一般的に、ゴルフのスイングにおいてアーリーリリースは「悪い癖」とされるため、改善するように指摘されたことがある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、アーリーリリースになる原因や直し方・練習ドリルについて解説します。
悪癖とされる一方で、一部ではアーリーリリースを推奨する声もあるので、メリットも併せて紹介します。
スイングのリリースに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
アーリーリリースとは?
ゴルフのアーリーリリースとは、ダウンスイングの早い段階で手首のコックが解けることを指します。言葉の通り、解放(リリース)が早い(アーリー)状態です。
通常のスイングでは、バックスイングからトップにかけて手首を親指側に折り(コッキング)、インパクトの直前までリリースを遅らせることで、手首のタメを作ることができます。
しかし、アーリーリリースではトップからの切り返し直後にコックが解けるため、クラブが寝た状態でインパクトを迎えることになります。
こうなると、飛距離が落ちるのはもちろん、手首のタメがない分ヘッドが走らず、ヘッドスピードも上がりません。
また、ヘッドがクラブの最下点より手前に落ちるため、ダフリやトップといったミスが出やすくなります。
アーリーリリースは、アマチュアゴルファーの7〜8割ほどが陥っているとも言われており、「ショットのミスが多い」「番手を変えても距離が変わらない」という方は、アーリーリリースのスイングになっているかもしれません。
参考:リリースに関する悪癖一覧
リリースのタイミングや方向を間違えると、飛距離低下や方向性のブレなどの原因になります。
アーリーリリースをはじめとしたスイング時のリリースにおける悪癖を以下の表にまとめました。
リリースの種類 | 概要 | デメリット |
---|---|---|
アーリーリリース | 手首のリリースが早い状態 | ダフリ・トップのミスや飛距離ロスの原因になる |
レイトヒット | 体の回転よりリリースが遅れる状態 | タイミングが遅すぎると振り遅れの原因になる |
スナップリリース | 手首を返す動きが強い状態 | 打球の方向が安定しにくい |
アウトサイドインのリリース | クラブがアウトサイドから下りる状態 | スライスやカット打ちの原因になる |
上記のリリースは、体の使い方やスイングの種類によっては、相性が良い場合もあるので、一概に悪いとは言えません。
例えば、リリースポイントが遅くなるレイトヒットには、下半身リードのスイングを身に付けやすいメリットがあります。
インパクトでロフトが立つため、ハンドファーストに打つアイアンとの相性が良いでしょう。
ただし、リリースを遅らせる意識を持ちすぎると、振り遅れてスライスや右プッシュなどのミスが出やすくなります。
このように、安定したスイングをするには、リリースのタイミングや振り抜く方向が極端に偏らないことを意識し、スイングに合わせたリリースを身に付けることが大切です。
アーリーリリースは悪くない?考えられるメリット
ゴルフ上級者の中には、「アーリーリリースは悪いことではない」と考えている人もいます。
こういった意見を持つ人は、特に飛距離を伸ばすことを目的としている傾向にあります。
アーリーリリースはダウンスイングの早い段階で手首のコックを解くため、ヘッドが体から遠い位置に離れます。釣り竿をリリース(キャスティング)するようなイメージです。
ヘッドの軌道が大きな円を描き、遠心力を生かしたスイングができるという考えからアーリーリリースを推奨する人もいます。
特にドライバーでは、遠心力を使ってヘッドスピードを上げることが効率良く飛ばすためのコツといえるため、アーリーリリースとの相性が良いとされるのです。
しかし、この恩恵を受けるには、正しい前傾姿勢やスイング軌道が身に付いていることが前提です。これらが未熟な方がアーリーリリースを取り入れると、飛距離が落ちるだけでなく、ミスショットの原因となります。
初心者や正しいスイングを習得していない人に限っては、アーリーリリースを改善したほうがよいといえるでしょう。
なぜ?アーリーリリースになる原因
なぜ多くのゴルファーがアーリーリリースになるのでしょうか。主な原因は以下の3つです。
- ボールをすくい上げようとしている
- 手打ちスイングになっている
- グリップを強く握っている
順に解説します。
ボールをすくい上げようとしている
アーリーリリースになる原因に多いのが、ボールをすくい上げようとしていること。いわゆる「すくい打ち」のスイングです。
地面からのショットでボールを高く上げようとすると、ヘッドをボールの手前に潜り込ませるような動きになります。
ヘッドを寝かせてダウンスイングするため、トップで作った手首の角度が解けてアーリーリリースになりやすくなるのです。
また、ヘッドが寝他状態でインパクトするため、クラブのロフト角に見合った飛距離が出ません。
ロングアイアンとミドルアイアンで飛距離がほとんど変わらないという人は、すくい打ちになっている可能性があります。
手打ちスイングになっている
腕や手の動きだけでクラブを振る「手打ちスイング」もアーリーリリースの原因です。
スイングは下半身リードが理想とされていますが、手打ちは上半身の動きが主体になっています。
体の回転が止まると上半身の力だけでクラブを振ろうとするため、手首が解けてアーリーリリースになるのです。
これは、ボールにヘッドを当てる意識が強い人に多く見られます。
フォロースルーではなく、インパクトの瞬間がスイングのゴールになっていることが原因です。
ゴルフの雑誌やネットのレッスン記事などをみると「手打ちはダメだ!」とよく書いてあります。たしかに、手打ちは飛距離が出ない、手打ちだと球が曲がりやすいなど、手打ちはゴルフのスイングにとってあまりよくないようです。しかし、一方で[…]
グリップを強く握っている
グリップを握る力が強いと、手首のコックとリリースがうまくできません。
ダウンスイングで手首を柔軟に使えないため、アーリーリリースが起こりやすくなります。
また、グリップを強く握る人に多いパームグリップもアーリーリリースを誘発します。
手のひらで握るパームグリップは、左手首が手の甲側に折れやすくなり、これがアーリーリリースにつながります。
加えて、アドレス時に手元の位置が高くなるハンドアップ状態にもなるため、よりアーリーリリースになりやすい握り方といえるでしょう。
アーリーリリースの直し方
アーリーリリースの癖がある人は、アドレス時の構え方からスイング時の体の使い方までを見直す必要があります。
アーリーリリースを直すには、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- ハンドファーストに構える
- ダウンスイングで右肘を伸ばさない
- 上半身に側屈(サイドベンド)を入れる
それぞれ解説します。
ハンドファーストに構える
アーリーリリースを改善するには、ハンドファーストでインパクトする意識が必要です。
アーリーリリースになる人は、アドレスの時点ですでにハンドレイト気味になっていることが多い傾向にあります。これだと、ダウンスイングで手元よりヘッドが先行しやすくなるため、アーリーリリースとなります。
特に、アイアンのようにダウンブローに打つクラブでは、ハンドファーストの形を意識して構えるようにしましょう。
アドレスからハンドファーストに構えれば、インパクトで手首の形を再現しやすくなりますよ。
ダウンスイングで右肘を伸ばさない
アーリーリリースを防ぐには、ダウンスイング時に右肘を伸ばさないことが大切です。
アーリーリリースになる人は、切り返しで右肘が伸びている可能性が高いです。
これでは手首の角度を保ったままクラブを下ろせないため、ダウンスイングで手首のコックが解けてしまうのです。
切り返しでは、右肘を曲げたまま体の前に引きつけるように動かしましょう。
クラブが寝るシャローイングという動きが入り、手首の角度を保ったスイングができます。
また、クラブがインサイドから下りやすくなるため、アウトサイドインのスイング軌道によるスライスやカット打ちに悩んでいる人にも効果的です。
上半身に側屈(サイドベンド)を入れる
ダウンスイング時に右上半身の側屈(右利きの場合)を入れると、手首の角度をキープしてインパクトを迎えることができます。
側屈とは、右脇腹を縮めて体を横に折る動きのこと。正面から見たときに、体が「逆くの字」の形になる動きです。
右の側屈を入れると、インパクトで上体が左へ流れるのを防げるため、切り返し直後にリリースしにくくなります。
側屈を入れるコツは、ダウンスイングで右肩を下げて肩を回転させることです。
ただし、側屈の動きを取り入れるのは容易ではありません。
頭が地面に近づくためダフったり、それを嫌って上体が起き上がったりしやすくなります。
そのため、習得には相当の練習が必要となるでしょう。
一度間違った動きを覚えてしまうと、矯正に多大な時間と労力がかかるため、側屈を取り入れる場合は、ゴルフスクールなどでプロのコーチに見てもらうことも検討しましょう。
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アーリーリリースにはクラブによる違いはある?
どの程度早いリリースがアーリーリリースとなるのかは、使用するクラブによって異なります。
アーリーリリースに悩む人は、アイアンの場合が多いのではないでしょうか。
アイアンは地面にあるボールを打つため、ダフることを恐れてアーリーリリースになりやすいクラブです。
アイアンの理想的なリリースのタイミングは、ダウンスイングで手元が腰の高さまで下りたところ。これより早くリリースが入るとアーリーリリースとなります。
ドライバーは長さがあり、ティーアップしたボールをアッパー軌道で打つため、アイアンよりリリースポイントが早くなるのが一般的です。
フェアウェイウッドやユーティリティの場合は、アイアンと同等のタイミングでリリースするのが基本です。
ただし、横から払い打つスタイルの場合は、やや早めのタイミングでリリースしても問題ありません。
アーリーリリースと伸び上がりの関係について
チョロやトップといったミスの原因となるスイング時の伸び上がり。
伸び上がりの原因にはアーリーリリースも関係しています。
アーリーリリースは、ダウンスイングの早い段階でヘッドが下りてくるため、そのまま振り下ろすとボール手前をダフリます。すると、体が反射的にダフることを避けようとして、無意識に上体が伸び上がるのです。
伸び上がりはアドレス時の前傾姿勢が崩れるので、あらゆるミスにつながります。
アーリーリリースの直し方ドリル3選
アーリーリリースの矯正におすすめの練習ドリルを3つ紹介します。
ドリルは以下の通りです。
- 手首のコックを維持したハーフスイング
- タオルを地面に投げるドリル
- 右手1本でスイング
順に解説します。
手首のコックを維持したハーフスイング
正しいリリースタイミングを身に付けるには、手首のコックを維持したハーフスイングがおすすめです。
アーリーリリースの改善はもちろん、ビジネスゾーンでの正しいスイングを習得できます。
クラブはPWやショートアイアンを使いましょう。
ハンドファーストの手首の角度をキープし、体の回転とクラブを同調させてハーススイングします。体の回転が止まると手首のコックが解けるため、下半身主導のスイングを意識するのがポイントです。
タオルを地面に投げるドリル
アーリーリリースになるのは、ダウンスイングで右手首を目標方向へ返す動きが強いためです。
この動きを改善するには、右手で持ったタオルをダウンスイングで地面に投げるドリルが効果的です。
右手でタオルを持ち、片手でバックスイングをおこないます。
そこからダウンスイングで地面に向けてタオルを投げつけましょう。
正しい手首の動きでリリースできていれば、タオルは真下に飛びます。
タオルが目標方向へ飛んだ場合は、右手首が解けている証拠です。
右手1本でスイング
右肘を伸ばさないダウンスイングを身に付けるには、右手1本でのスイングがおすすめです。
右手1本でクラブを構え、右腕の下に左手を入れて右肘を支えます。左手の甲で右肘を下から支えるように添えるとやりやすいでしょう。
そのままバックスイングをし、左手で右肘を引っ張るようにダウンスイングをおこないます。
右肘が伸びずにクラブを振り下ろせるため、手首の角度を保ったスイングができるはずです。
この状態だとフェースが開いた状態でボールに当たりやすいですが、はじめは打球が右へ飛んでもOK。
慣れてきたら、右肘から先の上腕を少し左へ返すように動かして、ボールを捕まえる感覚を身に付けましょう。
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アーリーリリースの矯正におすすめの練習器具
正しいリリースの動きの習得に苦戦する場合は、アーリーリリースの矯正に役立つ練習器具を活用する手もあります。
アーリーリリースの矯正器具として有名なのが「スイングトレーナー」。
棒状の素振り用器具で、正しくリリースできると音が鳴る仕組みです。
また、手首に装着するリストバンド型の矯正器具も効果的です。
右手首の適切な角度を保ったままスイングでき、両手首の間にボールを挟んでスイングすることで、フリップするような動きを抑制できます。
リリースのタイミングが正しいのか判断できない人は、こういった練習器具を活用してみましょう。
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アーリーリリースは多くのゴルファーが抱える悩みですが、正しいリリースができているかを自分で判断するのは難しいものです。
また、そもそも自分のやりがちなミスの原因がアーリーリースにあることに気づいていない人もいるでしょう。
リリースをはじめとしたスイングに関する課題を解決するには、ゴルフスクールでプロに見てもらうのが確実です。
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