トップやシャンク、スライス、フックなどさまざまなミスショットの原因になる、スイング時の起き上がり。これほどのデメリットがありながら、起き上がりの自覚がない方や、直し方がわからない方が多くいます。
この記事では、起き上がりの原因や防止策を、スイング中の動き別に詳しく解説します。
また、起き上がりを直すドリルやトレーニングも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ゴルフスイングの起き上がりとは?
ゴルフの起き上がりとは、スイング動作の中で意図せずに上体が起きるエラーのことです。
ゴルフスイングでは前傾姿勢が基本で、この姿勢をキープしてスイングするのが理想とされています。
しかし、アドレスで作った前傾姿勢がスイング中に崩れると、体が直立するような形になるため、正確なショットの弊害となることが多いのです。
程度の差はありますが、ほとんどのアマチュアゴルファーがスイング中に起き上がっているといわれています。
疲れが溜まるラウンド後半になるほど起き上がりやすくなるので、中級以上の方でも、プレー中に一度も起き上がりをせずに18ホール回るのは難しいといえます。
ゴルフスイングの起き上がりのデメリット
スイング中に起き上がると、ショットへさまざまな悪影響を及ぼします。
主なデメリットは、以下の6つのミスショットが起こることです。
- トップ
- ダフリ
- シャンク
- スライス
- フック
- ひっかけ
スイング中に上体が起き上がると手元が上下に動くため、打点が安定しません。
ダウンスイング時の起き上がりによって手元が高くなれば、ボールの頭を打つトップが出やすくなります。反対に、バックスイング時の起き上がりの反動でダウンスイングで体が沈み込めば、ダフりやすくなります。
また、インパクトで起き上がると、そのままではクラブがボールに届かないため、反射的に腕が伸びてクラブのネックにボールが当たり、シャンクがでることがあります。
起き上がった状態でインパクトを迎えるとフェースが右を向きやすいため、スライスがでることもあります。それを嫌がって手元でフェースを返そうとすると強烈なフックが出たり、アウトサイドインのクラブ軌道によってひっかけることもあります。
このように、起き上がりは多くのミスショットの原因となるため、上記のミスがでる方は前傾姿勢を保ったスイングができているか確認してみましょう。
ゴルフスイングの起き上がり、その原因は?
スイングで上体が起き上がる原因はさまざまです。
その中でも多いのが、ボールへ当てる意識や遠くへ飛ばそうとする意識の強さから、前傾姿勢が崩れてしまうケース。
この場合、体の回転ではなく手元を動かしたスイングになりやすく、上半身に力みが生まれます。腕で力いっぱいクラブを振るため、スイングの反動で上半身が起き上がることが多いのです。
また、ダフリたくないという気持ちから、無意識に上に逃げようとして体が起き上がることもあります。このようなスイングは、ボールとの距離を腕の曲げ伸ばしで調節するようなスイングになりがちなので、正確なショットが難しくなるでしょう。
さらに、ドライバーなどの長いクラブでは、スイング時にかかる遠心力も大きくなるため、より上体が起き上がりやすくなります。ちなみに、起き上がったほうが楽にスイングできるので、疲れた時にも起き上がりやすくなります。
【動き別】ゴルフスイングの起き上がりの原因と防止策
ゴルフの起き上がりは、バックスイング時やインパクトの瞬間など、スイングする動きの各所で起こります。
ここでは、起き上がりの原因と防止策について、スイング中の動き別に解説します。
起き上がるタイミングは、以下の5つのパターンです。
- バックスイングでの起き上がり
- ダウンスイングでの起き上がり
- インパクトでの起き上がり
- フォロー・切り返しでの起き上がり
- アドレスでの起き上がり
それぞれ解説しますので、自分がどこで起き上がっているのかを確認しながら参考にしてくださいね。
バックスイングでの起き上がり
バックスイングの起き上がりは、その反動でダウンスイングで体が沈み込んでしまうため、ダフる原因になります。
バックスイングで起き上がる主な原因は、回転不足による右へのスウェーです。
テークバックで左膝が右へ移動した際、体の回転が足りないと腰もつられて右へ流れやすくなります。
クラブを腕で上に持ち上げるような形になるため、トップで上体が起き上がるのです。
これを防ぐには、左膝をボールに近づけるように動かすのがポイント。左膝が右へ移動するとスウェーしやすくなるので、膝が前のボールへ向くように動かし、右腰を後ろへ引くように回転させます。
こうすることで、前傾姿勢を保ちつつ、腰を回したバックスイングができるはずです。
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ダウンスイングでの起き上がり
ダウンスイングの起き上がりは、腕の力だけでクラブを振っていることが主な原因です。
腕力に頼ったスイングは腕に余計な力が入るため、クラブを振り下ろす反動で上体は起き上がります。アドレス時より手元の位置が高くなるので、トップやシャンクといったミスが出やすくなるでしょう。
ダウンスイングでは下半身主導のスイングが求められます。下半身に重心をおき、体の回転に腕がついてくるイメージでスイングしてみましょう。
インパクトでの起き上がり
インパクトで起き上がるのは、地面を蹴る力が上体に伝わっていることが主な原因です。
地面反力を使ったスイングは飛距離アップに効果的ですが、力が上に伝わると上体が起き上がります。
地面から返ってきた力をボールへ伝えるには、ダウンスイングで右膝を目標方向へ回すよう意識しましょう。
こうすることで、地面反力を体の回転力に変換できるため、起き上がりを防ぎながらボールに力を伝えられます。
また、ダウンスイングの早い段階で手首がほどけるアーリーリリースも、インパクトで起き上がる原因です。
ダウンスイングでアドレス時よりもヘッドが地面に近くなるため、ダフるイメージが生まれます。
ダフりを避けようと反射的に上体が起き上がりやすくなるので、ハンドファーストの形でのインパクトを意識しましょう。
フォロー・切り返しでの起き上がり
フォローや切り返しで体が起き上がることもあります。
フォロースルーで起き上がるのは、インパクトを迎えるまでに加速したスイングの勢いを上半身が抑えられないことが主な原因です。
練習を積むにつれてスイングスピードが上がりますが、その勢いに体が耐えられず、フォロースルーで上体が起き上がることがあります。
また、インパクト前に目標方向を見上げるヘッドアップも原因のひとつです。
フォローでの起き上がりを防ぐには、スイングの反動に耐えられる体幹作りと、インパクト後まで上体を押さえ込む意識が必要です。インパクトで右肩が顎の下にくるまでは、体の起き上がりを我慢するよう意識しましょう。
切り返しで起き上がる場合は、右膝が前に出ていることが原因です。ダウンスイングに移行する際に右膝が前にでることで、上体が起き上がるようになります。
右膝を前ではなく目標方向へ向けることで、切り返しからダウンスイングに移行する際の起き上がりを防げるでしょう。
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アドレスでの起き上がり
意外にも多いのが、アドレスの時点ですでに上体が起き上がっているケース。
初心者はアドレスで棒立ちになることがありますが、前傾姿勢を意識するあまり、背中を反ってお尻を突き出す「反り腰」になっていることも多いようです。
反り腰は不自然に胸を張った姿勢になるため、スイング中に前傾姿勢を崩しやすくなります。
猫背の癖がある方が背筋を伸ばそうと意識しすぎることも、反り腰になりやすい原因です。
腰を痛めることもあるので、アドレス時の姿勢をよく確認してみましょう。
ステップゴルフのプロのインストラクターが、あなたのスイングの課題を見つけます。
ゴルフスイングの起き上がりを防止・矯正するための練習
スイングでの起き上がりを直すには、前傾姿勢を維持するドリルや矯正器具を活用するのが有効です。
この章では、起き上がりを防止・矯正するための練習方法について、以下の3項目に分けて解説します。
- 起き上がり防止(前傾姿勢維持)ドリル
- 起き上がり防止器具
- 起き上がり防止に役立つトレーニング(筋トレ)
順に解説します。
起き上がり防止(前傾姿勢維持)ドリル
練習ドリルとして効果的なのが、壁を使ったドリルです。
- 両手を胸の前でクロスし、壁に向かって前傾姿勢をとります。
- 壁に頭をつけて腰と肩の回転運動をおこないます。
- 繰り返します。
また、お尻を壁につけてスイングするドリルも有効です。常に左右どちらかのお尻を壁につけてスイングすることで、前傾姿勢を保つことができます。
- (右打ちの場合、)バックスイングでお尻の右側を壁につけます。
- ダウンスイングでお尻の左側を壁につけます。
- 繰り返します。
起き上がり防止器具
起き上がりの防止には、練習器具を活用するのも効果的です。
例えば「トライワン マルチスイングスティック」は、先端が曲がった素振り用アイテムで、スイング中の手元の浮きを防いでくれます。
上体の起き上がりによる手元の浮きを防止できるため、矯正器具として役立つでしょう。
もっと手軽な器具を使いたい場合は、グリップエンドに約100gほどの重りをつけて使う「グリップエンダージャンボ」というアイテムもあります。
手元が重くなることで軽い力でスイングできるようになり、起き上がりの原因である腕を使ったスイングの防止に役立ちます。また、グリップエンドが重くなるため、手元が浮きにくくなることも起き上がり防止に効果的です。
起き上がり防止に役立つトレーニング(筋トレ)
スイング中に起き上がる原因のひとつに、前傾姿勢を維持するための筋力不足があります。
起き上がりを防ぐには、体幹であるインナーマッスルや背筋を鍛えることが有効です。
体幹を鍛えるには、プランクトレーニングが効果的。
うつ伏せの状態で両肘を地面につけ、腰を浮かせてキープするトレーニング法です。
プランクトレーニングでは、腹筋や腰回りの腸腰筋など、前傾姿勢を保つのに欠かせない筋肉を鍛えられます。腹筋を鍛えられるため、猫背の癖がついている方にも効果的です。
また、背筋も前傾姿勢を支える重要な部分。
背筋を鍛えるには、うつ伏せの状態で足を固定し、上半身を上下に動かすトレーニングをおこないましょう。
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ゴルフスイングの起き上がりは、ショットにさまざまな悪影響を与えるため、早めに直しておきたい癖です。
しかし、自分ではどのタイミングで起き上がっているかを特定するのが難しく、なかなか改善できずに悩んでいる方も多いでしょう。
ゴルフ上達の弊害となる起き上がりを直すには、専門家の指導が最も効果的です。
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起き上がりなど、スイングの悪い癖について的確なアドバイスを受けられるので、独学よりも効率良くゴルフを学べるはず。
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