スピン量は左右の方向性や飛距離などに大きな影響を与えるので、コントロールできると格段にゴルフのレベルが上がります。
しかし、スピン量のコントロールは難しく、簡単にできるものではありません。特にドライバーのスピン量を適切にするのは難しく、プロゴルファーでも日々試行錯誤を繰り返しています。
本記事では、スピンの基本や、ドライバーのスピンを増やす方法・減らす方法を解説します。
ドライバーのスピンに関する悩みを持っている方はもちろん、飛距離を伸ばしたい方や高い球を打ちたい方も、ぜひ参考にしてくださいね。
ゴルフのスピン量とは
ゴルフのスピン量とは、ゴルフボールを打った際に発生するスピン(回転)の量です。
スピンの種類と特徴を以下の表にまとめました。
バックスピンの特徴 | サイドスピンの特徴 |
---|---|
・スピン量が多いほど球が上がりやすい ・スピン量が少なすぎると飛距離ロスにつながる | ・スピンの回転方向にボールが曲がる ・スピン量が多いほどボールが大きく曲がる |
ゴルフのスピン量は球質に大きくかかわります。また、スピンが少ないボールは打つ際のコントロール性が低くなります。
スピン量が多ければよいわけではなく、そのクラブに合った適切なスピン量をかけるのが理想です。
なお、単にスピン量と表記している際は、バックスピンの量のことを指すことが多いです。この記事でも指定がない場合はバックスピンのことを指します。
スピン量と飛距離の関係
スピン量はヘッドスピード(クラブを振る速さ)やボール初速(打ち出したボールのスピード)と同様に、飛距離と大きくかかわる要素です。
しかし、スピン量を多くすれば飛距離がでるわけではなく、それをコントロールすることで飛距離を調節できます。もちろん、スピンをコントロールして意図的に球を飛ばさないようにすることも可能です。
スピン量が多すぎたり少なすぎたりすることのデメリット
スピン量が多すぎたり少なすぎたりすると、さまざまなデメリットが生じます。
例えば、バックスピン量が多すぎるとボールが吹き上がり(スピンで必要以上に高く上がり)、飛距離が落ちたり風に流されたりしやすくなります。また、バックスピン量を多くしようとするとスライス回転がかかりやすいので、右に大きく曲がる弱い球がでることもあります。
反対に、バックスピン量が少なすぎるとドロップ(ボールが途中で急降下)してしまい、飛距離を大幅にロスすることがあります。また、スピン量が少ないと地面ではボールが転がりやすくなるため、グリーンでボールを止めにくくなることもあります。
ドライバーのスピン量の適正値
ドライバーには適正なスピン量が存在します。
しかし、スピン量の適正値はヘッドスピードにより変化するので、全てのゴルファーに共通するわけではありません。
ドライバーのヘッドスピードごとの適正なスピン量と、飛距離目安を以下の表にまとめました。
ヘッドスピード | 適正スピン量 | 飛距離目安 |
---|---|---|
33~38m/s | 2,750~3,000rpm | 183~211y |
38~40m/s | 2,500~2,750rpm | 211~222y |
40~45m/s | 2,500~2,750rpm | 222~250y |
45~49m/s | 2,500~2,750rpm | 250~272y |
49~54m/s | 2,250~2,500rpm | 272~300y |
54m/s以上 | 2,250~2,500rpm | 300y以上 |
ヘッドスピードが速いときの打球ほど浮力がなくてもボールが適切な高さまで上昇するため、適正スピン量が少なくなります。
しかし、例えばスピン量が1,700回転しかなければ、よほどのパワーがない限りまともにボールが浮きません。ドライバーのスピン量は、「減らせばよい」と勘違いしている方が多いようですが、少なすぎても飛距離をロスします。
ドライバーの飛距離を伸ばしたいからといって、やみくもにスピン量を減らすのは逆効果です。
参考:アイアンやウェッジのスピン量の適正値
アイアンやウェッジのスピン量はドライバーと違い、適正値といえるものがありません。
正確には、狙っているショットによって必要なスピンが異なります。
例えば、100yの距離をウェッジで打つ場合、6,000回転以上スピンをかければほとんどのグリーンで止められます。10,000回転のスピンをかければ、グリーン上で強烈なバックスピンをかけることも可能です。
また、アイアンで普段よりも飛距離を出したい場合は、意図的にスピンを減らすこともできます。
アイアンやウェッジのスピン量をコントロールできると大きな武器になるので、さまざまなショットを試してみましょう。
「ステップゴルフ」では飛距離アップに必要な要素を丁寧にティーチングいたします。
ドライバーのスピン量が多い場合に考えられる原因
ドライバーのスピン量が多い場合は、以下の原因が考えられます。
- ドライバーのロフト角が大きい
- インパクト時にフェースが開いている
- 入射角がダウンブロー
まず考えられるのは、ヘッドスピードに対してロフト角が大きすぎることです。ドライバーはヘッドスピードが速くなるほど低スピンで打つ必要があります。
また、インパクト時にフェースが開いているケースもあります。例えば、ドライバーで高いスライスの球が出やすい方は、フェースが開いている可能性があります。
入射角(インパクト時にドライバーがボールに当たる角度)がダウンブローの方も、スピン量が多くなりがちです。低い打ち出しから吹き上がるような球が出やすい方は、ダウンブローを疑いましょう。
ドライバーのスピン量が少ない場合に考えられる原因
ドライバーのスピン量が少ない場合は、以下の原因が考えられます。
- 低スピンドライバーを使っている
- インサイドアウト軌道が強い
- インパクト時にフェースが被っている
ドライバーのスピン量が少ない原因でもっとも多いのが、ドライバー自体の性能によるものです。近年は低スピンドライバーが流行しており、スピン量を減らす技術が詰め込まれたモデルが増えています。
また、インサイドアウト軌道やアッパーブローが強すぎるスイングの方も、スピン量が少ない傾向にあります。
ドライバーでは適度なインサイトアウト・アッパーブローが有効ですが、やりすぎは逆効果なので注意しましょう。
ドライバーのスピン量を減らす方法・打ち方
ドライバーのスピンが多すぎると悩んでいる方は、以下の方法を取り入れると効果的です。
環境や予算に合わせて、簡単に実践できるものから試してみましょう。
ドライバーのロフト角を小さくする
ドライバーのロフト角を小さくするほどスピンが入りにくくなります。
例えば10.5度を9度にしたり、9度を使っているならカチャカチャ(ドライバーのロフト角調整機能)で1度立ててみたりなどの微調整が有効です。
単純な操作ですが、球質が劇的に改善する可能性があります。
ドライバーのシャフトを変更する
スピン量を抑える特徴のあるカスタムシャフトは数多く販売されているので、試してみる価値があります。
ドライバーのスピン量を減らしたい場合は、手元調子(手元側がしなりやすい)シャフトがおすすめです。手元調子のシャフトを利用すると弾道を低く抑えやすく、球が吹き上がりにくくなります。
アッパー軌道でインパクトする
アッパー軌道でインパクトすると、吹き上がらない、つかまった高弾道の球が出やすくなります。
高弾道で低回転の球が打てるので、ドライバーの理想的な弾道・スピン量が実現し、スピン量が減るだけでなく飛距離アップも期待できます。
また、スピン量が多い方の悩みに多いスライスの改善にも効果的です。
インサイドアウト軌道でスイングする
インサイドアウト軌道でスイングすると、スピンしすぎる方に多いスライス回転の改善につながります。
一般的に、スライス回転のかかる打ち方は球を擦るように打つので、バックスピンがかかりやすくなり、スピン量も増えます。
一方、インサイドアウト軌道で出やすいフック回転の球質はロースピンになりやすく、強い球が出やすくなります。ただし、やりすぎると引っかけのミスが多くなります。
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フックグリップを取り入れる
フックグリップ(アドレス時にフェースが被る形でグリップする)を取り入れる方法もあります。
あらかじめフックグリップでアドレスしておくことで、インパクト時にフェースが開くのを強制的に抑えられます。
ただし、フックグリップは根本的なスイングの改善にはなりません。
したがって、ラウンド中にどうしてもスピン量を抑えたいときなど、緊急時の応急処置として覚えておきましょう。
ドライバーのスピン量を増やす方法
反対に、ドライバーのスピン量を増やすには、以下の方法を用いると効果的です。
スピン量が多いドライバーに変更する
ドライバーを変更するとスピン量を増やせる場合があります。
例えば、ロフト角の大きいドライバーに変更すると、インパクト時の摩擦が増えてスピン量が増えます。
また、重心が深い(ヘッドの後方に重心位置がある)ドライバーには、スピンが効いた高い球が出やすい特徴があります。
ドライバーの性能やセッティング次第でスピン量は大きく変わるので、自分が求めるスピン量に合ったドライバーを選びましょう。
レベルブローでインパクトする
ドライバーのスピン量を増やすには、レベルブロー(横からまっすぐ払い打つ)で打つのが有効です。
スピン量が少ない方はアッパーブローでインパクトしている場合が多く、少し上から打ち込むイメージでレベルブローに打つと、適切なスピンになります。
当然、ダウンブローでインパクトするほうが多くのスピンを得られますが、必要以上にスピン量が増えてしまう可能性があります。
必要なスピン量に応じて、都度打ち込み方をコントロールできるのが理想です。
ウィークグリップを取り入れる
ウィークグリップでアドレスすると、インパクトでフェースが開きスピン量が増えます。
また、ウィークグリップを習得するとスピン量のコントロールや左右の方向性、さらにアプローチ時の球の高さ調整も可能なので、スイングの幅が広がるでしょう。
ちなみに、ウィークグリップは右に飛びやすく、スライスが出やすい握り方でもあります。スピンを効かせたいときだけでなく、絶対左に打ちたくないときなどにも有効です。
ゴルフのスピン量の調節にはゴルフスクールのレッスンが効果的◎
ゴルフのスピン量の調整は、プロゴルファーでも日々悩んでいる課題の1つであり、アマチュアゴルファーが自在に操るのは至難の業です。
しかし、スピン量をコントロールできるようになれば、ボールを自在に操れるようになり、スコアメイクにも良い影響を与えるでしょう。
とはいえ、記事や動画で学んだからといって、スピン量の調整は独学ですぐに習得できるようなものではありません。
プロのコーチにマンツーマンで教わることで、最速かつ正しく技術向上を図れるでしょう。
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