ドライバーに装備されている弾道調節機能「カチャカチャ」は、レンチを使ってカチャカチャすれば、フェース面の向きからロフト角まで自由自在。打球方向が定まらないゴルファーにとっては大助かりの機能のはずです。
ところが、実際は「ほぼ使っていない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、さまざまなタイプのゴルファーにもおすすめできる、カチャカチャの効果的な使い方について紹介します。
ドライバーの飛距離を大きく左右するロフト角についても詳しく説明するので、ぜひ参考にしてください。
そもそもドライバーのロフトとは
ドライバーからパターまで、すべてのゴルフクラブには「ロフト角」が設定されています。
ロフト角とは、クラブシャフトに対するフェース面の傾斜角のことです。
フェースの向きが垂直に近づくほどロフトは小さくなる一方、ロフトが大きなクラブはフェースが上を向くようになります。
フェースがほぼ垂直のパターを除けば、ロフトが一番小さいクラブはドライバーです。一般的なドライバーのロフト角は、男性が9〜11度、女性が11〜13.5度。
近年では、ドライバーのロフト角が調整可能な「可変式スリーブ」が標準的に搭載されるようになり、「カチャカチャドライバー」と呼ばれています。
持ち球やスイングの癖を加味したうえで、思い通りにロフト調整できるのが大きなメリットです。
ゴルフクラブを買うとき、カタログなどに「ロフト角」と記載されているのを見たことはないでしょうか?ロフト角は、ゴルフクラブ選びの重要な要素です。ロフト角が変わると、飛距離やスライスが改善されることもあります。今回は、ロフト角に[…]
ドライバーのロフトを調整することで得られる効果
ドライバーを調整する際、ロフト角を小さくすることを「ロフトを立てる」といいます。
逆に「ロフトを寝かす」とは、角度を大きくすることです。
ロフトを立てたり寝かせたりすることによって、ドライバーの飛距離が大きく変わってきますので、それぞれの特徴について解説します。
ロフトを立てるとどうなる?
ロフトを立てたドライバーで打ってみると、まず変わったと実感できるのはボールの打ち出し角ではないでしょうか。
ロフト角が小さくなるほど、クラブフェースはボールに対して垂直に近い形でコンタクトします。
つまり、ボールの打ち出し角が小さくなるため、弾道は低くなるでしょう。
ロフト角を調整すると、打球のバックスピン量も変化します。
バックスピンとは打球方向とは逆向きにかかる回転のことで、ボールを高く上げようとするのが特徴です。
コンタクトが垂直に近づけばバックスピン量も少なくなるため、吹き上がりを抑えたボールを打つことができます。
ドライバーのロフトを立てることにより、「低くて強い」ボールが打ちやすくなるといえるでしょう。
ロフトを寝かせるとどうなる?
ロフトを寝かせた場合、立てたときとは逆の効果が得られます。
つまり、ボールの打ち出し角が大きくなってバックスピン量も増えるため、高い弾道の打球が出やすくなるでしょう。
一方で、ドライバーの弾道の高さは、ヘッドスピードによっても大きく変わります。
ヘッドスピードが速ければ高弾道になりやすく、遅くなるとボールが上がりにくくなる傾向があります。
ヘッドスピードは速くないけど高いボールを打ちたい場合は、ロフト角を大きくすることで高さを出していきましょう。
多くのゴルファーがプレッシャーを感じる「池越えや谷越えのドライバー」でも役に立つはずです。
ドライバーのロフトは1度の違いでも大きい?
ドライバーのバックスピン量は1分あたり2,000~2,500回転/分が理想的とされています。
一方、ロフト角を1度調整した場合、バックスピン量が600〜800回転ほど変わることもあります。
弾道の高さにも大きな違いが表れるため、たった1度の違いと侮ってはいけません。
ドライバーのロフト調整のやり方
ドライバーのロフトを調整するには、おもに2通りの方法があります。
- カチャカチャドライバーで調整する
- ゴルフショップで調整してもらう
持っているドライバーによって異なりますので、それぞれ紹介します。
カチャカチャドライバーで調整する
ドライバーに可変式スリーブ、いわゆる「カチャカチャ」機能が付いていれば、自分で手軽にロフトを調整することができます。
カチャカチャを使えば、ロフト角のほかライ角・フェース角・重心位置も調整できるドライバーが多くなっています。
調整できる項目はモデルによって異なりますが、ロフト角はほとんどのドライバーで調整できます。
メーカーやドライバーによってロフトの調整方法は異なる?
ロフト角の調整方法はメーカーやモデルによって多少は違うものの、基本的な仕組みはほぼ同じなので、一度覚えれば簡単に調整できるでしょう。
一般的なロフト調整の手順は次の通りです。
- 専用のトルクレンチを使ってヘッドを取り外す
- 設定したいロフト角とヘッドの目印を合わせてヘッドを差し込む
- トルクレンチで「カチッ」と音がするまで締める
ロフト角の調整範囲はマイナス2度からプラス2度まで、メーカーによって異なります。
スリーブに表示されるロフト角についても、メーカーによってバラバラです。
テーラーメイドの場合、もともとのロフト角は「STD LOFT」と表記され、ロフト角を大きくするには「HIGHER」、小さくするには「LOWER」に合わせます。
ピンは「+」「−」で表示しており、キャロウェイは「-1」「+2」など数字付きで示しています。
正しく調整するには、各メーカーのホームページなどで確認しましょう。
ゴルフショップで調整してもらう
カチャカチャ機能のないドライバーの場合、ロフトを調整するにはゴルフショップに依頼する必要があります。
クラフトマンに依頼する場合、クラブの抜き差しで3,000円、ライ角調整では500円程度かかる場合もあるようです。
また、ドライバーの種類によってはロフト角の調整ができないこともあります。
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【ゴルファー別】ドライバーのロフト調整のやり方
ドライバーのロフト調整をする場合、自分の弾道の傾向を目安とするほかに、ヘッドスピードを参考に調整する方法があります。
- 一般的なアマチュアゴルファー
- 女性ゴルファー
- 初心者ゴルファー
ここではゴルファーのタイプを3つに分け、具体的なロフト角の目安について解説しますので、ロフト調整の参考にしてください。
一般的なアマチュアゴルファー
一般的な男性アマチュアゴルファーの場合、ヘッドスピードは38〜43m/sという方が多いでしょう。
これに当てはまる場合、おすすめはロフト角10.5度のドライバーです。
ロフト角がこれより小さい場合、バックスピン量が足りないためボールに高さが出ず、飛距離をロスする原因となります。
反対にロフト角が大きくなると、バックスピン量の増加によってボールが吹き上がってしまう可能性もあります。
ただし、バックスピン量はヘッドスピードのほか打ち方によっても変わるため、練習しながらベストなロフト角を探していくのがよいでしょう。
標準的な10.5度のドライバーを選んでおけば、9度や12度など幅広いロフト角に対応できる点も魅力です。
女性ゴルファー
女性のアマチュアゴルファーのヘッドスピードは、30〜32m/sが一般的です。
ドライバーの飛距離が130〜150ヤードという方は、このヘッドスピードに当てはまっている場合が多いでしょう。
レディース用ドライバーのロフト角は12.5〜13.5度が主流。ヘッドスピードが平均的な方は13度前後がおすすめです。
女性ゴルファーが抱える悩みといえば、とにかくボールが上がりづらいことです。
パワーの面で不安を感じている方、または初心者の場合は、14度のロフト角を試してみるのもよいでしょう。
ただし注意したいのが、レディース用ドライバーにはカチャカチャ機能が搭載されたモデルが少ないことです。
レディース用で気に入ったカチャカチャドライバーが見つからない場合は、シニア男性用のクラブから探す方法もあります。
ある程度しっかり振れる方が対象になりますが、ヘッドが軽くシャフトも柔らかいモデルであれば、選択肢に十分入ってくるでしょう。
初心者ゴルファー
ゴルフを始めたばかりの場合は、ヘッドスピードが出る方でも10.5度のドライバーを選んでおくのが無難です。非力な方なら11度以上のロフト角も検討してみましょう。
ロフト角が大きいほどボールを上げやすく、キャリーで飛距離を稼ぐことができます。
目の前の池をどうしても越えられないなど、初心者によくあるドライバーのトラブルは、ボールが上がらないために起こることが多いです。
ボールが上がらないケースでは左右へのミスも同時に出やすいため、OBのリスクも高まります。
ロフト角の大きいドライバーであれば、ミスを軽減してくれる効果にも期待できるので安心して打てるでしょう。
そもそも初心者ゴルファーにドライバーのロフト調整は必要?
ゴルフ初心者にとっても、カチャカチャは便利な機能であることには間違いありません。
しかし、カチャカチャを試すのはスイングの基礎をしっかり身につけてからにしましょう。
初心者の打球が上がらないのはスイングに原因があるからで、ロフトが合っていないからではありません。
自分のスイングが固まってくると、特徴をある程度把握することができます。
それに合わせて弾道を微調整していけるのが、カチャカチャドライバー最大のメリットです。
スイングが固まらないうちにクラブで弾道を変えようとするのは、本末転倒といえるでしょう。
しかし、ロフト角を調節すると弾道やスピン量がこんなに変わるということを体感しておくのは初心者にとっても大切です。
カチャカチャの仕組みについて知っておくことは、将来的にもプラスになるでしょう。
【目的別】ドライバーのロフト調整のやり方
ドライバーの弾道調整に役立つロフト調整機能ですが、ミスショットを減らすことにも一役買ってくれるでしょう。
ここではドライバーで起こりがちな3つの問題について、ロフト調整機能によって改善する方法について解説します。
- 飛距離を伸ばしたい場合
- スライスを止めたい場合
- フックやチーピンを減らしたい場合
飛距離を伸ばしたい場合
ゴルフにおいて、飛距離を生み出す3大要素は「ボール初速」「打ち出し角」「バックスピン量」といわれています。
ボール初速はスイングスピードと直結するものの、残る2つはロフト角の調整が大きなかぎを握っています。
飛距離を伸ばすには、過剰なバックスピンを抑えることで揚力よりも推進力を大きくすることがポイントです。
そのためにはロフト角を小さくするのが有効ですが、同時に打ち出し角もしっかりと求めていきたいところです。
つまり、ヘッドスピードだけでロフト角を決めるのではなく、スイングの形や持ち球なども加味してロフト調整をすることが大切になってきます。
実際、プロの世界では10.5度を使う男子が増える一方、女子では9度前後が主流になりつつあり「逆転現象」が起こっています。
スライスを止めたい場合
ロフト角の調整は、弾道の高さだけでなくボールのつかまり具合にも影響します。
ゴルフクラブはロフト角が大きくなるほど、インパクトの瞬間にフェースが返りやすくなります。
つまり、ロフト角を大きくすることがスライスの予防策になるというわけです。
また、ロフト角が大きいとバックスピン量が増える一方でサイドスピン量は少なくなります。
横回転がかかりにくいということは、スライス軽減にも効果があるでしょう。
スライスは完全に解消できなくても、軽減するだけで飛距離アップにつながります。ロフト角を大きめに調整してみる価値は十分にあるといえるでしょう。
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フックやチーピンを減らしたい場合
フックやチーピンなど左へのミスが多い方は、ロフト角を小さくするのが効果的です。
スライスの場合とは逆にして考えてみましょう。ボールのつかまりを抑えることでフェースが左へ向きにくくなります。
ただし、ロフト角が小さくなるとサイドスピン量は増えるため、スイング次第ではフックが悪化する可能性も否定できません。
ロフト角を調整してもフック系の打球が直らない、弾道を高くしたいけどボールがつかまりすぎるという方は、スイング自体を見直したほうがよいでしょう。
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ドライバーのロフト調整をうまく調整できれば、弾道を改善しミスショットを軽減するため、スコアアップにつながるでしょう。
もし思ったほどの効果が得られない方は、ゴルフスクールを活用しましょう。
ロフト調整に関する悩みがあっても、ゴルフショップのクラフトマンに相談するとなると、初心者にとっては心理的なハードルが高いです。
その点、ゴルフスクールならスイングとクラブの関係について連動して教わることができるため、自分のスイングに合ったロフト角を見つけやすくなります。
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理想のロフト角はもちろん、すべてを兼ね備えた自分だけのドライバーに出会えるかもしれませんよ。