ゴルフはほかのスポーツと比べて激しい動きなどがないので、準備運動やストレッチを入念に行わずしてプレーに臨むアマチュアゴルファーの方も多いでしょう。
しかし、ゴルフは体の柔軟性が命とも言われており、プレー前はもちろん、日ごろから体を柔らかくしておくことで、きれいなスイングをつくりやすくなります。
体を柔らかくすることはもちろん、けが予防のためにも日ごろのストレッチは有効です。
この記事ではゴルフのストレッチについて、その重要性から部位別の具体的なストレッチ方法まで徹底的に解説していきます。
ストレッチをする習慣を取り入れて、プロゴルファーのような美しいスイングを目指しましょう。
ゴルフにストレッチは必要?
「ストレッチなんて当日のプレー前に少しやるだけでいいでしょ?」と考えるアマチュアゴルファーは多いでしょう。
しかし、本気でゴルフがうまくなりたいのであれば、日ごろからストレッチを行ったほうがよいです。
この章では、ゴルファーにストレッチが欠かせない理由やメリットについて解説していきます。
ゴルフは柔軟性が大切なスポーツ
力強く再現性の高いスイングをするには、体をしっかりと捻転させることが大切です。
捻転とは、簡単に言うと下半身と上半身をねじる動作のこと。うまく捻転できれば、大きなパワーが生まれ、飛距離を伸ばせるようになります。
プロゴルファーのスイングを見ると分かりますが、体がしっかり捻転していますよね。肩や腰の可動域を大きく使うことで、少ない力で遠くへ打球を飛ばしているのです。
捻転をするには体の柔軟性が必要です。
可動域が大きくなれば飛距離もアップ
柔軟性が高くなれば、体の可動域が大きくなります。可動域が大きくなることでスイングも大きくなり、少ない力でボールを遠くへ飛ばせるようになるので、さらなるスコアアップも期待できるでしょう。
ストレッチをする目的は体を柔らかくすることですが、体が柔らかくなることで、ゴルフのスイングにさまざまな好影響が及ぼされます。
ストレッチをすることでケガ予防や疲労軽減になる
ストレッチをする習慣を身につけることで、体の負担も軽減できます。ゴルフの前にストレッチをすれば、ケガの防止効果が期待でき、ラウンド終わりにストレッチをすれば、疲労が軽減されるはずです。
ゴルフの前後にしっかりとストレッチをすることにより、ケガをしたり、疲労が溜まることも少なくなるでしょう。
部位別!ゴルフのストレッチとその効果
ゴルフのスイングでもっとも重要なのは股関節、肩甲骨の使い方、そして腰まわりの筋肉の柔軟性といわれています。
この章では、これらの関節のスイングにおける役割やストレッチをすることによって得られる具体的な効果について解説していきます。
股関節
股関節をうまく使うことで、下半身で生み出したパワーを効率よく上半身へ伝えることができます。そのため、近年ではゴルフに限らず、さまざまなスポーツで股関節の柔軟性や使い方について研究が進んでいます。
股関節が硬く動きが悪いと、下半身で生み出したパワーを、腰や膝を使って無理に伝えるような形になるので、腰や膝を痛める原因になってしまいます。
股関節をストレッチで柔らかくすることによって、腰や膝に負担をかけることなく、効率の良いスイングができるようになります。
肩甲骨
肩甲骨は、下半身や体幹で生み出したパワーを腕に伝える役割をもっています。また上半身の筋肉がブレないように安定させる役割もあるので、ゴルフスイングでは特に重要な部位といえるでしょう。
肩甲骨周辺の筋肉をストレッチで柔らかくすることで、安定した大きなスイングができるようになります。スイングが大きくなることで、さらなる飛距離アップも期待できますよ。
反対に肩甲骨が硬いと、捻転の浅いスイングになってしまいます。また、肩甲骨が硬いのに深く捻転しようとすることで、スイング軸もぶれてしまいます。そうなると再現性が低くなり安定した打球が打てません。
ゴルフでは肩甲骨もしっかりストレッチしましょう。
腰
ストレッチをして柔軟性の高い体になることによって、腰痛も発生しにくくなるでしょう。
ゴルフに限らず、腰痛の主な原因は、太ももの裏の筋肉であるハムストリングスや、体幹の筋肉が固くなること。これらの筋肉が固くなることによって、姿勢が悪くなったり、一部の筋肉に負担がかかったりして、腰痛が起きるといわれています。
なので、ハムストリングスや背中やお尻といった体幹の筋肉をしっかりストレッチでほぐして、腰痛を予防しましょう。
腰痛に悩むゴルファーは多いです。ゴルフを始めてから腰痛になった……という人も少なくありません。「ゴルフに腰痛は付きもの!」と諦めている方も、せっかくなら腰痛を気にせずゴルフを楽しみたいですよね。今回は、腰痛に悩まずゴルフをす[…]
ステップゴルフでは、一人ひとりに合った練習方法やストレッチをご提案し、最短での上達をサポートいたします!
ゴルフのストレッチメニュー7選
ここからは、体の部位別におすすめのストレッチ方法を紹介していきます。
自宅でじっくりできるストレッチから、ラウンド中やちょっとしたスキマ時間に行える手軽なストレッチまで紹介しているので、ぜひ実践してみてください。
毎日コツコツと実践することで効果を感じられるはずですよ。
股関節のストレッチ
股関節のストレッチは、立ちあがった状態で行う股割りがおすすめです。
このストレッチは世界で活躍した元メジャーリーガーのイチローさんがよく行っていたことで有名なストレッチです。やり方は以下の通りです。
- 足を肩幅より広く広げて構える
- 腰を落とし、膝が直角になるくらい下げる
- 両手を両膝につく
- 両手が両膝についた状態で片方の肩を前方へ張り出す
- この姿勢を15秒キープ
- 反対側も同様に行う
ポイントは、しっかりと腰を落とすことと、深呼吸をしながら行うことです。頻度は1日3回以上を目指しましょう。股関節が固くて腰が落とせない人は、足の幅を狭くして構えたり、椅子に座った状態でやってみたりしてください。
職場や外出先でも簡単にできるストレッチなので、ぜひ日常の生活に取り入れてみましょう。
肩甲骨のストレッチ
肩甲骨のストレッチは、肩甲骨が開いたり閉じたりするのを感じながら行いましょう。具体的なやり方は、以下の通り。
- 大きく背伸びをして、しっかりと胸をはる
- 手のひらを体の正面に向けた状態で、肘を肩の高さぐらいまでおろして10秒キープ
- 背中をまっすぐに保ったまま、手のひらを返し、胸の前まで両肘をゆっくりと近づける
- 両肘がくっついた状態で10秒キープ
- 2〜4を3回繰り返す
ポイントは、胸を張った状態で静止しているときは肩甲骨が開いていて、両肘を閉じて静止している状態では肩甲骨が閉じているのを感じながら行うことです。体が固い人は両肘がつかないかもしれませんが、しっかり肩甲骨が閉じている感覚が得られれば大丈夫です。
このストレッチもどこでもできるので、日常の生活に取り入れてみましょう。頻度は股関節のストレッチ同様、1日3回以上が目安です。
背中のストレッチ
背中のストレッチでおすすめなのは、ヨガの「猫と牛のポーズ」とよばれる方法です。やり方は、以下の通り
- 手は肩幅ぐらいに広げた状態で、よつん這いになる
- 息を鼻で大きく吸いながら、背中を丸める
- ゆっくりと息を吐きながら、背中をまっすぐの状態に戻す
ポイントは大きく深呼吸をしながら行うこと。また背中を丸めるときは、お尻の少し上のあたりが天井に吊られるような感覚で行いましょう。
椅子や机に手をおいて、立った状態でも行えるので、ゴルフ場や仕事場でも手軽に行えます。
このストレッチも1日3回以上行うことで、ストレッチの効果が最大限に発揮されます。ヨガの効果で自律神経の安定や姿勢の矯正といった効果もあるので、おすすめですよ。
捻転を意識したストレッチ
アマチュアゴルファーがストレッチを日常の生活に取り入れるなら、捻転を意識したストレッチも行いましょう。
おすすめのストレッチは3時9時ストレッチです。やり方は以下の通り。
- 前傾姿勢をつくる(アドレスの状態)
- そのまま体を捻転して、テークバックの状態をつくる
- テークバックの状態で左手を右肩の高さまで伸ばし、右手を頭の上まで伸ばす(正面にから見ると、両手が時計の3時の高さになっている)
- この状態を20秒キープする
- 反対に体をフォローの状態まで捻転する
- フォローの状態で右手を左肩の高さで伸ばし、左手を頭の上に伸ばして20秒キープする(正面から見ると両手が時計の9時の高さになっている)
ポイントは、ゴルフのスイングをするときのように、しっかりと体を捻転させることです。このストレッチを1日1回以上毎日行うことで、実際にスイングしたとき、捻転が深くなっている感覚を味わえるでしょう。練習やラウンド前のストレッチとしてもおすすめなので、ぜひ実践してみてください。
ハムストリングスのストレッチ
腰痛予防には、ハムストリングスのストレッチが効果的です。やり方は以下の通り。
- 椅子や階段の段差などに伸ばした状態で片足をのせる
- つま先の天井に向けたまま、ゆっくりと体を前に倒す
- ハムストリングスやふくらはぎが伸びている状態で15秒キープする
- 同様に反対側の足も15秒行う
ポイントは体を前に倒すとき、背中をまっすぐ伸ばすことです。そうすることで、ハムストリングスがしっかり伸びます。
女性ゴルファー向けのストレッチ
女性ゴルファーにおすすめのストレッチは、ヨガの「三日月のポーズ」です。全身の筋肉を伸ばす効果があるだけでなく、下半身のむくみも解消してくれます。やり方は以下の通り。
- よつん這いの状態になる
- 深呼吸をしながら右足を両手の間に踏み出す
- 左足は膝からすね、足の甲まで地面にピッタリとつける
- 深呼吸をしながらゆっくりと上体を起こし、両手を合わせて天井に向かって伸び上がる
- そのまま上半身を後ろに倒す
- 深呼吸をしながらその状態を20秒キープする
- 反対側も同様に繰り返す
ポイントは、上半身を後ろへそらすときに、背中の伸びを意識することです。また、ストレッチ中は鼻で息を吸って、口で息を大きく吐くことも意識しましょう。
ゴルフのストレッチは毎日やるのが効果的?
ゴルフのストレッチは毎日行うことで、効果が継続します。
ストレッチはゴルフの練習前後だけでなく、日常の生活習慣に取り入れて毎日行いましょう。入浴後、就寝1時間前、起床直後の3回行うのが理想です。
また、仕事の休憩時間やスキマ時間に少し体を伸ばすだけでも効果はあるので、ストレッチはできるだけ毎日行うようにしましょう。
ゴルフのストレッチに使える器具
器具を使うことで、簡単かつ効率的にストレッチが実践できます。
この章では、よりストレッチ効果が高まるおすすめの器具を紹介します。
ストレッチローラー
ストレッチローラーは、背中を中心に体の張っている部分や硬いところを、効率的にストレッチできる器具です。最近では筋膜はがしができる高性能のものも発売されています。
ストレッチローラーでのストレッチは手や足を使用しないので、何かをしながら自宅でゆっくりストレッチしたい人におすすめです。
チューブ
チューブは肩甲骨周りのストレッチに役立つストレッチ器具です。チューブを背中に回し、両手でゆっくりと伸ばしたり縮めたりすることで、肩甲骨周りがほぐせるでしょう。
またチューブの伸縮性を利用すれば、ストレッチだけでなくトレーニングとしても活用できます。最近では100円ショップにも売っているので、手軽に購入してみてください。
タオル
手軽さでいうと、タオルも優秀なストレッチ器具になります。
タオルを使ったおすすめのストレッチ方法は以下の通りです。
- タオルの両端を両手で持ち、両手を頭の上までもっていく
- 腕を後ろに倒し、肩甲骨周りが伸びていると感じたら、その状態を10秒キープする
- ゆっくりと体を1の状態に戻し、今度は体を右に倒す
- 脇腹が伸びていると感じたら10秒キープして、ゆっくり体をもどす
- 反対側も同様に行う
タオルの代わりにゴルフクラブでも同様のストレッチができるので、練習の前後やラウンド前後のルーティンに取り入れてみましょう。
ゴルフの効果的なストレッチはゴルフスクールのコーチに聞くのもおすすめ!
ストレッチをしっかりと行うことで、体の柔軟性が高まり、効率の良いスイングを実践できるようになります。自分の体の硬いところを重点的にストレッチをする習慣を取り入れて、理想的なスイングを目指しましょう。
ちなみにゴルフスクールでも、効果的なストレッチ方法を教わることができます。ゴルフスクールのコーチはゴルフスイングに精通しています。
コーチは、スイングをチェックしただけで、ある程度体の柔軟性を把握できるので、ゴルファーがやるべきストレッチ方法などをわかりやすく、親切に教えてくれます。合わせて技術的なことも教わることができるので、きれいなスイングが効率的に身につくでしょう。
体の硬さで悩んでいる人は、ゴルフスクールでスイングを見てもらうことも考えてみてくださいね。