優れたパッティングにおいて大事な要素の1つが、パターの握り方です。
今回は、パターの握り方の1つ「クロウグリップ」を紹介します。有名ツアープロが取り入れていることもあり、近年ではアマチュアにも浸透している握り方です。
この記事では、クロウグリップの種類や握り方のほか、メリット・デメリットについても詳しく説明します。パッティングに悩んでいる方や、新しい握り方に興味がある方はぜひ参考にしてくださいね。
ゴルフのクロウグリップとは
ゴルフのクロウグリップとはパターの握り方の一種で、右手を鳥獣の爪(claw=クロウ)のようにするのが特徴です。
右手は握るというより「添える」感じですが、これには「右手の動きを抑える」狙いがあります。
無意識に右手が動いてしまうのを防ぐことで、ストロークの安定性を高めることが可能になります。
見た目が独特なのに加え、かつては「パットが苦手な人の変則グリップ」というイメージもありましたが、近年ではプロアマ問わず採用するゴルファーが増えています。
近年主流の大型パターとも相性がよく、よりオートマチックなストロークを体感できるでしょう。
クロスハンドグリップとクロウグリップの違い
クロスハンドグリップとクロウグリップは、どちらも右手の動きを制御できるパターのグリップ方法です。両者とも左手主導でストロークする点は共通していますが、右手の支え方に違いがあります。
クロスハンドグリップは、左右の手の上下を入れ替える握り方です。つまり、右手が手前になります。左手がシャフトと一体になるほか、左手が下になることで両肩の高さを同じにしやすいメリットもあります。
一方、クロウグリップは、左右の手を入れ替えるのではなく、右手の親指と人差し指でグリップを挟むようにして握ります。右手の甲は正面を向き、「添えるだけ」なので、クロスハンドよりも右手の動きを抑えられます。
ゴルフのクロスハンドグリップは、クラブの握り方の1つです。主にパターでの使用シーンが多く、プロをはじめ多くのゴルファーが取り入れています。この記事では、ゴルフのクロスハンドグリップについて、メリット・デメリットから握り方・打[…]
パターでクロウグリップを用いるプロは増えている?
「パットイズマネー」という名言があるように、グリーン上でのパフォーマンスが勝敗を分けるのがプロの世界。
パッティングの向上へ試行錯誤を繰り返すプロがほとんどですが、そのなかでクロウグリップの採用率は徐々に増加してきました。
そこで、クロウグリップを披露している主なプロゴルファーをまとめてみました。
- コリン・モリカワ
- ジャスティン・ローズ
- トミー・フリートウッド
- 高橋 彩華
- 桑木 志帆
- 堀 琴音
- 原 江里菜
- 吉田 弓美子
国内女子ツアーでは近年、パッティングスタイルの多様化が急速に進んでおり、クロウグリップを取り入れるプロも増えています。
海外に目を向けると、2023年のZOZOチャンピオンシップを制したコリン・モリカワはクロウグリップの使い手。リオ五輪金メダルのジャスティン・ローズやトミー・フリートウッドといった実力者も採用しており、繊細なタッチが求められるグリーンで効果を発揮していることがうかがえます。
クロウグリップのメリット・デメリット
どんな握り方にも一長一短があるものです。ここでは、クロウグリップのメリットとデメリットについて紹介します。
メリット
クロウグリップの最大のメリットは、ストロークの安定感を高められることです。
右手に余計な力が入らないのでまっすぐ打ち出しやすく、プッシュアウトや引っ掛けなど左右どちらのミスも出にくくなるでしょう。また、パンチが入って打球が強くなったり、逆にインパクトで緩んだりといったミスも防げます。
一定のリズムでまっすぐ打ち出すことができるクロウグリップは、特にショートパットで強みを発揮します。
「1メートルのパットで1メートルオーバーしてしまう」。ショートパットでそんな悩みを抱えている方は、クロウグリップを試してみるとよいかもしれません。
デメリット
ショートパットに強いクロウグリップですが、右手に力を入れられないためボールを強くヒットするのは難しいです。
20メートル以上もあるようなロングパットや、芝目が強く転がりにくいグリーンでのパッティングにはあまり適していないといえるでしょう。
また、習得までにある程度の時間がかかることにも注意が必要です。
ほかのグリップ法とは大きく異なるので、自分なりの距離感をつかむのは大変かもしれません。
クロスハンドグリップとはフィーリングが近い部分もあるので、クロスハンド経験者なら違和感なく入っていけるでしょう。
パターでのクロウグリップの握り方
右手ではパターを握らず添えるだけのクロウグリップですが、添える方法によっていくつかのタイプに分かれています。ここでは、クロウグリップの握り方について具体的に説明します。
ペンシル型クロウ
クロウグリップのなかでも一番オーソドックスなのが「ペンシル型」で、多くのプロゴルファーも取り入れています。
まずは左手でパターグリップの上部を握ります。このとき、親指がシャフトに沿ってまっすぐ下を向くようにしましょう。左手でしっかり握れていないと、ヘッドの軌道がブレやすくなります。
続いて、右手の親指と人差し指の間でグリップを横から挟みます。グリップの正面には人差し指と中指の腹が触れるようにしましょう。
手の甲は正面を向き、指先は左足の方を指します。グリップに触れない薬指と小指もまっすぐ伸ばし、握らないようにします。
ストロークは左手主体で、右手はヘッドの動きに合わせて横運動するイメージです。
4本指クロウグリップ
ペンシル型クロウの場合、グリップに直接添えているのは右手の人差し指と中指の2本。これを人差し指から小指までの4本全部にしたのが「4本指クロウグリップ」です。
握り方はペンシル型クロウとほぼ同じですが、ペンシル型よりも深く挟みこむ形になります。
パターの重みを支えるにはペンシル型では不安という方にはおすすめです。
右手で挟むときの深さや角度を変えてみると、自分のフィーリングに合った形が見つかるかもしれません。
逆クロウグリップ
逆クロウグリップは、通常のクロウグリップと左右の手の役割が入れ替わり、左手が添えるだけになります。そして、ストロークを主導するのは右手になります。
通常のクロウグリップよりも違和感が大きいかもしれませんが、右手のフィーリングをストロークに生かしたい方には適しているかもしれません。
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クロウグリップに合うパターは?
クロウグリップは直進性の高さが特長なので、ヘッドが大型で慣性モーメントの高いパターとは相性が良いです。
マレット型やネオマレット型のパターなら、クロウグリップの持ち味を存分に引き出せるでしょう。
ただし、近年ではピン型パターの慣性モーメントも高くなっており、クロウグリップに適したモデルも発売されています。
また、ヘッドをまっすぐ動かす打ち方なので、センターシャフトのパターとの相性も抜群です。ただし、センターシャフトは打点がシビアで芯を外すとブレやすい点には注意しましょう。
ヘッドの形状・慣性モーメント・シャフトの3点に注目しながら、パターを選んでみることをおすすめします。
クロウグリップに合うパターグリップは?
クロウグリップと相性が良いのは、太いパターグリップです。
グリップが太いと指先だけでは握れないため、手のひら全体を使った柔らかい握りになります。また、正面の平らな部分が広くなるため、そこにしっかり指を乗せることができ、右手を添えやすいというメリットもあります。
実際、多くのクロウグリップの使い手が太いグリップを装着しています。
一方、細いグリップの場合は、握る力が強くなると突然パンチが入ってしまうことがあります。
状況におけるクロウグリップの合う・合わない
ここでは、実戦のなかでクロウグリップが合う状況と合わない状況について解説します。
自分が苦手な状況と照らし合わせて、クロウグリップに挑戦するかどうかの判断材料にしてみてはいかがでしょうか。
相性が良い状況
以下のような状況におけるパッティングでは、クロウグリップが適しているといえるでしょう。
- ショートパット
- 速いグリーン
- 下り傾斜
カップがすぐそこに見えるショートパットでは、手元の動きだけで強弱を合わせてしまいがちです。
そんなときは、手元に仕事をさせないクロウグリップの出番です。
右手は添えるだけでオートマチックに打ち出せるため、緩みやパンチといった力の強弱によるミスを減らすことができます。
また、「ゆっくりまっすぐ」打てるクロウグリップは、繊細なタッチが求められる場面にも強いです。
転がりが速いグリーンやきつい下り傾斜など、振り幅が小さくなる場面でもしっかりとボールに力を伝えることができます。
いずれの場合も、プレッシャーやオーバーする怖さとの闘いなので、再現性の高いクロウグリップなら自信を持って臨めるはずです。
相性が良くない状況
逆にクロウグリップと相性が良くないのは、次のような状況です。
- ロングパット
- 上り傾斜
- カラーや花道からのパット
繊細なタッチを出しやすいクロウグリップですが、力強いパッティングが求められる場面にはあまり向いていません。
クロウグリップ以外の握り方では、左手のリードを右手が支えています。ロングパットやグリーン外からのパットでは、右手の押し込みによってボールを遠くまで転がしています。
ところが、クロウグリップでは右手はパターを握っていないため、パワーを出すことができません。
ロングパットでは狙った距離を出すのが難しく、無理に打とうとして軌道がブレてしまうこともあります。
ロングパットほどではありませんが、上りのパットでも打ち切れずにショートするケースが多くなるかもしれません。
そこで、長い距離やグリーン外からのパットの際は通常のグリップで打ち、ある程度近づいたらクロウグリップに変えてみるのもよいでしょう。
クロウグリップでのパターの実践練習はコースレッスンがおすすめ◎
クロウグリップは注目を集めているパターのグリップ方法で、特にショートパットが苦手なゴルファーなら試してみる価値は十分あるといえるでしょう。
マレット型やネオマレット型といった人気のパターとも相性が良いため、一度チャレンジしてみたいという方も多いかもしれません。
ただし、握り方が特殊で習得までに時間がかかってしまうことも考えられます。
自分に合ったクロウグリップをなるべく早く見つけたい。そんなときにおすすめなのがゴルフスクールです。
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もちろん、クロウグリップについても経験豊富なコーチによるアドバイスで、習得をサポートします。
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