、地面に刺さっている棒を持っているような感覚になります。
仕切りなおして素振りをするとスムーズに動くのに、構えに入るとまた動けなくなってしまいます。
動けないところを無理やり動かしてスイングするので、思い通りに動かせずミスになってしまいます。
イメージしやすく例えるなら、大きなハンマーをクラブ代わりにしてスイングするような感じでしょう。
スイング途中に止まってしまう
構えてからバックスイングに入る始動まではスムーズに動くのですが、ダウンスイングに入る切り返しのタイミングで急に止まってしまう症状もイップスの一つです。
構えるまでは良いイメージを持っているので動きもスムーズなのですが、始動した途端に急に悪いイメージが出てきてスイングを止めてしまったり、切り返しのタイミングで体のどこかが止まってしまいミスショットになってしまいます。
この症状は特定のクラブだけに起こることが多く、ドライバーだけだったりフェアウェイウッドだけだったり、といったそのクラブだけどうしても動きがぎこちなくなってしまうものです。
スイングが調整できなくなる
スイングが大きくなることは良いことのように思えますが、ゴルフのスイングは距離に応じたものでなければいけません。
短い距離を狙っているのに力が入りすぎてイメージとはまるで違う大きなスイングになってしまい、狙った場所よりかなりオーバーしてしまう症状もイップスといえます。
またその逆に、スイングが小さくなりすぎて狙った場所よりもかなりショートしてしまう症状もあります。
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ゴルフのドライバーにおけるイップス
本来なら気持ちよく振りぬきたいクラブであるドライバーですが、イップスになってしまうと思うように打てなくなってしまいます。
ドライバーのイップスは、ゴルフの楽しさを半減させてしまうくらい辛い症状です。
ここではドライバーにおけるイップスの症状と克服する方法を解説します。
ドライバーが不安で使うことが出来ない
この場合、スイングする前の、クラブ選択の時点でイップスの症状が出ています。
本来なら真っすぐで広いコースではドライバーを使うことを考えると思いますが、ドライバーイップスに悩まされているゴルファーは「ドライバーを使う」と考えるだけで不安を感じドライバーをクラブ選択から外してしまいます。
ドライバーのイップスによくある症状です。
チーピン(右打ちの場合、打球が低く左に飛び出し更に左に曲がるボール)がティーショットで常に出る
ゴルファーならドライバーの打球でチーピンを一番嫌がると思います。
このチーピンがイップスの症状の場合もあります。
ほとんどのドライバーショットでチーピンが出るのであればイップスになっている可能性が高いです。
なぜチーピンがイップスなのかというと、いろいろと考えてしまい体の一部が動かなくなることにより腕だけでスイングをしてしまう手打ちになってしまうからです。
練習場ではまっすぐ気持ちよく打てるのにコースに出るとチーピンが出る場合はイップスを疑いましょう。
切り返すタイミングで止まってしまう
松山英樹プロや藤田寛之プロのスイングは、切り返しで一旦止まりますがイップスではありません。
練習でも本番でも止まっていることから、一旦止まることが自分自身のリズムになっているからです。
ドライバーのスイングはリズムが重要になってきますが、イップスのゴルファーは練習ではスムーズにスイングできているのに本番になると止まってしまいリズムを崩しています。
イップスがスイングのリズムを崩しチョロやダフりなど、思いがけないミスへと繋がっているのではないでしょうか。
ドライバーのイップスを克服するには
イップスは考え方と練習で乗り越えていけると思います。
考え方
- 飛ばさないといけない→そこそこ飛べばいいや
- 曲げてはいけない→曲がっても2打目が打てるところにあればOK
- 曲げてはいけない→プロゴルファーだって曲げる
「飛ばさないといけない」「曲げてはいけない」……。
この考え方が不安や緊張を生み出しイップスの症状が出やすくなるので、上記にあげたように考え方を変えて打つと心に余裕ができてスムーズなスイングがしやすくなります。
練習方法
- 連続素振り
- スイングに合ったリズムの音楽を聴きながら練習する
- 目標を立てて達成する
「連続素振り」「音楽を聴きながら練習」はリズムを体にしみこませて、どういった状況でも同じリズムでスイング出来るように練習することでイップスを克服する方法です。
「目標を立てて達成する」は練習場で【10球中9球は狙った場所に打つ】や【10球連続で左には曲げない】など、どんな目標でもいいので達成させます。
それで自信が持てるようになれば本番での不安を減らす効果があります。
レッスンプロにスイングを見てもらうだけで、自分のスイングに自信が持て、イップスを克服できたゴルファーもプロ・アマ問わず多くいます。
自分のスイングに自信を持てる練習をすることが、克服するには大切ではないでしょうか。
ゴルフのアプローチにおけるイップス
イップスはどのクラブでも起こりえる症状です。
ドライバーのイップスと同じくらい悩まされているゴルファーが多いのがアプローチのイップスです。
パターと同じくらい集中力と技術が必要となるため、考えが一つにまとまらずにイップスになってしまう人が多いように思います。
ここではアプローチにおけるイップスの症状と克服する方法を解説していきます。
シャンクが連発する
シャンクとは、ネック(シャフトとヘッドの繋ぎ目)にボールが当たることでとんでもない方向にボールが飛んでしまうミスのことです。
プロでもときどきシャンクのミスはしますが連発することはありません。
アプローチのイップスになってしまったゴルファーは、フルスイングだとナイスショットなのにアプローチになるとシャンクしてしまう症状になります。
これは練習の時にでも治らない場合があるので、ドライバーのイップスと少し違います。
目標よりかなりオーバーする
アプローチでしっかりとボールを捉えているのにカップを大きくオーバーしてしまったり、最悪のケースだとグリーンを通り過ぎてしまうようなアプローチを繰り返してしまう場合は、イップスの疑いがあります。
アプローチに使うクラブが普段よりも重く感じてしまい、「力を入れないと振れない」と脳が錯覚をし、適正な距離感で打てなくなる症状が出ている可能性があるでしょう。
打ち方が分からなくなる
アプローチの技術はほかのクラブに比べると多く、転がしたりふわりとボールを上げたりスピンをかけたりと多岐にわたります。
また、グリーン面の傾斜を読んだりしないといけないので考えることが多く、頭がパニックを起こしてしまうことがあります。
構える前まではイメージ出来ているのに構えた時に頭が真っ白になってしまい、どのように打てばいいのか分からなくなってしまう症状もイップスといえます。
アプローチのイップスを克服するには
ドライバーのイップスと同様に、克服するためには考え方を変えることと、練習で乗り越えるしか方法はないと思います。
考え方
- カップに近づけないといけない→半径1m位に寄せよう(半径の数字を大きくすることで気持ちが楽になります)
- ミスショットにならないようにする→ミスしても、結果がカップに近づけばよい
- このクラブだとミスしそうだな→違うクラブでアプローチしてみよう
練習方法
- 普段使うクラブと違うクラブでアプローチの距離を打てるようにする
- パッティングを上達させて、アプローチで寄せられなくてもパッティングでカバー出来るようにする
- 握り方をアプローチの時だけ変えてみる(右手と左手を入れ替えて握るクロスハンドが効果的です)
ドライバーのイップスの克服方法とは違い、アプローチの場合は自信を持つことよりも気持ちを楽にすることが重要です。
練習時でもいかに楽な気持ちで打てるかを確認しながら、一番気持ちよく打てるアプローチショットのスイングを見つけましょう。
ゴルフのイップスに悩まされたプロもいる?
有名なプロゴルファーでもイップスに悩まされた選手は多くいます。
意外と思うような選手までイップスに悩まされていた時期があり、克服した選手もいれば克服できないまま引退してしまった選手もいます。
ここではイップスに悩まされた経験を持つプロゴルファーを紹介していきます。
イップスに陥った選手
尾崎将司(ジャンボ尾崎)
常に自信満々の姿が印象的ですが、イップスに悩まされたゴルファーの一人です。
映像にも残っているので、テレビなどで見たこともある人も多いのではないでしょうか。
1988年の日本オープンで1mもないパットを残し固まってしまいました。
2度仕切りなおしてそのパットは沈めましたが、その後もパッティングに悩まされ、振り子のようなイメージを持つことで克服の糸口をみつけました。
丸山茂樹
元々首が弱く首の痛みを抱えていて、辛い痛みの中でショットをした時のミスショットがトラウマとなりドライバーのイップスになりました。
ダウンスイングがスムーズに出来なくなる症状で、練習時には問題なくスイングできるのですが試合になると発症する典型的なイップスです。
横田真一
自信があったパッティングが突然動かなくなってしまうイップスに陥っていましたが、長尺パターに変えたことにより克服できています。
本人は後日、「高いところから飛び降りようとしても、足がすくんで動けない感じに似ている」と語っています。
宮里藍
世界的に活躍していた全盛期に突然パッティングのイップスに陥りました。
得意としていたパッティングが思い通りにならなくなり、克服しようといろいろと試しましたが克服には至らずに引退となりました。
イップスになったら治療が必要?
高いレベルで争っているプロゴルファーならば技術面よりも精神面のメンタルトレーニングが効果的だと思いますが、アマチュアの場合は技術面のトレーニングが有効になってきます。
イップスになったと感じたクラブの練習をするのではなく、そのクラブをカバーできるクラブを徹底的に鍛えることで本番の時に心に余裕ができて、イップスを克服できます。
ドライバーのイップスならどこからでも狙うことが出来るようにアイアンショット、パターのイップスならアプローチ、アプローチのイップスならパッティングといった感じでカバーできる技術を磨くことでトータルの安心感がもてて、イップスを克服できます。
イップスの治し方がわからない場合はゴルフスクールを使おう
先にも記した通り、カバーできる技術を磨くことで克服できるので、スクールに入りレッスンプロに教わることをおすすめします。
ちょっとだけではなくそのクラブに関してはプロレベル近くまで上達しないとイップスは消えないので、一人で悩むよりレッスンプロに教わるのが一番の近道でしょう。
また、レッスンプロに教わればスイングに自信を持てるので、教わるだけでもイップスの症状が消えることもあります。
イップスかなと感じた時は1人で悩まずに、レッスンプロに相談してみましょう。
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