一昔前までは、タブーとされた「沈み込み」の動きですが、昨今はプロゴルファーを中心にスタンダードになっているという見方もあります。
しかし、いざ沈み込みを実践しようとすると、ダフってしまったり安定感がなくなってしまったりする方が多いようです。
そこで今回は、沈み込みの原理や正しい動き、効果的な練習法を解説します。諸説ありますが、一例として参考にしてくださいね。
ゴルフスイングの沈み込みとは
ゴルフスイングの沈み込み(シッティングダウン)とは、ダウンスイングからインパクトにかけて頭の位置が下がる動作です。
以前は「ダウンスイングで頭が下がる動作」は間違ったスイングとされていましたが、最近では効率的なスイングとして注目を集めており、プロゴルファーも取り入れています。
しかし、アマチュアゴルファーの多くは、誤った認識で沈み込みを実践しています。
また、逆に「ダウンスイングで頭が上がる動作」になっている方も多く、沈み込みをうまく利用できていない方もいます。
正しい沈み込みができると、体重移動がスムーズになり、地面反力を利用した力強いスイングになります。しかし、間違った沈み込みをしてしまうと、ダフリや不安定なスイングの原因になりかねません。
したがって、ゴルフスイングに沈み込みを取り入れる際は、正しい動きを覚える必要があります。
正しい「沈み込み」
沈み込みは、以下の3つの動作を正しく行った結果にすぎません。これらの動作ができている方は、意識せずとも沈み込みができています。
正しい沈み込みを実現させるには、以下3つの動作が必要です。
- 前傾キープ
- ボディターン
- 体重移動
まず、正しい沈み込みには、前傾キープが欠かせません。テークバックから切り返し、ダウンスイングまで、前屈の状態をキープしましょう。
そして、トップからダウンスイングにかけてはボディターンが必要です。ボディターンができると手打ち防止にもつながり、再現性が高く綺麗なスイングになります。
最後に必要なのは、体重移動です。沈み込みの核となる体重移動がうまくできると、地面反力を使った力強いスイングになります。
誤った「沈み込み」
誤った沈み込みの代表例は以下のとおりです。
- 沈み込みのタイミングが悪い
- ただ頭を下げているだけ
まずは、タイミングをうまく取れていないケースです。
タイミングが合わないと、沈み込みの力を解放できず、意味のない沈み込みになってしまいます。
沈み込みは切り返しから始まり、手の位置が腰より下に来る頃には完了しています。
よって、インパクト時には頭が上がり始めており、沈み込んで溜めた力を解放していなければなりません。
また、上記で説明した「正しい沈み込み」の動作を実践せず、頭を下げようとしているだけの人も、誤った沈み込みになっている可能性があります。
正しい沈み込みとは、複数の正しい動きを実践した結果であり、頭を下げる動作自体ではありません。
したがって、沈み込む動作ではなく、「結果的に沈み込みの動作になるスイング」を意識する必要があります。
ゴルフスイングに「沈み込み」を取り入れているプロ
ゴルフスイングに沈み込みを取り入れているプロは、国内・海外共に多く存在します。ここでは、沈み込みが特徴的なプロゴルファーを3名紹介します。
沈み込みスイングと聞いて初めに思い浮かぶのは、タイガー・ウッズ選手ではないでしょうか。
タイガーは、沈み込みスイングの先駆け的存在で、頭が上下に動くスイングが悪とされていた時代から、ダウンスイング時の沈み込みを取り入れています。
また、メジャー優勝や賞金王を複数回経験しているロリー・マキロイ選手も、沈み込みを利用した現代風スイングの先駆けとなった人物です。
さらに、東京オリンピックで銀メダルを獲得した国内女子プロの稲見萌寧選手も、沈み込みを利用したフェードが持ち味です。
自然な沈み込みとボディターンは、安定感のあるショットメーカーのスイングを支えています。
ゴルフスイングで「沈み込む」メリット・デメリット
ここでは、ゴルフスイングに沈み込みを取り入れたことで起こり得るメリットとデメリットを解説します。
メリット
ゴルフスイングに沈み込みを取り入れるメリットは、飛距離と再現性の向上です。
沈み込みを取り入れると、効率よくヘッドスピードが上がり、飛距離アップにつながります。
また、沈み込みを習得した副産物として、ボディターンや地面反力を活かしたスイングが身に付くのもメリットといえます。
沈み込みを覚えると同時に習得できる地面反力は、飛距離アップにつながるパワフルなスイングを形成します。
さらに、ボディーターンを習得すると、飛距離だけでなく再現性の高いスイングを身につけられます。
よって、沈み込みを取り入れると複数のメリットが得られ、現代風のかっこいいスイングになるでしょう。
デメリット
ゴルフスイングに沈み込みを取り入れるデメリットは、体に負担がかかることです。
沈み込みスイングを成立させるためには、腰の回転・下半身の踏ん張りが必須。したがって、沈み込みを伴わないスイングに比べると、腰・下半身のより大きな稼働が必要です。
しかし、いきなり大きく動かすとケガを負う可能性があるので注意しましょう。
ケガをせずに沈み込むスイングを作るには、体の可動域を徐々に広げながらスイングを作ることが理想です。また、練習前後のストレッチもおすすめです。
沈み込みを意識するとダフるのはなぜ?
沈み込みを意識し始めると、ダフリが頻発する方が多いのではないでしょうか。
ダフリの原因はさまざまですが、最も多いのは体の突っ込みです。
沈み込みと突っ込みは似た動作であり、沈み込んでいるつもりが、実際には突っ込んでいるケースもよくあります。
沈み込みは、ボディーターンと体重移動を伴い、結果的に頭が下がる動きのことを指します。
一方、突っ込みはボディーターンを伴わずに上体だけ下がる動作なので、クラブの抜けるスペースがなくなりダフリの原因になります。
また、バックスイングで伸び上がってしまうのも、沈み込みを意識しすぎるあまりに発生する誤ったスイングです。伸び上がった上体を無理やり落とし込もうとするので、安定感もありません。
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ゴルフスイングでの「沈み込み」のコツ
ゴルフスイングで沈み込みを実践するためにも、コツを覚えましょう。
ここでは、3つのコツを解説します。
テークバック時に頭の位置を上下させない
ゴルフスイングで沈み込みをうまく利用するには、テークバック時に頭の位置を上下させない準備が必要です。
よくある間違いとしてテークバック時に沈み込む動作がありますが、これをすると、ダウンスイング時に伸び上がってしまいます。
ダウンスイングでの伸び上がりは、本来沈み込みたいポイントで逆の動きになってしまうので、避けなければなりません。
頭の位置を上下させないためには、ボディターンを使ったテークバックが必要です。
重心を保ち、体の捻転を作りながらテークバックすると、トップ以降で沈み込むための準備が整います。
切り返し時にガニ股で踏み込む
トップからダウンスイングにかけて沈み込みを入れるためには、切り返し時にガニ股気味に踏み込むのが有効です。
トップから沈み込むタイミングで飛球線方向に左ひざを引っ張ると、ガニ股のような体勢になります。
ガニ股で下半身から引っ張ると自然なボディターンが生まれ、右側にクラブが通るスペースが生まれます。
右側にスペースが生まれるとクラブの通り道ができるので、沈み込んでもダフりません。
ダウンスイングでスクワットのように腰を落とす
切り返しからダウンスイングにかけて、スクワットのように腰を落とすと正しい沈み込みができます。
腰を落とすことで、伸び上がりを防げるからです。
スクワットの体勢から上体が伸び上がろうとすると、後ろにバランスを崩してしまいます。
そのため、スクワットのように腰を落とすことで、強制的に正しい沈み込みの動きが身に付くのです。
ゴルフスイングで「沈み込み」ができるようになるドリル
ここでは、沈み込みをマスターするために有効なドリルを3つ紹介します。
ぜひ、繰り返し実践し、正しい沈み込みをマスターしてください。
テークバックでペットボトルを後ろに押す
沈み込みを作るためには、テークバックから正しく準備する必要があります。
正しいテークバックを作るには、「飛球線の逆方向にペットボトルを置きテークバックで後ろに押す」ドリルが効果的です。
やり方は簡単で、以下の順番で並ぶようにアドレスし、テークバックで真後ろにペットボトルを押すだけです。
- ボール
- クラブヘッド
- 水の入ったペットボトル
ペットボトルの重さが負荷となるので、ボディターンでテークバックできていないとうまく押すことができません。
ドリルを繰り返すと、体全体で行なうテークバックが身に付き、沈み込みに必要な捻転差のあるトップが作れるでしょう。
トップの位置でスクワット
捻転差のあるトップが身に付いたら、トップからの始動を覚えるドリルを実践しましょう。
正しいトップの形を作ったら、その体勢で2回スクワットし3回目でボールを打ちます。
はじめの2回のスクワットでは、しっかりお尻を落とすことを意識しましょう。
お尻を落とすとクラブが垂直に落ちる形ができ、タメのあるスイングになります。
3回目のボールを打つ際は、お尻を落とした体勢からしっかりお尻を回す動作を意識することがポイントです。
スクワットの体勢からお尻を回すことで、沈み込みの上下運動に回転運動をプラスできます。
左半身を壁につけてスイング
まず、左足を壁につけてアドレスの体勢を作り、ボディーターンでテークバックします。
トップの位置では、アドレス時に壁に付いていた左ひざが付いていない状態になります。
トップ時は右側に体重が乗っている体勢になっているはずです。
そこからダウンスイングにかけて沈み込み、壁に向かってインパクトの体勢を作ります。
インパクトの体勢を作る際には、左半身が壁に付いており、体重移動が完了しているのを確認しましょう。
このドリルでは、沈み込みで得たパワーを効率よくボールに伝えるために必要な、体重移動と体の捻転を覚えられます。
正しいスイングを覚えたいならゴルフスクールのレッスンが近道!
沈み込みをマスターすると、地面反力やボディターンを利用した力強いスイングが身に付き、飛距離アップや再現性の向上につながります。
とはいえ簡単にマスターできる動きではなく、多くのアマチュアゴルファーが間違った「沈み込み」になっています。
そこでおすすめなのが、ゴルフスクールでレッスンを受けることです。
ゴルフスクールでは、レッスンプロが1人ひとりの課題に合わせて直接指導してくれるので、独学よりも早く正しい動作を習得できるでしょう。
また、間違ったスイングが癖として沁みつかないので、効率よく上達できます。
特に沈み込みは高度な技術なので、インドアゴルフスクールでじっくり教えてもらうのがベターです。
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