ゴルフ愛好家であれば、一度はゴルフバーを経営してみたいと考えたことがあるかもしれません。しかし、ゴルフバーは実際に儲かる事業なのでしょうか。また、ゴルフバーを経営するにはどのような準備やコツが必要なのでしょうか。
本記事では経営者の視点から、ゴルフバーの特徴や収益性、将来性について解説します。また、実際にゴルフバーを開業するために必要な手続きや資金についても併せて紹介します。
ゴルフバーとは?経営目線での特徴
ゴルフバーは、室内でゴルフボールが打てるシュミレーターが設置された「バー」を指します。
飲食業に分類されるため、通常の飲食店と同様に開業に際して飲食店営業許可を申請する必要があります。
一般的なゴルフバーのターゲットは、お酒や食事を楽しみながらゴルフを打ちたい「ゴルフファン」です。具体的な利用シーンとしては、歓送迎会、仲間内での打ち上げ、取引先の接待などが考えられます。
インドア型なので雨天時でもゴルフが楽しめるほか、大半のゴルフバーでは道具のレンタルも実施しているため、手ぶらで立ち寄れる気軽さも特徴です。
2020年に新型コロナウイルスが流行して以降、感染拡大防止の観点から国内の飲食店には営業自粛が要請され、ゴルフバーもその対象となりました。
2023年1月現在は自粛ムードが収束しつつありますが、依然としてゴルフバーには定期的な換気や手指消毒の徹底、アクリル板等を用いた飛沫防止といった感染予防対策が求められています。
ゴルフバーは儲かる?
実際にゴルフバーを開業して儲けられるかどうかは、経営者自身の手腕による部分が大きいのが事実です。
ここではゴルフバーの収益性を考える手がかりとして、
- 開業資金はゴルフ練習場よりも安い
- 高級感のある個室など、客単価を高める工夫が必要
- アクセスの良さが売上を左右する
の3点から解説します。
開業資金はゴルフ練習場よりも安い
ゴルフバーは一般的なゴルフ練習場に比べて、少ない開業資金で始められるのが特徴です。屋外型のゴルフ練習場を開業するなら数千万円から億単位の開業資金が必要なケースは珍しくありません。
一方でゴルフバーの場合、ゴルフシミュレーターを何台導入するかによりますが、一般的には1,500万円ほどの資金があればゴルフバーを開業できます。低コストで事業を始めたい方にとって、ゴルフバーは比較的着手しやすいビジネスといえます。
高級感のある個室など、客単価を高める工夫が必要
ゴルフバーで成功するためには、店舗のコンセプト作りとターゲット選定が重要です。ほかのゴルフバーや飲食店と差別化を図るには、次のような仕組みや工夫が考えられます。
- 完全個室空間にすることで、利用者がリラックスしてゴルフと飲食を楽しめるプライベート空間を演出する
- 提供する食事やドリンク、内装などを高級素材で統一することで、高級志向のファンを獲得する
- ゴルフ用品のレンタルを完全無料にして、なおかつレンタル用品の品揃えを拡充することで、初心者から愛好家まで気軽にゴルフを楽しめるバーにする
店舗経営の売上は、「客数×客単価」で決まります。
したがってゴルフバーのコンセプトやターゲットを決める際は、どれくらい多くの集客が見込めるか、またおよそ幾らの客単価が見込めるかに注目すると、収益性を試算できます。
アクセスの良さが売上を左右する
前述の通り、ゴルフバーのような店舗経営の売上は「客数×客単価」でシミュレーションできます。このうち客数を大きく左右するのが、店舗の立地です。街の中心街や駅の近くなど、人の往来が多くアクセスしやすい場所に店舗を構えれば、それだけ多くの集客が期待できます。
ゴルフバーはアクセスが良いほど集客数が増え、集客数が増えるほど売上も増えます。つまり、アクセスの良さは売上に直結する重要な要素といえます。
ゴルフバー事業の将来性は?
ここまで紹介した内容を総括すると、ゴルフバーは比較的少ない資金で開業できるビジネスではあるものの、安定した収益を得られるかどうかは経営者の手腕に寄る部分が大きく、必ずしも将来性があるとはいえません。
そのため、ゴルフに関連したビジネスで起業したい場合は、ゴルフバー以外の業態も併せて検討することをおすすめします。
ゴルフバー以外のゴルフ関連ビジネスとしては、次のようなビジネスが挙げられます。
- ゴルフコース
- 屋外型ゴルフ練習場
- インドアゴルフ練習場
- インドアゴルフスクール
とくにインドアゴルフ練習場やインドアゴルフスクールは、ゴルフバーと同様に店舗型ビジネスであるため、少ない資金からでも開業しやすいのが特徴です。飲食店経営のノウハウがなくても経営できるため、ゴルフバーよりも開業のハードルが低いといえます。
ゴルフ関連ビジネスを開業する際は、自分の知識や経験、予算、事業の収益性や将来性などを総合的に判断することが重要です。
ゴルフバーの開業手順
ゴルフバーを開業するまでの手順も紹介します。
事業計画を立てる
開業のファーストステップとして、まずは事業計画を策定します。ゴルフバーのようなシミュレーションゴルフ事業の場合、事業計画として考えるべき主な項目は次のとおりです。
- 初期費用の試算
- ランニングコストの試算
- 売上の試算
- 開業資金の調達方法
- 物件の契約
- ターゲット顧客の選定
- 広告手法の選定
- 経営方針
事前に綿密な事業計画を立てていれば、開業後に事業をスムーズに軌道に乗せられます。
必要な資格や申請、許可を確認する
事業計画が決まれば、次は開業に必要な資格や許可、申請手続きを確認します。
ゴルフバーは飲食業に分類されるため、開業するには保健所へ食品店営業許可申請を行う必要があります。食品店営業許可申請では、次の2つの条件をクリアしなければなりません。
- スタッフのなかに食品衛生責任者がいること
- 保健所の検査をクリアすること
また、場合によっては次のような申請手続きも必要です。
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届書 ※午前0時以降も営業する場合
- 防火管理者選任届 ※店舗全体の収容人数が30人を超える場合
申請手続きに不備があると、開業が遅れてしまいます。スムーズに開業するためにも、開業に必要な資格や申請手続きはあらかじめすべてチェックしておきましょう。
申請を行う
必要な開業申請手続きをすべて完了して、保健所から食品店営業許可が出れば、ゴルフバーを開業できます。
なお、より確実かつ円滑に手続きを進めるためには、飲食店の経営者や飲食業界に強い士業に相談することも効果的です。とくに開業後は税務関係の確認事項が増えるため、困った時に相談できる税理士を見つけておくとスムーズでしょう。
ゴルフバーの開業資金は?居抜きがおすすめ?
ここではゴルフバーの開業を目指す方向けに、開業資金を考えるポイントとして
- 開業資金の考え方と目安
- 開業コストを抑えるポイント
- 低コストで開業するなら居抜き物件を検討する
の3つを紹介します。
開業資金の考え方と目安
ゴルフバーの開業資金について、おおまかな内訳は次の通りです。
費用項目 | 費用 |
---|---|
バーの物件取得費用や内装工事費用など | 約1,000万円 |
室内型ゴルフシミュレーター | 1台あたり300〜350万円 |
開業後のランニングコスト | 150〜200万円 |
なお、ゴルフバーの開業後は次のようなランニングコストが毎月発生します。
- 人件費(従業員を雇用する場合)
- フランチャイザーへのロイヤリティ(フランチャイズに加盟する場合)
- 店舗の家賃
- 各種広告費
- 通信費
- 水道光熱費
- 消耗品代
店舗経営が軌道に乗る前に資金がショートしてしまう事態を防ぐためにも、開業後数カ月分のランニングコストも開業資金の一部として用意しておくのがおすすめです。
出店エリアや店舗の賃料にもよりますが、3カ月〜6カ月分のランニングコストを準備しておくと開業後に焦らず経営できます。
低コストで開業するなら居抜き物件を検討する
店舗の土地代や賃料を安く抑えたい場合は、居抜き物件の契約を検討しましょう。
居抜き物件とは前テナント時の内装や設備がそのまま残された物件です。ゴルフバーを開業する場合、前にバーとして利用されていた居抜き物件を契約できれば、内装工事費用を大幅に削減できます。
ゴルフ練習場やインドアゴルフスクールを経営する場合、物件の家賃は固定費のうち大きな割合を占めます。そのため、居抜き物件のように家賃の安い物件を見つけることができれば、大幅な経費削減につながります。本記事では、ゴルフ練習場やインドアゴ[…]
室内ゴルフの開業ならインドアゴルフスクールもおすすめ
経営未経験者にとっては、ゴルフのノウハウと飲食店経営のノウハウが同時に求められるゴルフバーの開業はリスクが高いかもしれません。
より少ないリスクで開業したい方は、インドアゴルフスクールやインドアゴルフ練習場など、ほかビジネスモデルも比較検討しましょう。
また、経営ノウハウがない方が確実に経営を成功させるためには、経営支援実績の豊富なフランチャイズへの加盟もおすすめです。問い合わせをしてみると役に立つ情報を得られることも多いので、積極的に動いてみるとよいでしょう。