「アドレスを見れば腕前が分かる」といわれるほど、アドレスはスイングにおいて重要です。
この記事では、アドレスの基本を確認した上で、ドライバーからパターまでクラブやショットの種類に分けて形を整理し、初心者がつまずきがちな疑問にお答えします。
ゴルフで「アドレスがすべて」といわれる理由
プロゴルファーやゴルフでシングルといわれる上級者は、アドレスに入るルーティーンを決めています。
例えば、プロのトーナメントで「ボールの後方で打ち出す方向をチェックして素振りを行い、片手でクラブを持ってアドレスに入り、足踏みをしながらスイングの始動に向けて微調整する」、そんな光景を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
アマチュアでもシングルと呼ばれる上級者は、プロと同じくスイングするまでのルーティーンに時間をかけています。
プロや上級者は、ゴルフクラブの「構え方」はもちろんのこと、「構える方向」がショットの成功やスコアに大きく影響すると考えているため、スイングよりもアドレスに長い時間をかけていることが分かります。
これをみると、ゴルフのショットは「アドレスがすべて」といわれるのもうなずけます。
一方、ゴルフ初心者は、アドレスに入ってからも、打ちたい方向をチェックしてみたり、せっかく打ちたい方向に狙いを決めたのに、何度も素振りを繰り返したりして、スイングに集中しがちです。
「スイングはよくなったといわれるけど、スコアが向上しない」という方は、まずはアドレスから見直してみましょう。
【基本編】アドレス(構え方)を正面から見たときの形
アドレスを正面から見たとき、ポイントになるのが手と足の形です。
「プロによってアドレスが違う」という意見もありますが、正しいスイングを行うために共通している基本の形があります。
ここでは、アドレス(構え方)の基本について解説します。
手の位置
アドレスの手の位置でポイントとなるのは「高さ」と「場所」です。
手の高さは、前傾角度と手首の使い方で変わります。
正しい「手の高さ」は、前傾をした状態でダランと腕を垂らし、そのまま手を合わせた(グリップ)位置です。ここがクラブを一定の動きで振り子のように回転させるのに、調度よいポジションです。
このとき、前傾の姿勢にも注意しましょう。最初は膝を伸ばさず、背中をまっすぐにしたまま前に身体を倒します。
前傾が浅いと手は体に近くなり、深いと体から離れてしまうので、目安として拳2個が体から手が離れていることを意識してみてください。
また、初心者は手をボールが置いてある方向に突き出しがちなので、正しい手の位置は「肩の真下」と覚えておきましょう。
手の場所は、中心よりもハンドファーストになる「左脚のつけ根」にグリップエンドがくる位置です。クラブシャフトを自分の左目の前に立てて、ゆっくり下ろしてみるとイメージしやすいでしょう。
手の力が強い方は、左脚のつけ根よりさらに左サイドへ手の位置がきてしまうことが多く、力みも加わって手の高さも上がりがちです。
今後、前傾した状態からダランと腕を垂らし、ややハンドファーストになる左脚のつけ根にグリップエンドがくるという、この2点を意識して練習してみましょう。
足の位置
アドレスの足の位置では「広さ」と「つま先の向き」に注意します。
足の広さは、肩幅から肩幅、プラスマイナスシューズ1足分程度が基本です。
ミドルアイアン(アイアンの7番あたり)を使う時を肩幅として、ウッドやドライバーは右足で調整して、肩幅プラスシューズ1足分、ショートアイアンやウェッジは肩幅マイナスシューズ1足分と覚えておきましょう。
つま先の向きは、真正面よりも10度程度外側に開いた状態が基本です。
状況によっては真正面にそろえてもよいのですが、つま先が開いている状態の方が体は回りやすく、手打ちを防止するのに効果的といわれています。
【ドライバー編】アドレス(構え方)を正面から見たときの形
基本のアドレスと比較して、一番長いドライバーでは足の位置は広めになります。下半身がより安定し、体重も大きく移動することができるので、大きなスイングをするのに適しています。
また、ボールの位置が最も遠くなるドライバーでは、アイアンよりもボールを斜めから見ることになるため、正面から見るとプレーヤーの顔全体がしっかり見えます。
ドライバーのアドレスでは前傾角度が浅くなりがちなので、アッパースイングになる棒立ちの姿勢になることがあります。基本となる前傾や手の形をもう一度、しっかり意識することが大切です。
【アイアン編】アドレス(構え方)を正面から見たときの形
アイアンの構え方は、アドレスの基本の形をそのまま使うことになりますが、番手によってクラブが短くなる場合は、基本を少し変えていく必要があります。
ウェッジやショートアイアンなどの短いクラブでは、手の位置は変わりませんが、足の位置を狭くし、つま先の向きは角度を変えず正面に近くしましょう。
飛距離を伸ばさなくてもよいため、回転を鋭くさせることで、よりショットを正確にするのです。
逆にロングアイアンでは、基本とほぼ変えなくてもよいのですが、足の広さを微調整し、自分に合ったアドレスを探してみてください。
【パター編】アドレス(構え方)を正面から見たときの形
アイアンやドライバーなどのクラブとボールを遠く飛ばす必要のないパターのアドレスは、全く別物と思われがちですが、実は共通点が多くあります。
まずは手の位置です。
ボールを真上から見るパターでは、ほかに比べて前傾角度と腕にゆとりを持たせるなどの違いはありますが、手の位置自体は変わりません。
パターも通常のクラブ同様、肩からダランと腕を垂らした位置で、左脚のつけ根位置にグリップエンドが向くように構えましょう。
次に足の位置ですが、足の広さは通常のショットと同じで、肩幅が基本です。
ただし、ウェッジやショートアイアンと同じように体を回す必要がないため、つま先の向きは基本と変えて角度をつけず正面にします。
このように、アドレスについてはパターもほかのクラブと同じように練習すればよいでしょう。
「自分のアドレスやスイングが正しいのか分からない……。」という方は経験豊富なゴルフインストラクターに見てもらうのがおすすめ!
初心者にありがちな正面から見たときのダメなアドレス
スイングに集中しがちな初心者ゴルファーには、やりがちなアドレスの形があります。
ここでは、その「ダメアドレス」の3パターンを紹介します。
棒立ちアドレス
最も多い「ダメアドレス」が、棒立ちアドレスです。
その特徴は、浅い前傾角度と重心位置が後方(踵方向)にあることです。
体が棒立ちになってしまうので、ボールを横から見る形になります。すると、手の位置が前に突き出てしまい、アウトサイドインのアッパースイングになってしまいます。
棒立ちアドレスをしてしまいがちの方は、基本のアドレスを理解して、まずは前傾姿勢をしっかり意識して取ることから意識していきましょう。
膝曲げ過ぎアドレス
下半身のフットワークを使うスポーツをやっている方に多い、「ダメアドレス」です。
下半身が安定しているようにみえるため、一見、力が入りやすそうですが、膝が曲がり過ぎていると地面を蹴る力が弱くなるため、思い切り振っているつもりでも逆にスイングスピードは遅くなります。
膝を曲げ過ぎがちな方は、基本のアドレス通りに、まずは足の位置を意識するようにしましょう。そして、力んで大振りするのではなく、軽くリラックスして、するどい回転で打つスイングを心がけましょう。
反り腰アドレス
基本に忠実な方や上半身の体が柔らかい方が陥りやすい、「ダメアドレス」です。
腰が反ってしまっていると、体が固まってしまい、スムーズにターンできません。最悪の場合、腰を痛めたりしてしまいます。
初心者だけでなく中級者にも多い「ダメアドレス」で、回転がしにくく、手打ちになりがちです。
背中ではなく、お腹に力を入れる意識を持ち、上半身と下半身の連動に注意するようにしましょう。
【FAQ】ゴルフのアドレスについてのよくある質問
初心者から上級者まで、アドレスへの悩みは尽きないといわれています。
ここでは、アドレスについてよくある質問を紹介します。
Q1 正面から見たプロのアドレスの形に特徴はある?
プロのアドレスでは、背の高さや手・足の長さなどで若干の違いはあるものの、基本となる手と足の位置に変わりはありません。
ただ、その中でもスイングのタイプにより違いが生まれます。
例えば、スイングタイプの代表的な分類に4(フォー)スタンス理論があります。
これは、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の廣戸聡一氏が考え出した、人間の体の特性を重心のかけ方からみて4つに分類した理論です。
ゴルフにはさまざまなスイング理論が存在します。スイング理論の多くは、「〇〇の場合は……」のように、各々のスイングの特徴に合わせた前提が敷かれており、正しく読み解くには一定の経験が必要です。その前提となるスイングの特徴を4つの[…]
自分と同じスタンスでアドレスをしているプロを見つけた場合、そのプロのスイングタイプを知ることで上達につながるでしょう。
Q2 アドレス時の体とボールとの距離はどれくらいがベスト?
アドレス時の「体とボールとの距離感」について、課題を感じているゴルファーも多くいます。
体とボールとの距離を測る際、前傾角度がポイントになります。
これまで学んだルールをもう一度思い出してみましょう。前傾をしたときにダランと真下に垂らした場所が正しい手の位置で、そのままグリップしたときのボールと体の位置関係が、正しいボールとの距離です。
手が肩よりもボール寄りに出てしまっていたり、手が体に近い位置で窮屈になっていたりする場合は、手の位置を見直すようにしましょう。
Q3 アドレスで目標方向にまっすぐ立つ方法は?
アドレスで目標に向けてまっすぐ立つためには「アドレスに入る前のルーティーン」を大切にする必要があります。
ここではそのルーティーンとなる基本ポイントを4️つ紹介しますので、後で自分なりのルーティーンを探してみてください。
- ボールの正面に立ち、直立したまま肩幅に足を開く
(ただしゴルフクラブによって調整する) - 足を伸ばしたまま前傾をする
- つま先よりも膝が前に出ない程度に、膝を軽く曲げる
(膝は「軽く」曲げることが大事) - 腕をダランと垂らした位置でグリップする
Q4 アドレス時の手と体の距離は?
アドレス時の手と体の距離は、拳1.5個から2個分にするようにとよくいわれています。これは、ボールを打つときに力が最適に伝わるために考えられた距離なのです。
体をしっかりと回す必要のあるドライバーでは拳2個分、ショートアイアンやウェッジなど体の回転が少ないクラブでは、拳1.5個分と覚えておきましょう。
アドレスの形は画像より、レッスンで直接見てもらったほうが確実◎
正しい構え方を身につけるとスイングが安定し、構える方向まで意識することができるとミスの軽減につながります。
初心者だけでなくアドレスがしっくりこないと感じているゴルファーは、手や足の位置を意識することで、スイング向上やスコアメイクが期待できます。
しかし、正しいアドレスかどうかは、写真や動画を撮っても自分では判断しにくく、誤った形で覚えてしまっては上達の足かせになりかねません。
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