グリップは体とクラブの唯一の接点であり、ゴルフ上達にはグリップへの理解が欠かせません。そして現在主流のグリップの1つが「ウィークグリップ」です。
近年では、ウィークグリップとは反対の特徴を持つ「ストロンググリップ」を推奨するレッスン記事や動画が多く、「ウィークグリップはやめたほうがいいのかな」と不安に感じる方がいるかもしれません。
そこでこの記事では、ウィークグリップのメリットや、ウィークグリップに向いている方の特徴を解説します。
ウィークグリップとストロンググリップそれぞれの特徴を理解することで、自分に合うグリップを適切に選ぶことができるようになります。
ウィークグリップでスイングする際のコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ゴルフのウィークグリップとは
ゴルフのグリップは、クラブを握る位置によって大きく以下の3種類に分けられます。
- ウィークグリップ
- スクエアグリップ
- ストロンググリップ
違いは、左手でクラブを握り込む深さ(左腕を内側に回す量)にあります。
ウィークグリップがもっとも浅くなる握り方で、スクエアグリップ、ストロンググリップの順に深くなります。
握り込む深さの目安は、左手の甲と親指の位置です。ウィークグリップでは左手の甲が目標方向を向き、左手親指がシャフトの中央にくる形になります。
構えたときに肘が地面を向くため、自然と脇が締まりやすくなるのも特徴です。
ストロンググリップとの違い
ウィークグリップと比較されやすいのが、左腕を内側に回して握るストロンググリップです。
左手を浅く握るウィークグリップに対して、ストロンググリップは深く握り込むのが特徴です。
この2つのグリップは、スイング方法やボールの弾道に違いがあります。
ウィークグリップは、先述の通り左手を浅く握るグリップ方法です。
バックスイングでフェースを開き、ダウンスイングでフェースを閉じる左腕の旋回運動を使ったスイングが基本です。
握りこみが浅いぶん手首が使いやすく、フェースの向きをコントロールしやすいのが特徴といえるでしょう。そのためインパクトでヘッドが手元を追い越すようなスイングに向いています。
一方、ストロンググリップは左手の甲が上を向き、親指がシャフトの右側にくるほど深く握り込みます。
構えた時点でフェースが閉じているため、腕の旋回ではなく、フェースを閉じたまま体の回転でスイングするのに適したグリップです。
ストロンググリップは、ボールをつかまえて飛距離を出したい方に向いています。
近年では、ダウンスイングでフェースを閉じにくい大型ヘッドのクラブが増えたことで、フェースの開閉をしないストロンググリップが推奨される傾向があります。
しかし、どちらの握り方も、スイングの癖やミスの傾向によって合う・合わないがあるため、自分のスイングや弾道に合わせて選ぶようにしましょう。
ウィークグリップを用いるプロもいる?
アマチュアゴルファーの場合、飛距離やボールのつかまえやすさで不利となるウィークグリップを取り入れる人は比較的少なめ。
しかし、ブライソン・デシャンボー選手やコリン・モリカワ選手など、プロゴルファーでウィークグリップを取り入れている人は多いです。
彼らのようなプロがウィークグリップを用いているのは、フックやひっかけなど、ボールのつかまりすぎによる左へのミスを防ぐためといわれています。「ゴルフの神様」ベン・ホーガン選手も若い頃にはフックボールに悩まされており、ウィークグリップに変えて活躍しはじめた選手として有名です。
また、意図的に打球を曲げる、弾道の高さを調節するという目的から、アームローテーションの少ないストロンググリップよりも、フェースの開閉をコントロールしやすいウィークグリップを好むプロも多いです。
女子プロの場合、飛距離を伸ばすためにストロンググリップを用いる人が多いですが、障害物を避けるためなどのコントロールショットが必要な場面で、ウィークグリップに持ち替えるプロもいます。
プロの場合は、持ち球やコース状況に応じて、グリップを使い分けることが多いようです。
そのため普段はウィークグリップを使わない方でも、状況によって使うことができるよう、基本的な打ち方は習得しておきたいところです。
ウィークグリップのメリット・デメリット
ウィークグリップが自分に合った握り方なのかを判断するには、ウィークグリップの持つ特性を知ることが重要です。
ここでは、ウィークグリップのメリット・デメリットを解説します。
メリット
ウィークグリップ最大のメリットは、球筋をコントロールしやすいこと。
左手の甲がボールの飛んでいく方向を向いた状態で構えるため、左手の甲の角度がそのままクラブフェースの角度になります。
そのため、スイング中にフェースの向きを把握しやすいのが大きなメリットです。
また、ダウンスイングでフェースが開きやすくなるため、ボールのつかまりすぎによる左へのミスを軽減する効果もあります。
フックやひっかけ、チーピンなど、弾道が左へ行きやすい方にとって有効な握り方といえるでしょう。
デメリット
ウィークグリップのデメリットは、スライスが出やすいこと。
メリットでお伝えした通り、スイング中にフェースの開閉がおこなわれるため、インパクトでフェースが開きやすくなります。
もともと打球が右に曲がりやすい方は、ウィークグリップにすることで悪化するかもしれません。
さらに、飛距離が出にくいこともデメリットです。
フェースが開くためにボールをつかまえにくいことに加え、力を入れづらい握り方のため、ストロンググリップに比べ飛距離は落ちやすくなります。
ウィークグリップの握り方
この章では、ウィークグリップの握り方について、右手と左手に分けて解説します。
ウィークグリップは浅く握るとお伝えしましたが、どの程度浅く握ればウィークグリップになるのでしょうか。
右手
クラブは両手のひらが向き合うように握るのが一般的です。
ウィークグリップでは、左手をやや下から包むように握るため、右手は左手と向き合うように、上からかぶせる形になります。
左手
左手は、手の甲がターゲット方向を向くように握ります。目安として、親指はシャフトの真ん中かやや左の位置にきます。
このときに、左手のこぶし(指の付け根)の山が人差し指の1つだけ見えているのが基準です。
こぶしの山が2つ以上見えている場合は、ストロンググリップに近い握り方になっているので注意しましょう。
左手がストロングで右手がウィークはあり?
左手をストロングに構え、右手はウィークに構える握り方は、実はプロもよく取り入れています。小柄な体格ながら、体の大きな選手に負けない飛距離を誇るローリー・マキロイ選手もこの握り方です。
具体的な握り方は、左手・右手の両方の手を上からかぶせるように握ります。
こうすることで、左手のストロンググリップによる飛距離アップの効果を得ながら、右手のウィークグリップによってヘッドの返りすぎを防ぐことが可能です。
飛距離を出しつつ左へのミスを減らせるので、ストロンググリップとウィークグリップのメリットを生かすことができるでしょう。
ただし、右手を上からかぶせることで右肩が上がり、アウトサイドインの軌道になりやすい点は注意が必要です。
ウィークグリップでのスイングのコツ
ウィークグリップはコントロール性の高さがメリットの1つですが、フェースが開きやすいのが欠点です。
そこで、この章ではウィークグリップでもフェースが開かないようにスイングするコツを解説します。
具体的なポイントは以下の3つ。
- 左手の掌屈を入れる
- 体の正面でインパクトを迎える
- ハンドファーストになりすぎない
順に解説します。
左手の掌屈を入れる
掌屈とは手首を手のひら側(内側)に折る動作です。バックスイングで左手首を手のひら側に折るのは、ウィークグリップと相性の良い動きです。
左手の掌屈を入れることで、フェースが開かずにスイングできるようになるため、ウィークグリップでスライスが出る場合は必須な動きといえるでしょう。
掌屈は、まねき猫の手の形をイメージして手首を手のひら側に折ります。そして、その手首の角度をキープしたままインパクトを迎えるのがポイントです。
アマチュアの場合はテークバックの時点で掌屈を入れておくと、スイングが崩れにくくなるでしょう。
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体の正面でインパクトを迎える
ウィークグリップはフェースを返してスイングするため、インパクトは体の正面で迎えるのが基本です。
そのため、手元は常に体の真ん中にある状態でスイングする必要があります。
インパクトゾーンではグリップエンドがおへそを指し、インパクト後はヘッドが手元を追い越す動きが理想的です。
この動きをおこなうには、体を開かないことが重要。インパクト前に体が回転すると、クラブの振り遅れとなり、フェースが開いた状態でインパクトを迎えることになります。
体が開くのを防ぐには、インパクトまで頭をボールの右に残す「ヘッド・ビハインド・ザ・ボール」を意識し、胸を右に向けたままインパクトするつもりでスイングしましょう。
ハンドファーストになりすぎない
ハンドファーストとはインパクト時に手元の位置がボールよりわずかに先行する形を指します。飛距離アップに欠かせない技術であり、アイアンはハンドファーストでインパクトするのが理想的ですが、ウィークグリップの場合は注意が必要です。
前述した通り、ウィークグリップは体の正面でインパクトを迎える必要があるため、手元が先行するハンドファーストが強いと、フェースが開く原因となってしまうのです。
アドレス時の手元の位置はインパクト時の形なので、まずアドレスでハンドファーストの度合いが強くならないよう意識しておき、インパクトではヘッドが手元を追い越すようにフェースローテーションをおこないましょう。
ここでのポイントも、やはりインパクトで頭を右に残す意識です。
頭が右に残っていれば、インパクトでクラブと引っ張り合う形になるため、自然と腕を返しやすくなります。
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ウィークグリップはどんなシーンに向いている?
ウィークグリップはフェース管理がしやすいため、手元の操作で意図的に打球をコントロールするのに向いています。
たとえば、目標方向の正面にある木を避けるショットや、ドッグレッグ(大きく曲がった形)のコースに沿った球筋で打ちたいシーンなど。
こういったフェードやドローが必要な場面では、コントロール性の高いウィークグリップが向いています。
また、手元の繊細な操作が求められるアプローチショットにも有効です。
ウィークグリップは手首を使いやすい握り方のため、フワッと上げるロブショットや、転がして寄せるランニングアプローチなど、フェースの開閉を使って球筋を調節しやすくなります。
グリーン周りのバンカーから脱出する際にも、フェースを開いてバウンスを使ったショットがしやすいため、ウィークグリップが向いているでしょう。
ウィークグリップが向いている人の特徴
ウィークグリップは、「フェースが開きやすい」「コントロール性が高い」ということが特徴です。
これらの特徴を生かせるのは、以下のタイプの人です。
- ドローやフックが強い方
- ヘッドスピードが速い方
- フェースの向きをコントロールしたい方
上記の傾向が強い方ほどウィークグリップが合う可能性がありますが、手首の使い方や体の回し方など、スイングによって向き・不向きがあることにはご留意ください。
それぞれ順に解説します。
ドローやフックが強い方
ウィークグリップは右にボールが出やすいため、ドローが強い方や強烈なフックが出やすい方に向いています。
打球が左へ飛ぶ人は、ダウンスイングからインパクトにかけてフェースを閉じる動きが強い傾向にあります。つまり、スイング中にフェースを返す動きを入れているということです。
このタイプの人がストロンググリップにすると、余計にボールがつかまって左へのミスに繋がります。
フック系の打球が出やすい方や、ひっかけ、チーピンに悩んでいる方は、1度ウィークグリップを試してみましょう。
ヘッドスピードが速い方
スイング時のヘッドスピードが速い方は、シャフトのしなり量が多いため、インパクトでヘッドが返りすぎることがあります。
このタイプの方も左へのミスが多くなりがちなので、ボールをつかまえにくいウィークグリップがおすすめです。
ドライバーの平均ヘッドスピードが45m/sを越える男子プロの中には、インパクトでヘッドが返りすぎないよう、あえて左手をウィークグリップにしている人もいます。
シャフトのフレックスを硬めに変更する方法もありますが、交換費用がかかるのが難点。
また、合わなかったときに元に戻す際にも、手間と費用がかかります。
ウィークグリップは握り方を変えるだけなので、気軽に試したい方におすすめです。
ただし、ウィークグリップに合ったスイングの習得が必要です。前述したウィークグリップのスイングのコツを意識してみてくださいね。
フェースの向きをコントロールしたい方
ウィークグリップは左手の甲がターゲット方向を向いているため、スイング中にフェースの向きを把握したい方に向いています。
フェースの向きは打ち出し方向に影響するので、ボールの打ち出しをコントロールしたい方におすすめです。
さらに、ダウンスイングからフォローにかけて、フェースをどれだけ返すかの調節ができることもメリットの一つです。
コースの傾斜を考慮したショットなど、状況に応じてフェースをコントロールして、球筋を調節したい方に向いています。
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ウィークグリップは、最新のクラブやスイング理論にマッチしないと言われることが多い握り方ですが、決して悪い握り方というわけではありません。
人によってはストロンググリップが合わないケースも多いため、どちらの握り方が良いとは一概にはいえません。
大事なのは、自分のスイングに合ったグリップを取り入れること。そのためには、スイングの癖や弱点を把握する必要があります。
自分に最適なグリップ方法を見つけるには、プロにスイングを見てもらい、アドバイスをもらうのがおすすめです。
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