スイングに入る前にクラブヘッドを細かく動かすアドレス時の動作のことを「ワッグル」といいます。
アドレスからスイングを始めるまでに、体をゆすったり足踏みをしたり、手首でクラブを小刻みに動かしたり、人によって「ワッグル」の仕方は違います。
この記事では、ワッグルの効果やメリットにスポットを当て、正しいやり方や重要性を解説しています。
スイングに悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
ゴルフのワッグルとは
ワッグルとは、アドレスからスイングを気持ちよくスタートさせるために、体やクラブヘッドを動かす動作のことです。
ゴルフは野球やテニスのように、体を動かしながら球を打つスポーツと異なり、アドレスという静止した状態から自分のタイミングで打つ動作(スイング)をスタートさせなければなりません。
練習場のように、打つ方向や足場が整っている場所であれば、スイングの準備も整えやすいのですが、傾斜やフェアウェイ・グリーンの形状が毎回異なるゴルフ場では、体の向きやボールの位置を自分自身で調整しなければなりません。
ゴルフ場でアドレスする際、「なにか気持ち悪いな」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
これはアマチュアゴルファーに限った悩みではなく、プロゴルファーも同じです。
多くのプロゴルファーもスイング前にワッグルを行い、アドレス時の違和感を取りのぞいています。
スイング前に違和感を感じている方は、ワッグルを取り入れることで違和感を軽減できるかもしれません。
ワッグルのメリット・効果・重要性・必要性
ワッグルは、グリップやアドレスのように定義やルールが決まっておらず、人によってやり方や目的が異なります。
ここでは、ワッグルの代表的な目的と、取り組むことでの効果や重要性について解説します。
スイングを始めるきっかけ
ワッグルを行う目的でもっとも多いのが「スイングを始めるきっかけづくり」といわれています。
アドレス時に、ピタッと静止した状態から突然動き出すことはプロゴルファーでも難しく、スイングを始めるきっかけとして左右に体重を移動したり、手首で小さく素振りを繰り返したりすることで始動のきっかけをつくることができ、スイングのスタートがスムーズになります。
アドレスを整える
ワッグルには、スイングの準備を整える効果もあります。
前述したとおり、ゴルフ場では傾斜やバンカーなどの障害物がアドレスを難しくします。特に、初心者が打ちたい方向に正しくアドレスすることは容易ではありません。
ワッグルを行えば、打ちたい方向に体の向きを調整したり、ボールの位置を調整したりと、スイングの準備が整えられ、狙った方向に打つためのチェックができます。
スイングチェック
ワッグルは、自分がイメージした球を打つためのスイングチェックとしても使われます。
ゴルフ場のロケーション次第では「少し球を高く上げたい」や「左にいかせたくない」など、さまざまなことを意識するでしょう。
意識した球を打つために、インパクトの際のフェース向きを微調整したり、テイクバック時の手首の使い方やヘッドを上げる方向を確認したりと、イメージ通りのショットをするための最終チェックにも有効です。
リラックス効果
「飛ばしたい・いい球を打ちたい」と考えると、体は緊張してスムーズに動かなくなります。体をゆすったり、手や足を細かく動かしたりするワッグルは、緊張状態をほぐすリラックス効果があるとされています。
上級者やプロゴルファーのなかには、毎回同じルーティンでワッグルを行い、意識的に力が入らないようにしている方もいます。
「ワッグルしないとどうスイングを始めていいか分からない」という方もいるほど、ワッグルはスイングに不可欠なものです。
池やOBがあると力が入っていつもミスショットがでるなど、緊張しやすい場面では、意識的にワッグルを行うとよいかもしれません。
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ワッグルのデメリット
ワッグルにはスムーズにスイングを始めるためのさまざまなメリットがありますが、やりすぎによってスイングが乱れてしまう場合もあります。
プロゴルファーのようにいろいろなシチュエーションを経験していると、その場に適したアドレスからスイングに移行できますが、アマチュアゴルファーは難しいシチュエーションでのスイング経験は多くありません。
そのようなシチュエーションでは、ワッグルをしてもスイング前の違和感が取りのぞけないことがあります。
違和感をなくすためにワッグルをやりすぎると、スロープレーになったり、いつまでもスイングを開始できないイップスになったりする恐れがあります。
万能そうなワッグルの動きですが、微調整と同時にあまり深く考えすぎないことも重要だといえるでしょう。
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ワッグルの仕方(やり方)
ワッグルの仕方や回数は、スイングの癖や目的によって大きく異なります。
2〜3回、数秒でワッグルをする方もいれば、アドレスに入ってからしばらくワッグルする方もいます。
ここでは、一般的によく行われているワッグルの4つのパターンを解説します。
クラブヘッドをスイングと同じ方向に動かす「横向きワッグル」
手首や腕を使ってクラブヘッドをテイクバックの方向へ動かす動作です。
横向きワッグルは、スイングと同じ軌道でクラブヘッドを動かすため、スイング準備と同時にスイングチェックができることも特徴のひとつです。
また、横向きワッグルの動作はヘッドの重みを感じやすくなるため、インパクトでヘッドが走るイメージを出しやすくなるといわれています。
ドライバーやウッドなど、ヘッドを走らせたいクラブを使う際は、横向きワッグルがおすすめです。
体の正面でクラブヘッドを上下させる「縦向きワッグル」
手首や上半身を使い、体の正面でクラブを上下させる動作です。
この動作では、アドレスの際にグリップ位置がハンドアップやハンドレイトにならないように、ボールの手前の地面をクラブヘッドでトントンと叩きます。
また、グリップ位置だけでなく、上体の前傾角度を整えるために上半身を前後させる方もいます。
「インパクトで顔が上がっているよ」や「体が開いているよ」などのアドバイスを受けたことがある方は、しっかりと前傾したアドレスを取りやすくなる縦向きワッグルが有効です。
重心位置を整える「全身ワッグル」
クラブヘッドではなく、足をバタバタと動かしたり、上半身を左右にくねくねと動かしたり、肩を上下に動かしたりと、全身を動かす動作です。
打ちたい方向に対して体や手足の位置が間違っていないか微調整したり、力まないように足踏みを行ったりします。
全身ワッグルは、特に、傾斜がある場合などに多く使用され、重心の中心位置を確認してスイング準備を整えるためにも使われます。
体の重心移動をきっかけにスイングを始動させたい方に適しているでしょう。
また、全身でワッグルをする場合は、意識的に脱力することがポイントです。
スイング準備を意識しすぎると、体に無駄な力が入ります。力んでミスショットがでがちな方は、全身でワッグルをしながらしっかり息を吐き出し、体の緊張を解いてからスイングしましょう。
ゆっくりと大きくテイクバックをする「リズム×ワッグル」
横向きのワッグルをさらに大きくしたワッグルです。
テイクバックでフェースの向きや手首を使うタイミングなど、チェックポイントを持っている方に有効です。
この動作ではスイングと同じ軌道でクラブヘッドを動かすため、実際のスイングと同じようなイメージを持てるメリットがあります。
ただしこのワッグルでは、手首や腕を使ってワッグルをすることで、実際のスイングで手打ちになってしまうことがあります。
ゆっくりと大きくワッグルをする場合は、体をしっかりと動かすようにイメージすることがポイントです。
どれかひとつのパターンだけを行うのではなく、横向きと縦向きを組み合わせたり、全身と大きなワッグルを組み合わせたりと、人によってさまざまなパターンの組み合わせがあります。
ワッグルに明確な規定やルールはありませんが、多すぎるワッグルには注意が必要です。
ワッグルの注意点
なにかとメリットが多い「ワッグル」ですが、気を付けなければならないことがあります。
プレースピードに要注意
いいショットを打ちたいあまりに、考えすぎたり時間をかけすぎたりすると、プレー進行に影響を及ぼすことがあります。自分流のワッグルのルーティンを持つことは、ナイスショットを打つために必要なことですが、ワッグルが長すぎると同伴競技者を待たせてしまいます。
2023年に全英オープンで優勝したブライアン・ハーマンは、ワッグルが多いことを指摘されています。首位を独走していたこともあり、ハーマンのスイングが多く放送されたことも、話題となった原因のひとつ。
ハーマンのルーティンは、クラブヘッドを持ち上げる縦ワッグルから始まり、地面に置いて横ワッグル、再度縦ワッグルを行い、地面に置いて横ワッグルという動作を繰り返すもの。
ワッグル自体はよくあるルーティンですが、他のプロゴルファーが3〜5回程度のワッグルでショットするなか、毎回10〜20回程度ワッグルを繰り返すハーマンは異様でした。
ワッグルに時間をかけすぎて同伴者に迷惑をかけないように注意しましょう。
スムーズなスイングを身に付けるならゴルフスクールがおすすめ◎
ワッグルは、スムーズなスイングを行うために不可欠な技術のひとつです。
しかし、ルールや定義がないため「本当にこのワッグルは自分にとって有効なのか?」と、疑問に感じる人も少なくありません。
スイングの始動や振りにくさを感じている方は、ゴルフスクールでのレッスン受講がおすすめです。
その人に有効なワッグルは、アドレスやスイングの形によって異なるため、多くのゴルファーと接してきたプロのコーチにチェックしてもらうことが上達の近道だといえます。
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