この記事では、ゴルフの縦振りの特徴や、横振りとの違いについて解説します。
縦振りのコツや練習ドリル、縦振りスイングの直し方についても触れるので、スイングに悩みを抱える方はぜひ参考にしてくださいね。
ゴルフの縦振りとは
ゴルフの縦振りとは、クラブ軌道が地面と垂直に近いスイングを指します。
「アップライトスイング」とも呼ばれ、トップの位置で手元が高く上がるのが特徴です。
ダウンスイングでは高い位置からクラブを振り下ろすため、地面に対して鋭角な角度でクラブが下りてきます。
そのため、スイングの最下点がボール手前となるダウンブローで打ちやすく、アイアンで高さを出して飛距離を伸ばすには効果的なスイングといえます。
「ゴルフは縦振り(が良い)」と言われる理由
ゴルフスイングは縦振りが良いという話を耳にしたことがある方もいるでしょう。
一部で縦振りが推奨されているのはなぜでしょうか。
この理由として、縦振りには「方向性が安定しやすい」「飛距離を伸ばしやすい」という利点があることが考えられます。
縦振りはフェースがスクエアになる時間が長いのでまっすぐ打ちやすく、打球が左右にばらつきにくい特徴があります。
また、縦振りはボールを強く叩けるメリットもあります。
縦振りは体重移動を使った振り子運動で飛ばすスイングのため、飛距離を伸ばすのに有利という考えがあるのです。
しかし、縦振りのスイングには人によって合う合わないがあります。
たとえば、身長が低い人は前傾姿勢の角度が浅くなるので、縦振りだと極端にボールに近づかなくてはなりません。この状態ではかかとに重心がかかりやすく、上半身が起き上がることでさまざまなミスを誘発します。
また、ダウンスイングでクラブを下ろすスペースが狭くなるため、肩の回転が制限された手打ちスイングになりがちです。
詳しくは後述しますが、体格や使うクラブ、スイングの癖によっては、縦振りによるデメリットもあることを知っておきましょう。
縦振りと横振りの違い
ゴルフスイングには、大きく分けて縦振りと横振りの2通りのスイングがあります。
縦振り・横振りの特徴を表にまとめました。
スイング軌道 | 飛距離アップに必要なこと | 特徴 | 相性の良いクラブ | |
---|---|---|---|---|
縦振り | 垂直に近い | 体重移動 | 方向性が安定しやすい | アイアンやウェッジ |
横振り | 水平に近い | 体の回転と遠心力 | フェースの開閉が多い | ドライバーやFW |
アップライトに振る縦振りは、クラブヘッドがターゲット方向へ直線的に動きます。
そのため、方向性を安定させやすいのが特徴です。体重移動が大きくなるので、ダウンブローに打つアイアンやウェッジとの相性が良いといえるでしょう。
一方、フラットスイングである横振りは、体の回転と遠心力を使った払い打つようなスイングです。
体重移動が小さく、スイングが縦振りよりもシンプルなのが特徴。長いクラブほど遠心力を生かせるため、ドライバーやフェアウェイウッドとの相性が良いでしょう。
ただし、横振りはスイング時にフェースの開閉が多くなるため、打球の方向性が安定しづらいというデメリットがあります。
縦振りと横振りはどっちが良い?
縦振りと横振りは、使うクラブや身長などによって合う合わないがあるため、一概にどちらかが良いと断言はできません。
クラブとの相性をみると、先述したようにアイアンやウェッジは縦振り、ドライバーやフェアウェイウッドは横振りが良いでしょう。
ただし、同じクラブでも身長の高さによって前傾角度は変わってきます。
身長の高い人は前傾角度が深くなるので、スイングはやや縦振りに。反対に、身長の低い人は前傾角度が浅くなるため、横振りに近いスイングになります。
また、目的に合わせて縦振りと横振りを使い分ける人もいます。
スピンをかけてボールを止めたい場合は縦振り、弾道の高さを抑えたい場合は横振りなど、状況に応じてショットを打ち分けられるとスコアメイクをしやすくなりますよ。
縦振りスイングを武器とするゴルフプロは多い?
世界で活躍するプロゴルファーの中には、縦振りスイングを得意とする選手が多くいます。
男子プロでは、かつて世界ランク1位となったアダム・スコット選手が有名です。
183cmの長身ということもあり、ドライバーでもクラブをアップライトに振って飛距離を出しています。
彼の持ち味は「ミスター・オーソドックス」と称される美しいスイング。バックスイングでは左肩を下げ、切り返しで両肩を入れ替える理想的な“縦の動き”は、まさに縦振りのお手本となるスイングです。
女子プロでは、アイアン部門のベストスウィンガーに選ばれた成田美寿々プロが有名です。
下半身を安定させ、上半身の前傾姿勢を保った縦振りスイングが特徴的です。
バックスイングでしっかり右へ体重を乗せ、手元を体に引きつけながら左へ体重移動する動きがショットを安定させています。
ゴルフの縦振りのメリット・デメリット
ここでは、ゴルフの縦振りのメリット・デメリットについて解説します。
メリット1)方向性が安定する
縦振りスイングでは、上から見たときに楕円の軌道でヘッドが下りてきます。長いインパクトゾーンを作ることができるため、方向性が安定しやすくなります。
スイング中のフェース開閉が少ないので、多少インパクトのタイミングがズレても大きなミスになりにくいでしょう。
メリット2)飛距離を伸ばしやすい
体重移動を積極的に使うことで、飛距離を伸ばしやすくなります。
高い位置からヘッドの重みを利用して振り下ろせるため、振り子のような規則正しい動きでスイングできます。
飛距離を伸ばすために欠かせないのがミート率。振り子運動を利用した縦振りは、正しい軌道でスイングするのに有効です。
デメリット1)スライスが出やすい
アップライトに振る縦振りは、アウトサイドインの軌道になりやすいです。そのため、スイングがカット軌道になり、スライスが出やすいというデメリットがあります。
これは、クラブを高く上げようと手を使ってバックスイングする点に原因があります。
手元が体の軸から外れるため、ヘッドが体の外側(アウトサイド)から下りやすくなるのです。
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デメリット2)ダフリやすい
縦振りではヘッドの上下運動が大きくなるため、ダフる可能性も高まります。
一般的に、ボールを上から叩く意識が強いとダフリやすくなります。
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デメリット3)飛距離にばらつきがでやすい
重心が安定しない傾斜などで縦振りをすると、想定したような飛距離が出ないこともあります。
縦振りは体重移動を使ったスイングなので、左足上がりやつま先下がりなど、体重移動しづらい状況では距離のコントロールが難しくなります。
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ゴルフスイングを縦振りにするコツ
「縦振りに挑戦してみたいけど振り方が分からない」という方は、以下の3つのポイントを意識してみましょう。
- 前傾を深く構えてボールに近づく
- 右手は上から握る
- ダウンスイングでグリップを下に引っ張る
前傾を深く構えてボールに近づく
クラブをアップライトに上げるには、手元を体から離さないことが重要です。
アドレス時にボールから離れすぎていると手元が体から離れ、クラブは横振りしやすくなります。
前傾姿勢は少し深めにし、ボールに近づいてアドレスしましょう。こうすることで、クラブを縦に動かしやすくなります。
また、バックスイングでクラブが腰の高さに上がるまでは、体と手の間隔をキープしましょう。
テイクバックの始動直後に手元が離れると、ダウンスイングでアウトサイドインの軌道になるので注意してくださいね。
右手は上から握る
縦振りは、クラブを縦に上げ、縦に振り下ろすスイングです。
腕を縦に動かすには、右手のグリップを上から握るようにしましょう。
右手のひらが下を向いていると右肩の関節が縦に回転しやすくなり、横には回転しづらくなります。
一方、普段ストロンググリップ(フックグリップ)で握っている方は、右手を下から握る形になっているため、肩の関節の動きが横振りになりやすくなります。
ダウンスイングでグリップを下に引っ張る
縦振りでクラブを振り下ろすには、手元を地面に向かって下ろす動きが必要です。
そのためには、グリップを下に引っ張る意識でダウンスイングを行います。
このときに重要なのが、左肘が下を向いていること。左肘の向いている方向に腕を下ろすことで、クラブは自然と縦に下りてきます。
両脇を締めたままクラブを縦に振り下ろせるため、スイング軌道も正しくなるでしょう。
【クラブ別】縦振りのコツ
縦振りを使いこなすには、クラブの長さや特性に合わせた打ち方を習得しなければなりません。
ここでは、ドライバーとアイアンの縦振りのコツを解説します。
ドライバー
ドライバーは遠心力を生かした横振りで振ることが多いですが、飛距離を伸ばすには縦振りが有効です。
長さがあるドライバーの場合、真下にクラブを下ろすとダフる原因になります。これを防ぐために、やや斜めから振り下ろすことを意識しましょう。
また、長いクラブで縦振りをする際は、ダウンスイングで左の壁を意識することが重要です。
左へスウェーするとクラブを縦に振り抜けないため、インパクトでしっかり頭を右に残すことを意識しましょう。
アイアン
アイアンは短いクラブのため、前傾姿勢が深くなり、自然と縦振りに近いスイングとなります。
そのため、手元が体から離れないこと、脇を締めてスイングすることを意識すれば問題ありません。
もし横振りになってしまうなら、バックスイングで体が右にスウェーしている可能性があります。
右腰を後ろへ回転させるように動かすと、右足のかかとに体重を乗せたトップの形が作れるはずです。
また、アプローチショットで縦振りにスイングする場合は、できるだけボールに近づいて構えるのがポイント。
つま先とボールとの距離を靴1足分ほどに狭めると、クラブの通り道が限定されるため、再現性のあるショットが打てますよ。
ゴルフの縦振りスイングドリル・練習方法
ここでは、縦振りスイングを習得するために、自宅でできる練習方法を紹介します。
ドリルは以下の2つです。
- 壁を背にしてスイング
- ボールを後方にまっすぐ転がす
それぞれ解説します。
壁を背にしてスイング
腕を縦に振る動きを身につけるには、壁を背にしたスイングドリルが効果的です。
まず、壁を背にして靴1足分離れます。
その状態でクラブを構え、ヘッドが壁にぶつからないようにゆっくりスイングしてみましょう。
ヘッドが壁に当たるなら、横振りになっている証拠です。
はじめは短いクラブを使い、クラブを縦に振る感覚を覚えましょう。
ボールを後方にまっすぐ転がす
テイクバックでまっすぐクラブを引く動きを身につけるには、ヘッドの後ろに置いたボールを後方へ転がすドリルがおすすめです。
構えたクラブの後ろ(向かって右側)にボールを置き、ボールがまっすぐ後方へ転がるようにテイクバックしてみましょう。
斜めに転がるようなら腕を横に上げている可能性が高いので、まっすぐ後方へ転がすことを意識してください。
慣れてきたらヘッドの前後に1つずつボールを置き、後ろのボールを転がしてから前のボールをショットしてみましょう。
ゴルフの縦振りの直し方
縦振りスイングによって「ダフる」「スライスする」といった悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。
そういう方は、縦振りのスイング方法を間違えている可能性があります。
縦振りでよくあるミスが、クラブを必要以上に立ててスイングしているケース。
この場合、アドレスのシャフトの角度よりも立った状態でクラブが下りてくるため、ダフリやスライスの原因となります。
また、バックスイングで縦に振り上げる意識が強いと、トップでヘッドが目標の右を向くシャフトクロスになりがちです。
これはスイングの再現性が低くなるため、さまざまなミスショットを引き起こします。
アドレス時のシャフトの角度を保ち、トップの位置で過度にクラブを立たせないよう意識しましょう。
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ゴルフスイングにおいて、縦振りと横振りのどちらが正解ということはありません。
個人の体格やクラブの長さ・弾道などに合わせて使いこなすことが大切です。
どちらにしても、極端に偏ったスイングにならないようにしましょう。
また、自分に合うスイングは人によって異なります。うまい人の真似をしても自分の体格やスイングに合っていなければ、それは正しいスイングとはいえません。
自分に合ったスイングを見つけるには、プロの視点でアドバイスをもらえるゴルフスクールに通うのがおすすめです。
プロのコーチは正しい知識だけでなく、それを個人のスイングに当てはめる指導力を持ち合わせているので、自分に合った最適なスイングを提案してくれるはずですよ。
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