トップでシャフトが目標方向より(右打ちなら)右を向く、シャフトクロス。一般的に悪いトップの形といわれます。
この記事では、ゴルフのシャフトクロスの特徴や原因について解説します。メリット・デメリットや良し悪し、直し方、練習方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ゴルフのシャフトクロスとは
ゴルフのシャフトクロスとは、トップ(バックスイングでグリップが一番高くなる位置)でシャフトが目標方向(飛球線)より右を向くことです。
シャフトが飛球線をクロスしていることからシャフトクロスと呼ばれます。
一方、シャフトが飛球線の左方向を向くトップの形をレイドオフといい、シャフトクロスとは対極の動きです。
シャフトクロスの特徴
シャフトクロスはアマチュアゴルファーに多く見られますが、クラブを肩の上に担ぐようなスイングのため、一般的に良くない動きとされています。
飛距離を出そうとオーバースイングになったり、手首の使い方を間違ったりすることで起こりやすいため、特に初心者ゴルファーに多いのが特徴です。
しかし、シャフトクロスにはメリットもあります。
シャフトクロスをうまく活用するプロや上級者もいるため、スイングや目的に合わせたトップを取り入れることが重要です。
シャフトクロスのメリット
シャフトクロスのメリットは、飛距離を出しやすいこと。
トップでクラブヘッドが頭を追い越すため、インパクトまでの距離が多くなり、ヘッドを加速させることができます。
特にドライバーなどの長いクラブでは遠心力を活用できるため、ヘッドスピードを上げるためにはシャフトクロスが有利です。
ドライバーで300ヤード以上飛ばすプロはシャフトクロスになっている人が多いことから、飛距離面のメリットがあるといえるでしょう。
シャフトクロスのデメリット
シャフトクロスのデメリットは、クラブ軌道がスイングプレーンから外れるため、スイングの再現性が低下することです。
スイングプレーンとはクラブ軌道が作る平面のことを指し、アドレス時の肩からヘッドまでの面に沿ってスイングするのが理想とされています。
シャフトクロスはこのスイングプレーンから外れた軌道となるため、インパクトでアドレス時の位置にクラブを戻せず、ダフリやトップなどのミスが出やすくなるのです。
また、スライスしやすいこともデメリットの1つ。
シャフトクロスはダウンスイングでクラブが寝て下りてくるので、フェースが開いてインパクトしやすくなります。
シャフトクロスとオーバースイングがセットになっている人は、クラブの振り遅れによってスライスすることも多いです。
なぜ悪い?シャフトクロスは悪くないという説もある
シャフトクロスはミスや方向性の低下につながるデメリットがありますが、適度なクロスは悪くないという意見もあります。
その理由は、メリットでもお伝えしたとおり飛距離を伸ばしやすいためです。
ゴルフは飛距離を競う競技ではありませんが、できるだけ飛ばせたほうが2打目・3打目のショットの難易度を下げられるのも事実です。
このことから、シャフトクロスになっていてもスライスなどのミスが少ない場合、無理に矯正する必要はありません。むしろレイドオフのような動きを取り入れることでかえってスイングリズムを崩す可能性があるので、個人に合わせて判断することが重要です。
ちなみに、適切なアームローテーションによりダウンスイングでクラブの軌道をプレーンに乗せることができていて、スイング時の腕やクラブの捌き方が上手い方は、シャフトクロスでミスが少ない傾向があります。
シャフトクロスの原因は?
なぜ多くのアマチュアゴルファーが意図せずシャフトクロスになってしまうのでしょうか。
主な原因は以下の3つです。
- 体の捻転不足
- 右肘を折りたたんだバックスイング
- 右脇が開いたトップオブスイング
順に詳しく解説します。
体の捻転不足
シャフトクロスの原因の1つが、バックスイングで十分な捻転ができていないことです。
体を捻りすぎると余計シャフトクロスするように思えるかもしれません。
しかし、実際は上体の捻転が足りないことが原因であることが多いです。体の捻転が不十分な人は腕を使ってクラブを上げようとするため、シャフトクロスが起こっている可能性があります。
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右肘を折りたたんだバックスイング
シャフトクロスは、トップの位置で右肘が曲がりすぎていることも原因の1つです。
テークバックで右肘が折りたたまれると、左手首が親指側に折れる橈屈(とうくつ)という動きが起きやすくなります。
橈屈はクラブが背中の上に担がれるような形になるため、シャフトクロスの動きを助長してしまうのです。
トップで右肘が90度以上曲がらないよう意識すると、手首の橈屈が起こりにくくなります。
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右脇が開いたトップオブスイング
トップで右脇が開くこともシャフトクロスの原因です。
右脇が開いた分クラブは高く上がり、シャフトは目標方向より右を向きやすくなります。
トップで右脇が開く原因として多いのは、ボールと体の距離が近いこと。ボール位置が近いとバックスイングで腕を真上に上げる動きが強くなるため、右脇が開きやすくなります。
ダウンスイングで手元が詰まる原因にもなるため、適切なボール位置でアドレスすることが大切です。
シャフトクロスを含むトップに関する悩みは、ゴルフスクールで的確なアドバイスをしてもらいながら解決しよう◎
シャフトクロスの直し方・矯正方法
シャフトクロスを直すには、前章でお伝えしたような原因を排除してスイングする必要があります。
矯正するポイントは以下の3つです。
- バックスイングで胸をしっかり回す
- 体と同調したテークバックを意識する
- 手首を尺屈(しゃっくつ)させる
それぞれ解説します。
バックスイングで胸をしっかり回す
体の捻転不足がシャフトクロスの原因となるため、しっかり胸を回してバックスイングをおこないましょう。
胸が目標方向の反対を向くまで体を回転させるのが目安です。
上半身の捻りだけでは十分な捻転ができないため、腰を45度程度回転させるようにしましょう。
柔軟性に自信のない方は、右足つま先(右利きの場合)をやや外側へ向けると、バックスイングで捻転しやすくなります。
体と同調したテークバックを意識する
腕でクラブを持ち上げている方は、体の回転とクラブを同調させたテークバックを意識しましょう。
腰と胸の回転に腕がついてくるようにクラブを動かすのがポイントです。
イメージできない場合は、一度目標方向側の足に重心を乗せ、逆の足に重心移動する反動でテークバックすると、腕の力でクラブを上げにくくなります。
また、このときに右脇を締めることも重要です。
フルスイング時のトップで多少右脇が開くのは問題ありませんが、腕を上げすぎるとシャフトクロスになります。
手首を尺屈(しゃっくつ)させる
手首が小指側に折れる動きを尺屈(しゃっくつ)といい、トップで左手首を尺屈させるとシャフトクロスしにくくなります。
手首が親指側に折れる橈屈(とうくつ)の動きがクセになっている方は、テークバックからトップまでの間に尺屈の形を作るのが難しいかもしれません。
そういう場合は、アドレスの時点でややハンドアップに構えておくと、トップで尺屈させやすくなります。
シャフトクロスを直すための練習
シャフトクロスを直す場合は、トップで右脇を締める練習や、手首のコックを正しく使うドリルが効果的です。
ここでは、シャフトクロスの矯正におすすめの練習方法や矯正器具を紹介します。
練習方法
トップで右脇を締める動きを身につけるには、ドライバーのヘッドカバーを右脇に挟み、落とさないようにスイングする練習が効果的です。
はじめは素振りでバックスイングの動きを確認し、慣れてきたらハーフスイングで実際にボールを打ってみましょう。
正しくスイングできていれば、フルスイングした際にヘッドカバーはフィニッシュの位置で落ちるはずです。
フルスイングする場合は多少右脇に隙間が開くので、タオルなどの薄いものより厚みのあるヘッドカバーを使うとよいでしょう。
矯正器具
手首の正しい動きを身につけるには、左手首に装着するスイング矯正サポーターがおすすめです。中にプレートが入っていることで、スイング時の手首の動きを正しく矯正できます。
手首が親指側に折れる橈屈や、手の甲側に折れる背屈はフェースが開きやすいため、シャフトクロスでスライスが出る方におすすめの矯正器具です。
【体験談】シャフトクロスが直ったケース
シャフトクロスに悩むゴルファーは多いですが、直すためにはどんな手段をとるべきなのでしょうか。
ここでは、シャフトクロスが直ったという成功例をいくつか紹介します。
ドライバーのスライス矯正課程で直った
「シャフトクロスが直ったのは、ドライバーのスライスを直す過程で自然に矯正されたからです」と語るのは、アマチュアゴルファーのAさん。シャフトクロスはスライスしやすいスイング軌道の一部であり、スライスを改善する中でついでにシャフトクロスも矯正できたと言います。
Aさんは、グリップをストロンググリップに変えたり、インサイドアウトのスイング軌道を意識するようにしたことで、スライスが減少。それと同時に、シャフトクロスも改善されていたとのこと。スライスを修正する過程で、シャフトクロスが直るのは珍しいことではなく、同じ課題に悩むゴルファーにとって希望のある話です。
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飛距離より方向性を重視して矯正した
Bさんのケースでは、「飛距離を追い求めるよりも、フェアウェイキープを優先したほうがスコアが伸びると気づきました」とのこと。シャフトクロスは飛距離に有利な反面、ショットの方向性が不安定になりやすいというデメリットがありました。しかし、安定したショットを求めるBさんは、飛距離よりも方向性を重視し、シャフトクロスを改善することに集中したといいます。
「シャフトクロスを直すと、確実にフェアウェイをキープできるようになり、スコアも安定しました」。この考え方は、多くのプロゴルファーにも共通しており、近年ではレイドオフを取り入れるプロが増加している背景もあるそうです。それを真似してスイングを変えたアマチュアゴルファーが、シャフトクロスを改善できたケースも多く見られます。
プロのレッスンで矯正できた
最も効果的だったと語るのは、Cさん。「自分だけではシャフトクロスの原因が分からず、プロのレッスンを受けることにしました」。シャフトクロスの原因は人それぞれ異なり、自己流の練習ではなかなか矯正できません。
「プロにスイングのクセや悪いポイントを指摘してもらったことで、ようやく正しいスイングが身につきました」。Cさんは、プロの的確な指導でシャフトクロスを改善し、ショットの安定性が劇的に向上したといいます。初心者であっても、プロのレッスンを受けて正しいスイングを学べば、シャフトクロスのクセを防げるため、早い段階で矯正することができたということです。
体験レッスンのワンポイントアドバイスがきっかけで直るケースも多いので、スイングの改善ポイントがトップの形にあると分かっている場合は、プロのレッスンを検討してみましょう。
シャフトクロスなどトップの形の悩みはステップゴルフで解決!
ゴルフのスイングにおいて、トップの形はダウンスイングからインパクトにかけての動きを決定づける重要な部分です。
トップの動きに問題があるとミスショットの確率が上がるため、ゴルフ上達の弊害となります。
シャフトクロスやレイドオフといったトップに悩みがある方は、ゴルフスクールで効率良く修正するのがおすすめです。
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