ゴルフのコースでよくある「左足上がり」からのショット。
傾斜があるため、いつも通りのスイングではミスしてしまう方も多いでしょう。
そこでこの記事では、左足上がりの打ち方について、基本から状況別、クラブの種類別に分けて細かく解説します。また、左足上がりでありがちなミスとその対処法についても触れます。
左足上がりからのショットに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ゴルフの「左足上がり」とは
ゴルフの「左足上がり」とは、ボールに向かってスタンスをとった際に、左足側の地面が高くなる登り斜面の傾斜のことです。
打球の目標方向に向かって地面が上り傾斜になっているため、構えたときに右足よりも左足が高くなり「左足上がり」といわれています。
左足上がりの状態を「右足下がり」と呼ぶこともあります。
左足上がりでのショットは、打ち上げのホールでは1打目、上りのホールでの2打目・3打目、グリーン周りのアプローチなどで打つことがよくあります。
特に、日本ではコース全体の80%ともいわれている、山地に作られた丘陵コースはもちろん、山岳コースなどは傾斜が多いため、左足上がりでスイングすることが多くなるでしょう。
平らな場所とは状況が異なるため、上手く打つには傾斜を考えた打ち方やスイングが必要になります。
左足上がりでボールが飛ぶ方向は?
左足上がりの打球は、一般的に左へ飛ぶことが多くなります。
この理由は、腰の回転が止まって手首を返す動きが強くなるためです。
左足の地面が高いということは、アドレスで右足にかかる重心が大きくなり、バックスイングではさらに右足に体重が乗ります。
切り返しで重心を左へ移動しようとしても、重力は右にかかっているため、平坦な場所よりも体重移動の調整が難しくなるのです。
その結果、スイングで腰の回転が止まり、手首のリストターンが強くなることで左へボールが飛びやすくなります。
特にショートアイアンでは、シャフトが短くロフトの角度が大きいので左に飛びやすく注意が必要です。
対処法はこれから詳しく説明しますが、ボールが左へ飛ぶことを想定し、あらかじめターゲットより右を向いて構えたり、バックスイングを小さめにしてコンパクトに振ったりすることが考えられます。
【基本】左足上がりのボールの打ち方
左足上がりでのショットでは、フラットな場所と比べてスイングにどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、左足上がりでのボールの打ち方について解説します。
ショットを成功させるために意識したいポイントは、以下の3つです。
- ボールの位置
- 立ち方と重心の位置
- スイングの振り幅
順に解説します。
ボールの位置
左足上がりでのボールは、基本は「中央かやや右寄り」に置くようにしましょう。
左足上がりは打球が左へ出やすいライです。ボールを左寄りにセットすると、ダウンスイングでフェースが大きく返ることで、フックやひっかけの原因となります。
ただし、スイングの癖など、人によって左へ曲がる度合いが変わります。まずはボールを真ん中にして自分の弾道をチェックしてから、ボールの位置を右へずらして調整してみましょう。
また、斜面の傾きの度合いによっても適切なボールの位置は変わってくるので、常に確認するようにしてくださいね。
ただし傾斜だけに囚われてボールの位置が右寄りになりすぎると、トップする可能性が高くなるので注意しましょう。
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立ち方と重心の位置
左足上がりの状況では、傾斜に逆らわず、地面と体が垂直になるように立つのが基本です。
左足が高くなるので、傾斜なりに構えると体は右に傾きます。この状態でスイングすることで、傾斜に沿ったクラブ軌道でボールへ当てることができるのです。
しかし注意したいのが、体が右に傾いているため、重心が右に必要以上に残りやすいということ。
これを防ぐには、アドレスの時点で右足体重になりすぎないのがポイントです。右足6・左足4の重心配分を意識し、これ以上右重心にならないように注意しましょう。
さらに、スイング中の体重移動をなるべくおこなわないようにし、右足の体重はキープしたままスイングするのが上手く打つコツです。
しかし、この傾斜を意識した立ち方と重心の位置の考え方は、状況によって大きく変わります。むしろ傾斜に逆らわなくてはいけない例もたくさんあります。また改めて確認しましょう。
スイングの振り幅
左足上がりでは足元が不安定になるため、平坦な場所よりもバランスを崩しやすくなります。
そのため、ミート率を上げるにはコンパクトなスイングを心がけましょう。
グリップは普段より短めに持ち、しっかり体を回して打つのがポイントです。
バックスイングとフィニッシュを小さくし、できるだけ体重移動をしない打ち方をすることで、スイングのブレを防げます。
ハーフショットやスリークォーターショットなど、飛距離よりも安定性を高めたスイングが成功率を上げるコツです。
ただし、その分飛距離は落ちるので、クラブの番手を1つ上げて対処するとよいでしょう。
【急斜面】急な左足上がりの打ち方
コースは自然の中に作られているため、山岳コースなど、特に傾斜がきつくなる場所も存在します。
こういった場面で特に注意したいのが、重心の取り方です。
緩やかな左足上がりの場合は、傾斜に逆らわず、地面に垂直となるように立つのが基本ですが、傾斜の強い左足上がりの場面でこのように立つと、スイング中にバランスを崩しやすくなります。
ここでは、「少し傾斜に逆らうように立つ」のがポイント。基本のときよりも、もっと左足にも体重が乗るように重心を移動し、体が右に傾きすぎないようにしましょう。
また、左足に重心を乗せることは、ボールの上がりすぎによる飛距離ロスにも効果的。
基本に従って傾斜なりに立つと、クラブの入射角も傾斜に沿った軌道になり、ロフトが寝て入ることでボールをすくい上げるような打ち方になってしまいます。
アプローチショットでグリーン手前を大きくショートするのは、このすくい打ちが原因の1つです。
急斜面においては、傾斜に逆らうように重心をとることでロフトが立ち、飛距離が落ちるのを防げます。
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【アプローチ】左足上がりのボールの打ち方
コースでは、水はけをよくするため、グリーンが高く盛り上がっているホールをよく見かけます。
こういったグリーンを攻略する場合、左足上がりの状態でアプローチをおこなうことが多くなります。この章ではアプローチに絞って左足上がりでの打ち方を解説します。
ポイントは以下の3つです。
- ボールはやや右寄りに置く
- インサイドアウト軌道で右方向へ打ち出す
- カップまでの距離によって重心位置を変える
それぞれ解説します。
ボールはやや右寄りに置く
左足上がりのアプローチショットは、ボールをやや右寄りに置きます。
基本では「中央かやや右寄り」と説明しましたが、ここでは「右に寄せる」ことをもっと意識しましょう。
これは、打球が高く上がりすぎるのを防ぐためです。
ボールが左に寄せてあると、ロフトが寝て入り、予想よりはるか手前にボールが落ちてしまいます。
これだとランも出ません。ロフトが立った状態でインパクトできるよう、ボールは右寄りにセットしましょう。
インサイドアウト軌道で右方向へ打ち出す
左足上がりの傾斜が強い場所では、右足に体重が残りすぎないないよう、傾斜に逆らって立ちます。
急斜面での打ち方で説明したように、基本だった「傾斜に逆らわない」やり方とは異なります。
また、振り方にも工夫が必要です。このままスイングするとクラブが地面の傾斜に刺さるので、クラブヘッドをインサイドアウトの軌道で振るのがポイントです。
傾斜に対してやや斜めからヘッドが入ってくるため、クラブのバウンスを使って地面を滑らせるような打ち方ができます。
ダフリやチャックリといったミスを防ぐのに効果的です。
また、インサイドアウトのスイングは、打球が右に打ち出されるので、左にひっかけやすい左足上がりの状況に適しているといえるでしょう。
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カップまでの距離によって打ち方を変える
左足上がりでのアプローチは、カップがグリーンのどこにあるのかによって、2通りのショットを使い分けると上手くボールを寄せられます。
具体的には、カップがグリーンエッジから近い場合は、ボールを高く上げるロブショットが合っています。
反対に、遠い場合は、ボールを低く出してランを多くするランニングアプローチが向いているでしょう。
ボールを高く上げるロブショットの場合は、基本の左足上がりのショットと同じ打ち方で、自然と弾道が高くなります。
一方、ランで転がすランニングアプローチの場合は少しコツが必要です。
まず、ボールは右寄りにセットし、基本と異なり傾斜に逆らうように立ちます。
テークバックでは、フェースが開かないようにするのがポイント。アドレス時のフェースの向きを保ってバックスイングすることでロフトが立ち、ランの出る低いボールを打てます。
【クラブ別】左足上がりの打ち方
クラブの種類によって、左足上がりでのショットに違いはあるのでしょうか。
ここでは、以下3種類のクラブごとに、左足上がりの打ち方を解説します。
- フェアウェイウッド
- アイアン
- ドライバー
順に解説します。
フェアウェイウッド
3Wや5Wなどのフェアウェイウッドの場合、基本の左足上がりの場合と打ち方は同じですが、注意したいのが重心です。
フェアウェイウッドは長いクラブなので、スイング時の遠心力が大きくなります。
左足上がりの場面では、ダウンスイングで左に重心を移動しにくいため、遠心力の大きいフェアウェイウッドはその場で回転するスピンアウトという動きになりがちです。
スピンアウトは体のターンが先行するため、ボールを左へ巻き込んだり、フェースが開いて右へスライスしたり、さまざまなミスが起きる原因になります。
これを防いでいくには、オープンスタンスにして右足に重心を残して体がぶれないように心がけます。それから、ショット中は切り返しで左足へのスムーズな体重移動をおこないます。
つまり、左足上がりでは、右足の重心が残りすぎても、左足への体重移動を強引にしても体が安定しないのでショット全体の流れを大切にするのです。
この一連の作業を問題なくおこなうために、アドレスの際に、あらかじめ左足をやや曲げて体重を乗せておきましょう。ショット後左足に負担がかかってもよいよう準備しておくことが大事です。
左右の重心に気を配らなくてはいけないので大変ですが、そのバランス感覚がよいショットをするために求められます。
左足上がりでは、スイング中の体重移動を抑えることが大原則ですが、このように移動が全く起きないわけではありません。平坦な場所以上に左足へ重心をスムーズに移動させるよう意識することで、ボールを上から打てるようになり、飛距離が落ちるのを防ぐ効果もあります。
アイアン
アイアンの場合、ボールの位置はやや右寄りに置き、傾斜に逆らわないように立ってスイングすることで、高さのあるショットが打てます。
注意したいのが、ショートアイアンで左方向へ飛んでしまうというミスです。
クラブが短くなるほど、フェースの返る動きが強くなるため、フックやひっかけのミスが出やすくなります。
ショートアイアンでは、特にしっかり体を回転させて打つことを意識しましょう。
この場合も、重心が右にずっと残りすぎるとボディターンができなくなるので、フェアウェイウッドと同じく、アドレス時にやや左足に体重を乗せておき、コンパクトなスイングを心がけるのがコツです。
ドライバー
左足上がりになる場所として、意外に多いのがティーイングエリア。
実は、ドライバーを打つ場面でも左足上がりになっていることが多いです。
アドレスをとった際に、いつもより右足に体重が乗っていると感じたら、左足上がりになっているかもしれません。
ティーアップして打つドライバーは、もともとアッパー軌道で打つのが基本です。
そのため、あまり左足上がりの影響がないように感じますが、体が右に傾きすぎると、あおり打ちで飛距離をロスしたり、手前をダフったりといったミスの原因になります。
ティーイングエリアが左足上がりの場合は、基本と異なり、傾斜よりも少し体を起こして構えるようにしましょう。
左足上がりの場合に出やすいミスと対処法
左足上がりの場面で起こりがちなミスは、以下の4つです。
- チョロ
- ダフリ
- シャンク
- ひっかけ
こういったミスはスコアを崩す原因となるため、左足上がりの状況では注意が必要です。
ここでは、左足上がりでありがちなミスと対処法について解説します。
チョロ
左足上がりの場面で多いミスが、ボールの頭を打つチョロ。特に、フェアウェイウッドなどの長いクラブでよく起こります。
これは、右足に体重が残りすぎることでバランスを崩し、クラブがボールの上を通るような軌道になっているためです。
いわゆるあおり打ちになっていると、このようなミスが出やすくなります。
こういったミスが出る場合は、基本を変えて傾斜に逆らうように立ちましょう。
傾斜ではなく、地軸に対して垂直に立つことで、両足でしっかり踏ん張れるようになります。
ダフリ
左足上がりでダフる場合は、傾斜に対して体が右に傾きすぎていることが多いです。
この状態でスイングをすると、ボール手前でクラブが地面に刺さってダフリます。この場合は基本に立ち返って、傾斜に逆らわずに打つことを心がけましょう。
また、ボールの位置が左寄りになっていることもダフる原因です。
ボールを右寄りにセットし、右肩が下がりすぎていないかチェックしてみましょう。
シャンク
クラブのネック(根元)にボールが当たるシャンクは、左足上がりの傾斜でも起こりうるミスです。
原因として多いのが、左足がスイング軌道を邪魔しているケース。
左足上がりのような傾斜では、バランスを保つためにスタンスを広くすることが多いですが、このときに左足が前に出ていると、スイングで左足を避けようとする意識が働きます。
すると、手元が前に出るため、ネックに当たってシャンクが起こるのです。
このような場合は、左足を1歩引いて、オープンスタンスで構えるのがコツ。
クラブの通り道が確保できるため、左へ振り向けるようになります。
ひっかけ
ひっかけは、左足上がりの状況で最も多く出るミスの1つ。
主な原因は、体の回転が止まることで、フェース面が左を向いてインパクトしていることです。
ダウンスイングで左足に体重移動ができず、右足に重心が残っているため、体の回転が止まります。
こうなると、インパクトで手首が返る動きが強くなるので、フェースが被ってひっかけのミスが出ます。
ひっかけを防ぐには、切り返しで重力に負けないことが大切。フェアウェイウッドで説明した左右の重心のバランスに注意する要領です。
左足上がりでは体が右に倒れやすいので、右足でしっかり踏ん張ってスイングしましょう。
極力体重移動はおこなわず、コンパクトなスイングを心がけるのがコツです。
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丘陵コースや山岳コース、グリーンへのアプローチショットなど、左足上がりの対応が必要になる状況は多くあり、上手く打てるかどうかでスコアが大きく変わります。
しかし、練習場のマットは平坦なため、普段はあまり傾斜からの練習ができないのが悩みですよね。
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