テレビや動画チャンネルでプロのスイングを見ると自分もいつかはこういう風にきれいに打ちたいと思ってしまいますよね。
特にトップからダウンスイングにかけての流れるようなフォームは憧れの的です。
でも同時に、特に真後ろからの映像を見たとき、どうして選手によってクラブの上がる位置と角度が違うんだろうと疑問に思ったことはありませんか?
ゴルフのスイングはテークバックからすでに人によって違いが出ます。
そしてトップの位置はそのテークバックの集大成ですから、プロでも上げる位置や角度がそれぞれ変わってくるのは当然のことなんですね。
この記事ではゴルフのトップの位置はどこに上げるのが正しいのか、またそのトップをどう作るのかを解説していきます。
ゴルフのトップとは
ゴルフでは「トップ」に2つの意味があります。
ひとつは初心者がよくやってしまうボールの上半分を叩いて予想外の低い球が飛び出してしまうミスショットのことです。
ボールの手前を叩く「ダフリ」と合わせて初心者ゴルファーの2大ミスショットですね。
もうひとつの「トップ」はバックスイングからダウンスイングに切り替わる瞬間に両手がスイングのなかで最も高い位置に来るポイントのことです。
正しくは「トップ・オブ・スイング」といいますが、略して「トップ」と呼ばれます。
このトップの位置はゴルファーの身長や前傾姿勢の角度によっても変わりますし、ドローボールを打ちたいのか、フェードボールを打ちたいのかなどスイング全体の目指す方向性によっても違いが出ます。
今回の記事で扱うのは後者のほうです。
ゴルフの適切なトップの位置は?
そもそも正しいトップの位置というのはあるのでしょうか。
答えはノーです。トップにはここでなければいけないという「理想の位置」はありません。
なぜならトップの位置は、その人の身長や腕の長さや前傾姿勢の角度で変わってくるからです。
一般的に前傾が浅い人はトップが低くなりやすく、前傾が深い人はトップが高くなりやすいといわれています。
またドローなのかフェードなのか、高弾道か低弾道かなど、どんなボールを打ちたいかによってもトップの位置は変わってきます。
ですから、あえていえばインパクトの瞬間にアドレスと同じ場所にクラブが戻っていいショットが打てたら、それが適切なトップの位置ということになります。
トップ位置は人によって異なる
プロのショットを見ていてもひとりひとりトップの位置が違うのは一目瞭然です。
例えば、2021年に8年目で初優勝をした堀琴音選手のトップの位置は頭の上です。典型的なアップライト(トップが高い)スイングです。
それに比べご存知2019年のAIG全英女子オープンチャンピオンの渋野日向子選手の2022年シーズンのトップの位置は右肩よりも下です。
この2019年の全英女子オープンのときはトップがちょうど頭と右肩の間にくるスクエアスイングでしたが、2021年から新しいコーチになりフラット(トップが低い)スイングに変わりました。
このようにプロゴルファーは自分に起こりがちなミスをいかに減らすかを考えて、コーチの指導を受けながらトップの位置をいろいろと試行錯誤しながら変えているように見えます。
アイアンやドライバーでトップの位置は変わる?
トップの位置や、アップライト(バックスイングが高い)かフラット(バックスイングが低い)かという話は、クラブの種類とはあまり関係ありません。
クラブによって変わるのは、肩を回す角度によって変わるクラブヘッドが止まる位置です。
クラブの種類 | クラブヘッドの位置 |
---|---|
アプローチウェッジ | 頭の真上の位置までで十分 |
ショートアイアン | 頭のやや右、1時の位置くらい |
ドライバー | ヘッドが地面と水平になる位置までくるのが一般的 |
ゴルフのトップの高さ別!メリット・デメリット
ここまで説明してきたように、トップの位置は高くても低くても自分に合っていれば問題はありません。しかし、それぞれにメリットとデメリットがあるのも事実です。
自分がどのようなミスを修正したいのかを考えてトップの位置を決めましょう。
トップが高いメリット
- クラブを高く上げて上から叩くイメージで打つと理想のパワーフェードが出る
- フェースの開閉が少ないので、方向性が安定する
堀琴音選手は以前はドローボールヒッターでしたが、曲がりの少ない強いフェードボールを打つためにこのアップライトスイングを取り入れたそうです。
トップが高いデメリット
- フェースが左を向きやすいので左に引っ掛けたり、逆にインパクトでカットに入ってボールが右に行くミスが出ることがある
- 上下の体重移動が生まれやすく、ダフリのミスが起きる
- オーバースイングになりやすい
アップライトでも、少しずつ上げる位置を変えて自分がスムーズに振れるトップのポジションを探すことが大事です。
トップが低いメリット
- クラブがスイングプレーンより下のインサイドから振り下ろされるので、ドローボールが打ちやすくなる
- スイング軌道が横からになるのでダフリのリスクが軽減される
- オーバースイングが解消されるメリットもあります。
渋野日向子選手は飛距離の出るドローボールを打つためにトップを低くしています。
トップが低いデメリット
- クラブの落下距離が短いため、ヘッドスピードが落ちるリスクがあある
- スイングが横振りになるほどインパクトゾーンが短くなるのでタイミングが取りにくい
- 手でボールに当てにいこうとしてフェースが寝てしまい、ジャストミートしづらい
ゴルフスイングのトップを作る際に意識するポイント
最初はいくつかのポイントを意識しながらトップを作っていきますが、最終的にはトップの位置を意識せずに自然にスイングできることが理想です。
特にコースに出たとき、スイングの度にポイントをチェックしているとスムーズなスイングができなくなります。
練習場でトップの位置をしっかりチェックしてからコースに出るようにしましょう。
フェースの向き
トップの位置でのフェースの向きは、約45度上を向いているのが理想といわれています。これはドライバーでもアイアンでも同じです。
高いトップを作ろうとするとフェースは閉じやすくなり、低いトップを作ろうとするとフェースは開きやすくなります。
練習では一度トップで止めて鏡で角度を確認するようにしましょう。
手の位置
トップの位置ばかり意識していると肩が回らずに左ひじを曲げてクラブをその位置に上げてしまう場合があります。
左腕を真っすぐ伸ばしたまま、右手の人差し指の付け根にクラブを乗せてトップまで上げる感覚を持つと自然なトップが作れます。
手首の角度
ショットの軌道に影響を与えるのが左手の手首の角度です。
手首が甲側に折れるとフェースが開いた状態でインパクトを迎えることになるので右に曲がるスライスボールが出やすくなります。
逆に左手首が手のひら側に折れるとフェースが閉じたままインパクトを迎えるのでフックボールになります。
つまりスクエアにボールを捉えるためには、左手の腕、手首、甲が一直線になるようにトップを上げることを意識します。
適切なトップポジションの作り方
適切なトップポジションは、ダウンスイングにスムーズに移行できるポジションということです。
つまり自分であれこれ試行錯誤しながらその位置を探して、「ここ」と決めたところが適切なトップポジションになるのです。
自分に合うトップ位置の見つけ方
自分に合うトップの位置を決めるには、先に理想のスイングを作ることです。
テークバックの方向と肩を回す角度が決まれば自動的にトップの位置は決まります。
逆に先にトップの位置を意識してしまうとテークバックからバックスイングにかけてのプロセスがおろそかになりスイングが崩れてしまいます。
また肩が回らずに浅いトップになり飛距離が落ちることもあります。まずは自分のスイングを固めればトップの位置はほとんど意識しなくなるはずです。
高いトップの作り方
トップの位置はテークバックでほぼ決まるといわれています。
高いトップを作るためにはまずテークバックでクラブを右前方に出すことがポイントです。そこから右ひじを高く上げて肩を回していけば自然に高いトップを作ることができます。
ただしトップでコックをした瞬間にクラブが下がらないように注意しましょう。
低いトップの作り方
低いトップを作るには、テークバックでクラブをやや内側に出すことがポイントです。
そのまま右ひじを締めながら肩を回していけば、トップは右肩と同じくらいの低い位置になります。
ただし、せっかく低く上げたクラブを途中から真上に持ち上げてしまうゴルファーもよく見かけます。この上げ方ではどうしても手打ちになって、ミスショットの原因になります。
ゴルフのトップ位置の安定のさせ方
トップの位置を意識しすぎてもスイングは安定しません。
むしろトップの位置を気にしなくなれば自分のスイングができているということになります。
自分のゴルフスタイルに合ったトップの位置を決めてその前後を含めたスイング全体を固めることが上達のポイントです。
トップでクラブを止める?
以前、松山茂樹選手のスイングがトップで一度止まるように見えた時期がありました。本人は左肩を残そうとして自然にそうなったといっています。またレッスンプロの中にもトップで止めることを推奨する方もいます。
つまりトップの位置を安定させるには毎回同じところに上げればいいわけですから、練習方法としてはこのやり方を取り入れてもいいかもしれません。
しかし松山選手もそうですが、止まっているように見えても、実際にはスイングは止まっていません。
トップからダウンスイングに移行する際に、切り返しの間を作れずに手から下ろしてしまう初心者は、トップで止める意識で練習してみましょう。
最後は左手だけを意識する
安定したトップを作る最後の砦が、左手です。
せっかくうまく上げたのにバックスイングの終点で余計な動きが入るとトップが崩れてうまくミートできないことになります。
そのポイントが左手です。トップでは左手の親指の上にクラブが乗ることと、左手の小指側の3本の指をしっかり握ることを意識します。
練習では左手1本で打ってこの感覚を身につけるようにしましょう。
スイング全体に気を配る
トップの位置を安定させるためにはスイング全体をチェックすることが大事です。
トップの位置はテークバックの時点でほぼ決まります。そしてテークバックの基本は手で上げようとせずに肩で回していくことです。腕は肩の回転についてくるイメージです。
そしてもうひとつ重要なのが下半身です。
右ひざが流れないようにしっかり踏ん張って右股関節に体重を乗せることでトップの位置を安定させることができます。
さらに前半で触れた左手首の角度など、トップの位置だけを意識するのではなくスイング全体のチェックポイントを頭に入れて練習することで安定したトップが作れます。
トップ位置が定まらない初心者にはゴルフスクールがおすすめ
どうしてもトップ位置が定まらない初心者にはやはりゴルフスクールが最適です。
専門知識をもったコーチが、高いトップがいいか低いトップがいいか、体型やゴルフスタイルに合わせてあなたに最適なトップポジションと正しいスイングを教えてくれます。
また、スイングのことだけでなく、ゴルフのための体作りやトレーニング方法もやさしく教えてくれるのでだんだん自分のゴルフに自信が持てるようになります。
トップの位置で悩んでいる人は、ゴルフスクールでレッスンのプロに相談することをおすすめします。