レイドオフは、シャローなスイングをしやすいことで知られ、取り入れるプロゴルファーが多いともいわれます。そもそもレイドオフとはどのような状態を指し、用いることでどのような効果を期待できるのでしょうか。
この記事では、レイドオフの特徴や作り方を解説します。メリットばかりではなく、デメリットもあわせてお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
レイドオフ(laid off)とは
ゴルフのレイドオフとは、トップ(バックスイングでグリップが一番高くなる位置)でクラブヘッドが飛球線(ボールが飛ぶ軌道)より左方向(右利きの場合)を指すスイングのことです。
レイドオフは、トップポジションでクラブが寝るのが特徴的です。言葉の意味は英語のlay(=置く・横たわる)とoff(=外れる)という言葉からきており、本来のスイングプレーンから軌道が水平寄りに外れたスイングを指します。
従来は「レイドオフは間違ったスイング」とされる傾向にありました。
しかし近年は、スイングがコンパクトになり再現性を高められる点などがメリットとして注目されるようになり、ミスショットが多いアマチュアゴルファーの矯正案としても採用されています。
レイドオフとシャフトクロスはどう違う?
トップでクラブが飛球線の左方向を指すレイドオフに対し、シャフトクロスはクラブが飛球線の右方向を指します。
つまり、レイドオフとシャフトクロスは真逆の動きといえるでしょう。
レイドオフは、トップでクラブを右手のひらで支えますが、シャフトクロスは左手親指でクラブを支える形になります。
過度なシャフトクロスは、トップでクラブヘッドが頭をとおり越すため、オーバースイングやアウトサイドインのカット打ちの原因となります。
これらはミート率の低下やスライスなどのミスショットを誘発するため、一般的にはシャフトクロスは悪いスイングとされがちです。
一方でレイドオフのスイングは、スイングプレーンがフラットになるため、インサイドからクラブを振りやすくなります。そのため、カット軌道でスライスに悩んでいる人にも効果的です。
レイドオフにはどんなデメリットがある?
理想的なスイングとされるレイドオフですが、次のようなデメリットもあります。
- 飛距離が落ちる
- シャンクが出やすい
- 方向性が安定しづらい
順に解説します。
飛距離が落ちる
コンパクトなスイングになるため、飛距離を伸ばしにくい点がデメリットになります。
クラブヘッドのスイングアークが小さくなるとヘッドスピードが落ちるので、ドライバーなどでフルショットした際に「飛ばない」と感じることがあります。
ブライソン・デシャンボー選手やバッバ・ワトソン選手など、飛ばし屋と呼ばれるプロの多くは、どちらかというとシャフトクロス寄りのスイングを武器としています。
レイドオフのスイングで飛ばすプロもいますが、そういった選手はもともとヘッドスピードが速いのです。
飛距離を伸ばすためにスイング改善を行う場合は、レイドオフは不向きといえるでしょう。
シャンクが出やすい
シャンクしやすいのもレイドオフのデメリットです。
レイドオフはバックスイングで腕を右方向へ回旋させるため、インパクトでフェースが開きやすくなります。
ダウンスイングでフェースを閉じる動きが必要になりますが、タイミングが遅れるとフェースが開き、クラブのネック部分にボールが当たってシャンクが発生します。
また、レイドオフのトップを作ってから、アウトサイドにクラブを振り下ろす場合もシャンクが出やすくなります。
これらは、腕の力でダウンスイングを行う人に多く見られ、クラブのネックがボールに向かって振り下ろされるのが主な原因です。
手元ではなく、体の回転でクラブを振るスイングを意識しましょう。
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方向性が安定しづらい
レイドオフはスイング時にアームローテーションを使うため、打球が左右にバラつきやすくなります。
トップでクラブをフラットに寝かせるためには、バックスイングで左腕を右方向へ内旋させる動きが必要です。
そして、インパクトでフェースをスクエアに戻すため、ダウンスイングでは左腕を左方向へ外旋させます。
このアームローテーションのタイミングがとても重要であり、遅すぎればスライス、早すぎればフックといったミスが出やすくなります。
腕を旋回する度合いやタイミングはグリップの握り方によっても変わるため、ショットを安定させるには多くの練習が必要だといえるでしょう。
レイドオフが特徴的なプロゴルファー
レイドオフのスイングを取り入れているプロゴルファーは多くいます。
代表的な選手は以下のとおりです。
- リッキー・ファウラー
- ジョン・ラーム
- ダスティン・ジョンソン
- ジョーダン・スピース
- 松山英樹
- 石川遼
- 渋野日向子
リッキー・ファウラー選手やジョン・ラーム選手など、世界で活躍するトッププロがレイドオフを取り入れているのを目にすると、そのスイングの美しさやかっこよさに憧れる人も多いでしょう。
日本では松山英樹選手や石川遼選手、渋野日向子選手も、レイドオフのスイングに改善したことで注目されました。
先述したとおり、とくにアマチュアゴルファーの場合、レイドオフを取り入れることで飛距離が落ちることがあります。
しかし、上記のようなプロはたしかな技術に加え、筋力や体幹のトレーニングを積んでいるため、飛距離を落とすことなくレイドオフを実践していると考えられます。
アマチュアがプロのレイドオフを真似をするときの注意点
プロのスイングを見て、自分もレイドオフを取り入れたいと考えるアマチュアゴルファーは多いはず。
しかし、プロとアマでは体幹や筋力、柔軟性などに大きな違いがあります。これらを考慮せずに見よう見まねでレイドオフを取り入れようとすると、体に負荷がかかります。
特にレイドオフの動きではトップが窮屈になるため、体が十分に捻転できないスイングになるおそれがあります。
筋肉の柔軟性がない人や関節の可動域が狭い中高年の方は、無理にレイドオフを取り入れようとすると関節や筋を痛める原因にもなるので、怪我のリスクも高まるでしょう。
また、捻転不足は手打ちのスイングも誘発します。
ダウンスイングで手元が前に出るため、シャンクやダフリといったミスが頻発することもあります。
レイドオフはによって向き・不向きがあるため、単に形だけ真似るのではなく、理論的に自分に合ったスイングを取り入れる意識をもつことが大切です。
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レイドオフの作り方
スイングにレイドオフの動きを入れるには、次の3つのポイントを意識してみましょう。
- スイングにアームローテーションを入れる
- トップで右肘を内側に入れる
- 左手の掌屈を入れる
それぞれ解説します。
スイングにアームローテーションを入れる
レイドオフのトップを作るには、テークバックで腕を右方向へ回旋する動きが必要です。
クラブが右足の太ももの高さまで上がったら、左腕を右方向へ内旋、右腕を右方向へ外旋させましょう。
こうすることでフラットなトップとなり、レイドオフの形を作りやすくなります。
注意点は、腕でクラブを上げないこと。アームローテーションを意識しすぎると、腕でクラブを操作したくなるため、クラブをインサイドに引きやすくなります。
テークバックの始動時は、体の回転に同調してクラブを上げるよう意識してくださいね。
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トップで右肘を内側に入れる
レイドオフのトップを作るには、右脇を開かないのがポイントです。
そのためには、トップで右肘を脇腹へつけるように内側に入れましょう。
右脇が開くとクロスシャフトになるため、もともとクロスシャフトに慣れている人は、この右肘の動きを窮屈に感じるはずです。
そしてダウンスイングでは、バックスイング時と同じ軌道でスイングするよう意識してください。
右脇を開けず、下半身主導の切り返しができれば、インサイド軌道のスイングが完成します。
左手の掌屈を入れる
「レイドオフにしたらスライスするようになった」という人は、フェースが開いてインパクトしている可能性が高いです。
ダウンスイングでフェース管理をしやすくするには、左手の掌屈を入れるのが効果的。
掌屈とは、左手首を手のひら側に折る動作のことです。
フェースが閉じやすくなるため、レイドオフの「フェースが開きやすい」というデメリットを防げます。
掌屈を入れるタイミングは人それぞれですが、初心者の場合は、腰の高さからトップまでの間で掌屈を入れると感覚をつかみやすいでしょう。
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レイドオフの練習方法・習得に使える器具
レイドオフを習得するには、バックスイングで右脇が開かないようにする練習が効果的です。
ヘッドカバーを右脇に挟み、トップの位置でも落とさないようにバックスイングを行いましょう。
どうしても右脇が開いてしまう場合は、左手で右腕を押さえてテークバックしてみてください。
これ以上腕を上げたらヘッドカバーが落ちるというところでストップすれば、理想的な右手の位置になっているはずです。
また、レイドオフのスイング器具を活用するのも効果的です。
シャローベルトと呼ばれる器具は、クラブと腰につけたベルトがゴムで繋がれており、トップでシャフトクロスになるのを防ぐことができます。
強制的にレイドオフの形を作れるので、トップポジションでのイメージが湧かないという方におすすめです。
【FAQ】レイドオフに関するよくある質問
レイドオフのスイングを取り入れる際、さまざまなポイントで悩みが出てくるでしょう。
ここでは、レイドオフに関するよくある質問に回答していきます。
レイドオフと相性の良いグリップ方法はある?
グリップの握り方には、主に以下の3つのがあります。
- ウィークグリップ
- スクエアグリップ
- ストロンググリップ(フックグリップ)
この中でもっともレイドオフと相性が良いのは、ストロンググリップ(フックグリップ)です。
ストロンググリップなら、アドレスの時点でフェースを閉じることができるため、スイング中に過度なフェース管理を行う必要がありません。
そのため、フェースが開きやすいレイドオフとの相性が良いとされています。
また、右脇を閉じやすくなる点も、ストロンググリップがレイドオフに向いている理由の1つです。
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レイドオフでオーバースイングを改善できる?
オーバースイングに悩んでいる方にとって、レイドオフは効果的なスイング改善となるでしょう。
オーバースイングになる人の大半は、シャフトクロスが原因だと考えられます。
逆の動きであるレイドオフを取り入れることで、トップがコンパクトなスイングに改善できますよ。
レイドオフでアウトサイドインのスイング軌道は直る?
レイドオフは、ダウンスイングでインサイドから振りやすくなるため、アウトサイドインの改善に効果的です。
特に、カット軌道が原因でスライスが出る人や、飛距離が出ない人に向いています。
しかし、レイドオフで必ずアウトサイドインの軌道が直るわけではありません。
腕の力でダウンスイングを行えば、シャフトが立ってクラブはアウトから振りやすくなります。
レイドオフはインサイドからのスイングをサポートする効果はありますが、正しいスイング軌道を習得するには、下半身主導の切り返しを身につける必要があるでしょう。
レイドオフなどトップポジションの課題はコーチへの相談がおすすめ
レイドオフには多くのメリットがありますが、初心者が習得するのは簡単ではありません。
また、デメリットもあるため、本当に自分に合ったトップの形なのか判断できない方も多いのではないでしょうか。
レイドオフやシャフトクロスなど、トップポジションで悩みを抱えている方は、プロのコーチへ直接相談するのがおすすめです。
正しいスイング方法はもちろん、自分に合ったトップを教えてもらえるので、効率良くゴルフが上達するでしょう。
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