飛距離はいくつかの要素で決まりますが、最も重要な要素としてヘッドスピードが挙げられ、ヘッドスピードを上げることが飛距離アップにつながるといわれています。
この記事では、ゴルフの飛距離とヘッドスピード(HS)の関係や計算式・計算の方法などを解説します。
ゴルフの飛距離とヘッドスピードの関係
ヘッドスピード(HS)とは、ボールを打つ瞬間の「クラブフェース(ヘッド)のスピード」のことです。
ここでは、ヘッドスピードと飛距離の関係について解説します。
飛距離を決める要素は?
飛距離を決める要素は「ボール初速」と「打ち出し角」、「スピン量」といわれています。
ボール初速
「ボール初速」とは、インパクトしたボールが「打ち出された速度」のことで、単位は「m/s(秒速メートル、メートル毎秒)」です。
このボール初速が速ければ速いほど、ボールを遠くに飛ばすことができます。
ボール初速を上げるために必要な要素が、インパクトする際の「ヘッドスピード」と「ミート率」です。
ヘッドスピードが速いほどボール初速も速くなるため、飛距離を出すためにはヘッドスピードを上げる必要があります。
また、ボールに当たるときのヘッドスピードは同じでも、ミート率による差異も生まれます。スイングが速くても、正しいヘッドの動き(軌道や入射角など)ができずミート率が低いと、飛距離をロスします。
打ち出し角
「打ち出し角」とは、インパクトしたボールが「飛び出す角度」のことで、地面と並行に打ち出されたボールは0〜10度で、真上に打ち上げてしまったボールは70〜80度となります。
低く打ち出したボールはキャリーが短くなり、高く打ち出したボールは「前」よりも「上」に向かう力が働くため、いずれの場合も距離をロスしたショットになります。
理想的な「打ち出し角」は、ヘッドスピードにより前後しますが、プロのようにヘッドスピードが速い場合は12〜14度、アマチュアの場合は14〜18度とされています。
スピン量
「スピン量」とは、インパクトしたボールの「回転量」のことで、打ち出されたボールは進行方向に対して逆回転のスピンが掛かります。
スピンが強すぎると、進行方向よりも高く上がる方向に力が働き、ボールは浮き上がってしまいます。
逆にスピンが弱い状態だと、真正面から空気抵抗を受けるので、ドロップのようにキャリーが短くなります。
飛距離を最大化させるためにはほどよいスピン量が必要で、プロのようにヘッドスピードが速い場合は2,500回転前後、アマチュアの場合は2,700〜3,000回転が適正とされています。
スピン量は左右の方向性や飛距離などに大きな影響を与えるので、コントロールできると格段にゴルフのレベルが上がります。しかし、スピン量のコントロールは難しく、簡単にできるものではありません。特にドライバーのスピン量を適切にするのは難しく[…]
ヘッドスピードから飛距離は計算できる?
飛距離には打ち出し角やスピン量などいくつかの要素がありますが、それらが一般的な範囲であることを前提とすると、ヘッドスピードからおおよその飛距離が計算できます。
<計算式(概算)>
飛距離=ヘッドスピード(m/s)×5.5
計算式に当てはめると、ヘッドスピードが30m/sの場合、おおよその飛距離は165ヤードになります。
同じように計算式に当てはめると、ヘッドスピードが40m/sの場合は220ヤード、ヘッドスピードが50m/sの場合は275ヤード。
実際は、天気や風の向きなどの影響を受けますが、飛距離の目安として覚えておきましょう。
【ドライバー】飛距離とヘッドスピードのポイント
ここでは、ドライバーの飛距離を上げるため、飛距離とヘッドスピードのポイントを解説します。
バランスの良いスイング
ほかのスポーツをしていたり運動神経がよかったりするアマチュアゴルファーの中には、「ヘッドスピードは女子プロ並みに速いのにもかかわらず飛ばない……」という方がいます。
女子プロゴルファーの飛距離が出る要因は、ミート率の高さにあるといわれています。ヘッドスピードを上げる練習を行う際は、スイングのバランスを意識し、ミート率を高めるようにしましょう。
「打つ」よりも「振る」
ヘッドスピードを上げるために、クラブを「速く振る」ことを覚えることも有効です。
クラブを速く振るために、軽いクラブを思い切り振るというやり方がおすすめです。
ゴルフショップに行くとヘッドがついていない練習器具もありますが、クラブを逆に持って(ヘッド側を握って)素振りすることでも効果は感じられると思います。
このとき、普段の素振りよりも速く振る意識を持って、振り切るように練習してみましょう。
素振りを終えて実際にボールを打つときには、「打つ」意識が強いとスイングに力みが生まれやすいので、「振る」意識を持つことでバランス良くスイングできます。
クラブを見直す
アマチュアゴルファーの多くは、適正なスペックよりもハードな設定をしているといわれています。
クラブが重すぎるとうまく振り切れずにヘッドスピードが落ち、軽すぎる場合はヘッドスピードは上がりますがスイングが不安定になります。
ドライバーで最適な飛距離を出すためには、クラブが適正か見直すことも必要です。
ヘッドスピードが40m/s前後であればシャフトは50g台・総重量300g前後が目安となり、ヘッドスピードが45m/sと速めの方はシャフトが60g台・総重量310g前後が適正といわれています。
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【ドライバー】一覧で見る飛距離とヘッドスピードの目安
ドライバーのヘッドスピード別、平均飛距離をまとめました。
ヘッドスピード | 平均飛距離 | 備考 |
---|---|---|
27m/s | 150ヤード | 女子アマ平均 |
30m/s | 165ヤード | |
33m/s | 175ヤード | |
35m/s | 185ヤード | |
37m/s | 200ヤード | |
40m/s | 215ヤード | 男子アマ平均 |
43m/s | 230ヤード | |
45m/s | 250ヤード | 女子プロ/男子アマ上級者 |
47m/s | 270ヤード | 男子プロ |
【アイアン】飛距離とヘッドスピードのポイント
アイアンで飛距離を出すためには、ヘッドスピードに加え「打ち出し角」を意識する必要があります。
ここでは、アイアンの飛距離とヘッドスピードのポイントについて解説します。
打った後にヘッドスピードが最速になる意識
アイアンはドライバーと違いティーアップされていないため、ボールに向かってスイングする意識が働きます。
ドライバーで試してみると分かりやすいですが、ドライバーをウェッジと同じボール位置で打とうとすると、体が窮屈になるためスイングは小さくなり、ヘッドスピードも遅くなります。
アイアンでヘッドスピードを上げたい場合、通常よりもドライバーに近い左足寄りにボールをセットすることで、振り切る意識を持ちやすくなります。
インパクト時にハンドファーストを意識
ヘッドスピードの意識と同じように、ボールの打ち出し角の意識も重要です。
ヘッドスピードが上がっても、スイングがアッパーブローになってしまうと高く上がるだけで飛距離アップにはつながりません。
ダウンブローで打った場合と比較すると、アッパーブローではマイナス10%程度、レベルブローではマイナス5%程度と、大きく飛距離に差が出ます。
いつもより打ち出し角が高いと感じたときは、インパクト時にハンドファーストになっているかチェックすることで、飛距離のロスを減らすことができます。
ゴルフで正しいスイングをするには、「ハンドファースト」を身に付ける必要があります。ゴルフ初心者の中には、ハンドファーストという言葉にまだ聞き馴染みのない方もいるかもしれません。今回の記事では、ゴルフのハンドファーストについて[…]
【アイアン】一覧でみる飛距離とヘッドスピードの目安
ボールが高く上がるアイアンは風や高低差の影響を受けやすいため、実践では状況判断が必要です。
ここでは、7番アイアンと9番アイアンのヘッドスピード別平均飛距離をまとめました。
7番アイアン
ヘッドスピード | 平均飛距離 | 備考 |
---|---|---|
15m/s | 85ヤード | 女子アマ平均 |
18m/s | 95ヤード | |
20m/s | 110ヤード | |
23m/s | 130ヤード | 男子アマ平均 |
25m/s | 145ヤード | |
27m/s | 155ヤード | 女子プロ/男子アマ上級者 |
30m/s | 170ヤード | 男子プロ |
9番アイアン
13m/s | 65ヤード | 女子アマ平均 |
15m/s | 80ヤード | |
18m/s | 100ヤード | |
20m/s | 115ヤード | 男子アマ平均 |
23m/s | 130ヤード | |
25m/s | 140ヤード | 女子プロ/男子アマ上級者 |
27m/s | 150ヤード | 男子プロ |
飛距離とボールスピード(打球速度)について
「ヘッドスピード」だけを追いかけても、フェースがボールに当たる際の「ミート率」が低ければボール初速はでません。
<ボール初速の計算式(概算)>
ボール初速=ヘッドスピード(m/s)×ミート率
飛距離を出すためには、ヘッドスピードとミート率の両方を意識し、ボールスピードを上げることが重要です。
飛距離アップのためにヘッドスピードを上げる方法
ヘッドスピードを上げるためには、スイング改善とトレーニングが有効です。
ここでは、ヘッドスピードを上げるための練習方法や筋トレについて紹介します。
ヘッドスピードを上げるための練習方法・練習器具
ヘッドスピードを上げるために、「速く振る」ことを体に覚えさせる方法は有効です。
練習のポイントは、「軽いクラブと重いクラブ」を交互に素振りすること。
重いクラブではスイングが遅くなるため、いつもよりも筋肉に負担がかかります。強く振るためにどこの筋肉を意識する必要があるかを理解することが大切なので、全力で振り切ってみましょう。
軽いクラブではスイングは速くなりますが、手で振りがちであるためスイングが不安定になります。速く振りながらも、毎回同じ軌道でスイングできるようにチェックしましょう。
正しいスイングができているかをチェックするためには、練習器具を使うことも有効です。
ダイヤゴルフの「ダイヤスイング527」では、ヘッドスピードに合わせた素振りの練習ができます。
正しいスイングができたときに、インパクトで「音」が出る仕組みになっているので、ヘッドスピードを上げる練習のチェックに役立ちます。
ヘッドスピードを上げるための筋トレ
ヘッドスピードを上げるために、上半身・下半身に効くメニューを紹介します。
腹筋を鍛える
腹筋を鍛えるとスイング時に前傾姿勢を維持しやすくなり、ヘッドスピードを上げるときにスイングバランスを安定させる効果があります。
- 体育座りをして上体を後方ななめ45度に倒す
- 腕を前に伸ばして両手を握る
- 伸ばした腕を左右に振る
1セット10〜20回を目安に1日2セット、負荷に慣れてきた方は足を地面から浮かすとより効果的です。
お尻と太ももを鍛える
お尻と太ももを鍛えることで、ヘッドスピードを上げるときに下半身が暴れないように安定させる効果があります。
- ドライバーを水平に持ち、頭の後ろに担ぐ
- アドレスよりも深い位置まで腰を落としてスクワットする
1セット10〜20回を目安に、練習前に取り組んでみてくださいね。
ゴルフに筋肉は必要なのでしょうか。ゴルフは年齢性別問わず楽しめるスポーツであり、筋力のない子供や高齢者でも楽しめます。一見すると筋力がなくてもよさそうですが、実は本格的にゴルフ上達を目指したい方にとっては筋トレは重要です。[…]
飛距離アップのためのスイング分析・改善ならステップゴルフがおすすめ◎
ヘッドスピードを上げることは飛距離アップにつながるため、いつもより小さなクラブでグリーンを狙えるようになるなどのアドバンテージになります。
特に、最近飛距離が落ちてきた方やライバルよりも飛ばないことに悩んでいる方は、ヘッドスピードを上げることがスコアメイクにつながります。
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