ゴルフをしていて「肩甲骨を意識して!」と言われたことのあるゴルフ初心者の方も多いのではないでしょうか。
肩甲骨をうまく使うことは重要である一方で、動かし方を間違えればケガに繋がるのも実情で、安易に取り組めない課題でもあります。
本記事では、ゴルフスイングにおける肩甲骨の動きや痛みが出る原因を解説します。また、肩甲骨の柔軟性や筋力を上げるストレッチも紹介するので、参考にしてくださいね。
ゴルフにおける肩甲骨の動き
ゴルフにおける肩甲骨の動きについて、「振る」や「引く」のがどのような意味を持つのか解説します。
肩甲骨で「振る」「打つ」ってどういうこと?
肩甲骨を使って「振る」「打つ」動きとは、バックスイングで回転した捻転差(上半身と下半身の捻じれ)を戻す動作を指します。
基本的に上記の動作は切り返し(バックスイングとダウンスイングの間)以降に意識する動作であり、インパクトに大きな影響を与えます。
肩甲骨を「引く」「寄せる」ってどういうこと?
肩甲骨を「引く」「寄せる」とは、バックスイングの際に左右の肩甲骨が近づくような動作です。
体の構造上、上半身をリラックスした状態でバックスイングをすれば自然に左右の肩甲骨が寄ります。
肩甲骨が「寄る」動きがわかりにくい方は、リラックスした状態から両肘を後ろに引っ張り胸を張ってみると、肩甲骨が寄って力が入っているのがわかるはずです。
これらの動作を意識してバックスイングすることで、上半身と下半身に捻転(ねじれ)が生まれ、ダウンスイング以降にパワーが生まれやすくなります。
肩甲骨で「回転する」ってどういうこと?
肩甲骨で「回転する」動作は、全身を使った正しいスイングに必要な動きです。
先述した、「振る」「引く」などのスイングでの肩甲骨の動作は、肩甲骨を回しながら行われます。
じょうずに肩甲骨を使うためには、「回転する」動作が必要なのを覚えておきましょう。
【アドレス】ゴルフにおける肩甲骨の使い方
アドレス時の正しい肩甲骨の使い方を解説します。
正しいスイングをするには正しいアドレスをとることから。ラウンド時も再現性の高いアドレスをとれるよう練習してみましょう。
肩甲骨を後ろに引く
効率的なゴルフスイングをするには、肩甲骨を軽く後ろに引いた状態でアドレスしましょう。
ポイントは背筋がまっすぐになること。鏡などでチェックしながらアドレスを作ると形を覚えられますよ。
肩甲骨を軽く後ろに引くことで体と腕の同調が生まれ、手打ちになりにくいアドレスができます。
また、正しい頭の高さで構えられるので、ダフリやトップの防止にも効果的です。
ゴルフの雑誌やネットのレッスン記事などをみると「手打ちはダメだ!」とよく書いてあります。たしかに、手打ちは飛距離が出ない、手打ちだと球が曲がりやすいなど、手打ちはゴルフのスイングにとってあまりよくないようです。しかし、一方で[…]
反りすぎない
肩甲骨を引く意識が強すぎると過度に肩甲骨を引っ張った状態になり、窮屈でこぢんまりしたスイングになります。
このような状態でスイングすると、顕著に飛距離が落ちるので、肩甲骨を引く意識による反りすぎには注意しましょう。
背中を丸めすぎない
肩甲骨を意識できていない方は、背中が丸まったアドレスになりやすい傾向にあります。
背中が丸まると猫背のようなアドレスになり、全身のバランスが悪いスイングになります。
ミート率やパワーが落ちるのはもちろん、スウェー(スイングで体が前後する)や手打ちの原因に直結するので、背中の丸めすぎはスイングの効率悪化につながります。
アドレス時に背中が丸まって見える方は、肩甲骨を引く意識を持ってみましょう。
【スイング】ゴルフにおける肩甲骨の使い方
アドレスの次は、肩甲骨を使ったスイングについて解説します。
ただし、正しいアドレスができている前提で解説するので、アドレスに不安がある方は前章を理解してからチェックしてくださいね。
左肩甲骨を開いて深いトップを作る
バックスイング時には左肩甲骨を開いて使うのがポイントです。
肩を内旋する(前方に左肩が食い込む)のが理想で、トップポジションでは目と肩とボールの位置が直線になるような形を作ってみましょう。
一方、バックスイングで左肩甲骨を開かないと極端にアップライトスイング(縦振り)になり、体を捻転させられません。
左肩甲骨を開いた状態でトップを作るとダウンスイングでインサイドからクラブが入りやすく、力強いドローボールが打てるようになります。
また、飛距離を出すためには深いトップが不可欠です。
左肩甲骨の開きをイメージできない方は、左肩から背中の内旋を意識して取り組んでみてくださいね。
右肩甲骨を開いて長いインパクトゾーンを作る
トップからダウンスイング、インパクトにかけて右肩甲骨を開くことで、長く安定したインパクトゾーンを作れます。
ダウンスイングで右肩甲骨を開くためには前傾キープしたままの回転運動が必要です。
前傾キープが崩れると上半身の回転が止まり、右肩甲骨が開かない手打ちのスイングになります。
ダウンスイングからフォロースルーにかけては、前傾キープと上半身の回転を意識してみましょう。
また、右肩甲骨を開いてダウンスイングすることでチキンウィング(フォロースルーで左ひじが折れるスイング)の防止にもなり、かっこいいフィニッシュを決められるはずです。
肩甲骨を下げて使う
スイングの際には肩甲骨を下げる(なで肩のような状態)意識が大切です。
肩甲骨を下げることで左右の肩甲骨を開閉させやすくなり、手打ちや起き上がりの防止になります。
一方、いかり肩のように胸を反った状態でスイングすると肩甲骨を開閉しづらく、肩甲骨の動きがない手打ちスイングになりがちです。
体質や体型によってなで肩が作りにくい方は、アドレスに入る前に両腕を後ろから回しこんで(水泳のバタフライのような動き)みてください。
肩が柔らかくなり肩甲骨が動くのが分かるはずです。
肩甲骨を動かすのが苦手な方は、上記の動きをスイング前のルーティン(スイング前に毎回やる動作)にしてみるとよいかもしれませんよ。
肩甲骨の正しい使い方は、ゴルフスクールのレッスンで身に付けよう◎
【FAQ】ゴルフにおける肩甲骨の動き・使い方に関するよくある質問
ゴルフにおける肩甲骨の動きや使い方に関するよくある質問に回答します。
クラブによって肩甲骨の使い方は異なる?
肩甲骨の使い方は基本的にどのクラブでも同じです。
ただし、クラブの長さによってスイングプレーン(スイングした際のクラブが通る軌道)が異なります。
スイングプレーンはクラブが長くなるほど角度が地面と水平に近くなり、シャロー(鈍角)なスイングになるのが基本です。
したがって、肩の動き自体は同じであるものの、肩が動く角度が異なるのを覚えておきましょう。
ゴルフのパターではどのように肩甲骨を使えばよいの?
パターでも肩甲骨を効率的に動かせれば安定したストロークにつながります。
具体的には、肩甲骨を開いた状態(なで肩)でアドレスし、その際に胸の前にできた三角形を崩さないようにスイングするのがポイントです。
一方、手打ちでスイングすると、簡単に三角形が崩れてしまい安定したストロークができません。
安定したストロークをするには、テークバックで右肩甲骨を少しだけ引き、インパクトからフォローにかけて左肩甲骨を少しだけ引いてみましょう。
肩甲骨を少しずつ開閉させることで肩主体の上半身を使ったストロークになり、安定して距離感と方向性を合わせられるようになりますよ。
「肩甲骨下角を極める」とは?
「肩甲骨下角を極める」とは、肩甲骨を効率的に活用したスイングのことです。
肩甲骨を正しく開閉したスイングのことを指すので、ここまで解説した動きをマスターすれば自然と、「肩甲骨下角を極めたスイング」ができているといえます。
肩甲骨の動きをマスターすればドライバーの飛距離アップにつながる?
肩甲骨を使いこなせるようになれば、ドライバーを含むすべてのクラブで飛距離アップに繋がります。
力強いスイングをするための準備として、バックスイングの際に肩甲骨を引くのがポイントです。
ゴルフで肩甲骨に痛みが出るのはなぜ?
ゴルフスイングで肩甲骨の痛みが出る方は多く、別名「スイングショルダー(ゴルフ肩)」とも言われるほどよくある症状です。
肩甲骨に痛みが出る方の多くは柔軟性不足の状態で、筋肉を無理に引っ張ってスイングすることが原因だといわれています。
特に左肩甲骨の柔軟性不足によるバックスイング時の痛みが多いようで、痛みがあるままゴルフスイングをするとプレーに支障をきたします。
また、右肩甲骨に痛みが出る方はダウンスイング時の負荷が原因のケースが多く、年齢が高くなるほど発症率が高いようです。
痛みの改善方法は?
ゴルフで肩甲骨に痛みが出ている場合は、日頃からのストレッチにより柔軟性を高めることで痛みの原因を改善できるでしょう。
先述したとおり肩甲骨の痛みの原因のほとんどが柔軟性不足によるものなので、肩甲骨周りが柔軟になれば根本的な痛みの解決につながります。
また、現在は痛みがない方も柔肩甲骨を柔らかくすることでケガの予防になるので、ぜひ日常的にストレッチしておきましょう。
あまりに痛い場合は病院に行ったほうがよい?
生活に支障をきたすほど肩甲骨を痛めた場合は、病院に行ったほうがよいでしょう。
ゴルフが原因の肩甲骨の痛みには、以下のようなケガの可能性があります。
- 腱板損傷
- 腱板断裂
- 変形性関節症
- 上腕二頭筋腱損傷
- 肩峰下インピンジメント
それぞれ治療法が異なり、放置しておけば悪化するケガもあります。
また、検査により病名が分かれば効果的な治療・リハビリができるので、効率よく競技復帰できるはずですよ。
肩甲骨が硬い人向け!柔軟ストレッチ
肩甲骨が硬い方に向けて、ゴルフスイングに役立つ柔軟ストレッチを紹介します。
肩甲骨のストレッチをするとケガの防止だけでなく飛距離や正確性の向上にも繋がるので、ぜひ取り入れてみてください。
両腕を左右に開いて回すストレッチ
両腕を左右に開いて回すストレッチは、肩甲骨が柔らかくなり、可動域の向上につながります。
やり方を以下の通り。
- 両手を左右に開いて手のひらを体の外側に向ける
- 肩甲骨を意識して腕をゆっくり回す
- 前後10回ずつを数セット続ける
ポイントは、セットごとに回す幅を変化させること。
回転の幅を変化させることで、より多くの筋肉をほぐすことができ、ストレッチの効果が高まります。
狭いスペースでも簡単にできるので、寝る前や練習の前後に取り入れてみてください。
ドライバーのグリップエンドを持って前屈するストレッチ
ドライバーのグリップエンドを持って前屈するストレッチは、肩甲骨だけでなく背中全体や下半身を伸ばすのに有効です。
やり方は簡単で、ドライバーのグリップエンドを持ったまま前屈し、背中を伸ばしたまま上半身を前方に倒していきます。
ポイントは、可能な限り上半身を倒すことで、体の背面全体の伸びを感じること。
練習場やラウンド前に実践すると体の背面が動きやすくなるので、ぜひ取り入れてみてください。
バンザイの体勢から肩甲骨を寄せるストレッチ
次は、お風呂上りや就寝前におすすめのストレッチです。
やり方を以下の通り。
- 背筋を伸ばして両手を上に上げる
- 片腕づつ肘を曲げるようにして肩甲骨を寄せながらおろす
- 1分間交互に繰り返す
腕をおろす際に肩甲骨を寄せるのがポイントです。
肘を少し後方に下ろす意識をすると効果的で、肩甲骨が閉じるのを感じられるはずです。
このストレッチは肩甲骨の柔軟性アップだけでなく筋力強化にも繋がるので、飛距離アップしたい方は試してみましょう。
ゴルフはほかのスポーツと比べて激しい動きなどがないので、準備運動やストレッチを入念に行わずしてプレーに臨むアマチュアゴルファーの方も多いでしょう。しかし、ゴルフは体の柔軟性が命とも言われており、プレー前はもちろん、日ごろから体を柔ら[…]
ゴルフにおける肩甲骨の使い方は、プロに教わってマスターしよう◎
ゴルフスイングにおいて肩甲骨の動かし方はキーポイントで、マスターすれば正確でパワフルなショットを手に入れられるでしょう。
とはいえ、細かな肩甲骨の動きをコントロールするのは難しく、独学で簡単に習得できるものではありません。
また、無理に動かそうとするとケガをするリスクもあるので、経験豊富な指導者にマンツーマンで見てもらったほうが安心です。
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