右や左にボールが飛んでいってコントロールできないことは、初心者ゴルファーにはよくあることです。当然、真っすぐにボールを飛ばすことができればスコアは良くなるので、左右のブレをなくしたいですよね。
この記事では、(右打ちの場合)ボールが左に飛んでいく「引っ掛け」について解説していきます。その原因はどこにあり、どのようにして直すとよいのでしょうか。
ゴルフの引っ掛けとは
まずは、ゴルフの「引っ掛け」の定義と、具体的な特徴についてみていきましょう。
引っ掛けとは打球が左に飛ぶこと
ボールが最初から左に飛ぶことを、引っ掛けといいます。引っ掛けのボールはあまり高く上がらず、低い球筋で左方向に飛んで行きます。
また、ボールのスピンが少なく落下後の転がりが大きくなるので、OBや池、林の中に入ってしまう確率も高まります。
引っ掛けは上級者でもおこすミスですが、初心者とは球筋や原因が違います。
上級者の引っ掛けは、ドロー(左に曲がる)の度合いが想定より強くなってしまう状態です。もともと左に曲げるつもりで打ったミスショットなので、調整がききます。
一方で初心者の場合は、最初から真っすぐ左に飛んでいきます。詳しくは後述しますが、そもそも打ち損じが原因なのでスイング自体を改善する必要があります。
ちなみに、(右打ちの場合)右に曲がるミスショットはスライスボールと呼ばれます。
引っ掛けは初心者に多い?
ゴルフを始めた直後の初心者は、右へのスライスが多く出ます。タイミングがわかってきてスライスが改善されてくると、左への引っ掛けが出始めます。
つまり、初心者がゴルフのスイングに少し慣れてくると、引っ掛けが起きやすくなるといえます。
そして中上級者になってくると引っ掛けではなく、チーピンに悩まされます。
引っ掛けとチーピンは違う?
チーピンとは、ボールがターゲット方向に真っすぐ出たあと、急激に左方向に曲がってしまうことです。引っ掛けは最初から左方向に飛んでしまう現象ですのでボールの出だしと球質が違っています。
また、プロゴルファーや上級者は、ドロー(左に曲がる)ボールを理想とすることがあります。ドローボールは落下後、ラン(ボールの転がり)が多くなるため飛距離を稼げるからです。
なお、引っ掛けとチーピンはミスショットですが、ドローボールはミスショットではありません。
引っ掛けの原因
ドライバーの引っ掛けとフェアウェイウッド(ロングアイアン)の引っ掛けでは、共通する原因もあれば異なる原因もあります。それぞれ説明します。
ストロング・グリップになっている
ストロング・グリップとは、構えたときに左手がグリップに覆いかぶさる握り方です。具体的には、クラブを握ってアドレスをしたとき、上から左手甲の薬指部分のこぶしの山が見える状態です。ドローボールを打ちたいときには、このストロング・グリップが向いています。
しかし、初心者がこの握りをした場合は、打点でフェースが被ることがあります。こうなるとフェースが左に向くので、最初から左に飛んでいきます。
アウト・サイド・インのスイングの影響
アウト・サイド・インのスイングとは、ダウンスイングでクラブのヘッドの軌道が外側から内側に降りてくることです。
このスイングではスライスが出る場合が多いのですが、フェースがスイングの軌道に対して正しく垂直になると、ボールは左の方向に飛びます。
肩の開きが早すぎる
肩の開きが早すぎることは、スライスと引っ掛けの両方の原因になります。(肩が開くというのは、打つ時に肩が打ちたい方向ではなく、背中側に向いていることをいいます。)
アドレスの姿勢のまま、肩を少し開いてみてください。
- ヘッドをボールの位置に残すとフェースは右を向くはずです。この場合はスライスのボールになります。
- ヘッドをボールの位置に残さず、肩の開きとヘッドを同調させるとフェースは左を向くはずです。この場合はボールは左方向に飛びやすくなります。
ハンドダウンの構えが強すぎる(フェアウェイウッドやロングアイアンの場合)
ハンドダウンとは、グリップの位置を地面に近くする構え方です。地面との距離が短い分、アドレスで体の前傾が深くなります。
そうすると自然にクラブヘッドのヒール部分(シャフト側)だけが地面に接地して、トゥ部分(フェースの先)が地面から離れます。
この状態でボールを打ってヒール側が少しでも深く地面に当たると、トゥ側が先に回転し、フェースが左を向いてしまいます。
そしてボールは左の方向に飛んでいきます。
ゴルフで左にいかない打ち方。引っ掛けを直す方法
左への引っ掛けは、右に飛んでいくスライスより危険です。ボールが順回転になっているので、どんどん転がってしまう可能性が高いからです。
引っ掛けが出るようになってしまった時は、できるだけ早く直したところ。具体的に、どのように直すとよいのでしょうか。
前章の「引っ掛けの原因」と対応させて、直す方法を紹介します。
ストロング・グリップをスクエアに戻す
グリップはクラブと体をつなぐ唯一のポイントなので、ここが狂っているとどんなに打ち方を変えても効果が出ません。
まずは、自分の握り方がストロング・グリップになっていないか確認してみましょう。
上から見て左手のこぶしの山が3つ見える状態から、左手の握りを少し左に回転させて、こぶしの山が2つ見える程度に変更しましょう。
これでスクエアなグリップになります。
少しフェースを開いて構えてみる
アウト・サイド・インのスイングで左に引っ掛けるということは、フェースのコントロールができ始めている証拠です。
アドレスで少しフェースを開くことで、狙った方向に飛ばせるかもしれません。試してみて軽いスライスボールになれば、自信を持ってよいでしょう。
腰の回転を意識する
肩の開きが早くなる原因にはいくつかありますが、最も大きなものは、テークバック時の腰の回転不足です。
テークバックの時には腕だけでクラブを振り上げるのではなく、腰の回転と同期させて腕を振り上げるようにしましょう。
おすすめは普段よりゆっくりとテークバックすることです。腰の回転とクラブの振り上げの同期がしやすくなりますよ。
フェアウェイウッドやアイアンはソールに注意
フェアウェイウッドやアイアンの場合は、アドレスの時にソール(ヘッドの底)が地面と平行になっているかどうか確認をしましょう。
身長やクラブの長さによってはどうしてもトゥの部分が浮いてしまうので、この時にはクラブを短く持つようにしましょう。
引っ掛け防止に効果的な実践ドリル
引っ掛けが起きる原因をふまえ、どのような練習をすればよいのでしょうか。ここで引っ掛けを防止するための実践ドリルを紹介しましょう。
柔軟運動は必須
柔軟運動はケガの防止に効果的ですが、引っ掛け防止にも役に立ちます。脇腹や腰のあたりの筋肉が固いままだと、腰と上半身の捻転がうまくできないからです。脇腹や腰を柔らかくして、肩のラインがボールを打ち出す方向に対して平行になるよう調整しましょう。
練習前やラウンドのスタート前に、簡単な脇腹ストレッチをするのがおすすめですよ。
グリップを試すドリル
少しずつ持ち方を変えることでどのようなボールが出るのかをチェックしてみましょう。チェック方法は以下の通りです。
- ドライバーでいつものグリップで5球打ちます。
- 左手の甲を右に回してこぶしの山が3つ以上見えるようなストロング・グリップで5球打ちます。
- 左手の甲を左に回してこぶしの山が2つ見えるようなスクエア・グリップで5球打ちます。
- 更に左手を左に回し、こぶしの山が1つだけ見えるようなウィーク・グリップで5球打ちます。
グリップによってボールの質が変わっているのがわかると思います。
そして左への引っ掛けが起きないグリップを見つけて、そのグリップで練習を続けると感覚がわかってきます。
アイアンで引っ掛けがでる人は、同じことをアイアンで実施しましょう。その際は、7番アイアンか8番アイアンが良いでしょう。
アドレスを試すドリル
アドレスでボールの位置も意識して変えてみましょう。
- 両足のちょうど中間の位置を起点として、ボール1つ分左側に置いて打ちます。
- 2つ分左に置いて打ちます。
- ボール1つ分右に置いて打ちます。
どこで引っ掛けが出やすいのかわかってくるはずです。
ハーフショットで真っすぐな球筋を作るドリル
少し難しいドリルになりますが、クラブのフェースの向きとボールをヒットする感覚が身に付きます。
- 打ちっぱなしの練習場で、30ヤード先に約2メートル幅の目印を作ります。(すでに転がっているボールを2つ設定してみると良いでしょう)
- ドライバーのハーフショットで、設定した2メートルの間を狙い70~80ヤード飛ばします。この時ティーの高さは通常の半分にします。
- ボールがこの2メートルの目標より大きく左に行くと引っ掛けなので、目標の間を通るように繰り返し打ちます。
- 目標の間を通るようになってきたら、少しずつスイングを大きくし、最終的にはフルショットで打ちます。
室内練習場の場合は、ネットの前に2つのボーをル1メートルの間隔で置いて、その間を目標するとよいでしょう。
手順は打ちっぱなしの練習場の場合と同じです。
このドリルをしていると、自然にどのような打ち方をするとドローやスライスが出るかもわかってきます。
ドライバーだけ、アイアンだけ左に飛ぶこともある
引っ掛けはドライバー、フェアウェイウッド、アイアンのすべてで起きる場合もありますし、ドライバーだけ、フェアウェイウッドもしくはアイアンだけに発生することもあります。
引っ掛けの矯正は簡単ではない
いろいろと試してみることで、何をすれば引っ掛けがでないようになるかをだいたい理解できます。しかし、引っ掛けの原因は数多くあるので、何が本当の原因なのか混乱してしまうこともあります。
例えば、使っているクラブに原因があるケースです。
シャフトが長すぎるゴルフクラブを使うと、ヒール部分のソールが地面に当たったり、フェースのヒール側にボールが当たりフェースがかぶったりして、左に飛ぶことがあります。また、ドライバーにはフックフェース、ストレートフェース、オープンフェースという種類があり、フックフェースのように設計段階からフェースが左を向いているものもあります。
的確に原因を見極められなければ、上達が遅くなります。それだけ、引っ掛けなどのミスショットはやっかいなものだといえます。
引っ掛けが止まらないゴルフ初心者にはゴルフスクールがおすすめ
いろいろとやってみても良くならない場合、自分で悩むよりゴルフスクールで自分のスイングを見てもらうほうが早く解決できます。
試しているうちに、どんどんスイングを崩してしまうというケースもあるので、スイングを崩す前に、スクールでスイングやクラブのチェックをしてみてはどうでしょうか。
スクールのコーチは多くのレッスン生を見ているので、適切なアドバイスをしてくれますよ。