「安定したスイングを身に付けたい」と願うゴルファーから注目を集めているのが「ベタ足スイング」です。
その名の通り、右足のかかとが地面にベタっとついた状態でインパクトするのが最大の特徴で、体の正面でボールを打つことができます。
打球方向が安定して左右へのミスを軽減できるため、挑戦してみたいと考えているゴルファーも少なくないでしょう。
そこで本記事では、ベタ足スイングについて掘り下げていきます。メリット・デメリットから練習方法まで詳しく説明するので、スイングを安定させたいという方は参考にしてください。
ゴルフのベタ足スイングとは
ベタ足という言葉はもともと、「足を地面にべたっと付けたままにした状態」という意味で使われています。
ゴルフにおけるベタ足スイングとは、インパクトからフォローにかけて右足のかかとが上がらないスイングのことです。
ただし、スイング中ずっとベタ足というわけではありません。フィニッシュでは通常のスイングと同様、右足がめくれてつま先立ちとなります。
体重移動を最小限にできるベタ足スイング
ゴルフスイングの基本は右から左に振る動きなので、しっかり体重移動ができていればクラブヘッドに力が伝わりビッグドライブが生まれます。
下半身リードによるダイナミックな動きによって飛ばそうというスイング理論が数多くある一方で、一般的なアマチュアゴルファーの場合、ダウンスイングで体の動きが大きくなるとミート率が下がってしまいます。
そこで注目を集めるようになったのがベタ足スイングです。体重移動を最小限に抑えて安定性を高めつつ飛距離もキープできるため、ベタ足スイングを習得してみたいというゴルファーが増えてきました。
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ベタ足スイングでプレーしているプロはいる?
ベタ足スイングのプロゴルファーといえば、なんといっても韓国出身の女子選手が有名です。世界を席巻した韓国勢の「強さの源」として、ベタ足スイングが脚光を浴びたといってもよいでしょう。
ベタ足でスイングしている(していた)主な選手は以下の通りです。
- アン・ソンジュ(韓国)
- イ・ボミ(韓国)
- 稲見 萌寧
- 畑岡 奈紗
- ローリー・マキロイ(北アイルランド)
- リッキー・ファウラー(アメリカ)
- キャメロン・チャンプ(アメリカ)
- 平田 憲聖
お手本のようなベタ足スイングでスーパーショットを連発したのがアン・ソンジュとイ・ボミです。日本ツアーでの優勝回数は、2人合わせてなんと49回。
韓国選手ではこのほか、申ジエやキム・ハヌルも美しいベタ足スイングを披露しています。
男子では、ローリー・マキロイやリッキー・ファウラーといった世界のトッププレーヤーもベタ足です。
マキロイのスイングはとてもダイナミックに見えますが、インパクトの瞬間には左足がしっかり接地しているのが特徴です。
国内に目を向けると、東京オリンピックで銀メダルの稲見萌寧、日本プロを制した平田憲聖といった次代を担う選手たちが採用しています。ベタ足スイングは国籍・性別・世代を問わず浸透しているといえるでしょう。
ベタ足スイングのメリット・デメリット
「ベタ足にすればスイングは安定するけど、体の動きが止まってしまいそう」。右かかとを上げるスイングに慣れている方にとっては、そんな不安も思い浮かぶのではないでしょうか。
ここでは、ベタ足スイングのメリット・デメリットについて詳しく説明します。
メリット
ベタ足スイングの主なメリットといえば、以下の3点が考えられます。
- 軸が安定する
- スライスしにくい
- 傾斜地に強い
ベタ足スイングにすると軸が安定する。これが最大のメリットといって間違いありません。
下半身から余計な動きがなくなるため、スウェーや伸び上がりによるミスショットを減らせます。
また、ボールを体の正面でとらえることができるため、打球の方向が安定してインパクトゾーンも長くなります。
右に大きく曲がるスライスが出にくいのもベタ足スイングの魅力です。
ダウンスイングの途中で右かかとを上げると、腰やひざがボールの方向に近づきます。そのため、クラブはアウトサイドイン軌道になり、スライスが出てしまうというわけです。
ベタ足スイングでは腰やひざが前に出ないため、クラブがスイングプレーンから外れにくくなってスライスも減るでしょう。
さらに傾斜地に強いことも大きなメリットです。ゴルフスイングの基本は体とボールと距離を一定に保つことですが、姿勢が安定しない傾斜地ではそれが難しくなります。
ベタ足スイングの場合、インパクトの瞬間まで両足でしっかり踏ん張ることができます。体重移動も少ないため安定感抜群で、傾斜地からのショットでは強い味方となってくれるでしょう。
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デメリット
メリットが多く魅力的にみえるベタ足スイングですが、中途半端に習得すると以下のようなデメリットが生じるかもしれません。
- 手打ちになりやすい
- 体が硬いと不利
ベタ足に限った話ではありませんが、ゴルフスイングにとって重要なのが肩や股関節の可動域です。
下半身の動きが少ないベタ足スイングの場合、肩と股関節に加えて足首の柔軟性も必要になります。
可動域が十分でなかったり、足をつけることばかり気にしたり、そうした状況ではスイング全体が縮こまってしまいます。
無理に体を捻転させるとけがのリスクもあるので、ストレッチなどで関節の可動域をしっかり広げてからチャレンジしてくださいね。
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ベタ足スイングのやり方
ベタ足スイングについて「右足が地面についていればOK」という考え方がありますが、実はそれだけでは不十分です。それでは、どんなことに注意してスイングすればよいのでしょうか。
まずは右かかとを上げない意識を
右のかかとがついているだけでは不十分とはいえ、まずはインパクトまで右足を上げない意識を定着させることが第一歩です。
足が動いてしまうことでミート率が下がっている方や、スライスに苦しんでいる方にとっては、その意識づけだけでも効果が得られるかもしれません。
しかし、固まったスイングを大きく変えるのは大変なことで、無意識にかかとが上がっているケースもあります。
そんな場合は、不要になったタオルやスポンジを右のかかとで踏みながらスイングしてみるのもよいでしょう。
「なにかを踏んでいる」ことを感じながら練習すれば、かかとが上がった場合に自分で修正することができるようになります。
つけた右足を強く踏み込む
ベタ足スイングは、右のかかとを上げないことだけにフォーカスされがちです。
しかし、実際の右足は置いてあるだけではありません。トップからの切り返しの際に、足裏全体で地面を強く踏み込んでいます。
実はこの踏み込みこそが重要で、踏み込む力が強ければ地面から受ける反力も大きくなり、力強いスイングの原動力となるでしょう。
先ほど紹介したローリー・マキロイは、沈み込むようにして右足を踏み込み、その反力を腰の回転動作に使っています。
つまり、左右ではなく上下の体重移動によって切れ味抜群のスイングを生み出しているということです。
左足を伸ばして壁をつくる
右足の踏み込みと連動して、左足を真っすぐ伸ばすことも欠かせないポイントです。
左足を伸ばすことによってできるのが、いわゆる「左の壁」です。
左の壁は体重移動を最小限で止めてくれるほか、クラブヘッドが手元を追い越して加速するためには欠かせません。
「右を踏み込んでから左で受け止める」。この動きがベタ足スイングの根幹といってもよいでしょう。
ベタ足スイングのコツは?
ベタ足スイングのコツは、右足をしっかりと踏み込むことです。つま先ではなくかかとを使い、足裏全体でぐっと押し込むようにしてください。
始めから地面についている足をさらに踏み込むのが難しいと感じた場合は、トップからの切り返しに合わせて踏み込んでみると、タイミングがとりやすくなります。
また、前傾姿勢をキープしたままスイングすることも忘れないようにしましょう。
前傾を保てずにダウンスイングに入ると、右のかかとが自然に上がってしまいます。
ダウンスイングにかけて体が起き上がる癖が直らないという方は、ベタ足スイングにチャレンジしてみるのもよいでしょう。
右足を踏み込んでから左ひざを急に伸ばすと、前傾が崩れてしまうイメージがあるかもしれませんが、ヘッドアップさえしていなければ特に問題ありません。
ベタ足スイングの練習方法・ドリル
ベタ足スイングを習得する際に欠かせないのが、体の正面でしっかりボールをとらえることです。
ゴルフを始めたてのころ「両足をそろえて立ち、時計の3時から9時の幅でアイアンを振る」という反復練習をした経験のある方もいるでしょう。
初心者にとってはスイング軌道を一定にしてしっかり当てるための練習ですが、ベタ足スイングを習得するためにも有効な練習法となります。
体重移動を使わず体の正面でボールをとらえ、ヘッドが先に走っていく感覚が身に付いたら、通常のスタンス幅に戻しましょう。
体の回転を加えてフルショットに近づけていくと、自然とベタ足スイングの感覚が身に付くようになります。
ベタ足スイングをマスターしたいなら、インドアゴルフスクールがおすすめ◎
ベタ足スイングのメリットや練習方法について紹介してきました。
足を地面につけてクラブを振るだけでなく、右足の踏み込みや左足を伸ばす動きも複合的に行うため、独学ではすぐにマスターというわけにはいかないかもしれません。
足の踏み込みばかりに気を取られていると、上半身の動きが小さくなって全体のバランスが崩れてしまうおそれもあります。
そんな場合は、数々のスイング理論に精通したプロのレッスンが受けられるゴルフスクールがおすすめです。
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また、スイングだけでなくストレッチの指導が受けられるのも魅力です。
理想のスイングに早く近づくため、どの部分の柔軟性を高めるのがよいかをピンポイントに知ることができるでしょう。
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