ボディターンは、誤解が多いゴルフのスイング動作の一つです。「ボディターンをマスターしよう」という説明もあれば、「ボディターンは飛ばないからやめよう」という説明もあり、初心者は困惑してしまいます。
そこで本記事では、ゴルフスイングのベースとなるボディターンの解説に加えて、ボディターンに関するよくある間違いについても紹介します。スイングの基礎を固めたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
ゴルフのボディターンとは
ゴルフのボディターンとは、体が回転することで生まれるエネルギーをしっかりとボールに伝えるスイング動作のことです。
ボディターンという言葉は1990年代、「レッスンの王様」ことデビッド・レッドベターの指導法から生まれたとされています。レッドベターが提唱した「上半身と腕を同調させる動き」が、日本ではボディターンと表現されたというのです。
上半身と腕を同調させる動きとは、「腕の三角形を崩さない」と言い換えればわかりやすいでしょう。アドレス時に両腕と肩のラインから作られる三角形をキープすると、腕が伸びたまま肩をしっかり回すことができます。
ボディターンとリストターンの違い
リストターンとはインパクトの直前に手首を返す動きのことで、ヘッドが加速して飛距離が伸ばしやすくなります。
リストターンがスイング動作における一部分を指すのに対し、ボディターンはスイング動作全体のことを指します。つまり、両者を並べて比較することはできません。ボディターンのスイングにリストターンの動きを取り入れることでゴルフスイングは完成します。
ボディターンとアームローテーションの違い
アームローテーションとは、スイング中に腕が回旋する動作のことです。
両腕を前に伸ばして手のひらを上下に向けると、肘より下の前腕部が回ります。この回旋運動をスイングに取り入れることで、フェースがローテーションしてヘッドスピードも上がります。ボディターンと組み合わせることで、よりパワフルなスイングが生まれることがあります。
ボディターンを取り入れているプロは多い?
現在のゴルフスイングはボディターンが基本です。プロゴルファーの多くはボディターンにアームローテーションなどの要素を取り入れ、自分にとって最適なスイングを作り上げています。
世界を見渡せばボディターンだけで驚異的なショットを繰り出すプロもいます。例えば、全米オープンを2度も制したブライソン・デシャンボー選手です。
デシャンボーのスイングは腕とクラブが一直線になるため、コックやアームローテーションはほぼ使わないと考えられています。そうであるにもかかわらず、デシャンボーは徹底的に鍛え上げているため、ボディターンだけでも350ヤードを超えるドライブを生み出しています。
ボディターンは飛ばない?
プロアマ問わず、ほとんどのゴルファーがボディターンを使ってスイングしているはずなのに、「ボディターンでは飛ばない」といわれることも少なくありません。
たしかに、スイングがボディターンのみで構成され、リストターンやアームローテーションを加えないスイングが存在すれば、そのスイングでは飛距離がでにくいといえます。このことが「ボディターンは飛ばない」という誤解につながっていると考えられます。
しかし、現実にはボディターンだけのスイングはあまりなく、多くのゴルファーがいろいろな要素を加味することで飛距離を伸ばしています。そのため、ボディターンを行うとボールが飛ばないという考え方は誤りだと考えられます。
ボディターンを行うときのやり方
ボディターンにおける体の動かし方について紹介します。アドレス・バックスイング・ダウンスイングに分けているので、それぞれの動きに合わせてチェックしてみてください。
アドレスでは、三角形を作ってあごを引く
アドレスではまず、腕の三角形をしっかりと作るようにしましょう。肘が曲がって五角形になっていると、手だけでクラブを引き上げる動きにつながります。
あごを引いて構えることもポイントです。あごを引くと、体と腕が同調して動いていくのを感じることができるでしょう。
バックスイングでは、手だけでクラブを上げない
テークバックは、右のお尻を後ろへ引くようにして始動しましょう。右肩も同調して体が回っていくので、手だけでクラブを上げにくくなります。
ビジネスゾーン(スイングの下半分)では三角形を崩さないようにしましょう。グリップエンドが常におへそを向いている感覚です。三角形をキープすることで上半身が大きく回り、腰と肩の捻転差もできます。
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ダウンスイングでは、間を作る
トップからダウンスイングの切り返しでは、下半身から始動しましょう。ボディターンを意識しすぎると、上半身が先に動いて左肩が開きます。
ただし、多くの方にとってこの動きが一番難しいのも事実です。切り返しがうまくいかない場合は、バックスイングで後方へ引っ張った右のお尻をさらに突き出し、いすに座るような動きを取り入れてみましょう。スイングの「間」が生まれるので、正しい順番で体が動いていきます。
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ボディターンに関するよくある間違い
ボディターンは海外のレッスン書で提唱されたスイング方法です。そのため、翻訳や解釈の仕方によっては、違ったニュアンスで伝わってしまうこともあります。
ここでは、ボディターンに関するよくある間違いについて紹介します。
ボディターン=くるっと回る
ボディターンに関しては、体を回すことについての勘違いが一番多いのではないでしょうか。「ボディターン=体を回す」という意識が強すぎると、野球のスイングのような水平回転になりやすいです。
ゴルフのスイング軌道は傾いているのに、水平回転すると体は起き上がって肩が開き、スライスの原因になります。その場でくるっと回るのではなく、スイング軌道に沿って体を回転させることを意識しましょう。
腕を使わないで体だけを回す
体と腕が同調して動くのがボディターンですが、「体が動いて腕はついていくだけ」と解釈されてしまうこともあります。
すると、腕を使わずとにかく体を回す動きにつながり、ボディターンは飛ばないという誤解を生む原因にもなります。体の動きに合わせて、腕もしっかり動かしていきましょう。
ボディターンがスライスの原因と考える
たしかに、間違ったボディターンはスライスの原因になります。
しかし、スライスは複数の要素が原因になっていることも多いので、ボディターンをやめても改善するとは限りません。むしろ、正しいボディターンを習得することがスライス解消への一歩と考える方がよいかもしれません。
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【シーン別】ボディターンのコツ・ポイント
ボディターンは使うクラブや状況によって、注意するポイントが少し違います。
ドライバー使用時
ボディターンでドライバーを振るとき、多くの方は振り遅れを気にします。
体の回転ばかりを意識したり、タメを作ろうとしたりするとクラブがついてきません。そしてフェースが開いたままインパクトすると、スライス回転がかかります。
振り遅れを防ぐポイントは、ダウンスイングで腕の三角形を早く戻すことです。腕を使ってグリップエンドをおなかに引きつけるようにするとよいでしょう。三角形が戻ったら、ボディターンで一気に振り抜くとヘッドが走ります。
アイアン使用時
アイアンでは、番手が下がれば下がるほどボディターンの意識が薄れがちです。なぜなら、ピンまでの距離が近くなると、手先で距離感をコントロールしようとしてしまうからです。
コンパクトなスイングが求められる場面でも、緩めず振ったほうが距離感は安定します。肩を捻転させ、ヘッドにボールを乗せて運ぶイメージを持つようにしましょう。
アプローチ時
飛ばす必要がないアプローチでは、ボディターンのメリットを最大限に発揮できるでしょう。
手を使わずスイングすると、体の回転によって距離をコントロールできます。ヘッドの入り方も均一になるため、グリーン周りでの痛すぎるミス防止に役立ってくれるはずです。
ボディターンの練習方法・ドリル
ボディターンを効果的に習得するためには、数多くの練習方法やドリルがあります。ここでは、比較的手軽にできる方法について紹介します。
まずは自宅でできる練習方法から。
- 幅が20~30センチで軽めのものを用意します。クッションでも空き箱でも構いません。
- それを両手で持ってアドレスし、ゆっくりテークバックしてみましょう。両手の間隔が開いているため、肩が回る動きや右股関節に体重が乗る様子をダイナミックに感じられます。
- ゆっくりとダウンスイングします。下半身から肩、腕の順番で動くのがわかるため、下半身リードの感覚がつかみやすくなります。
打ちっ放しでできる練習方法としては、アイアンで決まった距離を打ち込むのがおすすめです。
例えば8番アイアンの場合、一般的な男性ゴルファーの飛距離は130ヤード前後。ハーフショットすると、飛距離は半分ではなく7割程度が目安です。つまり、8番アイアンのハーフショットでは90ヤード前後飛びます。
ハーフショットではクラブを高く上げる動作がないため、ボディターンだけでスイングできます。三角形を崩さず、上体と腕が同調したスイングで90ヤードを確実に打てるようになればOKです。
ボディターンの練習器具
ボディターンに必要なのは、ビジネスゾーンの間は腕の三角形をキープすること。そのために大切なのが、クラブと体の距離をなるべく変えないことです。
「グリップの先が折れ曲がって体との距離を一定に保つ練習器具」を使えば、体と腕が同調する動きが体感できます。ボールを使わず、自宅で完結できるのも大きな魅力です。
三角形キープのための練習器具といえば、「両腕に装着するベルト」もおなじみです。ボールをはさんでスイングするのも手軽でよいでしょう。
ボディターンを正しくマスターするなら、ゴルフスクールがおすすめ◎
ゴルフスイングの基本ともいえるボディターンについて紹介しましたが、いかがでしたか。
「ボディターンとリストターン、どっちがいい?」というわけではなく、ボディターンにリストターンを取り込み、ベストミックスを探していくのがよいでしょう。
とはいえ、ヘッドスピードやスイングタイプ、体の柔軟性などは千差万別。自分にとってのベストミックスは、そう簡単には見つけられないかもしれません。
そんな場合は、ゴルフスクールを活用するのがおすすめです。
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