近年はシャロースイングがブームですが、豪快で飛距離の出るアップライトなスイングに、憧れをもっている方も多いのではないでしょうか。
体を大きく使うアップライトスイングの習得は簡単ではなく、取り入れようとして挫折した方もいるはずです。
今回は、アップライトなスイングや、クラブのライ角について詳しく解説します。
飛距離が出るアップライトスイングに憧れている方や、クラブのライ角について悩みを抱えている方は、ぜひ最後まで読んでください。
ゴルフのアップライトとは
ゴルフにおけるアップライトは、以下の2つに関連しています。
- スイング軌道
- クラブのライ角
アップライト(upright)は、直訳すると「直立」という意味の英単語です。
ここでは、スイング軌道とライ角のアップライトについて解説します。
スイングのアップライトとは
アップライトなゴルフスイングとは、地面に対して直角に近いスイング軌道です。
もう少し簡単に表現するなら、縦振りのゴルフスイングをアップライトなスイングといってもよいでしょう。
反対に、地面に対して平行に近い軌道のゴルフスイングを、フラットなスイングと表現します。
明確な角度や定義はありませんが、縦振りに見えるゴルフスイングをアップライトなスイングと呼ぶことが一般的です。
ライ角のアップライトとは
ライ角におけるアップライトとは、アドレスした際にクラブヘッドの先端が浮く状態を指します。
逆に、クラブの根元が浮くような状態をフラットと呼びます。
たとえば、パターはライ角が70度前後であるため、フラットなクラブといえます。
一方、ドライバーなどの長いクラブはアップライトになりがちで、構えた際にトゥ側(ヘッドの先端)が浮いている方も多いのではないでしょうか。
また、クラブのライ角はあらかじめ決まっていますが、構え方によってはアップライトにもフラットにもなります。
ハンドダウン(手の位置を低くする)して構えれば、よりアップライトに構えられるでしょう。
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プロにもアップライトスイング派とフラットスイング派がいる?
プロゴルファーにも、アップライトスイング派とフラットスイング派の両方がいます。
アップライトスイング派の代表的なプロは、国内女子ツアーで戦う渡邉彩香選手です。
渡邉選手は、172cmの長身を活かした大胆なアップライトスイングにより、豪快で高弾道なフェードボール(右に曲がるボール)が武器。
高いトップのアップライトスイングと深い沈み込みを併用することで、国内女子ツアーでも指折りの飛ばし屋として活躍しています。
一方、フラットスイングの代表的なプロゴルファーは、国内屈指の実力をもつ石川遼選手です。
石川選手は、元々アップライトなスイングを武器としていましたが、スイング改造の末にフラットなスイングを用いるようになりました。
現在は、低いトップからフラットでシャロー(鈍角)な軌道のスイングに変化しています。
アップライトなスイングのメリット・デメリット
アップライトなスイングのメリットとデメリットを紹介します。
これからアップライトのスイングを取り入れようと考えている方は、ぜひ理解しておきましょう。
メリット
アップライトなスイングのメリットは以下のとおりです。
- 方向性が良くなり左右のミスが減る
- 沈み込みや地面反力を使いやすい
アップライトなスイングを取り入れると、クラブフェースの開閉が少なくなるため、フックやスライスなどの左右に球が曲がるミスを減らせます。
さらに、クラブフェースが目標方向を向いている時間が長くなるので、タイミングが少しズレても大きなミスになりません。
出玉の方向性が安定するので、ドライバーショットでも安心して振り抜けるようになります。
また、トップの位置が高くなるので、沈み込みしやすいのも特徴です。
上下動の少ないフラットなスイングでは、自分で沈み込むきっかけを作る必要がありますが、アップライトなスイングはトップで自動的に沈み込む準備ができています。
したがって、沈み込みや地面反力を活かしたスイングを目指している方には、アップライトなスイングがおすすめです。
デメリット
アップライトなスイングのデメリットは以下のとおりです。
- スイングのタイミングを合わせるのが難しい
- ダフリやすい
アップライトなスイングは体を大きく使うので、タイミングを合わせるのが難しいというデメリットがあります。
タイミングを取れずにスイングしてしまうと、手足のタイミングがバラバラになり、スイングが成立しません。
また、ハーフショットやライン出しショット(飛距離よりも方向性を重視したショット)にも適しておらず、距離感を合わせるのが難しいのもデメリットです。
さらに、強い上下動を要するスイングなので、ダフりやすいという特徴もあります。
ステップゴルフなら、独学での習得が難しいアップライトなどの打法も、ピンポイントでティーチングいたします。
ゴルフスイングでアップライトに上げる方法
ゴルフスイングでアップライトに上げるには、以下3つの方法を取り入れてみましょう。
- バックスイングでまっすぐ引くように意識する
- 体重移動を意識する
- フェースを開かずにバックスイングする
1つずつ解説します。
バックスイングをまっすぐ引くように意識する
アップライトなスイングを実現するには、まずバックスイングをまっすぐ引くように心がけてください。
クラブをまっすぐ後ろに引くと高いトップを作りやすく、アップライトなスイングをする準備が整います。
フラットスイングのように体を後ろにねじりすぎないのがポイントで、少しアウトサイドに上げるイメージでも問題ありません。
体重移動を意識する
アップライトにバックスイングする際は、体重移動を心がけましょう。
腕を高く上げるアップライトスイングでは、体重移動ができていないと手打ちになりやすくなります。
高いトップを作りつつ体重移動を用いて、全身でバックスイングしてください。
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フェースを開かずバックスイングする
アップライトなバックスイングをする際は、フェースを開かないようにしましょう。
アップライトなスイングはフェースローテーション(クラブフェースが回転する)が少なくなりやすいので、バックスイング時にフェースを開いてしまうと、切り返し(バックスイングとダウンスイングの切り替え)以降でフェースを適切な角度に戻せません。
そのため、バックスイングでフェースが開くとそのままスイングすることになり、スライス(右に曲がる玉)が出やすくなってしまいます。
アップライトなスイングをする際は、なるべくフェースローテーションを抑えるように心がけましょう。
ライ角がアップライトすぎることによるデメリット
ライ角がアップライトすぎるゴルフクラブを使うと、以下のデメリットが生じる可能性があります。
- 打感が悪くなる
- 飛距離が落ちる
- 左へのミスが多くなる(フック・引っかけ・チーピン)
はじめにあげた2つのデメリットは、ライ角が合っていない場合に生じます。
つまり、ライ角がフラットすぎるクラブでも同じデメリットが生じるということです。
ライ角がアップライトすぎる、またはフラットすぎると、ミート率(クラブの芯に当たっている数値)が悪くなります。
クラブフェースの適切な位置にボールがヒットせず、打感や飛距離が悪くなるため、クラブの性能を発揮しきれません。
また、ライ角がアップライトすぎるクラブを使用すると、左方向へ飛ぶミスが多くなります。
右へのミスが多い上級者が、右にいくのを防ぐためにわざとアップライトなクラブを利用するケースもあるほど、アップライトなクラブは左方向へボールが飛びやすくなります。
経験が浅い初心者のゴルファーがアップライトなクラブを選択するのはリスクが高いので、あまりおすすめできません。
各クラブとアップライトについて
ここでは、各クラブをアップライトに設定した際のメリットや傾向、ライ角に対する考え方を解説します。
基本的なライ角の考え方はどのクラブでも変わりませんが、利用シーンやクラブ特性によりセッティングで意識するべきことが変わります。
クラブや利用シーンに合わせたセッティングを実現するために、クラブごとのライ角に対する考え方を覚えておきましょう。
ドライバー
アップライトなドライバーとは、ライ角が60度以上のものを指します。
アップライトなドライバーはつかまりがよく、インパクトで左を向きやすい傾向にあり、スライスや右へのミスが多い方が使うと有効です。
しかし、ティーアップして打つ場合は、ドライバーがアップライトすぎると左へのミスが多くなるので、やりすぎには注意が必要です。
また、近年のドライバーはライ角とロフト角を調整できるものが多いので、自分で試し打ちしながら適切なライ角を探すとよいでしょう。
ちなみに、ドライバーのロフト角を上げるとアップライトになり、ロフト角を下げるとフラットになります。
上記の特性を理解して、適切なライ角とロフト角を探してください。
フェアウェイウッド
フェアウェイウッドは、ライ角が59度以上あるとアップライトといえます。
また、フェアウェイウッドはさまざまなロフト角のものが販売されており、同じモデルでもライ角が異なる傾向にあります。
フェアウェイウッドのライ角は、数値だけでは一概にアップライトかどうか判断しづらく、実際に構えてみて判断するのがおすすめです。
近年はドライバー同様にフェアウェイウッドもロフト角とライ角が調整できるモデルが多く、購入後に自身で微調整できるようになっているので、実際に構えながらクラブを良い角度に調整しましょう。
ただし、フェアウェイウッドはティーアップして使う場合と地面から直接打つ場合があるので、どちらに合わせたセッティングにするのかを選択しなければなりません。
基本的に、ティーアップするとクラブが下から入りやすいため、球をつかまえやすくなります。
一方で、地面から打つ際は、ティーアップ時よりも右に飛びやすくなります。
上記の特性と自分が利用するシーンを考えてセッティングすると、実戦で活かせるフェアウェイウッドを選択できるでしょう。
アイアン
アイアンは、7番のライ角が62度以上あるとアップライトといえます。
アイアンのライ角設定は、ドライバーやフェアウェイウッドに比べてシビアに考える上級者が多く、こだわって設定したい部分です。
グリーンを狙う際に利用シーンが増えるアイアンは、左右へのミスを減らすことがとても大切なクラブで、ライ角の設定次第でスコアが大きく変わるといっても過言ではありません。
アイアンのライ角が適切であるかを調べる方法は、ゴルフ場でショットした際のターフ(打った後に芝生がめくれた跡)を見てみることです。
ターフの幅がアイアンの幅と同じくらい広ければライ角が適切で、逆に狭ければライ角が適切ではないといえます。
また、わざとライ角をアップライトに設定した場合でも、ターフの幅は適切である必要があります。
たとえアップライトに構えたとしても、ボールにインパクトする際はスクエア(まっすぐ)になるように意識しましょう。
ゴルフのアップライトと身長の関係
ゴルフクラブは平均的な身長に合わせて設計されていますが、利用する人の身長や手の長さ、アドレスの姿勢によって、アップライトにもフラットにもなります。
同じクラブでも、身長が高い方が使うとアップライトになりやすく、身長が低い方が使うとフラットになりやすい特性があります。
そのため、長さやライ角を自分に合ったものに調整することが大切です。
また、クラブのライ角に合わせてアドレスするのも1つの手段ですが、本来のスイングが崩れてしまう可能性があるのであまりおすすめできません。
ライ角は、シャフトの長さを変えてみることで調整できます。
シャフトの長さを調整してもクラブのライ角自体は変わりませんが、構えたときの手の高さが変わるので、クラブをアップライトに扱えるようになります。
ゴルフクラブのシャフトは、1本1,000円前後で調整が可能。
とはいえ、シャフトの長さを変えることでアドレス時のライ角は調整できても、クラブ自体のライ角は調整できないので根本的な解決にはなりません。
あくまでも応急的なライ角調整として覚えておきましょう。
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近年はシャローなスイングが流行しているため、アップライトなスイングをしているプロは以前より少なくなりました。
とはいえ、アップライトなスイングを取り入れているトッププロも一定数存在し、うまくメリットを活かすことができれば、大きな武器になるでしょう。
しかし、アマチュアゴルファーが独学でアップライトのスイングを取り入れるのは、体全体の動きを習得する必要があり、難易度が高いといえます。また、体重移動がうまくいかないと手打ちになってしまうリスクも伴います。
そのため、まずは基本のスイングを体に染み込ませるところから始めましょう。
基本スイングの習得や、アップライトスイングなどのポイント練習は、オーダーメイドティーチングに強みをもつステップゴルフで取り組むのがおすすめ。
1人ひとりのレベルや目的に合わせて指導してくれるので、最短でゴルフの上達が目指せます。
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