ゴルフでは、クラブの重心と体の重心の2種類の重心を常に管理してスイングする必要があります。
ただし、ゴルフにおける重心の扱いには感覚的な要素が多く、知識としてわかっても体が動かない方やそもそも重心を捉える感覚がわからない方も多いでしょう。
そこで本記事では、ゴルフにおける重心について詳しく解説します。
重心に関する正しい知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。
ゴルフの「重心」とは
ゴルフのスイングでは、振る体と振られるクラブの重心を両方管理する必要があります。
体の重心をスイング中に適切に管理することで、球質や飛距離、ミート率の向上が見込めます。
またスイング中に体の重心を管理することは、正確で再現性が高いショットにつながるでしょう。
一方、クラブの重心管理はクラブ選びから始まります。
例えば、重心距離だけ見ても距離が長いクラブと短いクラブではショット時のボールの直進性が大きく変わり、自身のスイング特性に合わせて慎重に選択しなければなりません。
もちろん、スイング中のクラブヘッドの重心管理も大切です。
ゴルフではクラブヘッドの重心を捉えながらスイングしますが、重心の移動を適切に管理できなければナイスショットは打てません。
ゴルフは重心管理が大切なスポーツであり、上達するためにはさまざまなポイントで重心を気にする必要があります。
ゴルフのアドレスにおける重心について
ゴルフスイングの重心を管理する意識を習得する際には、まずアドレスから始めるとよいでしょう。
アドレスは静止している状態のため、スイング中よりも簡単に重心を意識できます。
ただし、廣戸聡一氏が4スタンス理論で提唱しているとおり、人には先天的に動かしやすい体のパターンがあります。
また、身長や肩幅、腕の長さなどの体のつくりは人によって違います。
したがって、アドレスでの重心位置に万人に共通する正解はありません。
自身の肉体的特徴や動かしやすいパターンを把握し、自身に合う重心位置を探しましょう。
アドレス時の重心はかかと?つま先?
アドレス時の重心で大切なポイントは安定感であり、安定するのであればその位置がかかとでもつま先でも問題ありません。
ただし、荷重がどちらかに傾きすぎるとバランスがよいスイングができないため、極端に前傾・後傾した重心は避けましょう。
また、実際のプレー中、ゴルフ場ではさまざまな傾斜でボールを打つ必要があるので、臨機応変に使い分けられることが大切です。
例えば、つま先上がりの傾斜がついたライでは、基本的につま先重心でしか構えられません。
状況が変わっても同じスイングができるように、どんな傾斜の場所でも安定したスイングができるように心掛けましょう。
かかと体重にするメリット・デメリット
かかと重心にすることのメリットとデメリットを表にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
・重心が安定する ・クラブの遠心力をコントロールしやすい | ・前傾姿勢が浅くなる |
かかと重心でアドレスすると両足の踏ん張りが効くため、スイング中の下半身の安定感が増します。
さらに、かかとに荷重することでスイングの遠心力と引き合う力が働くため、ヘッドスピードを上げても比較的スイングを安定させやすいという特徴もあります。
かかと重心のアドレスは安定感の向上につながるため、再現性が高く、飛距離を伸ばすスイングを目指す方におすすめです。
ただし、かかと重心は腰が引けた姿勢になりやすく、前傾が浅くなる傾向にあります。
前傾姿勢が崩れるとトップやダフリのミスが増えるため、過度にかかと重心を作りすぎて全体のバランスを崩さないようにしましょう。
つま先体重にするメリット・デメリット
つま先重心にすることのメリットとデメリットを表にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
・手や腕を振りやすい ・初心者でも習熟しやすい | ・スイングの軸が安定しづらい |
つま先重心のアドレスは、体の表側(前方)で打つイメージを持てます。
自身の目で確認できる体の表側を使うとショットのイメージがしやすく、初心者の方でも体の動きを理解しやすいでしょう。
また、体の表側を中心にスイングするため、手や腕を使うスイングがしやすいのも特徴です。
アームローテーション(腕の回転)を活用したスイングを習得できるため、ヘッドスピードを上げる感覚もつかみやすいでしょう。
ただし、かかと重心に比べてスイングの軸が安定しづらく、ショット自体も不安定になる傾向にあります。
つま先重心は取り入れやすいため多くの方が実践していますが、安定感を得るためには工夫と努力が必要です。
かかと重心のプロゴルファー
かかと重心のアドレスが特徴のプロゴルファーといえば、PGAツアー26勝を誇るロリー・マキロイです。
ヘッドスピードが速く飛距離が武器の1つであるゴルファーですが、かかと重心でアドレス・スイングすることで安定感も同時に実現しています。
アドレスからトップにかけては右足かかとに重心があり、インパクトに向けて左足かかとに重心が移動します。スイング中通してかかと重心をキープしており、その強みを存分に活かしています。
かかと重心の安定した下半身と高い身体能力により、常にブレないスイングが強さの秘訣といえるでしょう。
誰しもがマネできるスイングではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。
重心の左右の配分は?
重心の左右の配分は、クラブやシチュエーションにより使い分ける必要があります。
フルショットの際はテークバックで右足に重心を移し、トップからダウンスイング、フィニッシュにかけて左側に重心を移動します。
また、ショットの正確性を求められる場面ではコンパクトなスイング(ライン出しやアプローチなど)で、常に左足重心でスイングすると体重移動を最小限に抑えた再現性の高いスイングが可能です。
シチュエーションごとに重心を左右に配分し、状況に合ったショットを打てるように心掛けましょう。
ゴルフスイング中の重心移動(体重移動)について
ゴルフの重心を語るうえで、スイング中の重心移動(体重移動)は大きなテーマです。
ここでは、スイング中の重心移動について詳しく解説します。
スイングでの重心移動(体重移動)が重要な理由
ゴルフで理想的なスイングを実現するためには、スイング中に適切な重心移動をする必要があります。
重心移動を適切に活用することでヘッドスピードを高め、ボールに効率よく力を与えることで飛距離を稼げます。
例えば野球ボールを投げるときに「棒立ちから投げるよりも足を踏み込んだほうが速い球が投げられる」とイメージできるはずです。
上記と同じ理論で、スイング中に重心移動による踏み込みを活用することで、クラブの遠心力を効率よく活かすことができます。
スイングでの重心移動(体重移動)の流れ
スイングでの基本的な重心移動の流れは以下のとおりです。
- バランスのよい重心位置でアドレスする
- テークバックからトップにかけて右側に荷重する
- ダウンスイングからインパクトにかけて左側に荷重する
- 体がブレないようにフィニッシュをする
振り子のように右から左へと重心移動してスイングしましょう。
ただし、インパクトで体が左側に流れすぎる「スウェー」になるとミスショットの原因になりますので注意してください。
適度な重心移動が大切なため、体のバランスが崩れない範囲にとどめるよう意識しましょう。
重心移動(体重移動)の練習方法
重心移動の効果的な練習方法は、足踏みしながらのスイングです。
足踏みしながらのスイングは以下の手順で進めます。
- アドレス後、右足を上げる
- 右足を地面に戻しながらテークバックを始める
- テークバックをしながら左足を上げる
- ダウンスイングで左足を踏み込みながらスイングする
上記の練習でのポイントはリズムです。
左右の動きをリズムよく進めることで、重心移動によるクラブの遠心力の増大を感じられます。
また、ダウンスイングで力強く左足を踏み込めば、ヘッドスピードアップにつながります。
上記の練習法は素振りでも実際に球を打つ際にも使えるため、ぜひ実践してみましょう。
左足体重のまま打つのもあり?
ゴルフでは、左足体重のまま球を打つほうがよい場面もあります。
例えば、振り幅が狭いショットは左右の重心移動をするとタイミングが狂いやすいため、あらかじめフィニッシュ時と同じ左足体重を作っておくと安定します。
状況次第で重心移動を使わずに打つ方が有利な場合もあるため、ショットごとに使い分けられるようになりましょう。
ゴルフでは体重移動が不要なケースもある?
ゴルフでは「体重移動が不要」との意見もありますが、これらの意見は正確には「体重移動を意識する必要がない」と捉えたほうがよいでしょう。
ゴルフスイングが運動エネルギーを生み出し、それをボールに伝える以上、少なからず体重移動は生まれます。
したがって、体重移動を完全になくしたスイングというのは、理論上、不可能に近いです。
ゴルフの「止まっているボールをクラブで打つ」という簡単そうにみえるスイングの動作において、体重移動はショットの安定と飛距離アップの両方に欠かせない重要なモーションです。なぜゴルフで体重移動がポイントになのか、その理由やメカニズム、体[…]
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ゴルフクラブの重心とは
質量があるものには重心が存在します。これはゴルフクラブも例外ではありません。
ゴルフでショットをコントロールするためには、クラブの重心についても理解する必要があります。
ここでは、ゴルフクラブの重心について詳しく解説します。
重心管理とは
ゴルフクラブの重心管理とは、適切な重心位置を保ちながらスイングする技術です。
クラブの重心を適切に扱えなければ、ミスショットやゴルフの上達を妨げる原因にもなります。
ゴルフクラブは基本的にスイング中にフェースが開きやすい構造であり、意図的にスクエア(まっすぐ)に保たなければなりません。
初心者の方にスライスが多い原因は、フェースが開きやすいクラブの構造によるものであり、スクエアに保つ意識を身につければ、正しいスイングを身につける第一歩を踏み出せます。
ゴルフの練習をする際は、クラブの重心管理にも意識を向けましょう。
重心距離とは
ゴルフクラブの重心距離とは、クラブの重心からシャフトの中心線までの距離を示すものです。
重心距離の長さは慣性モーメント(物体の回転しにくさを数値にした値)に直結します。
重心距離が長く慣性モーメントが高いクラブは、ヘッドが動きづらく球のつかまりが悪い傾向にあります。
しかし、近年流行中のフェースローテーションを抑えたスイングと相性がよく、重心距離が長いクラブを利用するゴルファーが増加しています。
重心深度とは
重心深度とは、クラブフェースからクラブの重心までの距離です。
重心深度が深いほどフェースが上を向きやすくスピン量も増えるため、高い軌道の球が打ちやすくなります。
一方、重心深度が浅いクラブは、スピン量が減ると同時に打ち出し角も低くなります。
ただしゴルフではクラブのヘッドスピードにより適切なスピン量が異なるため、一概に重心深度が深いクラブが優れているとはいえません。
自身のヘッドスピードと特性に合わせた重心深度のクラブを選ぶことで、適切な高さとスピン量を手に入れられるでしょう。
重心角とは
ゴルフの重心角とは、クラブヘッドを浮かせた状態でシャフトだけを台の上に置いたときの、クラブヘッドの角度を指します。
詳細な重心角は専用の機器で図りますが、クラブ同士を比較するだけなら手近な台の上に置くだけでもできます。
重心角は球のつかまりに関わり、角度が大きいほど球をつかまえやすくなります。
スライスに悩む方なら重心角が大きいクラブ、フックに悩む方なら重心角が小さいクラブというように、自分の打球の癖を考えながら選ぶと欠点を補えるでしょう。
ゴルフクラブの重心管理のやり方・コツ
ゴルフクラブの重心を適切に管理することで、意図した高さ、飛距離、方向の球を打てるようになります。
クラブの重心管理を適切に行うためのやり方とコツを解説します。
クラブ重心の見つけ方
ゴルフクラブの重心点は、クラブヘッドとシャフトの重心点の直線状にあります。
厳密な重心はヘッドでもシャフトでもない位置(空中)となるため、目視での確認はできません。
スイング中にクラブの重心を正しく管理するためには、ヘッドの重心を感じる必要があります。
例えば、握った時のヘッドが左右どちらに開いているかなど、感覚としてわかるようになると、スイング中にもその感覚が活かせるため、ショットの再現性が向上します。
クラブの開閉を管理
クラブの重心を管理できると、クラブの開閉をコントロールできるようになります。
ゴルフクラブは偏重心(グリップの延長線上に重心がない)にできているため、意図的にクラブの開閉をコントロールしなければなりません。
クラブの重心を感じながらスイングができるとフェースの開閉も感じられるため、うまくいったショットの感覚をつかんだり、ミスした際の原因や状況の分析にもつながります。
フェースの向きごとの振り感を意識して練習することで、感覚として開閉をコントロールできるようになるでしょう。
クラブを引っ張る
長い物体の重心を扱う際は、押すよりも引くほうがコントロール性が高まります。
クラブを押すイメージで扱うと重心が定まりませんが、引くイメージで扱うと遠心力により重心を感じられます。
スイングの際はクラブを引くイメージで動かし、重心を感じてコントロールするように心掛けましょう。
ゴルフクラブの重心管理の練習方法
ゴルフクラブの重心管理を練習するなら、アドレス姿勢のまま手首の力を抜いてクラブを左右に振ってみましょう。
振り子のように揺らすことでクラブが重心に引っ張られる動きが伝わり、スイング中の重心位置の変化を感じ取れます。
さらに、体の正面でクラブのフェースがスクエアに戻るように動かせば、インパクト時のボールを捉える練習にもつながります。
ドライバーやアイアンなど、クラブ1本ずつが異なる重心を持っているため、クラブを変えるごとに試してみましょう。
【ゴルフクラブ別】重心の特徴
ゴルフのドライバーとアイアンには異なる重心の特徴があります。
ここでは、それぞれの重心に関する特徴について解説するので、ぜひスイングに役立ててください。
ドライバー
ドライバーはクラブの中で最も重心距離が長いクラブです。
重心距離が長いことでヘッドの開閉が起こりづらく、意識してスクエアの状態を作らなければスライス系(右に曲がる)の球が出やすい特徴があります。
また、重心深度が浅いのも特徴で、ティーアップしなければ球を浮かせることも困難です。
上記の特徴から、ドライバーは弾道が低くて直進性が高い球が出やすいクラブといえます。
アイアン
アイアンは重心距離が短い傾向にあり、意図的に打球の左右の曲がりをコントロールしやすいクラブです。
ただし、重心距離が短い分ミスした際の曲がり幅も大きく、正確なインパクトと繊細なコントロールを求められます。
また、重心深度が深いためスピン量が多くなりやすく、グリーン上でバックスピンをかけることも可能です。
アイアンはコントロールが重要なクラブのため、自身の感覚に合っていて、意図した球を打ちやすいかを重要視して選びましょう。
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ゴルフでは、体とクラブの2種類の重心をコントロールする必要があります。
2種類の重心をどちらも正確にコントロールすることで理想通りの球を打てるようになり、ゴルフの上達につながるでしょう。
ただし、ゴルフの重心管理は感覚に頼らざるを得ない部分が多く、正しく捉えられていないベテランゴルファーも珍しくありません。
ゴルフの重心を確実にコントロールするためには、感覚を身につけていて、それを説明ができるゴルファーに指導を受けるのが近道です。
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