ゴルフ初心者が直面しやすい「ヘッドアップ」は、スイングの安定性を損なう動作のひとつです。
頭が無意識に上がってしまうことで、トップやダフリ、シャンクなどさまざまなミスショットを引き起こします。
特に、コースでショットの精度や方向性が安定せず、周りからもヘッドアップを指摘されることが多い方は、早めに改善することが大切です。
この記事では、ヘッドアップの基礎知識や具体的な改善方法、さらに防止のためのコツや練習法について詳しく解説していきます。

ゴルフのヘッドアップとは?
ヘッドアップとは、ゴルフのスイング時に頭が無意識に上がってしまう現象を指します。
本来、アドレス時の頭の位置を保ったままインパクトを迎えることが理想とされていますが、ヘッドアップが起こると頭の位置がずれ、正確にボールを打つことができません。
ボールとの距離や目線が変わることで、再現性の低いスイングになることが多いです。
具体的には、スイングの安定性が損なわれ、トップやダフリ、チョロなど、さまざまなミスショットを引き起こします。
特に初心者は、ボールの行方が気になるあまり、無意識のうちにヘッドアップしてしまうことが多いため、早い段階で意識して修正する必要があります。
ヘッドアップのデメリット・弊害
ヘッドアップが引き起こすデメリットを紹介します。
- スイングの再現性が低くなる
- 正しいインパクトができなくなる
- スイング全体のリズムが乱れる
スイング中に頭が早く上がると、体の軸がブレやすくなり、毎回同じスイングを再現することが難しくなります。再現性の低いスイングは正確にボールを捉えられず、ショットの方向性も安定しないため、スコアをまとめることができません。
ヘッドアップは体のバランスを崩す要因にもなり、正しいインパクトができなくなることもデメリットです。
また、ヘッドアップと同時に起きやすいのが、上半身の起き上がり。体が起き上がるとボールとの距離が変わるため、さまざまなミスが起きやすくなります。
さらに、ヘッドアップによって体が無意識に反応することで、スイングのリズムが崩れることも多いです。
本来、ゴルフスイングはスムーズな体の回転によって成り立ちますが、ヘッドアップが入ることで、余計な修正動作が発生します。
特に多いのが、ヘッドアップによってボールとの間にできた距離を埋めるために、反射的に腕を伸ばしたり手首のコックを解いたりすることです。余計な動作が入ることで、結果的にスイングがぎこちなくなってしまいます。
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ヘッドアップしてしまう3つの原因
ヘッドアップはゴルフ初心者に特に多く見られるミスですが、その原因は単に「ボールを見ていない」ことではありません。
ここでヘッドアップが起こる主な理由を3つ紹介します。
- ボールの行方が気になりすぎる
- 上半身の力みや体の起き上がり
- 正しいスイング習慣が身についていない
ボールの行方が気になりすぎる
ゴルフ初心者に多いのが、打球の行方が気になってインパクト前に目線がボールから外れるケースです。ミスショットを避けたいという意識が強く、ボールがどこへ飛ぶのかを早く確認しようとして、無意識に頭が上がってしまいます。
特にコースラウンドでは、フェアウェイやグリーンを意識しすぎるあまり、スイングよりも結果を重視することでヘッドアップが起こることが多いです。
上半身の力みや体の起き上がり
スイング中に力みが入ると、バランスが崩れて頭が早く上がってしまいます。
これは、飛距離を出そうと無理に力を入れたり、強く振ろうとすることが大きな原因です。下半身が使えずに上半身主体のスイングになりやすく、結果としてインパクトの前に体が起き上がることでヘッドアップが発生します。
特にドライバーショットなど飛距離を出したい場面で顕著に現れ、「飛ばしたい」という意識が力みや上体の起き上がりにつながります。
正しいスイング習慣が身についていない
ヘッドアップは、スイングの基本が身についていないことから生じるケースもあります。
例えば、適切な前傾姿勢をキープできていない、下半身を使ったスイングができていないなどの問題が代表的です。正しいスイングを身につけていないと、インパクトの瞬間に体が不安定になり、無意識にヘッドアップが起こりやすくなります。
また、バックスイングで十分な捻転ができていないことも、ヘッドアップする原因の1つです。
トップポジションで捻転が浅いと、ダウンスイングでクラブを下ろす空間がなくなり、体を起こして無理やりスペースを作ろうとします。結果的にヘッドアップが起こり、正しい軌道でのスイングが難しくなるでしょう。
ヘッドアップで生じやすいミスショット
ヘッドアップが起こると、スイング軌道やインパクトの精度が乱れ、さまざまなミスショットにつながります。
以下に、ヘッドアップによって生じやすい代表的なミスショットをまとめました。
ヘッドアップと関連する可能性があるミスショット
ミスショット | 特徴 | ヘッドアップとの関係 |
---|---|---|
トップ | ボールの上部を打ち、低く転がるショット | 頭が早く上がることで、インパクトの位置が高くなり、クラブヘッドがボール上部に当たっている |
ダフリ | クラブがボールの手前の地面を叩き、飛距離が出ない | ヘッドアップにより体の軸がずれ、インパクトの位置が不安定になる |
シャンク | クラブのヒール(根元)に当たり、極端に右に飛ぶ | ヘッドアップで体が開くと、フェースが不安定になりヒール側に当たりやすくなる |
スライス | ボールが右方向へ大きく曲がる | 頭が早く上がると体が開き、フェースが開いた状態でインパクトするため発生しやすい |
起き上がり | インパクト前に体が伸び上がる動作 | ヘッドアップの影響で体が早く起き上がり、スイング軌道が不安定になる |
テイクバックのブレ | バックスイング時に軌道がブレる | ヘッドアップの影響で正しい軌道を維持できず、スイング全体が不安定になる |
ヘッドアップは、単に「目線が上がる」だけでなく、スイング全体のバランスを崩し、インパクトの精度を大きく低下させる可能性があります。
特に、トップやダフリといった初心者に多いミスショットは、ヘッドアップが原因となっていることが少なくありません。
また、シャンクやスライスといったミスも、体の開きやフェースの向きが不安定になることで引き起こされます。
ヘッドアップを直す・矯正する方法
ヘッドアップを根本的に改善するためには、スイング中の姿勢や体の使い方を意識して矯正することが重要です。
ここでは、ヘッドアップを根本原因から解消するためのアプローチを紹介します。なお、すぐに試せるコツ・秘訣については、次章で紹介します。
正しい前傾姿勢をキープする
ヘッドアップは、スイング中に体が起き上がることが原因で発生しやすくなります。
これを防ぐためには、スイングの始動からフォロースルーまで前傾姿勢を維持することが大切です。前傾角度を意識するためのポイントは次の通りです。
- アドレス時に背筋を伸ばし、骨盤を前傾させる
- スイング中に胸をボールに向けるイメージを持つ
- フォロースルーでも視線を低く保つことを意識する
アドレスでは、腰を落とさずお尻を持ち上げるように前傾姿勢をとると、下半身を安定させて構えられます。この状態をキープしてスイングすることを意識しましょう。
スイング中は胸を地面のボールに向け続けるイメージを持つことで、アドレス時と同じ姿勢でインパクトを迎えられます。
また、インパクトからフォロースルーにかけては、ボールのあった場所に目線を残すことが重要。頭を上げるタイミングが遅くなるので、前傾姿勢を保ったスイングがしやすくなります。
ゆっくりしたスイングで感覚をつかむ
スイングが速すぎると体の動きを正しくコントロールするのが難しくなり、ヘッドアップの原因となります。
特にフルスイングの練習ばかりしている人は、スイングの反動やクラブの遠心力に上半身が負け、早い段階で頭が上がることが多い傾向です。
ゆっくりしたスイングを取り入れることで、正しい動作を身につけることができます。ハーフスイングのように小さなスイングで頭の動きを確認するのも効果的です。
ヘッドアップを意識した反復練習を行う
ヘッドアップは無意識に起こることが多いため、普段から意識的に矯正する反復練習を行うよう心がけましょう。
自分のスイングを動画で確認したり、インパクト時に目線を固定する練習を行い、ヘッドアップする癖を根本的に改善する必要があります。
可能であれば、他の人にヘッドアップしていないか見てもらうのが最善ですが、1人で練習する際は鏡や動画撮影を活用するのがおすすめです。
自力でヘッドアップを直すのが難しい場合は、プロのコーチに指導してもらいながら着実に矯正するのがおすすめ◎。
ヘッドアップを防止する方法・秘訣
ヘッドアップはアマチュアゴルファーに多い動きであり、独学で直すのが難しい癖でもあります。「ヘッドアップを直したくてもなかなか直らない」という方も多いでしょう。
ここでは今すぐに実践できるヘッドアップ防止のコツや秘訣を紹介します。
1)スイング前に意識を整える
ヘッドアップはスイング中の焦りや不安が原因で起こりやすいため、ショット前に深呼吸をしてリラックスし、スイングのリズムを整えましょう。
特に、飛距離を出したい場面や苦手なショットを打つ際など、プレッシャーのかかるシチュエーションではボールの行方が気になるため、ヘッドアップが起きやすくなります。
このような場面でこそ、アドレス時には「ボールを最後まで見る」「スムーズに振る」といったシンプルな意識を持つことが大切です。
2)目標を決めてスイングする
スイング中にボールの行方を気にしすぎると、無意識にヘッドアップしてしまいます。
そこで役立つのが視線の目印を決めること。ボールに印をつけたり、フェース面やボールのある地点に意識を向けることで、視線のブレを防ぐことができます。
特に、コースでは枯葉や芝目など目印となるポイントが多いため、目標から視線を外さないスイングを心がけるのがコツです。
3)練習時に体の動きを確認する
ヘッドアップはスイング時の体の動きと密接に関係しています。
練習時には鏡を使って自分の動きをチェックしたり、動画を撮影してスイングのフォームを確認しましょう。これにより無意識にヘッドアップするのを防ぐことができます。
4)インパクトの瞬間に「音」を意識する
インパクトの瞬間に「ボールの音」を意識することで、視線をボールに固定しやすくなります。
ボールの行方ではなくクラブに当たる音を意識することで、正しい入射角でのインパクトやミート率の向上効果にも期待できるでしょう。
ヘッドアップを防ぎ、ショットの安定感を高めるには、インパクト時の音に意識を向けてみてください。
ヘッドアップの状況別・クラブ別の特徴について
ヘッドアップは、使用するクラブによって発生しやすい場面や影響が異なります。
以下にクラブ別の特徴を表にまとめました。
使用クラブ・状況 | ヘッドアップの特徴 | 影響 |
---|---|---|
ドライバー | 強く振ろうとするあまり、打球の行方が気になってヘッドアップが起こりやすい | 体の軸がブレてスライスやフックなど方向性のミスが発生しやすい |
アイアン | インパクト時に視線が早く上がることで発生 | ダフリやトップが起こりやすく、飛距離と方向性の安定を欠く |
パター | カップの方向が気になり、視線が先に動くことで発生 | ボールに正確に当てられず、ショートパットのミスが増える |
また、状況によっても異なります。
シチュエーション | ヘッドアップの特徴 | 影響 |
---|---|---|
ティーショット | 飛距離を重視するため、打球の行方が気になって起こりやすい | ミスショットによるOBやトラブルのリスクが高まる |
セカンドショット | グリーンを狙うためにプレッシャーがかかり、早く結果を確認しようとする | スイング軌道が乱れ、距離感や方向性が不安定になる |
アプローチショット | 繊細なコントロールが必要な場面で、焦って視線が先に動く | ボールのコントロールミスにより、トップやダフリが多くなる |
パッティング | カップインの結果を早く見ようとする | ショートパットや方向性のミスが発生しやすくなる |
このように、ヘッドアップはクラブや状況によって影響が異なり、正確なショットを妨げる要因となります。
ヘッドアップを防ぐには、クラブごとの特性や状況を把握し、適切な対応を意識することが大切です。
ヘッドアップしないための練習3選
ヘッドアップを防ぎ、安定したスイングを身につけるためには、頭の上下移動や視線の意識・前傾姿勢を保ったスイングなど、日常的な練習での意識が必要です。
ここでは、前述した直し方・矯正方法をふまえて、ヘッドアップしないための具体的な練習方法を3つ紹介します。
練習1)ボールの下に目印を置いてスイング
ボールの下にティーやコインなどの目印を置き、その目印をインパクト後も見続けることを意識してスイングします。
この練習によって視線がボールに固定されます。また、ボールに集中することで正しいスイング軌道になりやすく、インパクトの精度も向上します。
練習2)ベタ足スイング
ヘッドアップは、スイング時に足を使いすぎていることも原因の1つです。
ゴルフのスイングには体重移動が欠かせませんが、切り返しやインパクトで足の踏み込みが強すぎると体の起き上がりにつながり、頭も上がりやすくなります。
これを改善するには、両足をベタ足にしてスイングする練習が効果的です。
足の上にクラブを乗せ、クラブを落とさないようにスイングしてみましょう。インパクトの打点が安定するため、特にフェアウェイウッドやアイアンでトップすることが多い人に有効な練習方法です。
「安定したスイングを身に付けたい」と願うゴルファーから注目を集めているのが「ベタ足スイング」です。その名の通り、右足のかかとが地面にベタっとついた状態でインパクトするのが最大の特徴で、体の正面でボールを打つことができます。打[…]
練習3)鏡や動画を使ってのスイングチェック
鏡の前でスイングをしたり、自分のスイングを動画撮影して確認する練習は、ヘッドアップの改善に効果的です。
スイングの様子を客観的にチェックできるため、自分では気がつきにくいヘッドアップの動きを確認でき、改善につなげられます。
特にインパクト時の視線や頭の位置を意識しながら練習することで、無意識にヘッドアップすることが少なくなるはずです。
ヘッドアップが直らない……スイングの悩みはステップゴルフで解決!
ゴルフのヘッドアップはスイングに悪影響を与え、スコアを崩す大きな要因となります。
さまざまな方法を試してもなかなかヘッドアップが直らない場合は、専門的な知見をもつ人に見てもらうのがおすすめです。
特に、ステップゴルフのようなプロのインストラクターが在籍するスクールなら、ヘッドアップの原因を的確に分析することで、個人に合った改善策を見つけられます。
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ヘッドアップがどうしても改善できない方は、ゴルフスクールを有効活用して、より安定したスイングを手に入れましょう。