ゴルフが好きかつ独立を考えているのであれば、「ゴルフ練習場の経営」が選択肢が入っていてもおかしくないでしょう。ゴルフ練習場の収益性や開業までの手順を知っていれば、経営が成り立つのかどうかの判断材料になります。
この記事では、ゴルフ練習場の経営に興味のある方に向けて、ゴルフ練習場の種類や主な収入源、開業に必要な費用、経営スタートまでの流れをまとめて紹介します。
また、ゴルフ練習場経営で利益を出すためのポイントも併せて解説しているので、ゴルフビジネスを始めたい方はぜひ参考にしてください。
経営対象のゴルフ練習場には2種類ある?
ゴルフビジネスを始める場合、経営するゴルフ練習場は以下の2種類に分かれます。
- 屋外の練習場
- 室内の練習場(インドアゴルフ練習場)
それぞれ詳しくみていきます。
屋外の練習場
1つは屋外型の練習場、いわゆる「打ちっぱなし」です。屋外練習場は、ファーストショットやアプローチの腕を磨きたいゴルフ好きにとって最もポピュラーな練習場で、多くのプレイヤーに利用されています。
ただし、経営者の目線から見ると、屋外練習場は経営のハードルが高いゴルフビジネスといえます。屋外練習場を開業する場合、機械や設備の購入費用、打席マットや事務スペースの工事費用など、多額の初期費用が必要です。
さらに開業後も、運営に必要なスタッフの人件費、ボールや機械の買い替え費用などさまざまなランニングコストがかかります。結果として、黒字化まで数十年を要するケースも多く、経営初心者には不向きなゴルフビジネスといえるでしょう。
室内の練習場(インドアゴルフ練習場)
一般的なゴルフ練習場は屋外型の打ちっぱなしですが、近年では室内型の練習場も注目を集めています。
「インドアゴルフ練習場」とも呼ばれる室内型ゴルフ練習場では、スイング解析機やシミュレーターといった最新設備を導入することで、屋内にいながら実際のコースでプレイしているようにゴルフを練習できます。また、雨天時でも練習ができる点、駅チカなどアクセスに優れた店舗が多い点なども、ゴルフ好きから人気を集めているポイントです。
経営という観点では、インドアゴルフ練習場はフランチャイズ化されているブランドが多く、フランチャイジー(フランチャイズチェーンに加盟した企業)として加盟できるため開業までのハードルは比較的低いといえます。
初期費用としてはFC加盟料金と各種機械設備の導入費用、物件取得費用、内装工事費用などがかかります。
ランニングコストとしては、フランチャイザー(フランチャイズチェーンの本部)へ支払うロイヤリティ、店舗の家賃、コーチの人件費などで、運営コストのほとんどが固定費なので経営を可視化しやすいのが特徴です。
インドアゴルフのFC事業は、本部から経営に関するサポートを受けられる、充実した設備を導入できる、本部のブランドを借りて集客できるなど、経営初心者とって多くのメリットがあります。
ゴルフ練習場経営の主な収入(収益)
ゴルフ練習場を経営する場合、主な収入源はプレー収入(練習場利用料)です。
ただし、場合によってはそのほかの収入源を作ることも可能なので、ここではゴルフ練習場の代表的な収入源を3つ紹介します。
プレー収入(ボール代、入場料金、会員費、利用料金)
ゴルフ練習場を経営するうえで最も主な収入は、練習場の利用者から徴収するプレー料金です。
この料金体系はゴルフ練習場によって異なります。1回利用するごとに入場料金を取る練習場もあれば、会員制で年会費や月会費が発生する練習場もあります。
また、練習場によってはプロのゴルフトレーナーがレッスンを実施しているケースもあり、そのような場合は生徒から徴収するレッスン費用の一部は練習場側の収入となります。
売店収入
特に屋外型のゴルフ練習場であれば、練習場に売店が併設されているケースも少なくありません。
一般的にゴルフ練習場の売店では、ゴルフボールやゴルフクラブ、グローブ、シューズ、キャップ、バッグなどゴルフを楽しむために必要なアイテムが多数取り揃えられています。
練習場の利用者が売店でゴルフ用品を購入した場合、その売上の一部はゴルフ練習場側の収益になります。
レストラン収入
ゴルフ練習場には売店だけでなく、レストランも併設されているケースが多くあります。レストラン付きの練習場は、利用者がご飯を挟んで長時間練習してくれることで客単価の向上が見込めます。
利用者の会費や入場料だけを収入源としてゴルフ場経営を続けるのは困難なので、ゴルフ場オーナーの多くがレストラン収入や売店収入に力を入れています。
ゴルフ練習場経営の主な支出(費用)
続いてはゴルフ練習場を経営した際に発生する支出についてです。
どのビジネスでも同じですが、とくにゴルフ練習場は支出項目が多く金額が大きいため、いかにお客様を満足させつつ支出を抑えるかのバランス感が経営の肝です。
ここでは、ゴルフ練習場の主な支出項目を3つ紹介します。
人件費
ゴルフ練習場を経営するなかで、最も支出がかさむといわれているのが人件費です。
ひとえに人件費といってもゴルフ場経営の場合、クラブのホールスタッフやキャディの他、受け付け、レストランのホールスタッフや調理スタッフ、売店のスタッフ、ゴルフスクールを開講している場合はコーチなど、非常にさまざまな人件費が発生します。
打ちっぱなしの場合、平均して1つの練習場に60〜80人のスタッフが働いているといわれており、スタッフ1人当たりの月収が15万円であれば人件費だけで年間1億円が必要になるという試算になります。
人件費は支出全体のうち半分以上を占めるため、ゴルフ場経営者の中には人件費を削減することによって全体の収益を上げようと試みる方もいます。
ただし闇雲に人件費を削減すると、人員不足にともなうスタッフ1人当たりの業務量の増加、ひいては利用者の顧客体験を損ねてしまうおそれがあります。
ゴルフ場の経営を考えるうえでは、一定の人件費は想定したうえでビジネスを始めるのがよいでしょう。
家賃、水道光熱費
人件費のほかに、ゴルフ練習場を経営するうえで無視できない固定費が練習場の家賃や水道光熱費です。これらの固定費は、毎月不規則に変動するランニングコストと比べるとコントロールしやすいという点が特徴です。
収益とは収入と支出の差額にほかならないため、人件費や家賃、水道光熱費といった固定費の削減は黒字化を実現するうえで非常に重要だといえます。
ただし、闇雲に家賃の安いテナントを見つければよいというわけではありません。ゴルフ練習場においては集客力、つまり利用者にとっての「通いやすさ」が経営を左右します。屋外型の打ちっぱなしは広い土地が必要なため郊外に作らざるを得ませんが、屋内型のインドアゴルフ練習場であれば小さいテナントでも運営できます。
ゴルフ練習場を開業する際は、テナントの家賃の安さを追求しつつ、立地条件にも配慮しましょう。
ゴルフ用品の仕入れ費用
毎月の固定費の他に、ゴルフ練習場の運営にはゴルフ用品の仕入れといった変動費も発生します。ゴルフ用品の仕入れ費用は、どのスポーツ用品店や業者から仕入れるか、何をいくつ仕入れるかによって大きく変動するため、経営未経験者にとっては難しいポイントです。
近年増えているインドアゴルフのフランチャイズ経営であれば、運営にあたってどんな設備や道具を、どの仕入れ先から、どのくらい仕入れておけば良いのかというマニュアルを共有してもらえるため、過発注などのリスクを削減できます。
フランチャイジーによっては、全国に展開するフランチャイズ店舗ごとの在庫状況をインターネット経由で共有するシステムを導入しているケースもあり、在庫不足時には在庫が多い他店舗から仕入れるなどスピーディな対応が可能なこともフランチャイズ経営のメリットです。
ゴルフ練習場開業までの流れ
ここからは実際にゴルフ練習場を開業するまでの流れについて解説します。ゴルフ練習場(ゴルフ場)のオーナーになるには、どのような手順をふめばよいのでしょうか。
コンセプトを決める
ゴルフ練習場を開業するうえで重要なのは、「どのような練習場にするのか」というコンセプトです。
ひとえにゴルフ練習場といっても、サラリーマンが週末に通いやすい練習場と、女性が買い物ついでに足を運べる練習場では、求められる立地や内装、設備、料金設定などが異なります。コンセプトやターゲット層の設定が不十分なまま開業したために、集客が行き詰まり、多額の初期費用を回収できないまま閉業してしまったというケースもあります。
開業前は必ず入念に市場調査を実施し、どのようなゴルフ練習場に需要があるのかを分析しましょう。
物件選び、ホームページ作成などの開業準備
ゴルフ練習場のコンセプトが決まれば、次はそのコンセプトに沿った物件選びに進みます。
一般的に駅に近い場所のほうが人が多く集まると推測されますが、駅チカ物件は周囲の騒音がうるさい、屋外練習場のような広い土地がない、家賃が高いといったデメリットもあります。
練習場のコンセプトや家賃の予算を考慮しつつ、屋外練習場かインドアゴルフ練習場のどちらにするのかも決めましょう。
物件が決まれば、ホームページやSNSアカウントの準備を進めましょう。インターネットが広く普及した現代社会では、集客にインターネットを使わない手はありません。競合他社がどのようなインターネット戦略を実践しているのかを参考にしつつ、自社のホームページやSNSを拡充させます。
開業許可、申請手続き
諸々の準備が済んだら、行政機関に開業許可を申請します。屋外ゴルフ場であれば開発許可のほか、工事の際に騒音規制に抵触しないよう事前調査が必要になります。インドアゴルフ練習場の場合であっても、開業届を提出する必要があります。
その他、飲食サービスも提供する場合は飲食店営業許可の申請や食品衛生責任者の資格が必要になります。0時以降もバー形式の営業をおこなうのであれば、深夜酒類提供飲食店営業の届け出が必要です。
ゴルフ練習場を開業する際は、事前にどのような資格や許可申請が必要なのかを必ず確認しておきましょう。
ゴルフ練習場経営で儲けるためにできる工夫
新たなビジネスを始める場合、ただ開業するだけでは意味がありません。継続的に収益を伸ばしていけるかは経営者の手腕が問われます。
ここからはゴルフ練習場でしっかりと設けていくために押さえておくべきポイントを3つ紹介します。
練習場のコンセプトを明確にしておく
上述の通り、コンセプト作りはゴルフ練習場経営の1歩目であるものの、これが不十分なばかりに経営に苦戦する練習場が多いことも事実です。
どのようなサービスや空間を提供したいのか、どのようなターゲット層に足を運んでもらいたいのかが明確になっていないと、利用者に立ち寄ってもらえません。
また、せっかく足を運んでくれた利用者に満足なサービスを提供できず、リピートしてもらえないというリスクもあります。開業後の経営に困らないためにも、誰に向けたどのようなゴルフ練習場なのかをあらかじめ徹底的に考えておきましょう。
競合店にはない独自のサービスを提供する
経営に成功しているゴルフ練習場を見ると、それぞれのコンセプトやターゲット層に沿って他店舗にはないサービスを提供している事例が多く見られます。
仕事帰りのサラリーマンをターゲットにした練習場であれば、手ぶらでも立ち寄れるように道具一式貸し出しサービスをおこなう。
ゴルフ初心者の女性がターゲットなら、店内を隅々まで清潔に保ち、女子コーチによるレッスンを実施する。
週末の家族連れをターゲットにするなら、キッズスペースやレストランメニューを充実させるなど、店のコンセプトに沿ったオリジナルサービスを確立させる。
このように徹底したコンセプトの設計とサービスの差別化が経営成功のカギとなります。
フランチャイズを活用する
「経営ノウハウはないけど、大好きなゴルフで経営にチャレンジしたい」という方は、一度フランチャイズ店のオーナーとして経営をスタートするのもおすすめです。
国内に多くの店舗を展開するフランチャイザーのもとに加盟すれば、豊富な成功事例と経営ノウハウに基づいて必要な道具や設備を揃えられる、本部のブランドを活かしてある程度の集客が期待できる、銀行から融資を受けやすい、開業後も本部から経営支援が受けられるなど、さまざまなメリットがあります。
フランチャイジーとして経営を始め、さまざまな経験や成功体験を積み重ねたのちに独立開業するという方法も考えてみてはいかがでしょうか。
一般的な屋外型練習場の経営には、広大な土地と初期費用、さらに集客などの経営ノウハウが必要で、開業までのハードルは決して低くありません。
経営初心者からゴルフ練習場の経営を始めるのであれば、少ない初期費用で始められ、本部からあらゆるサポートを受けられるフランチャイズ経営を検討してみませんか。