桑田泉氏が提唱するゴルフのクォーター理論。
手打ちやダフリをスイングに取り入れ、これまでのゴルフの常識を覆す理論として注目されています。
一般的なゴルフ理論ではNGとされることも推奨しているため、「本当にうまくなるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、クォーター理論について、特徴やクラブごとの適用方法などを解説します。
また、経験者の評価や効果も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
クォーター理論とは
ゴルフのクォーター理論とは、ティーチングプロの桑田泉氏が提唱するゴルフ理論。
「手打ちしろ」「ボールを見るな」「ダフれ」など、従来のゴルフの常識を覆す理論でスイングをおこなうのが特徴です。
スイング軌道の右腰からインパクトまでの4分の1(クォーター)の部分に重点を置いていることにちなみ、クォーター理論という名がつきました。
なかなか上達しないと悩むアマチュアゴルファーのなかには、このクォーター理論を取り入れたことで上達できた人も多いようです。
クォーター理論の特徴を踏まえたうえで、レッスンではスイングを以下の3つに分けて練習します。
- S1:パター+20ヤード以内のアプローチ
- S2:30ヤード前後のアプローチ
- S3:フルスイングのショット
初心者の方は、7番アイアンやピッチングウェッジなどから練習を始めることが多いようですが、クォーター理論ではパターを含めたS1(スイング1)から始めるのが基本。
そして、徐々にアプローチの距離を伸ばし、最終的にS3でフルスイングの完成形を目指します。
クォーター理論の提唱者「桑田泉」の概要
クォーター理論提唱者の桑田泉氏は、PGA(日本プロゴルフ協会)のティーチングプロであり、元プロ野球選手の桑田真澄氏の実弟です。
ゴルフを始めたものの、思うように上達できなかった経験から独自に研究を重ね、クォーター理論を導入・提唱しました。
桑田氏は、「アマチュアがプロのスイングをイメージしても、そのとおりには動けない」と言います。
それどころか、従来のゴルフ理論は、プロのような体格や筋力を持たないアマチュアには、逆効果となることが多いことも指摘しています。
では、私たちアマチュアゴルファーはどうすればよいのでしょうか。
桑田氏の提唱するクォーター理論では、どう動けば理想のショットになるのか、その結果を最優先とし、そのためにはあえて悪い状況をイメージをすることが重要としています。
こうすることで、イメージと実際の動きのズレをなくし、結果として理想的なスイングに近づくという、逆転の発想を利用したゴルフ理論を提唱しているのです。
クォーター理論の特徴
クォーター理論は、腰からインパクトまでのスイングを重点的に強化するのが特徴です。
この章では、クォーター理論の特徴について詳しく解説します。
代表的な特徴は以下のとおりです。
- 前倒しでスイングする
- 手打ちでスイングしボディーターンはしない
- ショット時にボールを見ない
- スイングで体重移動を意識しない
- ダフるつもりで打つ
- 右手の親指と人差し指でグリップする
順に解説します。
前倒しでスイングする
クォーター理論の特徴として代表的なのが前倒し。これは、ダウンスイング時にシャフトを前に倒し、トップからインパクトにかけて腕のローテーションで手を返す動きのことです。
アマチュアの多くが、インパクトの位置でクラブヘッドが返り切っておらず、フェースが開いてボールに当たることでスライスしています。
これを防ぐために、トップから早い段階でクラブをリリースし、インパクトの瞬間にフェースが閉じている状態を作り出しているのです。
従来のゴルフ理論では、トップでコックを作り、クラブのタメを使ってスイングするのが定説ですが、これとは逆の動きをすることになります。
手打ちでスイングしボディーターンはしない
クォーター理論のスイングでは、手でクラブの振り上げと振り下ろしをする、いわゆる手打ちスイングをおこないます。
一般的なゴルフ理論では、体を回転させてクラブを振るのが理想とされていますが、クォーター理論では、これこそがスライスの原因であると指摘しています。
体を回転させてスイングすると、スイング中に体が左方向へ開き、インパクトでヘッドが遅れる振り遅れが発生するのです。
それによってフェースが右を向いてボールに当たるため、スライスしやすくなります。
これを防ぐために、体は正面を向いたまま手でスイングするのが、クォーター理論の方針です。
ただし、このままではクラブヘッドが左を向いてインパクトするため、フックボールが出るようになります。
そこで使うのが、下半身の回転です。
インパクトした後に足を左へ回転させることでフェースの向きを調整し、フックボールをストレートボールへと変化させます。
ボディーターンは意識しませんが、下半身の回転を合わせることで、結果的に体が回転する仕組みになるのです。
この手打ちと下半身の回転を組み合わせたものが、クォーター理論のスイングです。
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ショット時にボールを見ない
クォーター理論では、ショット時にボールを見ません。
これは、ボールを見続けることでヘッドアップし、ミート率の低下を避けるためです。
ヘッドアップは初心者に多く見られ、アイアンではトップなどのミスショットの原因となりますが、ボールから視線を外すことで防げます。
正確にはボールを見ないのではなく、ボールを視界の中に捉えておく程度にとどめるという意味です。
「ボールをよく見ろ」と教わることが多いですが、打ったボールの行方を目で追うことにより、頭が早く上がってしまいます。クォーター理論はこれを避けるための理論です。
スイングで体重移動を意識しない
ゴルフのスイングに体重移動は欠かせないというのが定説ですが、クォーター理論ではこの体重移動も意識しません。
それは、体重移動を意識すると左右へのスウェーが起きやすくなり、体の軸がブレてしまうためです。
特にドライバーは長いため、体が左へ突っ込むとスライスやテンプラの原因になります。
クォーター理論が理想としているのは、どの番手でも体の正面でインパクトを迎えることです。
ドライバーの場合は、左足かかとにボールをセットするため、実際のボール位置ではなく、体の真下にあるボールを打つつもりでスイングします。
こうすることで、体がスウェーすることなく、さらにアッパー軌道でインパクトを迎えられるでしょう。
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ダフるつもりで打つ
アプローチ練習では、ダフって打つことを意識します。
これは、クラブフェースの芯で捉えるためには、ダフる必要があるためです。
アイアンの場合、クラブヘッドの中心よりやや下の位置に芯があり、ボールを直接打とうとするとヘッドの下部がボールに当たりトップします。
そのため、ボールの5cm手前をダフるつもりで打つと、ちょうど芯に当たると考えられるのです。
手前をダフると聞くと、逆目のライではチャックリしてしまいそうですが、正しい入射角でヘッドを入れられれば、ソールを滑らすことができるでしょう。
右手の親指と人差し指でグリップする
グリップで意識する場所も特殊です。
一般的にはクラブを握る際、左手の中指、薬指、小指の3本に力を入れることが多いですが、クォーター理論では右手の親指と人差し指を意識します。
これは、クラブのコントロール性を効率よく高められるためです。
卓球やテニスでラケットを操作する際、どの指を使うことが多いでしょうか。
おそらく、ラケットを持つ手の親指と人差し指を使い、方向性をコントロールする方が多いはずです。
クォーター理論ではゴルフもこれと同じと考え、右手の親指と人差し指でクラブを操ることを推奨しています。
また、左手の握る力を弱めることで、スイング中の手首の動きを滑らかにし、ヘッドを走らせるという目的も兼ねているのです。
ゴルフの基本スイングが身についていない方は、プロのコーチから正しく教えてもらおう◎
クォーター理論の評判・効果
クォーター理論は一般的なゴルフの常識を破る理論であるため、疑念を持つ方も多いでしょう。
クォーター理論には、どのような効果があるのか気になりますよね。
ここでは、実際の体験者の評判と効果について、代表的な以下の3つをピックアップして紹介します。
- スライス・フックを調整できる
- 飛距離が伸びる
- スイングを統一できる
SNSに投稿された口コミとあわせて紹介します。
スライス・フックを調整できる
スイングに変化をつけることで弾道の調整をしやすくするのが、クォーター理論のメリットです。
実際のスイングは、クラブを振る縦の動きと、体を目標方向へ向ける横の動きを組み合わせています。
この縦と横の動きのタイミングを調整することで、弾道を調整しやすくなるのです。
具体的には、縦の要素が強いとフックしやすくなり、横の要素が強く入るとスライスしやすくなります。
この2つの動きのタイミングを調整すると、ストレート、スライス、フックと、弾道に変化をつけるのが簡単にできるのです。
特に、スライスに悩む初心者の方から高い評価を得ているようです。
桑田泉さんのクォーター理論。イメージは、インパクトまでしなり戻りのハエ叩き。後は惰性。
⛳️始めてから継続的に悩んでいたドライバーのスライスが解消するどころか、憧れのドローが打てるようになり練習場で一人感動、、、自分のものになるようしっかり練習するのみ#ゴルフ好きと繋がりたい— たなりん| ⛳️と自己啓発 (@takahi_golf) July 21, 2022
飛距離が伸びる
クォーター理論では、インパクトの形を重視するため、体重移動や下半身リードのスイングはおこないません。
これらは体の軸がブレる原因となり、インパクトでボールにうまくパワーが伝わらないからです。
S1からS3までのスイングを組み合わせ、体の軸を中心に回転運動することで、自然と理想的なインパクトの形を作り上げています。
その結果、ショットが安定し、ミート率が上がることで飛距離が伸びる人もいるようです。
1週間ぶりに練習に行ってきました🏌️
本日も9鉄メインで手打ちです🤣
調子良いですよ手打ち👌
桑田泉プロのクォーター理論をベースに手打ちに勤しんでいます💪
良い音がする頻度が上がってきました🤩
飛距離も少しアップしたような😅
(気のせい🤣)— ダッファー@タカ⛳ (@Duffer_Taka) April 9, 2022
スイングを統一できる
クラブの番手が変わっても、スイングはすべて同じに統一するのがクォーター理論の基本です。
アイアンはダウンブロー、ドライバーはアッパーブロー、フェアウェイウッドはレベルブローなど、クラブによってスイング意識を変える必要がないため、スイングの再現性が高くなります。
ボール位置やスタンス幅などで調整し、スイングを統一できることで、ゴルフの難易度を下げることができるのです。
コースでは、いつものスイングをどれだけ再現できるかがポイントになります。
こういった効果を実感する人は多いようです。
昨日はコースにでました。すたーときりぎりになり、大焦り😱スコアはボロボロだけど、ドライバーが今まで以上に当たる!ドライバーの練習は、皆無だったのに!アプローチも同じ。凄いぞ!クォーター理論!
— beginner's ゴルフ (@noriimasa) March 19, 2018
クォーター理論が「間違い」「うまくいかない」と言われる理由
一方で、クォーター理論に対して反対意見を持つ人もいます。
「その理論は間違っている」「やってみたけどうまくいかなかった」といった声もあるようです。
ここでは、クォーター理論がよくないと言われる理由について解説します。
主な意見は以下の3つです。
- 手打ちスイングは方向性が安定しづらい
- ダフリやチャックリが悪化する
- 合う・合わないに個人差がある
順に解説します。
手打ちスイングは方向性が安定しづらい
手打ちでスイングすることにより、弾道調整がしやすい反面、方向性が安定しづらいというデメリットがあります。
練習が浅いままコースへ出れば、ボールは左右にバラつきやすくなるでしょう。
また、手打ちは一般的なボディーターンを使ったスイングとは、フェースを閉じる方法が異なります。
腕をローテーションさせる意識が強くなるため、手首を無理やり返すような間違った動きが身に付いてしまうかもしれません。
ダフリやチャックリが悪化する
アイアンやウェッジではダフるように打つため、さらにダフリが悪化するケースがあります。
ダウンブローの度合いが強い、スイング姿勢が崩れているなど、原因はさまざまです。
正しい打ち方が分からないままこの理論を続けると、アプローチではチャックリなどのミスも起きやすくなるでしょう。
クォーター理論を取り入れるためには、「ダフれ」という本来の意味を理解することが必要です。
合う・合わないに個人差がある
クォーター理論は手打ちスイングのため、体が硬くて回せない人には合う可能性があります。
一方、体の筋力やバネを使ってスイングしたい場合や、下半身リードでクラブにタメを作って飛ばしたい人にはあまり向きません。
このように、人によって合う・合わないがあるため、自分に合っていなければ効果を発揮できないこともあります。
また、ゴルフの常識を覆す理論であるため、従来のゴルフ理論を信じる方には受け入れられにくく、間違った理論として非難する人も一部います。
自分に合うスイング理論を見つけるなら、ゴルフスクールで直接指導してもらうのがおすすめ!
クォーター理論は逆転の発想を利用し、ゴルフの固定概念を覆す理論で上達を目指すものです。
しかし、意見は賛否両論であるため、自分に合った理論であるか否かを判断するのは難しいでしょう。
向き不向きがあるので、効率よく上達するには、自分に合った理論を見つけることが重要です。
スイング理論に悩んでいる方は、プロのコーチから指導を受けるのがおすすめです。
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