ゴルフスイングにおいて、ボールにエネルギーを与える動力源の役割を果たしているのが下半身の動きです。下半身をダイナミックに動かすことでビッグドライブが可能になる一方、使い方を間違えれば、飛距離ダウンだけでなくミスショットの原因にもなります。
本記事では、下半身の具体的な使い方や練習方法について幅広く紹介します。「頭ではわかっているけどできない」と悩むことの多い下半身リードについても解説するので、下半身の使い方を変えたいという方はぜひ参考にしてくださいね。

ゴルフにおける下半身の動きは大事?
ゴルフに限らず多くのスポーツでは、上半身の動きを下半身がしっかりと支えるのが基本です。野球のピッチャーが足を踏み込まないと速いボールが投げられないように、ゴルフでも飛距離を生み出す根源になっているのが下半身の力です。
ゴルフにおいて下半身は、土台としての役割のほかに「スイッチ」としても機能します。体の動きを下半身から始めるいわゆる「下半身リード」ですが、この動きによって上半身の回転運動をさらに加速させることができます。
さらに下半身の大切さはスイングだけには限りません。ゴルフコースを1ラウンドすると約10キロ歩くといわれています。カートを使うならばそこまでは歩きませんが、ゴルフ場の地形はアップダウンも多いです。ラウンドを回りきるスタミナを作り出すとき、頼りになるのは強い下半身です。
ゴルフにおける下半身の基本的な使い方
ゴルフスイングで最大限の力を引き出すには、下半身をうまく使うことが欠かせません。ここからは、下半身の基本的な使い方について解説します。
体重移動が基本
下半身の使い方で初めに挙げられるのは体重移動です。両足にかかる体重が均等な状態で構えてからクラブを振り上げるにつれて体重は右足に乗ります。クラブが上がりきったトップの位置では、右足と左足の体重配分は7:3がベストなバランスといわれます。
そして、クラブを振り下ろす動きのなかで体重を左に移しながらインパクトを迎え、フィニッシュでは左足1本で立つようなイメージになります。
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左の踏み込みと右の蹴り
テイクバックの動きにおいて右足に乗せた体重をどうやって左に移動させるかは、スイングのなかでも特に難しいポイントです。
ここで意識したいのは左足の踏み込みです。踏み込みを合図に腰を回転させ、クラブを振り上げる過程で右に切っていた腰が正面にきたら、右足で地面を蹴り込みます。強く蹴り込むことで蹴りの勢いをクラブに乗せ、動きを加速させるイメージでスイングしてみましょう。
下半身の動きを止めない
下半身の使い方で大事なポイントは、動きを止めないことです。練習ではトップの形を確認するために動きの途中でスイングを止めることも多いでしょう。
ところが実際のスイングでは、クラブが上がりきるタイミングで下半身が切り返しの動きに入るのが理想的です。下半身の動きを止めないことで、まだクラブを振り上げている上半身と切り返しはじめる下半身の動きに差が生まれ、この差が大きいほど飛距離が出しやすくなっています。
ゴルフスイングの各ポイントでの下半身の役割
ゴルフスイングは体中の各部位が複合的に動くので、難しく感じる方も多いでしょう。ここではスイングをいくつかに分割して、それぞれのポイントにおける下半身の役割について解説します。
アドレスの体重配分は左右均等
アドレスでの体重配分は左右均等で、足を肩幅と同じか少し広く開き、土踏まずに体重を乗せる感覚で立ってみましょう。
左右均等の感覚がわかりにくい場合は、その場でジャンプしてみてください。着地したときの姿勢が「真ん中体重」になっているはずです。
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バックスイングは右足体重
バックスイングでは、体の回転とともに右足に体重が乗っていきます。上半身がしっかり回れば自然と右足体重になるので、自分から体重を移動させる意識は必要ありません。
無理に体重を乗せようとすると回転運動が横運動になり、スウェーの原因となってしまうので注意しましょう。右ひざの角度を変えると回転運動の軸がずれてしまうので、踏ん張ることもポイントです。
ダウンスイングは左足の踏み込みから
ダウンスイングは、左足を踏み込むことで始動します。踏み込んだ時点では、体重はまだ右足に残しておくのがポイントです。
これがいわゆる「切り返し」の動きになります。切り返したあとは、重心が下がりながら腰が左に回転し、体重移動が始まります。
強く蹴り込みインパクト
ダウンスイングで下半身が沈み込んだら、インパクトにかけて右足で地面を強く蹴り込みましょう。このとき、右ひざを左ひざに寄せていくようにすると、体の回転が加速してクラブヘッドも走っていきます。
ジャンプするようなスイングをするプロゴルファーが多いのは、地面を蹴って力を加えて跳ね返ってくるエネルギーである「地面反力」を最大限に生かそうとしているからです。
フォローでは左の壁が大事
フォロースルーで何よりも大事なのは「左の壁」です。左の壁とは、切り返しからインパクトへと加速しながら左側へ移動する上半身を左足でしっかり受け止めることです。クラブに伝わるパワーを逃さないのと同時に、外へと離れるクラブを体の中心に引っ張る力によって、ヘッドがさらに加速して大きな飛距離を生み出してくれます。
使うクラブで下半身の使い方は違う?
ドライバーでもアイアンでも、下半身の使い方は基本的には変わりません。ただし、クラブによって意識すべきポイントは変わってきます。
ドライバーでは蹴り込みを意識
飛距離を求めるドライバーショットでは、下半身を大きく使うことによってパワーを生み出したいです。しっかりと右足で蹴り込むことで、より大きな地面反力を受けることができます。
また、左の壁を安定させることにより、生み出したパワーをロスさせずにボールに伝えるのも重要です。
アイアンはひざの高さを変えない
アイアンショットでは、飛距離よりもミート率の高さが重視されます。あまり思い切り蹴り込むと打点が安定しないので、ドライバーよりは抑えるよう意識しましょう。
ひざの高さを変えると回転の高さが変わってしまい、ショットの正確性が下がってしまうので、体の浮き沈みを少なくすることを意識しながらスイングするのがおすすめです。
パターは下半身を動かさない
「パットに型なし」の言葉通り、パッティングのスタイルは千差万別。とはいえ、打点を安定させてミスを減らすには、下半身は動かさないほうがよいでしょう。
初心者やパターに苦手意識を持つ人に多くみられるのが、動いていないつもりなのにパターの動きに合わせて足が動いてしまい、体にブレがでてしまうことです。両足でしっかり地面を踏みしめて立ち、体幹を意識しながら肩を使ってストロークしてみましょう。
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「下半身リード」とは
ゴルフスイングの基本として、たびたび登場するのが「下半身リード」という言葉。左足の踏み込みに続いて腰、肩が回転し、最後に腕を振ることで上半身にタメができるスイングのことです。つまり、理想的なスイングを体が動く順番に着目して言い換えたのが、下半身リードであるともいえます。
下半身リードができないときのコツ
体の動かし方は十分理解したつもりでも、実際にはなかなかできないのが下半身リードです。下半身から動かすとわかっていてもいざボールを目の前にすると、どうしてもクラブが先に動いて順番が狂ってしまう方も多いでしょう。
そんな人に効果を発揮するのは素振りです。タオルを握れば自宅でも簡単に動きをチェックできます。ゆっくりと一つひとつの動作を確認しながら、徐々にスピードを上げてみてください。
下半身リードのよくある間違い
下半身リードと間違われやすいのが「腰を切る」動作です。プロゴルファーなど飛ばす人のスイングでは腰がよく切れているので、腰から思い切り回しているようにも見えます。
しかし、実際は腰を切り始める前に左足から始動しており、腰だけを回すと体が開いてしまい、クラブのフェースが開いてスライスが出やすいので注意しましょう。
下半身リードを覚えるための練習方法・ドリル
ラウンド前のプロゴルファーの多くが取り入れている「片手打ち」は、下半身リードの習得にも効果が期待できます。使用するクラブや打つ距離に決まりはないので、とにかくクラブを左手1本で持ってスイングしてください。
両手で握ると振り回したくなるクラブが、左手だけだと重くてスイングできないことが実感できます。下半身リードの動きがないとスムーズには振れないので、片手打ちの感覚を体に覚えさせれば少しずつ下半身リードが身についていくというわけです。
ゴルフにおける下半身の動きに関する練習ドリル・トレーニング3選
ゴルフで下半身といえば、動きのテクニックである下半身リードばかりが注目されますが、ゴルフスイングは安定した下半身があってこそのものです。そこで、下半身の動きに関する練習ドリルやトレーニングを紹介します。
縦方向にアドレス
まっすぐ立った状態から片足を前に出してアドレスして、そのまま体を右に回転させてみましょう。バランスが崩れそうになりますが、足の裏に意識を集中させて立ってください。
あえて横方向に不安定な状態でスイングの動きをすることでバックスイングで踏ん張る感覚が養われるので、左右交互にチャレンジしてみましょう。
踏み込みドリル
下半身の動きを覚えるには、やはり踏み込みドリルが効果的です。
野球のように1本足で立ってから大きく左足を踏み込んでスイングしたり、左右交互にステップを踏みながら打ったりと、さまざまな踏み込みの種類を反復することでスムーズに体を動かす感覚を覚えましょう。
ヒップリフト
最後は自宅でできる簡単トレーニングです。まず仰向けに寝てひざを折り曲げ、かかとの位置がひざの真下にくるように足をつきます。かかとで地面を押すようにしながらお尻を持ち上げ、1秒静止したら元に戻る。これを10回、2〜3セット行うとお尻の筋肉に効果的です。
ゴルフにおける下半身の使い方についてよくある質問
ゴルフスイングの疑問について調べていると、真逆のことが書かれていて迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは、下半身の使い方に関するよくある質問にお答えします。
下半身は固定する(動かさない)のが正解?
バックスイングでは、下半身を固定した状態で肩を90度・腰を45度回すのが正解とされています。しかし、ある程度の筋力と柔軟性がないとこの体勢は取りづらいかもしれません。
その場合は右の股関節に意識を向けてみましょう。ひざを固定するよりも体を回しやすくなります。
股関節を動かすことで前屈姿勢になりがちですが、アドレスでは頭の位置を変えないように注意してください。
下半身を「使わない」「使いすぎない」意識も大切?
下半身の動きはスイングにおける「動力源」です。そのため、アイアンでは蹴り込みを抑えるなど「下半身を使いすぎない」意識もときには必要です。
しかし、下半身が止まってしまうと上半身だけで打つことになり、手打ちなどを誘発する原因となるので、下半身を「使わない」という考えは必要ないでしょう。
あくまで状況によって下半身を使う割合を変化させると考えた方がスイングの安定性上昇にも繋がると考えられます。
下半身は回す?回さない?
下半身リードでスイングはじめると、腰は自然と回転します。右足を蹴り込んだあとひざをしっかり送れば、ヘッドの回転はより鋭くなるでしょう。意識して下半身を回す動きは必要ありませんが、結果的に回っているのが理想的です。
下半身の使い方がわからない方はステップゴルフの活用がおすすめ!
下半身をうまく使うことでスイングが安定し、力を伝える効率が良くなれば飛距離も大きく伸ばすことができます。
しかし、下半身リードのスイングはその動きの複合性から想像以上に習得が難しく、ただゴルフ歴を積み重ねれば身につくものでもありません。
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